
2025.02.25
シニア層とは?シニア層への調査の注意点や理解を深めるステップを紹介
現在、日本では少子高齢化が進んでおり、いわゆる「シニア層」はボリューム層(ボリュームゾーン)と言われ、企業のマーケティング担当者から注目を集めています。そういっ……
公開日:2024.07.16
現代のビジネス環境は、日々めまぐるしく変化しています。このような環境下で企業が持続的に成長していくためには、市場や顧客の動きを常に把握し、それに基づいて柔軟かつ効果的な戦略を立てることが大切です。そこで重要な役割を果たすのが「マーケティングリサーチ」です。
マーケティングリサーチは、顧客のニーズや市場の変化を的確にとらえ、企業の意思決定を支えるプロセスです。
この記事では、マーケティングリサーチの基本的な考え方から、そのメリットや具体的な調査手法、実施のステップなどについて解説します。
マーケティングリサーチとは、企業が商品やサービスを提供するにあたって、消費者や市場に関する情報を収集・分析し、意思決定に活用するプロセスのことです。具体的には、市場規模や競合状況、消費者のニーズや購買行動、商品・サービスに対する評価などを調査・分析し、マーケティング戦略や経営戦略の立案に役立てます。
現代では、顧客ニーズが多様化しており、企業には常に「顧客視点」での戦略立案が求められています。そのため、専門的な知識に基づいたマーケティングリサーチを通じて、顧客のニーズをとらえる重要性は、ますます高まっている状況です。
また、マーケティングリサーチの主な目的は、大きく次の3つに集約されます。
現状把握:市場全体の動向や、自社の商品・サービスの位置づけ、競合他社の状況、顧客のニーズや購買行動などを把握します。
課題の発見:現状分析で得られた情報をもとに、自社のマーケティング活動における課題を明確にします。
仮説の検証:事前に立てた「○○すれば□□が起きる」といった仮説が実際に正しいかどうかを、調査結果をもとに検証し、マーケティング戦略の有効性を判断します。
これらの目的を達成するために、マーケティングリサーチでは多様な調査手法を用いて情報を収集します。適切な調査手法によって計画的に調査を進めれば、市場環境や顧客ニーズに合った商品やサービスの提供が可能になり、企業は競争優位性を確立できます。
マーケティングリサーチによって顧客ニーズや市場の動向を的確に把握できれば、企業は様々なメリットを得られます。
まず挙げられるメリットは、「顧客ニーズの深い理解」です。マーケティングリサーチでは、多様化する顧客ニーズや潜在ニーズをデータに基づいて把握することで、顧客が本当に求めている商品やサービスを提供できるようになります。その結果、顧客満足度やロイヤルティが向上し、顧客との長期的な関係を構築できます。
次に挙げられるのは「リスクの低減」です。新商品・新サービスの開発や新規市場への参入には、常に一定のリスクが伴います。しかし、事前にマーケティングリサーチを行えば、市場ニーズや競合状況を把握でき、より的確な意思決定が可能になります。これにより、無駄な投資を避け、成功の確率を高めることが可能です。
さらに、「競争優位性の確立」にも大きく貢献します。競合他社の動きや市場環境の変化を把握できれば、自社の強みや弱みを客観的に評価できます。その分析結果をもとに、他社と差別化した商品開発や効果的なマーケティング戦略を実施できれば、競争における優位性を築くことが可能です。
加えて、「マーケティング施策の最適化」も期待できます。広告効果の測定や顧客の購買行動分析を通じて施策の効果を最大化することで、費用対効果の高いマーケティング活動を実現し、売上の向上につなげられます。
マーケティングリサーチは、企業の様々な意思決定を支援するために活用されます。具体的な活用シーンとしては、以下のものが挙げられます。
活用シーン | 内容 |
---|---|
新商品・サービス開発 | 顧客ニーズや市場トレンドを把握し、新商品やサービスのコンセプト設計、ターゲット層の特定、価格設定、パッケージデザインなどに活用します。市場性を事前に検証することで、開発リスクを低減し、成功の可能性を高めます。 |
既存商品・サービスの改善 | 顧客満足度調査や競合商品との比較分析を通じて、既存商品やサービスの課題を特定し、改善策を検討します。顧客の不満点や改善要望を把握することで、商品・サービスの品質向上や顧客ロイヤルティの向上につなげます。 |
マーケティング戦略の立案・実行 | 市場のセグメント分析、ターゲット市場の選定、プロモーション戦略の立案、広告効果測定などに活用します。顧客の購買行動や情報収集チャネルを把握することで、より効果的なマーケティング戦略を実行できるようになります。 |
顧客満足度向上 | 顧客満足度調査や顧客からのフィードバックなどから、顧客のニーズや不満点を把握し、顧客サービスの改善や顧客関係の強化に活用します。顧客との長期的な関係構築を支援し、リピート率向上や顧客ロイヤルティ向上に役立てます。 |
新規市場への参入 | 新規市場の規模、競合状況、顧客ニーズなどを調査し、参入戦略の立案に活用します。市場の潜在的な機会やリスクを評価することで、参入の意思決定を支援し、成功の可能性を高めます。 |
「マーケティングリサーチ」と「市場調査」は、しばしば混同されますが、厳密には異なる概念です。市場調査が「数値やデータで市場の現状を把握すること」に重点を置くのに対し、マーケティングリサーチはそこから「未来の市場動向を予測し考察すること」までを含んでおり、より広範な概念と言えます。
ただし、「マーケティングリサーチ」の日本語訳が「市場調査」であるため、日本国内では両者を同義とする傾向も強く、明確な区分は必ずしも定まっていません。マーケティングプロセスにおける各段階で見ていくと、初期段階では現状把握の必要性が高いため市場調査の側面が強く、中期から後期にかけては新製品や新サービスの将来性を予測する必要があるため、マーケティングリサーチの意味合いが強くなると言えます。
マーケティングリサーチは、その継続性によって大きく2つに分類できます。一つは、同じ対象者に対して定期的に行う「パネル調査」であり、もう一つは、特定の調査目的のために一回だけ行う「アドホック調査」です。
また、アドホック調査は、調査のアプローチによって「定量調査」と「定性調査」の2つに分けられます。定量調査は、数値データを収集し統計的に分析することで、客観的な市場の全体像や傾向を把握するのに適した調査方法です。一方、定性調査は、顧客の意見や感情、行動の背景にある動機などを深く理解するための調査方法です。
ここでは、これらの多様なマーケティングリサーチの手法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
パネル調査は、特定の調査対象者(パネル)に対して、定期的かつ継続的に行う調査を指します。同じ対象者から繰り返しデータを収集するため、時間の経過に伴う変化や傾向を把握するのに適しています。言い換えますと、時系列でのデータ分析や、特定の属性を持つ層の行動パターンを詳細に把握するのに優れています。
一方、アドホック調査は、特定の目的のために一度限りで実施される調査です。「アドホック(ad hoc)」は「その場限りの」「特定目的のための」という意味を持ち、特定の課題や疑問を解決するために実施されます。この調査は、新商品やサービスの市場性調査、広告キャンペーンの効果測定など、ピンポイントで情報を得たい場合に効果的です。短期間で必要な情報を収集し、迅速に意思決定を行いたいときに役立ちます。
このように、パネル調査とアドホック調査はそれぞれ異なる特性を持っており、調査の目的や必要とする情報の性質に応じて、適切に使い分けることが重要です。長期的なトレンドの分析にはパネル調査が、特定の課題に対する迅速な情報収集にはアドホック調査が効果的です。
アドホック調査は、収集するデータの性質によって「定量調査」と「定性調査」の2つに分けられると前述しました。
その定量調査は、大規模なサンプルから客観的なデータを収集し、統計的な分析によって傾向やパターンを明らかにすることに優れています。代表的な手法は、ネットリサーチや郵送調査、会場調査などが挙げられます。これらの手法は、効率的に大量のデータを収集できるため、市場の全体像を把握したり、特定の仮説を検証したりするのに適しています。
一方、定性調査は、少数のサンプルから詳細な情報を収集し、顧客の心理や行動の背景を深く理解することに重点を置きます。グループインタビューやデプスインタビュー、エスノグラフィ調査などが代表的な手法です。これらの手法は、顧客の潜在的なニーズやインサイトを発掘し、新たなアイデアや仮説を創出するのに適しています。
ここでは、これらの定量調査と定性調査の代表的な調査手法について解説します。
ネットリサーチ(WEBアンケート、インターネット調査)
ネットリサーチは、インターネットを活用して行うアンケート調査です。従来の調査手法と比べて時間やコストを大幅に削減できる点が特徴で、現在では定量調査の主流となっています。
この調査手法ではウェブサイトやメールを通じてアンケートを配信し、回答はオンライン上で収集でき、自動集計機能によるリアルタイム分析もできます。また、幅広い対象者に対して効率よくアプローチできる一方で、インターネット利用者に偏ったサンプルとなる点には注意が必要となります。
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郵送調査
郵送調査は、調査票を郵送し、回答者が記入後に返送する調査手法です。インターネット環境に左右されず、広範囲の対象者から回答を得られる点が特徴です。特に高齢者層やインターネット利用が難しい層への調査に適しています。また、時間をかけて回答できるため、慎重な検討が必要な質問や、複雑な質問にも対応できます。ただし、回収率が低くなる傾向があり、時間とコストがネットリサーチよりもかかるというデメリットがあります。
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訪問調査
訪問調査は、調査員が対象者の自宅や職場などを訪問し、直接インタビューやアンケートを行う調査手法です。対象者の生活環境や行動を観察しながら情報を収集できるため、より深くリアルなデータを取得できます。特に、商品やサービスの利用状況、生活習慣、価値観などを把握したい場合に効果的で、言葉だけでは伝わらない感情やニュアンスも把握することが可能です。ただし、時間とコストがかかり、対象者の協力も必要となるため、実施には綿密な計画が求められます。
会場調査(CLT)
会場調査(CLT:Central Location Test)は、調査対象者を特定の会場に集め、商品やサービスを実際に体験してもらい、その場で評価を収集する調査手法です。調査員が直接対応するため、詳細な観察や質問が可能であり、回答の質を高めるとともに、競合商品との比較も簡単に行えます。そのため、試飲・試食、試用、パッケージ評価など、実際に商品に触れてもらう必要がある場合や新商品のコンセプト評価、機密性の高い商品調査に効果的です。ただし、会場設営や対象者募集にコストと時間がかかる点がデメリットと言えます。
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ホームユーステスト(HUT)
ホームユーステスト(HUT:Home Use Test)は、新商品などを対象者の自宅に届け、一定期間実際に使用してもらったうえで、その評価や感想を収集する調査手法です。実際の使用環境で得られた評価をもとに、商品の実用性や課題点をより具体的に把握できるため、試飲・試食、日用品、家電製品など、様々な商品に活用されています。この調査手法は、会場で行う調査とは異なり、時間の経過による商品の変化や、日常生活におけるリアルな使用感を捉えられる点が大きな強みです。一方で、調査期間が比較的長くなる傾向があり、対象者の選定や商品の発送などに手間やコストがかかる点には留意が必要です。
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ミステリーショッパー(覆面調査)
ミステリーショッパー(覆面調査)は、調査員が一般の顧客を装って店舗やサービスを利用し、接客態度や商品・サービスの品質を評価する調査手法です。実際の顧客の立場から利用体験を観察することで、店舗の強みや課題を客観的に把握できるのが大きな特徴です。調査では、接客マニュアルが適切に守られているか、従業員の対応スキル、店舗の清潔さなど、あらかじめ設定された評価項目に基づき、具体的かつ詳細なフィードバックを得られます。主に小売業、飲食業、サービス業などで活用されており、顧客満足度の向上やサービス品質の改善に役立てられています。
グループインタビュー(FGI)
グループインタビュー(FGI:Focus Group Interview)は、特定のテーマについて4~6人程度の参加者を集め、モデレーター(司会者)の進行のもとで自由に意見を交換してもらう調査手法です。参加者同士のやり取りや相互作用を通じて、多様な意見やアイデアを引き出すことができます。この手法は、新商品やサービスのコンセプト開発、広告やプロモーションの企画立案など、アイデア創出や深層心理の把握に効果的です。ただし、参加者の発言が特定の意見に偏ったり、集団心理によって自由な発言が抑制されたりする可能性もあるため、モデレーターのファシリテーションスキルが調査の成否を大きく左右します。
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デプスインタビュー(IDI)
デプスインタビュー(IDI:In-Depth Interview)は、調査員が対象者と1対1で行うインタビュー形式で、特定のテーマについて深く掘り下げながら話を伺っていく調査手法です。この手法では、対象者の個人的な意見や感情、行動の背景にある動機などを詳しく把握できます。グループインタビューとは異なり、他の人の意見に影響されることがないため、対象者自身の本音や体験をじっくりと引き出すことが可能です。新商品やサービスのコンセプト開発、ブランドイメージの理解、顧客満足度の把握など、個人の心理や行動を深く理解したい場面で特に効果的です。ただし、1対1での実施となるため、時間とコストがかかる上、高度なインタビュー技術が必要とされる点には注意が必要です。
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オンラインインタビュー
オンラインインタビューは、インターネットを通じてリアルタイムで行うインタビュー調査です。ビデオ通話ツールなどを活用し、対面に近い形式で対象者の意見や情報を収集できます。この手法は、地理的な制約を受けにくく、遠方に住んでいる人や外出が難しい人にも調査を実施できます。また、移動時間や会場費などのコストを抑えられるため、効率的な調査運営が可能です。
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日記調査
日記調査は、対象者に一定期間、日々の行動や感情、商品・サービスの利用状況などを日記形式で記録してもらう調査手法です。長期にわたる詳細なデータを収集できるため、時間経過に伴う変化や、特定の行動パターンを把握するのに適しています。また、対象者の主観的な体験や感情の変化を捉えやすく、商品・サービスの改善や新たなアイデアの創出に役立ちます。ただし、対象者の負担が大きく、データの分析にも時間と手間がかかるため、調査設計には注意が必要です。
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エスノグラフィ調査
エスノグラフィ調査は、対象者の生活環境に実際に入り込み、日常の行動や文化を観察・記録する調査手法です。対象者が普段どおりの生活を送る中で、無意識に行っている行動や発言、価値観などを深く理解することを目的としています。この手法では、アンケートやインタビューだけではとらえきれない、潜在的なニーズやインサイトを発見できる点が大きな特徴です。商品やサービスの企画・開発、マーケティング戦略の立案など、より深い顧客理解が求められる場面で活用されています。ただし、調査には時間と専門的な知識・スキルとともに、対象者のプライバシーを尊重するなどの倫理的な配慮が必要です。
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マーケティングリサーチにおいて、効果的なリサーチを実施するためには、体系的な手順を踏む必要があります。
ここでは、マーケティングリサーチの流れについて解説します。
データ分析について、詳しく説明をしていきます。データ分析は、収集したデータから有益な情報を見出し、意思決定に役立てるための段階です。
まずは、収集したデータの整理とクリーニングを行います。これにより、欠損値や異常値を取り除き、分析の精度を高めます。その上で、データを集計し、そこからパターンや傾向を把握します。その際、グラフやチャートを用いると、分析しやすくなります。
定量データの場合は、統計的手法を用いて分析を行うことも可能です。平均値や中央値、標準偏差などの基本的な統計量を計算し、データの分布や相関関係を明らかにできます。また、回帰分析や因子分析などの高度な手法を用いることで、より深い洞察を得ることが可能です。
一方、定性データの場合は、内容分析やテーマ分析を行います。デプスインタビューやグループインタビューの記録を詳細に分析し、共通のテーマやパターンを抽出します。これにより、顧客の意見や感情、行動の背景を深く理解することができます。
これらの分析結果に基づいて、意思決定の参考となる情報や洞察を、報告書やプレゼンテーションにまとめます。
調査結果の活用方法についても詳しく解説していきます。
まずは、調査結果を関係者に共有し、理解を深めるとともに共通認識を形成することが必要です。分かりやすい報告書やプレゼンテーションによって、データの要点や重要な洞察を明確に伝えます。
次に、調査結果を基にした戦略の立案を行います。例えば、新商品の開発や既存製品の改良、マーケティングキャンペーンの設計など、具体的なアクションプランを策定します。この際、調査結果に基づいて策定することで、施策の信頼性と効果を高めることができます。
さらに、調査結果を継続的にモニタリングし、施策の効果を評価します。定期的な確認を行い、必要に応じて戦略を修正・改善することで、ビジネス成果の最大化を図ります。また、調査結果や施策効果などを社内ノウハウとして蓄積することで、次回以降のマーケティングリサーチに活用することも重要です。
このようなプロセスを通じて、マーケティングリサーチを最大限に活用することで、企業の競争力を向上させることができます。
マーケティングリサーチの効果を最大限に引き出すには、以下のポイントを押さえることが大切です。
ポイント | 内容 |
---|---|
仮説設定 | 調査計画を立案する際には、具体的な仮説を複数設定することが重要です。これにより、データ収集と分析の方向性が明確になり、効率的な調査が可能になります。 |
調査手法の組み合わせ | 調査の進行状況や目的に合わせて、適切な調査手法を組み合わせると効果的です。例えば、ネットリサーチとグループインタビューを組み合わせれば、多角的な視点からデータを収集し、より深い洞察を得られます。 |
信頼性の高いデータ収集 | 信頼性の高いデータを収集するためには、偏りの少ない調査対象者を選定することが大切です。そのためには、信頼性の高い調査会社への協力依頼や、調査協力者へのインセンティブを工夫することで、質の高い回答を得やすくなります。 |
専門的な分析 | 収集したデータを適切に分析し、価値ある情報や洞察を引き出すためには、専門的な知識やスキルが求められます。回帰分析やデータマイニングなどの専門家から協力を得ることで、データの潜在的な価値を最大限に引き出せます。 |
結果の共有と活用 | 調査結果は、関係者間で共有し、具体的なアクションプランに落とし込むことが重要です。また、調査結果を継続的にモニタリングし、PDCAサイクルによって改善していくことで、精度や効果を高めることが大切です。 |
ここで一つ、マーケティングリサーチを活用した食品メーカーの事例を紹介します。
食品メーカーA社は、既存商品の売上不振と市場環境の激変を受け、新たな収益源として訪日外国人観光客をターゲットにした新商品開発を決定しました。試行錯誤の末、試作品Bのコンセプトがまとまりましたが、その市場性に不安(使用者の期待するイメージや使用条件に試作品Bが合っているか不安)を感じた社長は、本格的な開発前にマーケティングリサーチを実施することにしました。
リサーチの目的は、試作品Bのコンセプトが訪日外国人観光客にとって魅力的かどうかを定量的に把握し、開発の是非を判断することです。11月からの試作品製造開始を目標に、10月に会場調査(CLT)を実施しました。ターゲットは、国籍、性別、年齢を問わない訪日外国人観光客です。直接試作品Bを見ていただきながらインタビューを行い、試作品Bのコンセプトに対する評価や購買意欲を10~15問程度の質問で収集しました。調査の実施にあたっては、5W1H(いつ、どこで、誰に、何を、どのように、どのくらい)を詳細に設定し、具体的な項目を決定しました。例えば、調査対象者への謝礼の有無、商品コンセプトの提示方法、見た目に関する設問内容の決定、調査場所の選定、目標サンプル数の設定、訪日外国人と在日外国人の区別基準などです。このように詳細な調査計画を立案することで、効率的かつ精度の高いデータ収集と分析が可能になります。
この調査の結果から、試作品Bに対して訪日外国人観光客が「購入したいと思うか/思わないか」、「金額が高いか/高くないか」などの受容性を数値化することができ、開発の是非を判断することができました。
この事例から、マーケティングリサーチは新商品開発におけるリスクを低減し、成功の可能性を高めるために重要なプロセスであることが分かります。ターゲット顧客のニーズや反応を事前に把握することで、企業はより確実な意思決定を行えるようになります。
この記事では、マーケティングリサーチの概要から具体的な手法、実施の流れ、そして成功させるためのポイントまで、幅広く解説しました。
マーケティングリサーチは、多様化した市場環境や顧客ニーズを的確に把握するための重要な情報収集プロセスです。企業が顧客視点に基づいたマーケティング戦略を実行することで、競争優位性を確立し、持続的な成長を実現できます。
この記事で解説した内容を参考に、マーケティングリサーチを効果的に活用し、変化し続ける市場で競争優位性を確立し、ビジネスの継続的な成長を目指しましょう。
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