2019.12.05
SDM(高感度差異抽出法)とは
SDM(高感度差異抽出法)とは・・・ 臨床心理学の分野で開発された手法。 商品(モノ)群からランダムに3品を選び、その3品を2つの印象の異なるグループ……
公開日:2022.11.01
コンセプトは米国生まれのマーケティング用語のひとつで、原語のconceptは「構想」「発想」を意味しています。商品のひとつひとつについて企業が発信するメッツセージから、国の政策に至るまで様々な場面でコンセプトが活用されています。ここでは、生活者が日常的に接する商品やサービス(以下、商品と統一)のコンセプト、商品コンセプトを解説します。
街中では、飲食店の商品コンセプトをよく見かけます。スシローのコンセプト「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」、スターバックス「家でも職場でもない(サードプレイス)の提案」などです。スシローのコンセプトでは「リーズナブルな値段ですしを食べたい人々」に「スシローが提供する満足感」を、スターバックスの場合は「ひとときの解放感を求める人々」に「やすらぎの場の提供」をアピールしています。商品コンセプトとは、「どのような人々」にフィットする商品なのか、その商品は「どんなベネフィット」を提供するのかを生活者に語りかけるメッセージとも言えます。
ベネフィットとは、商品がもたらすメリットを超えた満足感を伴う体験や実感を意味しています。ベネフィットのタイプとしては、機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、自己表現的ベネフィットがあげられます。
商品開発は、企業の今後の発展と成長を左右する重要なマーケティング活動です。そして商品開発は次のようなステップで進めるのが一般的です。
コンセプトの策定段階は、選定されたアイディアを「商品として実現」するための中枢となるステップです。「どのような人々」というターゲットとニーズの想定、「どのようなベネフィットを提供するのか」という商品の基本概念の設計、事業規模、商品を消費者に届ける手段の方向性検討なども含まれます。このステップで生み出されたコンセプトは、開発商品を象徴するという意味で非常に重要です。
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商品コンセプトを作る手順の例としては、
となります。この手順の流れを効率的に進める方法としては、コンセプトシートの利用が効果的です。
この手順にそってコンセプト案を作って行きますが、出来上がった案が複雑な表現となることがあります。端的な表現が難しい場合には、コンセプトをターゲットにわかりやすく語りかけるための言葉、キャッチフレーズなどが必要になります。
最適なコンセプトを効率的に作るため、コンセプトシートを作成します。コンセプトシートを作ることで、開発商品の企画意図からのブレや逸脱の防止、アイディアと顧客ニーズとの整合性のチェック、本来の企画意図の再確認などが可能になります。またコンセプトシートは、企画者自身だけでなく、プロジェクト関係者との情報の共有を可能にします。さらに、客観的な意見を広く求める場合にも、明確な企画意図を伝える手段になります。
機能性表示食品を想定したコンセプトシートの例を紹介します。
2.ターゲットと事業規模の想定
・成人病の懸念を持つ中高年
・前向きに健康習慣に取り組む人々、年代性別を問わず
3.商品アイディアの独自性と競合品の確認
・多数の競合品が存在、農産品αの希少性と特性の独自性アピール
・差別化事項として安全・安心の保証(保健機能食品の認定取得など)
4.具体的なベネフィットの検討
・健康サポートへの期待
・健康維持に取り組む安心感
5.商品イメージと社会的なトレンドとの整合性検討
・人生100年時代を支援する
・健康寿命の大切さ
・オーガニックを取り入れる充足感
6.商品アイディアの実現性
・既存ラインで生産可能、知財権関連での問題なし
・国の認定条件の検証済
・年度予算内で消化
以上の要件を検討、コンセプトの策定へと進みます。
情報化社会となっている今日、商品の機能やデザインだけで競争力を維持するのは困難です。そのため、商品イメージとベネフィットを端的に生活者に伝えるコンセプトが必要です。ベネフィットの表現は、基本となる機能的ベネフィットに加え情緒的ベネフィット、自己表現的ベネフィットが求められています。
商品コンセプトの策定は、商品開発の成否を決める重要なプロセスです。そのため、策定したコンセプトがターゲットに受容されるのか、ターゲットが求めるベネフィットを満たすものになっているのか、その検証のためのコンセプト調査が必須です。
コンセプト調査では、定性調査と定量調査を組み合わせることで、より有益な結果が得られるケースが多いです。定性調査(個別またはグループ形式によるインタビュー調査)でターゲットとなる被験者の「本音に近い声」を導き出し、定量調査(アンケート調査)で「本音に近い声」を検証するという方法です。
定性調査、定量調査ともに、調査対象(被験者・母集団)の選定が非常に重要です。主な想定ターゲットが既存顧客か、新規顧客かによって対象とする被験者の層が変わります。また商品コンセプトの特性、提供するベネフィットにより、ケースバイケースで被験者となる母集団の想定が異なります。なお定性調査の被験者予備軍として、継続的なモニター会員の登録制度を設けることも、有益な調査方法のひとつとなります。
現代は商品の性能やデザインといった機能的ベネフィットから、「SDGsへの貢献」や「人生100年時代」への適応、「体験や共感」が実感できる情緒的および自己表現的なベネフィットへの移行が見られます。基本概念は不動であっても、違和感のないコンセプトを作るために社会トレンドへ意識を向けることも大切です。
現代は国や公共機関でも、SDGsなどの理解を深めるため、様々なコンセプトを発信しています。この流れを自社の商品コンセプトに取り入れることで、自社商品の存在感をアップする効果が期待できます。
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コンセプト調査・コンセプトテストの事例
こちらの事例は、コンセプト調査を実施された企業様が実際に抱えていた課題を元に、調査実施までの変遷を企業様目線で描いています。
実際にどのような調査を行い、どういう結果が得られたのか、簡単にまとめております。
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