2020.02.13
アンメットニーズ
アンメットニーズとは 「消費者にとってまだ満たされていないニーズのこと」 マーケターや商品開発/新規事業開発担当者は、消費者ニーズ、顧客ニーズは何かと常……
公開日:2022.10.31
消費者ニーズが多様化した現代の市場では、万人に受け入れられる商品・サービスをつくろうとすると、投下資源は分散されることになり、その結果、投資効率は下がってしまいます。幅広い消費者向けの商品・サービスをつくるのではなく、特定の顧客層を選択し、そこを狙った商品・サービスづくり、更には販促活動に、限られた経営資源を集中させることで、投資効率の向上に貢献することができます。
そこで必要になるのがターゲットの設定です。
ターゲットとは、自社が定めた顧客層、ユーザー層、消費者層のこと。
したがってターゲット設定とは、自社の商品・サービスを購入・利用してもらいたい顧客層を絞り込むことです。
この記事ではターゲットを設定する意義とメリットを解説したうえで、ターゲット設定を行う方法を紹介します。
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「設定」は仮定や条件や場を設けること、という意味ですが、ターゲット設定の「設定」には絞り込むというニュアンスがあります。
商品・サービスの購入者はすべての消費者ではなく、特定の人になります。ターゲット設定ではすべての消費者のなかからその特定の人を探すことになるので、絞り込みが必要になります。ここまでの説明で次のような疑問が湧くと思います。
これはそのとおりで、ターゲット設定をすると、商品・サービスを購入すると想定される顧客の数は減ります。
ではターゲット設定を行う目的はどこにあるのでしょうか。
ターゲットを絞り込む(設定する)目的は選択と集中を行うことです。
企業の経営資源は有限ですので、すべての消費者にリーチする施策を取ることはできません。そのためターゲットを選択するわけですが、それはすなわちターゲットにしなかった消費者へのリーチをあきらめることでもあります。
それだけでは顧客になるであろう人の数が減ってしまうので、ターゲットに設定した消費者に、商品・サービスをより高確率で購入・利用してもらうための施策に経営資源を集中させます。
マーケティングでターゲット設定を行って選択と集中を行わなければならないのは、
という事情があるからです。
消費者ニーズの多様化とは、欲しいものと要らないものの選別が進み、本当に欲しいものしか買わなくなる現象のことです。
そして企業が持つ技術や設備、ノウハウ、コスト(資金)には限りがあるので、1社が幅広いターゲットを狙って複数の商品・サービスをつくることには限界があります。また、競合他社が増えると似たような商品・サービスが増え、自社の商品・サービスの魅力が相対的に減退してしまいます。
消費者が本当に欲しいものをつくり、他社と差別化していかなければ、商品・サービスを買ってもらえない時代になりました。
そのような商品・サービスをつくることは簡単ではありません。そこで、狙ったターゲットに経営資源を集中させる、つまり選択と集中が必要になってきます。
ターゲット設定が企業にもたらすメリットは大きいでしょう。
ターゲット設定は企業に、効率化と生産性の向上というメリットをもたらすはずです。
例えば経営者やマーケティング責任者がターゲットを設定し、それを社内に周知すれば、企画部門、開発部門、営業部門、販売部門、広告部門、マーケティング部門が、設定されたターゲット向けのアウトプットをつくろうとします。
これにより例えば、開発部門が若い女性向けの商品をつくったのに、広告部門が大人の雰囲気のCMをつくるといったことが起きにくくなります。
2つ目のメリットは、特定の顧客から強く支持されたり、ロイヤリティが得られたりすることです。
企業がターゲットを設定し、狙いどおりの商品・サービスが完成すれば、そのターゲット(特定の顧客)は「まるで自分のためにつくられた商品・サービスだ」と感じるでしょう。その印象は購買意欲を高めます。
そして顧客は「自分にぴったりの商品・サービス」を生み出した企業に愛着を覚えるはずです。この愛着がロイヤリティにつながっていきます。
極力多くの消費者に買ってもらおうと、商品・サービスをフルラインナップする企業があります。もちろん「何でもある」ことは戦略の1つになりますが、無暗に商品・サービスの種類を増やすことはコスト増を招きます。
例えば在庫について考えてみましょう。
商品・サービスの種類が増えると、売れ行きのよくない商品・サービスも在庫しておかなければならず、倉庫コストが膨らみます。
一方ターゲット設定をして、設定したターゲットが求めそうな商品・サービスだけを在庫すれば、コストを抑えることができます。
ターゲット設定は通常、次の手順で行います。
ある母集団のメンバーをある基準で分類した1つひとつのグループのことをセグメントといいます。
ターゲット設定ではまず、消費者をセグメントごとにわけていきます。消費者を細分化していくイメージです。
セグメントは、基準を設けてから、その基準に合致するか否かでわけていきます。
次のような項目がよく基準にされます。
例えば年齢という基準を使えば、消費者を20代、30代、40代といったようにわけることができ、「20代の消費者」「30代の消費者」「40代の消費者」がそれぞれセグメントになります。
セグメントにわけたら、それぞれの特徴を調べていきます。
例えば、ある地域の20代、30代、40代を調べたところ、「20代はアクティブ」「30代は仕事中心」「40代は年収が安定している」といった特徴がみつかるかもしれません。
それぞれのセグメントの特徴が明らかになったら、企業の商品・サービスにマッチしたターゲットが属すセグメントを探します。
このとき、商品・サービスの特徴から特定のセグメントを選んでもいいですし、既存客の特徴とセグメントの特徴の類似点を探してもよいでしょう。ターゲットにしたいセグメントを選ぶことが、ターゲット設定になります。
例えばスーパーマーケットの場合で考えてみましょう。
スーパーがターゲット設定を実施すれば、自店に適したキャベツを仕入れることができるようになるかもしれません。自店のターゲットを「安さを追求する顧客」に設定すれば、その日最も安くキャベツを出荷する産地を選んでそこから仕入れることができます。
自店のターゲットを「食の安全に対する意識が高い顧客」に設定すれば、無農薬、有機栽培をしている農家と契約して、高級キャベツを仕入れることができます。
ターゲット設定は顧客を絞ることになるので、この作業に失敗すると、ターゲットに設定した顧客に買ってもらえないうえに、ターゲットから外した顧客からも相手にされなくなってしまいます。そこで、間違ったターゲット設定を紹介しますので、注意してください。
ターゲット設定が不明確では、関係者が共通のターゲット像を思い描くことができません。例えば開発担当者と営業担当者と広告担当者が異なるターゲット像を思い描いていたら、開発と営業と広告に一体感が出ず消費者を困惑させます。それでは購買につながりにくくなってしまいます。ターゲット設定を明確にして、関係者が共通のターゲット像を思い描けるようにしましょう。
ターゲット設定では、消費者をセグメントごとにわけてから最適のセグメントを選びます。このときセグメント選定に根拠がないと、商品・サービスがヒットするかどうかが運任せになってしまいます。
セグメント選定の根拠は、リサーチによって得ることができます。自社商品・サービス、顧客、見込み客、地域住民、地域特性、トレンド、経済情勢などについてリサーチを行うことで、データに基づいた根拠のあるターゲット設定ができます。
ターゲットを設定したままで、検証も評価もしないと、そのターゲット選定が正しかったのか間違っていたのかがわかりません。
ターゲット設定とはいわば仮説を立てることです。仮説通りには商品・サービスが売れなかった場合はもちろん検証が必要ですが、仮説通りに売れた場合でも、なぜ売れたのかを検証する必要があります。検証することで、仮設の根拠が正しかったから売れたのか、仮設の根拠は間違っていたが、他の要因で売れたのかを明らかにし、今後の施策に役立てることができます。
ターゲット設定に成功し、マーケティングもうまくいき、検証した結果ターゲット設定が適切だったことがわかっても、定期的にターゲットを更新していったほうがよいでしょう。顧客をとらえるのが難しいのは、消費者が常に変化しているからです。そうであればターゲット設定も変えていかなければならず、つまり更新が必要というわけです。
ターゲット設定は、膨大な数の消費者のなかから、自社の商品・サービスにマッチした顧客になってくれる人たちを絞り込むことです。
これにより企業は、経営資源の選択と集中を行え、効率的かつ生産性の高いマーケティングを展開できるようになるはずです。
そしてターゲット設定が成功すると、そのターゲットに属する顧客は「自分のための商品・サービスだ」と感じるようになり、ロイヤリティを持つようになります。ターゲット設定はメリットが多い施策です。
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