2020.05.13
会場調査(CLT)とは?納品物の例や事例を紹介
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公開日:2020.03.04
NPS®は近年注目を集めている顧客ロイヤルティを測定する指標の一つです。従来の顧客満足度調査とは異なるアプローチで、顧客との関係性を定量的に評価することができます。この記事では、NPS®調査の概要から実施方法、具体的な活用事例まで詳しく解説していきます。
顧客満足度調査(CS調査)の業種・業界別テンプレート一覧はこちら>
NPS®調査は、顧客ロイヤルティを測定するための新しいアプローチとして注目されています。ここでは、NPS®の基本的な概念や計算方法、意義について説明します。
NPS®とは「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略称です。顧客が企業の製品やサービスを他者に推奨する可能性を数値化したもので、顧客ロイヤルティを測る指標の一つです。
NPS®は、「あなたは当社の製品・サービスを友人や同僚にどの程度推奨したいと思いますか?」という設問に対し、0〜10段階で評価してもらいます。回答者は、その点数に応じて「批判者(0〜6点)」「中立者(7〜8点)」「推奨者(9〜10点)」の3つのグループに分類されます。
NPS®スコアは、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出します。つまり、次の式で表すことができます。
3つのグループとNPSのイメージ
例えば、NPS®調査の結果、推奨者が全体の40%、批判者が20%だったとすると、NPS®は以下のように計算されます。
このように、NPS®スコアはー100〜+100の範囲の値をとり、正の値が高いほど顧客ロイヤルティが高いことを示します。
NPS®は、単なる顧客満足度ではなく、企業の成長や収益性と強い相関があることが知られています。推奨者は継続購入やクチコミによる新規顧客の獲得に貢献する一方、批判者は他者への否定的な影響や自身の離脱につながる可能性があるためです。
つまり、NPS®を向上させることは、収益の拡大や企業価値の向上に直結すると言えるでしょう。また、NPS®は競合他社との比較や自社の経年変化を追跡するのにも適しています。顧客との絆を定量的に測定し、マーケティング戦略に活かすことができる点がNPS®の大きな意義と言えます。
NPS®調査を正しく行うには、適切な方法でデータを収集し、分析することが不可欠です。ここでは、NPS®調査の具体的な実施方法について、アンケート調査の設計から顧客フィードバックの収集、データ分析までを順を追って説明します。
NPS®調査の中核となるのは、顧客に対するアンケート調査です。「あなたは当社の製品・サービスを友人や同僚にどの程度推奨したいと思いますか?」という設問に、0〜10段階で評価してもらうのが基本的な形式です。
この際、質問文は明確かつ簡潔にし、回答者に推奨度合いを正確に判断してもらえるようにすることが大切です。また、NPS®スコアだけでなく、その理由を自由記述形式で尋ねることで、より具体的な顧客の声を収集することができます。
アンケートの実施方法としては、インターネット調査や質問紙によるアンケートなどが挙げられます。顧客とのコンタクトポイントや、製品・サービスの特性に合わせて、最適な方法を選択しましょう。
NPS®調査では、数値化されたスコアだけでなく、顧客の生の声を収集することが重要です。特に、批判者(0〜6点)に該当する顧客からのフィードバックは、課題を特定し改善につなげるために欠かせません。
アンケートの自由記述欄に加え、ソーシャルメディアやレビューサイト、カスタマーサポートの記録なども有効な情報源となります。顧客接点の担当者から直接意見を聞くのも良いでしょう。収集した顧客の声は、NPS®スコアとともにデータベース化し、分析に活用します。
集めたデータは、単に平均値を出すだけでなく、多角的に分析することが求められます。NPS®スコアを部門別、製品別、顧客セグメント別などで比較し、課題のある領域を特定します。
自由記述回答については、テキストマイニングによってキーワードを抽出し、顧客の評価ポイントを明らかにするとよいでしょう。ポジティブな回答をベストプラクティスとして共有し、ネガティブな回答は改善アクションにつなげます。
分析の結果は、経営層を含む社内の関係者へ適切にフィードバックし、顧客志向の組織文化を醸成することが大切です。NPS®調査の真の目的は、スコアを上げることではなく、顧客の声に耳を傾け、製品やサービス、ひいては企業のファンを増やしていくことにあります。
NPS®調査で得られたデータは、自社の顧客ロイヤルティを評価し、競合他社との比較を行い、製品やサービスの改善に役立てることができます。ここでは、NPS®調査の具体的な活用方法について説明するとともに、従来の顧客満足度調査との違いについても触れていきます。
NPS®調査を定期的に実施することで、自社の顧客ロイヤルティの推移を追跡することができます。スコアの変動を見ることで、施策の効果を検証したり、課題の早期発見につなげたりすることが可能です。
部門別、製品別、顧客セグメント別などでNPS®を比較することも有効でしょう。スコアが低い領域を特定し、重点的に改善策を講じることで、全社的なNPS®の向上を図ることができます。
同業他社と自社のNPS®を比較することで、業界内での自社のポジショニングを把握することができます。競合他社よりも高いスコアであれば、自社の強みを確認できますし、低いスコアであれば、ベンチマークとして目標設定に活用できます。
一方で、注意しなくてはいけないことがあります。それは、同業他社のNPS®の条件と自社の条件が揃っていない可能性があることです。例えば、”顧客”の定義一つ取っても自社では「直近1年以内に取引いただいた方」と定義しているが、他社では「直近3年以内に取引いただいた方」と定義していたデータの場合、”顧客”の扱い方が異なっており、NPS®の値も比較できません。また、NPS®は業界や企業によって傾向が異なります。そのため、単純な比較は避けることをおすすめします。自社のスコアの推移を追うことを第一とし、競合他社との比較はあくまで参考程度に留めることが賢明です。
顧客満足度調査(CS調査)は、顧客の満足度を測定するための伝統的な手法です。製品やサービスの品質、価格、対応などについて、顧客がどの程度満足しているかを調査します。
一方、NPS®調査は、顧客の推奨意向に基づいて、ロイヤルティを測定する手法です。単なる満足度ではなく、他者への推奨行動につながるような深い信頼や愛着を評価することができます。
NPS®調査と顧客満足度調査(CS調査)の最大の違いは、評価の視点にあります。顧客満足度調査が現時点での満足度を測るのに対し、NPS®調査は将来の推奨行動を予測します。
また、NPS®調査は質問が1つと非常にシンプルな設計になっているのに対し、顧客満足度調査は多岐にわたる設問で構成されることが一般的です。NPS®調査の方が顧客の負担が少なく、高い回答率が期待できます。
ただし、NPS®調査と顧客満足度調査は相反するものではありません。両者を組み合わせることで、顧客の声をより多角的に捉えることができるでしょう。
NPS®調査の最終的な目的は、単にスコアを上げることではなく、顧客の声に耳を傾け、製品やサービスを改善し、ひいては企業のファンを増やしていくことにあります。そのためにまずはスコアの低い批判者からのフィードバックを丁寧に分析し、課題を特定することが重要です。
顧客の声を基に、製品の機能や品質、サービスのプロセスや対応などを見直します。改善策を実行したら、再度NPS®調査を行って効果を検証します。
このようなPDCAサイクルを回すことで、顧客の期待に応える製品やサービスを提供し続けることができるのです。顧客のロイヤルティを高め、推奨者を増やすことが、ひいては企業の成長や収益の向上につながるでしょう。
NPS®調査は、顧客ロイヤルティを測定し、ビジネスの成長に活かすための有効な手法ですが、一方で留意すべき点もあります。ここでは、NPS®調査を導入する際に知っておくべき主なメリットとデメリットについて解説します。
以上のようなメリットとデメリットを理解した上で、自社の事業特性や組織風土に合わせてNPS®調査を活用することが大切です。NPS®は万能な指標ではありませんが、適切に運用することで、顧客志向の経営を推進する有力なツールとなるでしょう。
NPS®調査を自社に導入するには、まず経営層の理解と支持を得ることが重要です。NPS®の概念や意義、他社での成功事例などを丁寧に説明し、顧客志向経営の必要性を訴求しましょう。併せて、調査の実施体制や活用方法についても具体的に提案します。
次に、NPS®調査の対象となる顧客接点や顧客セグメントを特定します。カスタマージャーニー全体を俯瞰し、重要な接点を見落とさないよう注意が必要です。
また、調査の頻度や方法も合わせて検討します。調査の設計においては、NPS®の設問だけでなく、回答の理由を問う自由記述欄を設けることも重要です。さらに、顧客属性や利用状況など、スコアと関連付けて分析したい項目も盛り込みます。設問は分かりやすく、回答しやすい表現を心がけましょう。
また、顧客ロイヤリティの源泉や改善すべき事項を把握するために、顧客満足度調査(CS調査)の調査項目の中にNPS®が測れる設問を組み込むことが一般的です。何に満足し、何に不満を抱えているのかを把握することで、NPS®へ影響する因子が判明し改善へ繋げることができます。顧客満足度調査でよく行なうポートフォリオ分析(CSポートフォリオ分析)により、製品やサービスの「満足度」と「満足度への影響度」に基づいた充足点や改善点を把握し、「優先的改善事項」を明確にすることができるでしょう。
充足点と満足店の把握(CS ポートフォリオ分析の図)
NPS®測定により顧客ロイヤリティの源泉は何なのか、具体的な改善アクションはどうすれば良いのかなどを把握し、更にNPS®スコアを向上させるための戦略を立てることができます。NPS®は事業の業績との相関が非常に高い指標なので、「NPS®を高める≒事業の業績を上げる」と変換して取り組んでみると良いでしょう。
最後に、NPS®調査の結果を社内で共有し、改善アクションにつなげる仕組みを整備します。スコアや顧客の声を部門横断的に共有し、全社一丸となって顧客ロイヤルティの向上に取り組む体制を構築することが求められます。
ここでは、NPS®調査を活用して顧客ロイヤルティの向上や業績改善を実現した、業界別の成功事例をご紹介します。
A社は、大手小売業のリーディングカンパニーです。NPS®調査を導入し、店舗ごとのスコアと顧客の声を可視化することで、接客や店舗運営の改善ポイントを明らかにしました。
具体的には、レジ待ち時間の短縮や商品陳列の工夫、スタッフの応対品質の向上などに取り組みました。その結果、NPS®スコアは導入前の10ポイントから30ポイントまで上昇。売上高や顧客リピート率の向上にもつながっています。
B社は、オンラインサービスを提供するIT企業です。NPS®調査をユーザーの声を収集する仕組みとして活用し、サービス改善に役立てています。
特に、批判者から寄せられた厳しい意見を真摯に受け止め、ユーザビリティの向上や新機能の開発につなげました。同時に、推奨者の声は社内で共有し、従業員のモチベーション向上にも一役買っています。こうした地道な取り組みの積み重ねにより、B社のNPS®スコアは業界トップクラスに。ユーザー数や利用率の拡大に大きく寄与しています。
この記事では、NPS®調査の概要から実施方法、活用事例まで、幅広く解説してきました。NPS®は、シンプルな指標でありながら、顧客ロイヤルティという重要な概念を数値化することができる優れた手法です。
従来の顧客満足度調査と比べても、収益性や成長性との相関が高く、経営指標としての有用性が認められています。一方で、スコアの解釈や社内浸透の難しさなど、留意点も存在します。
NPS®調査を成功させるカギは、経営層のコミットメントと全社的な活用体制の構築にあると言えるでしょう。NPS®を単なるスコアの追求に終わらせるのではなく、顧客の声に真摯に耳を傾け、製品やサービス、ひいては企業文化そのものを変革していく行動指針として位置づけることが必要です。
自社の状況を見据えながら、NPS®調査を適切に設計し、継続的に実施していくことで、顧客ロイヤルティの向上と事業の成長を実現することができるでしょう。
調査票の雛型は以下からダウンロードすることができますので、是非ご参考ください。
顧客満足度調査( CS 調査)の調査票作成のポイント【テンプレート付】はこちら>
顧客との信頼関係を築き、長期的な競争優位性を確立するための第一歩として、NPS®調査がおすすめとなります。分析については、専門的なスキルが必要となりますので、分析サービスを持つ専門機関にご相談してみると良いでしょう。
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顧客満足度調査(CS調査)
顧客満足度調査(略してCS調査)とは、自社の商品ユーザーやサービス利用者から評価・改善点などのアドバイスをいただくための調査です。
顧客が満足する商品・サービスを提供し続け、既存顧客の満足度を維持するだけでなく、新規顧客獲得に結びつけるためにも非常に重要な役割を果たします。また、サービス業などでは顧客体験の向上にむけた人材育成のために、現状把握や満足度の高い接客ノウハウの収集を目的として行うこともあります。CS活動の最終的なゴールは、単に満足度を向上させるだけでなく、顧客の「継続購買」や「推奨行動」といった「エンゲージメント」につなげることにあります。
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