2024.11.20
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ビジネスにおいて、顧客の声を収集し、そのニーズや実態を的確に把握することは、商品開発やサービス改善、そして顧客満足度向上のために、とても重要です。そのための有効……
公開日:2024.07.08
現代のビジネス環境は、様々な技術革新やニーズ多様化により、急速に変化しています。そのような環境下で、企業が競争力を維持するためには、市場動向を的確に把握することが大切です。市場分析は、企業が市場の現状や将来のトレンドを理解し、戦略的な意思決定を行うための重要な手段です。
この記事では、市場分析の基礎知識や主なフレームワーク、実施方法について解説します。
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市場分析とは、特定業界における市場の現状や将来の動向を把握し、その情報を基に自社の戦略を立案するためのプロセスを指します。市場の規模や成長性、顧客のニーズや購買行動、競合の状況などを分析することで、自社のビジネスが成功するための道筋を見つけることが目的です。
市場分析は、新規事業の立ち上げ、新製品の開発、既存事業の拡大など、あらゆるビジネスシーンで活用されます。業界や市場の変化をいち早く察知し、適切な対応策を実施することで、企業は競争優位性を保ち、持続的な成長を遂げることができます。
市場分析と市場調査は、どちらも市場を理解するための重要なプロセスです。しかし、その目的と範囲には明確な違いがあります。
市場調査は、特定業界における市場の現状データを収集するプロセスです。これは主に一次データ(アンケート、インタビュー、観察など)や二次データ(既存のレポート、統計データなど)を用いて行われます。つまり、市場調査の目的は、消費者ニーズや行動、競合他社の動向、製品やサービスの売れ行きなどから、「市場の現状」を把握することです。
「市場調査の方法、種類、進め方を解説」はこちら>
「市場調査とマーケティングリサーチの違いとは?調査の種類、目的の違いを解説」はこちら>
一方、市場分析は、市場調査で得られたデータを基に、データの解釈やトレンドの予測、競争環境の評価など、より広範な視点から「将来の動向」を分析します。その上で、企業が新規市場参入、製品開発方針、マーケティング戦略など戦略的な意思決定に役立つ洞察を得ることが、市場分析の目的です。
市場分析を行う上で明確化する必要がある情報は、主に以下の4点です。
市場規模とは、その業界における市場全体の大きさを表す指標で、年間の売上高、販売数量、顧客数などで測ることができます。市場規模を把握すれば、その市場にどれだけのビジネスチャンスがあるかを予測することが可能です。市場規模が大きいほどビジネスチャンスは広がりますが、その一方で競争も激しくなる可能性があります。
市場動向とは、特定業界の市場がどのような状況にあり、今後どのように変化していくのかを示すものです。市場動向は、技術革新、法規制、経済状況、社会トレンドなど、様々な要因によって変化します。企業が市場動向を把握できれば、市場変化に対応した中長期的な戦略の立案につながります。
顧客ニーズとは、顧客が商品やサービスに求める価値や要望です。顧客ニーズは、主にアンケート調査、インタビュー調査、グループディスカッションなどの方法で調査します。顧客ニーズを把握できれば、顧客に受け入れられる商品やサービスの開発につながります。
競合環境とは、特定業界の市場において、自社と競合他社がどのような関係になっているかを示す情報です。競合環境の分析は自社の強み・弱みを客観的に把握でき、競合との差別化戦略立案へとつながります。
市場分析は、企業が市場での競争力を維持し、成長を続けるための重要なプロセスです。企業は市場動向や顧客のニーズを的確に把握することで、効果的なマーケティング戦略を立案できるようになります。
ここでは、市場分析が持つ重要性と企業にもたらす具体的なメリットについて、3つの視点から解説します。
マーケティングとは、顧客のニーズやウォンツを理解し、顧客視点で商品やサービスを提供するビジネスの仕組みづくりです。企業は顧客が真に求めるものを理解し、それに応えたマーケティング施策を展開することで、企業は顧客満足度のアップや売上向上を図れます。
そのため、企業がマーケティング戦略を立案する際には、市場分析が欠かせない情報となります。市場分析によって、顧客のニーズやウォンツ、市場のトレンド、競合の状況などを把握できれば、顧客に対して効果的なプロモーション戦略を策定することができます。
いかなる企業であっても、使える資金や人員といった経営資源には限りがあります。限られた経営資源の中で最大の成果を上げるためには、マーケティング施策の効率を向上させることが大切です。
市場分析は、このマーケティング施策の効率化に大きく役立ちます。市場分析を通じて顧客のニーズや自社の強み・弱みを明らかにすれば、本当に効果的なマーケティング施策を見出せるからです。さらに、競合他社の戦略や市場ポジションを理解することで、自社の強みを活かし、競合他社との差別化を図る施策を打ち出せます。
このような取り組みによって、企業は経営資源を効率良く活用し、高いマーケティング効果を発揮できるようになります。
企業がビジネスを成功させるためには、正確な経営判断が必要です。市場の変化や顧客ニーズを的確に把握し、適切なタイミングで意思決定を行うことが、企業の成長につながります。
市場分析は、経営者が正確な判断を下すための重要な情報源です。市場の規模や成長性、顧客のニーズや購買行動、競合の状況などを分析することで、経営者は自社の置かれている状況を客観的に把握し、将来を見据えた戦略を立てることができます。
特に、技術革新やグローバル化が進み、市場環境が刻一刻と変化する現代ビジネスにおいては、いち早く市場動向を踏まえた経営判断が重要です。市場変化の対応に遅れると、競争力を失い、市場から取り残されてしまう可能性もあります。
市場分析から得られた情報は、このような状況下で、経営者が迅速かつ正確な判断を下すための強力な武器となります。経営者はこの情報を参考にすることで、新製品の開発、新規市場への参入、事業の撤退など、様々な経営判断を正確に行えるのです。
フレームワークとは、課題を解決したいときに便利な思考の枠組みのことです。そして、市場分析の主なフレームワークとは、代表的なもので3C分析や4P分析、SWOT分析、PEST分析、5F(ファイブフォース)分析の5つがあります。
市場分析は様々なフレームワークを活用することで、より体系的かつ効率的に情報を整理・分析することができます。
市場分析のフレームワークは、代表的な5つのフレームワーク以外にも数多く存在しますが、それぞれに得意とする分野や分析の視点があります。そのため、市場分析を行う際は、分析の目的に合わせて、適切なフレームワークを選択することが重要です。
ここでは、市場分析でよく用いられる代表的なフレームワークを5つ紹介します。
3C分析は、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素を分析することで、市場における自社の立ち位置や競争優位性を明確にするフレームワークです。それぞれの要素を深く掘り下げることで、市場の全体像を把握し、効果的な戦略立案につながります。
Customer(市場・顧客)は、外部要因です。顧客分析では、ターゲット市場の特性や顧客ニーズ、購買行動などを分析します。ターゲットとなる顧客を設定した上で、どのような価値を提供すべきかを明確にします。
Competitor(競合)は、外部要因です。競合分析では、主要な競合他社の戦略や市場ポジションを分析します。競合の強みや弱みを理解し、市場における新たなビジネスチャンスを見出します。
Company(自社)は、内部要因です。自社分析では、自社の強みや弱み、経営資源、ブランドイメージなどを分析します。自社の競争優位性を把握し、どのように市場で差別化を図るかを検討します。
3C分析は、新規事業の立ち上げや新製品の開発、既存事業の見直しなど、様々な場面で活用することが可能です。3つの要素を総合的に分析することで、市場における自社のポジションを明確にし、的確なマーケティング戦略の立案へとつなげられます。
4P分析とは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの要素から市場分析するフレームワークです。これらの要素を最適化することで、顧客に高い価値を提供でき、市場での競争優位性を確立できます。
商品やサービスの機能、品質、デザイン、ブランド、パッケージなどを分析します。顧客のニーズを満たして競合との差別化を図るためには、どのような商品やサービスを提供すべきかを検討します。
商品やサービスの価格設定を分析します。顧客が商品やサービスに求める価値、競合商品の価格、自社の利益などを考慮し、最適な価格設定を検討します。
商品やサービスを顧客に届けるための、流通経路を分析します。販売チャネル(店舗、オンラインストア、代理店など)、在庫管理、物流などを検討し、顧客が商品やサービスを入手しやすい体制を構築します。
商品やサービスの販売促進活動を分析します。広告、広報、販売促進、SNSマーケティングなどの様々なプロモーション手法を検討することで、最も効果的な手法を選択できます。
これら4つの要素を相互に関連付けながら分析することで、顧客に価値を提供し、売上を最大化するための最適なマーケティングミックスを導き出すことが可能です。
SWOT分析は、自社の外部環境と内部環境を自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素を洗い出し、分析するフレームワークです。この分析によって、企業は自社の現状を把握し、今後の戦略策定に役立てることができます。
Strengths(強み)は、内部環境の要素であり、プラスな要素です。競合他社と比較して優れている点、自社独自の技術やノウハウ、高い顧客満足度、強力なブランドイメージなど、自社の強みを明確にします。
Weaknesses(弱み)は、内部環境の要素であり、マイナスな要素です。競合他社と比較して劣っている点、経営資源不足、知名度の低さ、商品やサービスの品質など、自社の弱みを把握します。
Opportunities(機会)は、外部環境の要素であり、プラスな要素です。市場の成長、追い風となる技術革新、競合他社の撤退、法規制の緩和など、自社にとって有利に働く可能性のある外部環境の変化を分析します。
Threats(脅威)は、外部環境の要素であり、マイナスな要素です。市場の縮小、競合他社の参入、逆風となる技術の登場、法規制の強化など、自社にとって不利に働く可能性のある外部環境の変化を分析します。
SWOT分析は、それぞれの要素を関連付けて分析することが重要です。例えば、「自社の強み」と「市場の機会」を組み合わせれば、新たなビジネスチャンスを見出すことができます。また、「自社の弱み」と「市場の脅威」を組み合わせると、リスク回避策を検討できます。
PEST分析は、マクロ環境における政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの要素から、市場に影響を与える外部要因を把握するためのフレームワークです。これらの要素を分析することで、市場の現状把握や将来予測を行えます。
政府の政策、法律、規制、政治体制、国際関係など、政治的な要素が市場にどのような影響を与えるかを分析します。政治的な安定性や法規制の変化は、企業のビジネス環境に大きな影響を与えるため、注視が必要です。
経済成長率、インフレ率、金利、為替レート、失業率など、経済的な要素が市場に与える影響を分析します。経済環境の変化は、消費者の購買力や企業のコスト構造に大きな影響を与えます。
人口動態、ライフスタイル、価値観、文化、教育レベルなど、社会的な要素が市場にどのような影響を与えるかを分析します。社会的なトレンドや消費者の価値観の変化は、商品やサービスの需要に影響を与えます。
技術革新、技術の普及、研究開発投資など、技術的な要素が市場にどのような影響を与えるかを分析します。技術の進歩は、新しいビジネスチャンスを生み出す一方で、既存のビジネスモデルを脅かす可能性もあります。
PEST分析は、市場環境を包括的に理解し、将来のリスクやチャンスを予測するために有効なフレームワークです。企業は市場の変化を先読みし、適切な戦略を実施することで、競争優位性を保つことができます。
5F分析は、業界の収益性や魅力度を測るために、5つの競争要因を分析するフレームワークです。この分析を行うことで、業界全体の競争状況を把握し、自社の戦略立案に役立てられます。
業界内の競合企業の数や規模、商品やサービスの差別化、価格競争の激しさなどを分析します。競争が激しいほど、業界の収益性は低下する傾向にあります。
新しい競合他社が市場に参入する可能性などを分析します。参入障壁が低いほど、新規参入企業が増え、業界の競争が激化しやすくなります。
自社商品やサービスの代替品や、その価格・性能などを分析します。代替品が多い市場では、価格競争が激化し、企業の利益率が低下するリスクがあります。
顧客の数や規模、価格感度、切り替えコストなどを分析します。買い手の交渉力が強い市場では、価格引き下げやサービス向上のプレッシャーを受ける可能性が高まります。
サプライヤーや卸業者の数、規模、商品やサービスの希少性、切り替えコストなどを分析します。売り手の交渉力が強い場合、コスト上昇や供給不安定のリスクに直面する可能性があります。
5F分析は、自社が属する業界の競争構造を理解し、競争優位性を築くための戦略を立案する上で非常に有効なフレームワークです。
市場分析は、その目的や予算に応じて、様々な方法で実施することが可能です。しかし、効果的な市場分析を実施するには、適切な方法と手順を理解することが重要です。
ここでは、市場分析を自社で実施する方法と、データ収集の手法について解説します。
自社で市場分析を実施することには多くのメリットがあります。最大のメリットは、自社のニーズや目標に合わせてカスタマイズした分析を実施できることです。また、市場分析に関する社内ノウハウの構築にもつながります。
自社で市場分析を実施する際のステップは以下の通りです。
ステップ | 説明 |
---|---|
①目的の明確化 | 「なぜ市場分析を行うのか」、「何を明らかにしたいのか」を明確にします。 |
②分析対象の絞り込み | 分析対象とする市場や顧客層を明確にします。 |
③情報収集 | 一次データ(アンケート、インタビューなど)や二次データ(既存のレポート、統計データなど)から情報を収集します。 |
④情報分析 | 収集した情報を分析し、市場の現状や将来予測、顧客ニーズ、競合の状況などを明らかにします。分析の際には、適切なフレームワークをいくつか組み合わせて、多面的に検討します。 |
⑤戦略立案 | 分析結果を踏まえ、自社の強み・弱みを活かした具体的な戦略を立案します。 |
自社で市場分析を実施する際の大事な注意点は、データの信頼性と正確性を確保することです。偏りのあるデータや不十分な情報に基づいた分析は、誤った結論を導く可能性があります。
また、自社だけでの実施に限界がある場合は、必要に応じて外部専門家に協力依頼することも重要です。さらに、市場は常に変化しているため、継続的なデータ収集を行い、分析結果を定期的に見直すことが大切です。
市場分析に必要なデータは、大きく一次データと二次データに分けられます。それぞれの特徴を理解し、目的に合ったデータ収集を行うことが大切です。
一次データとは、市場分析のために新たに収集するデータです。
一次データの収集手法 | 説明 |
---|---|
アンケート調査 | 大規模なサンプルからデータを収集するために用いられます。オンラインや郵送、対面で実施されることが多いです。 |
インタビュー調査 | 深掘りした情報を得るために、対象者と直接対話を行います。個別インタビューやグループインタビューが一般的です。 |
観察 | 対象者の行動を直接観察し、データを収集します。店舗での顧客行動観察などがあります。 |
実験 | 特定の条件下で実験を行い、結果を分析します。新製品の試用テストなどがあります。 |
二次データとは、既に他の目的で収集されたデータです。
二次データの収集手法 | 説明 |
---|---|
公的統計データ | 政府や公的機関が提供する統計データを利用します。人口統計や経済指標などが含まれます。 |
業界レポート | 市場調査会社や業界団体が発行するレポートを利用します。市場規模やトレンドに関する情報が得られます。 |
学術論文 | 学術雑誌や研究機関が発表する論文を参考にします。最新の研究成果や理論的な知見が得られます。 |
企業の公開情報 | 企業の年次報告書やプレスリリースなど、公開されている情報を利用します。 |
一次データは、自社の目的に合った情報を収集できる一方、時間や費用がかかるというデメリットがあります。二次データは、手軽に入手できる反面、情報が古かったり、自社の目的に合致しなかったりすることもあります。両者をうまく組み合わせることで、効率的かつ効果的なデータ収集を行えます。
ここまで、市場分析のフレームワークやメリット、実施方法について解説しました。
現代は、技術革新やグローバル化が進み、市場の変化が激しい時代です。このような時代においては、迅速かつ的確な意思決定が、ビジネスの命運を分ける場合があります。そのためにも、市場分析から的確な情報を得ることは、企業にとって重要な施策と言えます。
ぜひ、この記事で紹介した内容を参考に、自社にとって最適な市場分析を行い、ビジネスを成功へと導いていきましょう。
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市場調査を成功させるために:基本理論と実践的アプローチ
市場調査は、企業が市場において競争力を持つためにとても重要な活動です。市場調査によって、競合他社との差別化や顧客満足度の向上など、事業成長につながる戦略を立てられます。しかし、的確な市場調査を行うためには、調査目的の設定や調査手法について、しっかりと理解することが大切です。
この記事では、市場調査を成功させるために、必要な基本理論と実践的アプローチについて解説します。
> 詳しく見る
初めてのアンケート調査
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一方、調査票を用いないインタビュー形式の調査は定性調査と呼ばれ、言葉や情報をアウトプットとし、アイデア出しやテーマの深掘りの際に用いられます。これらはアンケート調査に含まないことが一般的です。アンケート調査は数的データとして結果を出すことが出来るため、客観的な裏付けやエビデンスとしても活用することができます。街頭調査や郵送調査などオフラインで実施する方法に加え、インターネットを利用したオンラインアンケートの実施も増加しています。調査手法によってそれぞれ特徴があるので、目的に応じて使い分けることが重要です。
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