2024.07.19
信頼区間とは
信頼区間とは、統計学において母数が特定の範囲内に含まれる可能性を示す推定方法です。この範囲は信頼係数に基づいて決定され、95%信頼区間などが一般的に使用されます……
公開日:2022.06.14
メーカーにとって「商品開発とは何か」と聞かれたら、次のような答えが出てくるのではないでしょうか。
メーカーの責務は世の中によい製品を提供することなので、商品開発も責務になります。
さらに次のように考える人がいるかもしれません。
商品開発には多額の費用がかかるので必ず成功させなければならず、開発担当者のプレッシャーは相当のものでしょう。経営者は、商品開発に失敗したら経営責任を取らされるかもしれません。
この記事では、やりがいがある仕事であり難しい仕事でもある商品開発では何をしなければならないのか、を解説します。そして、どのように商品開発を進めていけばよいのかも紹介します。
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「商品開発」と聞くと新商品をつくることをイメージするかもしれませんが、既存の商品に改良を加えることも商品開発に含まれると考えてよいでしょう。
さらに、新商品開発のほうが、既存商品の改良より難しくプレッシャーがあり成功しにくいと考えることも正しくありません。
確かにこれまで市場になかった商品を開発することは難しく、プレッシャーがかかります。
新商品は製造方法も販売方法もマーケティングも新しく用意しなければならないのでコストがかかり、それだけ失敗したときの損失が大きくなり、しかも消費者が新商品の利点を理解するかどうかもわからないので成功する確率は高くありません。
しかし同じ厳しさが、既存商品の改良にもあります。
改良が必要な商品は、過去にヒットしていたか現在も売れ続けている商品のはずなので、改良したために売れなくなるリスクがあります。
また、開発チームには、既存商品を超えなければならないというプレッシャーがかかります。既存商品のコンセプトを引き継がなければならないことも多く、そうなると自由に開発することができません。
既存商品の改良はさまざまな制約がかかるなかで新商品開発と同等以上の成果を出さないとならないので、こちらの仕事も相当難しく相当強いプレッシャーがかかるはずです。
あらためて商品開発とはどのような業務なのか考えてみます。
どのジャンルの商品の開発でも少なくとも次の3つの性質が含まれています。
1つずつ確認していきます。
もし完璧な商品が完成したら、もう商品開発をする必要はありません。しかしどの分野の商品でも常に商品開発が行われているので、完璧な商品などというものはこの世に存在しないのでしょう。
なぜ完璧な商品が存在しないのか。それは消費者のニーズに際限がないからです。
例えば、初めて世に出た炊飯ジャーは電気で米を炊くことができる画期的な商品でしたが、消費者はいったん満足したあとに、「やっぱり土鍋と火で炊いたほうがおいしい」と感じるようになります。それで土鍋と同レベルのご飯を炊くことができる高級炊飯ジャーが開発されました。
ところが炊飯ジャーが高額になりすぎると、炊きあがりのクオリティが落ちても価格が安い炊飯ジャーのニーズが高まっていきます。
さらに、ランチ用に1食分の米を炊く炊飯器が開発されヒット商品になっています(*1)。
このように、うつろいやすい消費者ニーズに応えていくには商品開発を重ねていくしかありません。
*1:https://www.thanko.jp/view/item/000000003667
ほとんどの商品は販売開始から年月が経つと陳腐化して値下げ圧力にさらされます。売れなくなれば値下げして販売個数を増やして製造コストの上昇を抑えなければなりませんし、売れていても販売店から仕入れ値を値下げするよう要請されるでしょう。
メーカーが値下げ圧力に対抗するには、新商品を出したり、既存商品を改良したりして新しい価値を生んでいかなければなりません。
したがって商品開発はメーカーに、売上増と利益増をもたらします。
原材料が高騰したからといって、コスト上昇分を既存商品の値上げで補おうとすれば消費者から反感を買ってしまいます。
しかし、値上げと同時に改良を施せば、メーカーは機能やデザイン性が向上したから価格を高くした、と消費者に説明できます。
技術は進化し、研究者や開発者は次々新しいものを発見したり発明したりします。
メーカーが進化した技術や研究成果を活用すれば、新しい商品を開発したり既存商品をグレードアップしたりすることができます。
そして進化した技術や研究成果を新商品に落とし込んだ結果、その新商品がヒットすればメーカーの利益が増え、それを研究費や開発費に回すことができます。それによってさらに技術が進化し、新しい研究に取り組むことができます。
この好循環は商品開発の成功がもたらします。
商品開発は、ものづくりという大きな仕事のなかの1コマにすぎません。
商品開発では何をつくらなければならないのでしょうか。
商品開発はビジネスなので、売れるものをつくらなければなりません。
消費者は新商品や改良品を心待ちにしています。なぜなら、既存商品より高性能になったり、デザインが格好よくなったり、使いやすくなったり、安くなったりするからです。
そのため商品開発の担当者は、消費者から喜ばれる商品をつくらなければなりません。
商品には社会と生活を変える力があります。昔は自動車が、現代ならスマートフォンが社会と生活をガラリと変えました。
企業は社会貢献をしなければならず、社会と生活を変える商品を生み出すことでその目的を達成できます。
例えば、ガソリン自動車のメーカーはスマートフォンをつくることができませんが、スマートフォン・メーカーは電気自動車ならつくることができるでしょう(*2、3)。
ガソリン自動車メーカーがスマートフォンをつくることができないのは、電話技術も通信技術もないからです。
一方、スマートフォン・メーカーは電子技術があるので、あとはモーターやブレーキやタイヤなどの自動車部品をいくつか買ってくれば電気自動車ならつくることができます。
このように商品開発の対象は、自社の資源で生み出せるものに限定されます。商品開発の対象を拡大するには、自社の資源を増やす必要があります。
自社商品の売れ行きが落ちて、他社の同種の商品の売れ行きが好調であれば、差別化できる商品を開発しなければなりません。
*2:https://www.sony.com/ja/SonyInfo/vision-s/
*3:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN190GP0Z11C21A1000000/
商品開発に取りかかる前にマーケティングを実施する必要があるでしょう。もしくは、商品開発と同時並行でマーケティングをしたほうがよいでしょう。
商品開発はマーケティング抜きには考えられません。マーケティングの具体的な業務は次のとおりです。
これらのマーケティングの仕事が商品開発にどのように絡んでくるのか紹介します。
マーケティングを組み合わせるのは、商品開発のリスクを最小限にするためです。
例えば、これから開発する商品のターゲット顧客を設定せず、ただ開発担当者や技術者が「つくりたいもの」をつくってしまったら売れる確率はグッと下がります。
開発担当者が業界、消費者、市場の理解を深めれば、それらを意識した商品をつくることができて商品開発の方向性が決まります。
そして「これから開発する商品がどのようなベネフィットを生み出すか」といったことを考察せず、商品開発に取りかかってしまうのも無謀です。
ベネフィットを生まない新商品を市場に投入しても、他社商品との差別化はできません。つまり売れません。
販売価格がある程度決まっていないと開発コストや製造コストを算出できないので、つまり商品開発に着手できません。商品開発しながら広告や販路を調査すれば、その商品にマッチした広告や販路をつくることができます。
商品開発の方法は企業によって、また、プロジェクトチームによって異なりますが、一般的には次のように進むはずです
商品開発の流れ
●アイデア
↓
●企画
↓
●コンセプト
↓
●計画(価格、売上、経費、利益、納期の予想)
↓
●試作
↓
●調査(アンケートなど)
↓
●製造
↓
●営業、広告、販売
商品開発を試作づくりまでと考えることもできますが、開発担当者が売上にもある程度の責任を持ったほうがよいので「●営業、広告、販売」までを対象としました。
学生や若い人のなかには、商品開発をしてみたいと考えている人が多くいます。企業の開発部門は人気職場です。世の中が一変する商品を生み出すことができれば、ビジネスパーソンとしてこれほど嬉しいことはないでしょう。
しかしヒット商品の裏には、数々の失敗商品が横たわっています。開発した商品が成功する確率は低く、設備投資に多額の費用をかけて商品開発に失敗したら経営を揺るがすことになりかねません。
そのため商品開発は経営戦略と深く関わることになり、実際の仕事は地味なものが多くなります。
それでも新商品や既存商品の改良が完成したときは、喜びひとしおでしょう。これがこの仕事の魅力です。
商品開発における調査企画・設計の事例
商品やサービスの開発に携わる方なら、マーケティングプロセスの中で、様々なタイミング、場面でいろいろな課題に直面されることがあると思います。お客様の商品・サービスが商品開発のどの段階にあるかによって、発生する課題やリサーチテーマは異なってきます。それらの課題を解決するために用いられるのがマーケティングリサーチです。
では、マーケティングリサーチは商品開発においてどのように用いられているのでしょうか。こちらでは、ヨーグルトを製造・販売されているメーカーを例にした調査事例を紹介しています。
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