2024.05.29
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公開日:2024.07.01
消費者パネルは、マーケティングリサーチにおいて継続調査や長期間の調査を行いたい企業にとって有益な存在となります。消費者の購買行動や嗜好、ライフスタイルなどを継続的に調査することで、商品開発やプロモーション、価格設定などに活かすことができます。
本記事では、消費者パネルの概要から、データの種類、メリット、成功事例まで幅広く解説していきます。
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消費者パネルについて理解を深めるために、まずはその概要と企業が必要とする理由について見ていきましょう。
消費者パネルとは、消費者を集めた組織(集団)となります。例えば、アスマークでは、Dstyle Webという会員組織を持っており、アンケートに答えていただけるアンケートパネルを運営しています。こういった消費者調査のためのアンケート会員の集団を消費者パネルと呼びます。
これらの特徴として、ポイントを利用している会員がアンケートに回答することでさらにポイントが貯まるプログラムを提供しており、このプログラムに参加する会員たちによる消費者パネルを形成しています。
企業にとって消費者パネルは、消費者の需要把握や事業計画の立案をするときに役に立つパネルだと言えるでしょう。
企業が消費者パネルを必要とする主な理由は以下の3つです。
こういった理由から、消費者パネルは、より広範で客観的な市場理解を可能にし、長期的な戦略立案や競争力の向上に貢献する重要な存在だと言えるでしょう。
消費者パネル調査は、特定のターゲット属性(性別や年齢など)でセグメント(区分)した集団を固定化し、その集団に対して継続的に調査する手法のことを指します。パネルを特定のターゲット属性で固定化することには、以下のようなメリットがあります。
長期的に変化を追跡できる同じ消費者グループを継続的に調査することで、時間の経過に伴う意識や行動の変化を正確に把握できます。
一貫性のあるデータ収集ができる固定されたパネルにより、調査結果の比較が容易になり、より信頼性の高いデータを得ることができます。
効率的な調査設計ができるパネルメンバーの基本情報が既知であるため、調査設計や実施が効率的に行えます。これらのメリットにより、以下のような聴取方法が実施しやすくなります。
固定化したパネルに対して、聴取する方法として主に以下があります。
アンケート調査定期的にWebアンケートを実施し、購買行動や満足度、ニーズなどを聞き取ります。
日記式調査パネラーに日記をつけてもらい、日々の購買行動や使用状況を記録してもらいます。
インタビュー調査対面またはオンラインでインタビューを行い、より詳細な意見や感想を聞き出します。
グループインタビュー複数の対象者を集めてグループディスカッションを行い、相互の意見交換から新たな気づきを得ます。
調査手法は、目的に応じて使い分けることが重要です。定量的なデータと定性的なデータをバランス良く収集することで、消費者理解を深めることができるでしょう。
消費者パネル調査を行う中で、アンケート調査やインタビュー調査を行い、収集したデータをパネルデータと言います。このデータには聴取方法によって、定量的なデータなのか、定性的なデータなのか違いがあります。また、そのデータから「市場の現状を把握する」という目的のために読み解くのか、「市場の動向を予測する」という目的のために読み解くかによって、導き出されることが異なります。
そして、データということだけを切り取ってみると、データには、主要な分類として、オープンデータ、外部購入データ、自社データの3つがあります。
ここでは、これらの主要なデータの種類ごとに、パネルデータがどこに分類されるか、など簡潔に解説します。
オープンデータとは、政府機関や公的機関が公開している無料で利用可能なデータのことを指します。消費者属性や市場動向に関する基礎的な情報を得るのに役立ちます。
オープンデータの種類
外部購入データは、専門の調査会社やデータ提供会社から購入するデータです。消費者の詳細な購買行動や意識調査結果など、高品質で専門的な情報を得ることができます。消費者パネルを活用したデータもこの分類に含まれます。
外部購入データの種類
自社データは、企業が独自に収集・蓄積しているデータです。顧客との直接的なやり取りから得られる情報であり、自社の特性や戦略に最も適した形で収集できる利点があります。
自社データの種類
それぞれのデータには、メリットとデメリットがあります。
データの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
オープンデータ | • 無料で利用可能 • 広範囲の基礎的情報を網羅 • 信頼性の高い公的機関のデータ |
• 更新頻度が低い場合がある • 詳細な消費者行動の把握は困難 • 独自の競争優位性を得にくい |
外部購入データ | • 高品質で専門的な情報を入手可能 • 広範囲かつ詳細なデータ分析が可能 • 業界標準との比較が容易 |
• コストがかかる • データの解釈に専門知識が必要 • 他社も同じデータにアクセス可能 |
自社データ | • 独自性が高く、競合と差別化可能 • リアルタイムでデータ収集・分析が可能 • 自社の戦略に最適化されたデータ収集 |
• データ量や範囲が限定的 • データ管理やセキュリティの負担 • 偏りが生じる可能性がある |
何か調査を行いたいことがあったときに、これらのデータの特徴を知っていると知っていないとでは、知っている方がより効果的な調査を行うことができます。
企業の目的や予算、必要とする情報の粒度に応じて、最適なデータ収集を行うことが求められます。
消費者パネル調査から得られるデータは、企業にとって非常に価値のある情報です。一方で、個人情報の保護や適切な管理は非常に重要な課題となります。ここでは、消費者パネルデータを安全に取り扱うためのポイントを解説します。
まず、データの収集から保管、活用に至るまでのプロセスを明確に定義し、社内で共有することが大切です。次に、個人情報の取り扱いに関する法律やガイドラインを遵守し、パネルメンバーの同意を得ることが求められます。さらに、データの暗号化やアクセス制限、定期的な監査など、技術的・物理的なセキュリティ対策を講じることも忘れてはいけません。適切な管理体制を整えることで、消費者の信頼を得ながら、安全にデータを活用することができるでしょう。
また、アスマークの自社パネルでは、厳格なパネルの品質管理をしております。パネルの回答品質を向上させるため、調査票を作成するユーザーインターフェースを強化したり、著しく矛盾した回答をするパネル・意図的に回収データの精度をゆがめる回答をするパネルへのアンケート配信の徹底などを行うことで、回答品質の持続的な改善を努めています。
アスマークの自社パネルについてはこちら>
消費者パネルは、企業のマーケティング戦略立案や意思決定に大きな価値をもたらします。その主な活用方法として、まず挙げられるのが調査対象者の精緻な絞り込みです。消費者パネルでは、詳細な属性情報を基に「20代の女性で、過去3ヶ月以内に化粧品を購入した人」といった具体的な条件で対象者を抽出できるため、ターゲットに即した精度の高い調査が可能となります。
また、パネルを特定のターゲット属性(性別や年齢など)で固定化することで、同じ対象者に対して長期間にわたる追跡調査が実施できます。これは単発調査(アドホック調査とも言います)では困難な、消費者の意識や行動の変化を時系列で把握することを可能にします。例えば、新製品の認知度や利用率の推移を正確に追跡できるといった利点があります。さらに、同じパネルメンバーに対して繰り返し調査を行うことで、消費者の行動や意識の変化をより深く理解できます。これはブランドロイヤルティの変化や購買決定要因の推移など、単発調査では捉えにくい洞察を得るのに有効です。
これらの方法により、消費者パネルは単発調査と比較して、より深い消費者理解と長期的な視点での市場分析を可能にします。企業は、これらの利点を活かして的確なマーケティング戦略の立案と効果的な意思決定を行うことができるのです。
国内外の企業の中には、消費者パネルを効果的に活用し、大きな成果を上げている例があります。ここでは、そのような成功事例を2つ紹介しましょう。
食品メーカーA社の場合
A社は、自社の主力商品であるスナック菓子のリニューアルを検討するため、消費者パネルを活用したパネル調査を選択しました。A社がこの方法を選んだ理由は、消費者パネルの長期的な追跡と詳細な属性情報に基づく分析が可能だったからです。
A社は、15歳から45歳までの男女を対象に、週1回の購買行動と月1回の詳細な嗜好調査を6ヶ月間実施しました。パネルは年齢、性別、居住地域によって固定化し、同じ回答者から継続的にデータを収集しました。調査では、スナック菓子の購入頻度、購入理由、味の好み、パッケージの印象などを聞き取りました。この継続的な調査により、A社は20代以下の若年層の購入頻度が徐々に低下していく傾向を把握することができました。
そこで、この層をターゲットに、新しい味やパッケージデザインを開発。発売後も同じパネルを使って追跡調査を行い、若年層の購入頻度が大幅に上昇したことを確認し、売上増加に成功しました。
化粧品ブランドB社の場合
B社は、自社の商品ラインナップを最適化するために、消費者パネルを対象とした継続的な調査を活用しました。B社が消費者パネルを選択した理由は、同一の消費者の購買行動を長期的に追跡でき、商品間の関係性を詳細に分析できるからでした。
B社は、25歳から55歳までの女性を対象に、3ヶ月ごとの購買行動調査と、月1回の商品使用感調査を1年間実施しました。パネルは年齢、肌質、購買頻度で固定化しました。調査では、購入した商品の種類、購入理由、使用頻度、満足度などを詳細に聞き取りました。この長期的な調査により、B社は同じカテゴリ内の商品間でカニバリゼーションが起きていることを発見しました。特に、新商品の発売が既存商品の売上を大きく減少させる傾向が明らかになりました。
そこで、商品ラインナップを整理し、各商品の特徴を明確にする戦略を実行しました。その後も同じ固定化したパネルに追跡調査を続け、カニバリゼーションの解消が確認、同時にブランド全体の売上が向上しました。
このように、消費者パネルを活用することで、継続的な調査の実現を可能とし、深い示唆が得られるデータを創出することができます。自社の状況に合わせて、消費者パネルを有効に活用していくことが重要です。
本記事では、消費者パネルの概要から、データの種類、活用方法、成功事例まで幅広く解説してきました。消費者パネルは、消費者を集めた組織(集団)です。継続調査・長期間の調査・調査対象者の絞り込みなどをスムーズに行いたい企業にとって有益な存在であり、適切に活用することで大きな成果を上げることができます。
消費者パネルの活用を通じて得られる知見を、自社のマーケティング戦略に活かしていく。その積み重ねが、ビジネスの成長と発展につながっていくでしょう。継続的な調査や長期的なトレンド分析が必要な企業の方々は、ぜひ消費者パネルを活用したリサーチを自社のマーケティングに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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在日外国人に向けた市場調査
アスマークが保有する在日外国人パネル「e-gaikokujin」の会員に対し、アンケート調査やインタビュー調査、試食調査などを実施できます。特長は以下となります。
● 国籍、年齢、性別、人数に限らず、様々な外国人モニターをご用意いたします
● 数百名規模の外国人調査も対応可能です
● グループインタビュー、デプスインタビュー、会場調査、WEB調査、ホームユーステスト、モニターツアーなど様々な形式で対応可能です
● 調査に伴う通訳、翻訳も承ります
● 10年以上にわたる外国人モニター/パネル提供実績がございます
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