2020.06.30
ミレニアル世代のコト+ヒト消費
ミレニアル世代が消費をしないことがメーカーの頭を悩ませており、彼らのニーズ把握や生活実態、消費行動実態などの調査依頼もしばしば目にします。 生まれたころから、……
公開日:2023.12.14
アスマークでは、海外からの国内事業への参入や日本企業の海外進出に対するニーズに応えるため、双方の調査に対応できるグローバル案件専門のチームを持っています。立ち上げから数年が経過し、国内案件で培ったノウハウを基に対応力を磨き、今や世界各国でのさまざまな調査を実施することを可能にしています。
アウトバウンドとインバウンドの両方において、グローバル調査では、言語や慣習、文化の違いを考慮しながら調査を進める必要があるため、専門的なスキルとノウハウが求められます。本記事では、メンバーとの対談形式の取材を通じて、私たちのグローバルチームが調査案件をどのように成功させているのかをご紹介します。
パネリスト
フロン/ブンアンパイ ピッチャーパー(Pitchapa Booampai)
・所属:グローバルリサーチGアウトバウンドチーム
・出身国:タイ
・在日歴:8年間
・話せる言語:タイ語、日本語、英語
タパ サンザヤ(Sanjay Thapa)
・所属:グローバルリサーチGアウトバウンドチーム
・出身国:ネパール
・在日歴:9年間
・話せる言語:ネパール語、日本語、英語、ヒンディー語
インタビュアー
東川 亜紀
・所属:マーケティングコミュニケーションG 営業推進チーム
東川:では初めに、グローバルチームのチーム編成について教えてください。
タパ:グローバルチームはインバウンドチームとアウトバンドチームの二つのチームに分かれています。それぞれやっていることが少し異なるのですが、インバウンドチームは海外のお客様が日本国内で調査をしたい場合に対応していて、アウトバウンドチームは日本国内のお客様が海外で調査したい場合に対応しているチームとなります。アウトバウンドチームに関してはさらに細分化されていて、定性チームと定量チームで分かれています。
東川:インバウンドチームとアウトバウンドチームで分かれているのは何故ですか?
タパ:大まかに言うとお客様が住んでいる国が違うところですが、調査の対象となる国が国内か海外かで対応する範囲が変わってくるので、より専門的な知識を持って対応できるようしています。
東川:なるほどですね。ちなみにグローバルチームは現在何名いるのでしょうか?
フロン:現在マネージャーも含め11名が在籍しています。
東川:外国人のメンバーも結構増えてきたように思いますが、メンバーの国籍や対応可能な言語も紹介お願いします。
フロン:はい。インドバウンドチームは現在4名在籍していまして、国籍は日本、マダガスカル、中国、イタリアのメンバーで構成されています。全員英語はもちろんのこと、それぞれの母国語であるフランス語、中国語、イタリア語が話せます。アウトバウンドチームは5名在籍しており、国籍は日本、タイ、ネパール、台湾のメンバーになります。インバウンドチームと同様、全員英語対応が可能で、母国語のタイ語、ネパール語、中国語が話せます。
東川:今回インタビューを受けていただいているお二人の国籍はどちらになりますか?
フロン:私がタイでタパさんがネパールです。
東川:本当に多国籍なチームになってきましたね。では次に、グローバルチームのサポート体制について教えてください。
タパ:はい。グローバルチームではプロジェクトにおける各作業工程で品質に関わるチェック項目があります。作業の大まかな流れとして、見積もり提案から始まり~調査設計~日本語画面作成~調査票の翻訳~現地語画面作成~データ回収~データクリーニング~集計分析~レポートと分かれていて、それぞれの工程に特化した担当者がつきますが、グローバルチームから必ず1名プロジェクトマネージャーが就いて全工程をまとめてコントロールしています。
フロン:プロジェクトマネージャーとして複雑な案件や長期にわたる調査でも安全かつスムーズに進行することをサポートしていきます。また、万が一トラブルが発生した場合でも早急にリカバリーすることが可能となり、コストやスケジュールへの影響を最小限にしています。
東川:プロジェクトマネージャーがお休みの場合はどのように対処されていますか?
フロン:その場合はお休みに入る方が事前に、自分のプロジェクトがどこまで進んでいて、休んでいる間に何が発生するかを予測して引き継ぎをしていますので、お休みの場合でも問題なく進行させていただいています。
東川:それはお客様からも安心なポイントですね。先ほど工程の中で日本語の画面を作成してから現地語画面を作成されているというお話でしたが、その理由を教えていただけますか?
タパ:アンケート画面を作る時には対象条件や終了条件等のロジックを組んでいきますが、そこが多言語だとミスが見つかりにくくなります。そのため日本語でしっかり画面設計をし、それをお客様に確認していただいた上で、問題がなければ現地語に翻訳し現地語画面の作成をしています。
東川:画面作成一つとっても、大変な苦労があるのですね。
タパ:はい、ミスを防ぐためにもとても重要な工程になりますのでそこは徹底しています。
東川:次に、グローバルチームの強みを教えてください。
フロン:グローバルチームは多国籍のメンバーが揃っているので、対応できる言語が充実していることがまず挙げられると思います。海外のお客様やパートナー会社とは主に英語でやり取りをしていますが、例えば中国のお客様とは中国語でのコミュニケーションが取れるので日本語や英語だと伝わりにくい微妙なニュアンスを、中国語を使うことによって細かく伝えることができ、ミスコミュニケーションを防ぐことができます。また、メンバー全員英語対応が可能ですので、世界のどの国ともコミュニケーションが可能なことです。
東川:やはり英語圏のお客様が多いのでしょうか?
フロン:そうですね。アメリカからの依頼も多いですが、中国からの依頼も非常に多いですね。ただ有難いことに色々な国から依頼をいただいていまして、大抵のお客様が英語で会話できますので、英語対応ができればほぼすべての国の対応が可能になってきます。
東川:様々な国からお仕事の依頼があるのですね。発展途上国からの依頼もあるのでしょうか?
フロン:発展途上国からの依頼というよりは、国内企業からそのような国を対象に調査を実施したいという依頼の方が多いですね。例えば東南アジアで言うとインドネシアやベトナム、フィリピン等での実施依頼があります。
タパ:国によっては、オンライン調査が主流ではない場合もあります。そのような場合は、調査員が設問文と選択肢の内容を読み上げ、回答者の代わりに回答内容を入力する手法をとることもあります。
東川:回収が困難な国にも対応しているのですね。続いて、アスマークならではのサービスを教えてください。
タパ:アスマークは自社パネルとして海外現地パネルを保有してないので、100%外注になりますが、実はその点にメリットがあると考えています。現在連携しているパネルパートナーは20社以上あり、その中からプロジェクト単位で綿密なサンプリングプランを練った上で、品質とコストのバランスを色々と考えてからパネルを選定・提案させていただいています。予算感やスケジュール感によって使用するパートナーが都度選べるので、パネル使用に制限がないところがアスマークならではのサービスだと思っています。
東川:パネルパートナーが20社以上あると、それぞれの会社の品質が気になりますが、その点はいかがですか?
タパ:パートナー会社との新規契約を結ぶ際、世界最大級のマーケティングリサーチ団体であるESOMAR(エソマ)が提供する「37 Questions」を活用しています。「37 Questions」は市場調査および市場研究のプロフェッショナル向けのガイダンス質問リストになるのですが、この質問の回答内容から、弊社が求めるサービス内容と一致しているのか、品質やセキュリティ面に問題がないか等を確認しています。同時に、会社概要、取引先、実績などを確認し、基準を満たす信頼性のあるパネルパートナーだけと契約を結んでいます。
フロン:実際のプロジェクトでの窓口担当者の対応や、回収結果に基づいて、定期的にパネルパートナーのスクリーニングを実施していますので、どのパネルを選んでも、品質の差異が生じないように心がけています。
東川:パネルの品質管理もしっかり対応されているのですね。ちなみにパネルは全て海外企業のパネルになりますか?
タパ:はい、全て海外企業のパネルです。アメリカに本社があり、その企業が世界各国にパネル会社を持っているっていうパターンが多いです。また、中国のパネル会社を使いたい時は、中国現地のパネル会社との連携もあります。 アメリカの大きなパネル会社と、各現地の小さなパネル会社と連携を持っているようなイメージになります。
東川:国内調査と違って海外調査ならではの注意点があると思いますが、その点教えてください。
フロン:設問ルールやセンシティブ設問等、本当に色々あります。例えばセンシティブ設問で言うと属性を聞くとき大抵の場合性別を聴取しますが、日本の場合男性か女性かの選択しかありません。それが日本では当たり前のことかと思いますが、海外の場合、男性や女性以外の性が存在しているので、必ず「その他」や「回答したくない」という選択肢を設けています。また、性別を答えた際に調査対象ではなくても、その場で対象外にせずスクリーニングの最後で対象外となるように設定しています。自分の性別によって、アンケートから外されたことを悟られないよう最新の注意を払っています。
東川:海外ではLGBTQに配慮する必要があるのですね。その他配慮している点はありますか?
タパ:そうですね。人種や宗教についてもセンシティブな内容になるので、配慮が非常に必要になってきますが、聞いてはいけないということは特にありません。必ず許諾画面で聴取する旨の同意を得たうえで、設問内でも「回答したくない」という選択肢を設けていただければ、ほとんどの国での聴取は可能です。ただし例外はありまして、サウジアラビア等の中東の国ですと、特に性別に関して男性や女性以外の性は国としてあまり認められていません。このような国に関しては、LGBTQに関する設問を設けること自体が難しかったりするので、お客様が調査を実施したい国ごとに都度確認して対応させていただいています。
東川:なるほど。国によって文化や考え方も様々ですもんね。
タパ:はい。文化で言うと宗教も全く違うので試食品があるものは慎重に進めなければいけません。例えばイスラム教を信仰している国では豚肉やお酒を口にすることを禁止されていることはご存知の方が多いかもしれませんが、原材料まで気にかけなくてはいけません。豚を使っただしやスープ、みりんを使った和食も当然NGです。
東川:日本では調査をする上で宗教を意識することはほとんどないのでとても勉強になります。先ほど出てきた設問ルールについても教えていただけますか?
フロン:海外で行う定量調査の場合、スクリーニング設問は基本的に本調査へ進まない方を対象外にするための設問なので、ここで沢山設問を設けてしまうとアンケートの離脱率が非常に高くなってしまいます。そのためスクリーニング設問は必ず10問以内に収めていただくというのがルールとしてあります。本調査に関しては、特に設問数の制限はありませんが、海外の場合回答時間が非常に重要になってきます。30分を超えるアンケートは適当な回答や、途中で回答を投げ出す回答者が非常に増えてくる目安の時間になるので、30分を超えない範囲で30問~40問ぐらいで納めていただくようお願いしています。
東川:なるほど。ここも国民性の違いですね。
フロン:日本人はとても真面目で辛抱強いところがありますから世界的に見てもアンケート回答の質はとても良いんですよ。
東川:日本人として誇れるところですね。運用面で気をつけていることは何ですか?
タパ:運用面で言うと、日本の企業と比較して、海外のパートナー企業からは手厚いサポートが受けられない傾向があります。日本では当たり前のことでも、海外の人にとっては当たり前ではないことは非常に多いので、細心の注意が必要です。具体的に言えば、日本のパートナー企業であれば、いくつかの重要なポイントを伝えれば、その他の詳細も理解して対応してくれますが、海外の場合はポイントのみしか対応してもらえません。
そのため、日本の企業にお願いする以上に海外の企業に対しては、お願いしたいことを徹底的に明確に伝える必要があります。そこは最新の注意を払って、具体的な要望を箇条書きにし、一つ一つリストにして分かりやすく伝えています。
東川:日本のパートナー会社以上に、密にコミュニケーションが必要になってくるのですね。
東川:では次に、お客様への対応で工夫されていることはありますか?
フロン:国内の調査と海外の調査ってルールが異なりますので、リスク回避のためにお客様へは必ず事前に海外調査のルールを伝えています。先ほどもお伝えしましたが、設問数には限りがある点や回答時間で費用が変わってくるところを事前にお伝えしています。また、日本国内の事情と海外の事情が異なる場合は、海外パートナー会社にもデスクリサーチなどを依頼して現状をお伝えすることもあります。
東川:国内外の事情が異なる点について、何か具体例などありますか?
フロン:直近で言うと、中学生・高校生に向けて調査をしたいという依頼があったのですが、日本の中高生が、現地の中高校生と同じ年齢なのか、そもそも中学生と高校生という区分があるのかといった教育制度の違いが問題となりました。このような情報を事前に調べてお伝えし、どちらの基準に合わせるべきかお客様と一緒に擦り合わせさせていただきました。
東川:ちなみに、その時はどちらの教育制度に合わせたのでしょうか?
フロン:日本の中高生の年齢に合わせて、学生の調査というよりは、この年齢に該当する方の調査という形でやらせていただきました。
東川:調査を成功に導くために工夫されていることはありますか?
タパ:工夫していることとしては、社内の実査部と連携して、毎日アンケートの回収状況を報告してもらいながら、回収数、回答時間、出現率の変化を常にチェックしています。お客様に提出した見積もりの費用内に収まっているかどうか、データの質は問題ないかを都度確認してから進めています。お客様からいただいた要望の伝えミスがないように、英語のニュアンスも日々工夫しながら、より多くの情報をパートナー会社さんに提供するようにしています。
東川:では最後になりますが、グローバルチームとして今後挑戦したいことがあれば教えてください。
タパ:高い目標にはなりますが、いつか海外拠点ができるよう海外での調査実績を増やしていきたいと思っています。今まで海外調査はオンラインが主流でしたが、コロナも緩和されてきて徐々にオフラインの調査も戻ってきています。実際、海外で定性調査を実施する場合は、海外出張に行くメンバーも徐々に増えてきたので、今後は海外出張もどんどん増やし、活気あるチームにしていきたいなと思っています。
東川:海外拠点ワクワクしますね!フロンさんはいかがですか?
フロン:今回このようなインタビューの場を設けていただいて、今までグローバルチームについてアピールしていく機会がほとんどなかったですし、お客様だけではなく社内のメンバーもグローバルチームのことをよく知らない方もいると思うので、今後もグローバルチームについて情報発信していきたいと思います。それにより、多くの案件を獲得していきたいです。
アスマークのグローバルチームは高い専門性と調査の品質向上に取り組んでいます。国内外の事情や異なる文化に対応しながら、お客様のニーズに応えるために日々努力し細心の注意を払って対応していると感じました。将来的には海外拠点を視野に入れつつ、海外調査の実績をさらに増やすことを目指していますので、今後も彼らに注目していきたいです。
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