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公開日:2020.03.06
KPIとは、Key Performance Indicatorの略称で、重要業績評価指標とも呼ばれます。
組織の最終的な目標(KGI)を達成するためのプロセスを管理する目的で用いられ、営業やマーケティングの現場でもよく耳にする言葉です。まずは、セットで語られることの多いKGIとKPIの違いについて確認しましょう。
KGI(Key Goal Indicator 重要目標達成指標)…組織が最終的に達成すべき目標。事業の売上・利益など、目指すゴールそのものであり、結果指標を指す。
KPI(Key Performance Indicator 重要業績評価指標)…最終的な目標を達成するのに必要不可欠なプロセスを管理するための指標。プロセスの状況を評価する判断基準、目印となるもの。
KGIはゴール(目標)そのもので、KPIはそのゴールに達するためのプロセスを指します。企業には、売上や利益といった達成すべき目標が必ずあるはずです。その目標を達成するために必要かつ重要なプロセスを洗い出し、KPIという目に見える具体的な指標を設定し、それぞれの対策を考えていきます。
設定したKPIを組織内で共有することで、メンバー間で目標達成のために必要なプロセスやそれをクリアするための対策を共通認識できるため、現場の意思統一がしやすくなることが期待できます。自身が所属している企業・部署・チームがどのような目標を持ち、クリアすべき指標に対して日々取り組む業務がどのように関わっているのか(貢献するのか)を認識することは、仕事に向き合う意識・モチベーションにも影響してくるのではないでしょうか。また、KPIは原則として定量的に判断できる指標(件数、人数、金額などの数値)を設定するため、管理者の主観やイメージに左右されず客観的かつ公平に評価することができる、という特徴も持ち合わせます。
KGIの設定事例: | 自社ECサイトの売上アップ |
---|---|
KPIの設定事例: | ECサイトの流入数、ECサイトのコンバージョン率(購入に至る割合)、リピート購買率、商品数など ※いずれも実際には金額・件数・割合など、必ず「具体的な数値」を設定します。 |
例えば、目標であるKGIが「売上1,300万円」で、前期の売上が1,000万円だった場合、仮に顧客が10,000人・顧客単価が1,000円だとしたらKPIの数値はどうなるでしょうか。ごく単純に考えれば、顧客を10,000人から13,000人に増やせれば、顧客単価は同じでも目標を達成することができます。反対に、顧客単価が300円上がり1,300円になれば、顧客の数が10,000人のままでも目標は達成できます。
ですが実際の現場では、計画通りに上がる指標(数値)もあれば下回るものもあったり、設定の時には予測していなかった要素が強く影響したりと、プロセスごとにさまざまな要素が絡み合った上で結果が出るので、これほどシンプルにゴールに到達するケースは稀といえます。
以下に、KPIを設定する際に考えたいポイントをいくつかご紹介します。
ここがずれてしまうと、そもそも何のために設定したKPIなのかを見失い、KPIを追うこと自体が目的化しかねません。
本当にそのKPIをクリアすることがKGIの達成に繋がるのか、ロジカルに説明できる指標になっているでしょうか。設定しやすい指標や達成しやすいと思う指標をKPIとして選ぶのではなく、あくまでもKGIから指標を落とし込むようにします。
その指標は、誰が計測しても同じ結果になる客観的な数値でしょうか。「いつまでに」「いくつにする」という明確な目標の元に計測・評価をしていかなければなりません。
KPIは、KGIよりも短いスパンで定期的に計測して評価し、必要に応じて計画や施策・アクションを見直すなど業務を軌道修正していく必要があります。そのため、各指標の状況(数字)をチーム全員が容易に確認でき、更には自動で取得できると理想的です。複雑なデータ処理や分析を必要とするものはKPIとしてあまり向いていないと言えるでしょう。また、結果を踏まえて改善していくことができる、PDCAが回せる指標であることも重要です。自身の頑張りではどうにもできない要素を多く含む指標だと、次のアクションに繋がりません。
極端に高過ぎる目標設定や根拠のない指標の選択は、具体的なアクションに落とし込みづらいだけでなく、現場の納得感(腹落ち感)が伴わないために、仕事そのものへのモチベーション向上を損なう危険性すらあります。目標設定は組織の成長に欠かせないものですが、組織を動かすのは人間です。チームと個々の努力と工夫によって達成しうる、現実的な目標設定で組織のパフォーマンスを高めたいものです。
上記は、KPIを考える際に確認したいポイントの一例ですが、適切な目標設定をするために抑えるべき5つの要件として、その頭文字を取った「SMARTの原則(または法則)」があります。上記と重複するポイントも含みますが、こちらも参考にしてみてください。なお、時代と共に新たな解釈が加えられるなどして、ワードの一部が異なる様々な「SMART」も存在します。
S: | Specific(具体的な) |
---|---|
M: | Measurable(測定可能な) |
A: | Achievable(達成可能な) ※他にAgreed upon(同意できる)、Assignable(割り当てうる)など |
R: | Realistic (現実的である) ※他にRelated/Relevant(経営目標に関連する)、Result-based(成果に基づいた)など |
T: | Timely(期限がある) ※同じ意味で他にTimed/Time-bound/Time-relatedなど |
しっかりとゴールに結び付く適切なKPIを設定し、組織のパフォーマンスを評価・管理することはKGI達成のために重要ですが、KPIはあくまでも「指標」です。最終的にはそのKPIを達成するための対策・施策を個人個人の具体的なアクションに落とし込み、振り返りや改善を重ねて日々の業務として取り組んでいくことになります。時には「このKPIは本当に適切なのか」と疑うことが必要な場面も出てきますし、視点を変えると新たな指標がKPIとして浮かび上がってくることもあります。決めた指標をしっかり計測して追いながら、常にKGIを意識して広い視野を持ち、KPIを「生きた指標」として運用することが大切です。
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