2024.07.10
消費者インサイトとは?潜在ニーズとの関係性や顧客アンケート、マーケティング戦略ついて
「消費者の心をつかむこと」は、現代ビジネスにおいて重要なテーマです。激しい競合他社との競争が繰り広げられるビジネスでは、消費者の真の欲求を理解し、それに応えるこ……
公開日:2023.06.30
ドラッグストアは、私たちの日常生活において欠かせない存在となっています。医薬品をはじめとする健康や美容の製品を提供するだけでなく、日用雑貨や食品などの品揃えも豊富であり、便利なワンストップショッピングが可能です。そのため、多くの人々がドラッグストアを利用しています。
しかし、ドラッグストア業界は競争が激化しており、他の小売業態との差別化が求められています。同業他社の増加やスーパーマーケット、コンビニエンスストアの医薬品販売の広がりなど、新たな課題も浮上しています。ドラッグストアが今後も成長し続けるためには、顧客満足度の向上が不可欠です。
顧客満足度調査(CS調査)は、ドラッグストアが自店のサービスや商品に対してどのように評価されているかを明らかにするための重要な手段です。この調査を通じて、利用者の期待や満足度、コミュニケーションのあり方や顧客との関係性などを把握することができます。さらに、調査結果を活用することで、企業収益の向上や既存顧客の維持確保、新たな顧客の獲得など、成果を上げるための具体的な施策を見つけ出すことができます。
このコラムでは、ドラッグストアの顧客満足度調査のテンプレートについて解説します。どのような項目を含めるべきか、効果的な質問の例などをご紹介します。顧客の声を聞き、それを基に改善策を講じることで、ドラッグストアが顧客にとってより良い場所となるためのヒントを見つけることができるでしょう。
また、調査の目的や実施時の注意点、アンケート項目設定時のポイント、実施の流れ、調査結果の活用方法についても解説しています。解説したテンプレートは無料でダウンロードできます。
CS調査とは、自店(ドラッグストア)が購入者にどのように評価されているのかを知るための調査です。利用目的や利用状況から自店に対する期待感と満足度、さらに顧客とのコミュニケーションのあり方や関係性の強さも知ることができます。CS調査の最終的な目的は、企業収益の向上、既存顧客の維持確保と新顧客の獲得のための手段を見出すことです。
2022年のドラッグストア店舗数は1.8万店舗(経済産業省)、スーパーマーケットは2.3万店舗(全国スーパーマーケット協会)です。コンビニエンスストアの5.6万店舗(経済産業省)には及ばないものの、ドラッグストアはスーパーマーケットと同様に身近な存在へと成長しています。
ドラッグストアは、医薬品を含むHBC(ヘルス・アンド・ビューティケア)領域をコアとしながら日用雑貨や食品の安売りを目玉商品として集客、店舗数を拡大してきました。さらに冷凍食品や日配品、生鮮食品まで品揃えを充実させ、日常生活品のワンストップショッピングを可能にするまでのビジネスモデルへと発展しています。
他の小売業態との差別化で発展してきたドラッグストアですが、店舗数の増加に伴い同業態の中での競争が激しくなっています。また医薬品を取り扱うスーパーマーケットやコンビニエンスストアが広がりを見せており、これまでのビジネスモデルの展開だけでは競争力が維持できない状況となっています。そのためドラッグストアという業態において今後の成長を果たすためには、小売業店舗として独自の顧客満足度向上が大きな課題となっています。。
ドラッグストアの顧客は、それぞれに利用目的や店を選ぶ理由があります。そのためCS調査の目的をどこに置くのか、例えば店全体、品揃えや価格設定などドラッグストアとしての評価なのか、また日常的な店としての利用目的に沿った評価なのか、調査目的を明確にする必要があります。さらに継続利用と他者への推奨意向の評価へ導くなど、満足度評価の先にある展開も重要です。
調査の目的によって、年齢や家族構成、職業など調査対象とする顧客層が変わってきます。また、顧客の利用目的や利用状況により、店舗に対する満足度に違いが生まれてきます。調査目的に沿った顧客の満足度を知るためには、どのような事柄について質問しているのか、どのような回答を求めているのか、具体的な言葉で調査内容を回答者に示す必要があります。
生活者の日常的な買い物は、ドラッグストアだけでなくスーパーマーケット、コンビニエンスストアも利用するのが一般的です。そのため、ドラッグストアを利用するメリットや利便性など、他の業態に比べての強み、弱みが顧客満足度の評価に直結します。他の業態との比較を踏まえた項目設計を組み立てることで、より現実的な顧客満足度を知る手立てになると期待できます。
CS調査では、起承転結の一連の流れがあります。ここでの「起」は顧客がどこでそのドラッグストアを知ったのかという認知、「承」はドラッグストアで購入している商品など利用状況を聞きます。「転」は日常で利用しているドラッグストアを含む小売店の使い分け意識、ならびに現在利用しているドラッグストアを選定した理由など意思決定行動を聞いて行きます。「結」では実際に利用しているドラッグストアの「顧客満足度」を評価してもらいます。
単純集計、属性クロス集計、質問間クロス集計などの分析方法を考慮した、適切な回答方式を選択します。
分析に応じて集計・分析軸を設定します。
関係メンバー以外の社内の方に、調査票全体を客観的に検証してもらう必要があります。回答者が回答しやすい表現になっているのか、その確認が大切です。
CS調査の実施は、次のような流れで進めるのが基本です。
自店の顧客満足度を聞くことで、小売り業態の中のドラッグストアとして自店の強みと弱みを知る手立てとなります。さらに、現在とこれからの顧客とのつながりのあり方も知る機会ともなります。ここではアンケート調査の一連の流れにそって、活用方法を例示します。
顧客は自店をどのような経路で知ったのか、その結果から自社の情報発信効果が検証できます。マスメディアでの広告宣伝や地域に焦点を絞った新聞のチラシやキャンペーン、価格の安さをアピールする価格比較サイトなど、自身の情報発信方法を見直す契機となります。
顧客は自店でどのような商品を購入しているのか、その金額と購入頻度を見ることで、HBC(ヘルス・アンド・ビューティケア)をコアとするドラッグストアとしてのビジネスモデルの適合性を見ることができます。また自店を利用する理由と購入商品の相関から、顧客が自店に求める役割や期待の一端を知る機会ともなります。
自店の選定理由から、顧客が感じている自店を利用するメリット、期待感を知ることができます。これらは、自店が持つ強みとして捉えることができます。さらに顧客のスーパーマーケットやコンビニエンスストアとの使い分け意識を合わせて聞くことで、自店のビジネスモデルを見直す機会にもなります。ドラッグストアとして、もしくは小売業態全般に共通する強みなのかを検証する手立てとしての活用も期待できます。
顧客の満足度を測る項目と自店の利用状況、選定理由との相関を見ることで、具体的な自店の強みと弱みが確認できます。顧客の評価ポイントから、自店の強みと改善すべき弱みを知ることができます。また満足度が低い項目は、自店の弱みと同時に顧客の潜在ニーズも表している可能性があります。ドラッグストアとしてのビジネスモデルを強化するのか、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの利点の導入を検討するのか、今後の展開の方向性を探る要件を発見する機会として活用が期待できます。
ここでは、対象としたドラッグストアの「総合的な顧客満足度を知るためのテンプレート」を紹介します。設問は、起承転結の流れにそって構成しています。
※「当店」の部分に該当の店舗名等を当てはめます。
この設問では、自店の情報に触れた主な場面はどこか、認知経路について聞きます。
この設問では、どのような商品を購入しているのかを聞きます。
この設問では、どれくらいの頻度で利用しているのかを聞きます。
この設問では、1回あたりの平均的な購入金額を聞きます。
この設問では、自店を選んだ理由を聞きます。顧客の自店に対する印象、期待するメリットを知るための質問です。
この設問は、自店の利用に際して重視した点を聞きます。
これらの設問では満足度を評価する項目は何か、その中でも決定要因となる項目は何かを聞きます。
この設問では、自店の総合的な満足度を聞きます。店の選定理由や利用状況との相関を見ることで、顧客が求めるドラッグストアのあるべき姿やコンセプトの見直しなどへの活用が可能となります。
非常に 満足している |
やや満足 | どちらとも いえない |
やや不満 | 非常に不満 | |
医療機関の処方医薬品の取り扱い | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
医薬品の品揃え | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
家庭用医療・健康機器や医療用品の品揃え | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
化粧品全般の品揃え | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
健康食品の品揃え | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
食品全般の品揃え | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
日用品・生活雑貨の品揃え | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
リーズナブルな価格設定 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
特売商品の種類と実施タイミング | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
病気や健康相談への対応姿勢 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
美容相談への対応姿勢 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
商品全般の説明の対応姿勢 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ポイント付与や割引などの顧客サービス | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ネット通販などECへの対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
支払い方法の多様さ(ポイント決済など含む) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
特売や商品案内など情報発信状況 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
陳列やポスター、POPなどの見やすさ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
店舗内の雰囲気 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
店舗へのアクセスの便利さ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
この設問では、評価項目のそれぞれについて、満足度を聞きます。現在の満足度の評価に基づいて、今後の強化ポイントと同時に改善ポイントも判断することができます。さらに満足度の低い項目は、顧客の潜在的なニーズを示す可能性もあります。。
この設問では、現在の満足度を背景として、今後の顧客の関係について聞きます。
この「継続購入意向」と「他者への推奨意向」は、自店と顧客のロイヤルティの強さを知るための設問です。
ドラッグストアとしての品揃えや顧客とのコミュニケ―ションのあり方、HBC(ヘルス・アンド・ビューティケア)関連商品を提供する店舗としての課題など、顧客の自由な意見を聞きます。アンケート項目では思いつかない顧客の生活感覚や、ドラッグストアに求める事柄、自由な発想での意見が期待できます。
これらのプロフィールは、自店の利用状況や店の選定理由、満足度についてのクロス分析に使用します。自店に関する満足度の状況を、より具体的に表現するためのものです。
CS調査で自店の満足度を聞くことで、マーチャンダイジングの開発の方向性を探る機会となります。またドラッグストアという固有の業態が、小売業態全体の中でどのように顧客に評価されているのか、店のコンセプトのあり方を検証する機会としての活用が期待できます。テンプレートを使用することで調査の効率性が向上し、より精度の高いデータを収集することができます。テンプレートは無料でダウンロードしていただけます。ぜひご利用ください。
顧客満足度調査( CS 調査)についてのご相談はこちら>
顧客満足度調査(CS調査)
”顧客満足度調査(略してCS調査)とは、自社の商品ユーザーやサービス利用者から評価・改善点などのアドバイスをいただくための調査です。
顧客が満足する商品・サービスを提供し続け、既存顧客の満足度を維持するだけでなく、新規顧客獲得に結びつけるためにも非常に重要な役割を果たします。また、顧客の「継続購買」や「推奨行動」といった「エンゲージメント」につなげることにあります。
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NPS
NPSとは、「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略であり、顧客ロイヤリティ(ブランドや商品、またはサービスに対する「信頼・愛着」のこと)を計測するための指標のことです。NPSは事業の業績との相関が非常に高い指標であることから、欧米企業(フォーチュン500)の3分の1が導入しているといわれており、日本でも顧客満足度と並ぶ新しい指標として注目されています。
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