2024.09.19
KJ法とは?メリットやデメリット、やり方・手順を簡単解説
新しいアイデアを生み出したり、複雑な問題を解決したりする時、どのようにすれば良いのか迷ってしまうことはありませんか?そんな時に役立つのが、KJ法です。KJ法は、……
公開日:2024.08.01
商品やサービスを開発・改善する上で、顧客ニーズを的確に把握する市場調査は、とても重要なステップです。しかし、市場調査から信頼度の高い分析結果を得るには、適切に調査対象者を絞り込む必要があります。そこでカギとなるのが「スクリーニング調査」です。
スクリーニング調査は、本調査を行う前に、適切な調査対象者を絞り込むための事前調査です。この調査を実施することで、本調査の効率化や精度向上を図ることができます。
この記事では、スクリーニング調査の概要に加え、具体的な手法やメリット・デメリット、注意点までを詳しく解説します。
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スクリーニング調査は、特定の条件を満たす対象者を選び出すための重要な調査過程のひとつです。市場調査の現場では、より正確なデータ収集が求められており、そのための手段としてスクリーニング調査が広く活用されています。
スクリーニング調査とは、本調査に先立って適切な調査対象者を効率的に選定するための事前調査です。英語の「screening(選別する)」という言葉が示すように、市場全体の母集団から、特定の条件に合致する対象者を抽出します。
具体的には、年齢や性別、居住地、職業、趣味、興味関心、過去の購買履歴、商品・サービスの利用状況など、様々な属性や条件を設定し、それに該当する人々を絞り込んでいきます。
スクリーニング調査の目的は、主に以下の3つに集約されます。
スクリーニング調査によって、調査対象者を適切に絞り込むことで、本調査で得られるデータの質を高めることができます。ターゲット層に合致しない回答者のデータが混ざることを防ぎ、より精度の高い分析結果を得ることが可能です。
無作為に調査対象者を選定すると、ターゲット層に該当しない人々にも調査を実施することになり、多大なコストを費やす可能性があります。スクリーニング調査によって対象者を絞り込むことで、調査コストを削減できます。
スクリーニング調査によって、あらかじめ調査対象者を絞り込んでおくことで、本調査の対象者リストをスムーズに作成できます。これにより、調査期間を短縮し、迅速な意思決定に繋げることができます。
スクリーニング調査は、適切な対象者を選定するために、様々な調査で用いられます。ここでは、代表的な調査手法であるインターネット調査を中心に、その具体的な実施例について解説します。
インターネット調査とは、Webサイトやアンケートツールなどを活用してオンライン上で実施する市場調査です。この調査におけるスクリーニング調査は、オンラインアンケートやパネル調査を通じて実施されます。
多くの場合、スクリーニング調査の対象となるのは、調査会社が保有するモニターです。調査会社に登録されている年齢や性別などの基本的属性を元にスクリーニング調査対象者を選定します。その上で、対象者に消費行動や興味関心に関するアンケートを行うことで、精度の高いスクリーニングが可能となります。
例えば、スキンケア商品メーカーが、20代女性向けの顧客ニーズ把握にあたり、スクリーニング調査を実施するケースを考えてみましょう。
最初に、調査会社の登録情報を元として20代女性の対象者を選定します。その上で、対象者に対して、Webアンケートによって肌質や普段のスキンケア習慣、使用している商品や商品の購入場所などをスクリーニング調査(質問)します。
その回答結果から、20代女性で乾燥肌に悩む人を、本調査の対象者として絞り込むことが可能です。
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スクリーニング調査は、電話調査や郵送調査、街頭調査などでも実施する場合があります。ただし、これらのケースでは相応の時間とコストを要するため、実施に際しては慎重な検討が必要です。
スクリーニング調査は本調査の質を高めるとともに、効率化を図るための有効な手段です。その一方で、スクリーニング調査にはいくつかのデメリットも存在します。
ここでは、スクリーニング調査を実施するメリットとデメリットについて解説します。
スクリーニング調査で期待できる大きなメリットは、定義と目的で紹介した「本調査の精度向上」「調査コストの削減」「調査期間の短縮」です。それらに加えて、以下のメリットも期待できます。
スクリーニング調査で得られたデータは、ターゲット層の属性やニーズを理解する上で役立ちます。これにより、本調査の設計や質問項目の改善に繋げることができ、より効果的な調査を実施することが可能です。
スクリーニング調査を経て本調査に選ばれたことで、対象者の調査協力意欲を高めることができます。これにより、本調査でより積極的な回答を引き出し、調査結果の精度向上が図れます。
スクリーニング調査には多くのメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも存在します。
スクリーニング調査の精度を左右する最も重要な要素は、スクリーニング基準の設定です。適切な基準を設定しなければ、ターゲット層から外れた回答者が本調査に紛れ込んでしまい、調査結果の信頼性が損なわれる可能性があります。
スクリーニング調査自体にも、調査設計、質問項目の作成、データ収集、分析などのプロセスが必要です。これらには一定の時間とコストがかかるため、調査全体のスケジュールや予算に影響を与える可能性があります。また、想定していたサンプルの数が集まらない場合は、再度スクリーニング調査をする必要があり、その追加分のスクリーニング調査料がかかります。
スクリーニング基準を厳しく設定しすぎると、調査対象者が限定され、多様な意見やニーズを把握できない可能性があります。
スクリーニング調査の質問項目が多すぎたり、複雑すぎたりすると、回答者の負担(負荷)が増え、回答率が低下したり、回答内容の質が低下する可能性があります。
スクリーニング調査の質問内容や実施方法によっては、特定層に回答者が偏ってしまう可能性があります。例えば、インターネット調査では、インターネット利用頻度の高い層に偏りが生じる可能性があります。
スクリーニング調査のメリットとデメリットについて解説しましたが、もしスクリーニング調査を実施し、後から誤りがあったことが発覚した場合、調査はどうなってしまうのでしょうか。
主な調査手法であるインターネット調査とインタビュー調査を例に、どういった影響があるか解説します。
スクリーニング調査の誤りによって、調査ターゲットと異なる回答者が多く紛れ込むと、調査結果の信頼性は大きく低下します。もし、この調査結果に基づいて重要な意思決定を行ってしまうと、重大な判断ミスにつながる可能性があります。
そのため、スクリーニング調査での誤りが判明した場合は、その時点で調査を中断することが大切です。その上で、再度、スクリーニング調査を実施するのか、本調査内容の修正で対応できるのかを、予算やスケジュールを考慮して判断する必要があります。
ただし、誤りが判明した時点までの調査費用や時間は、無駄になる可能性があります。このような事態にならないよう、事前にしっかりとしたスクリーニング調査設計を行うことが大切です。
インタビュー調査は、もともと調査対象者数が少ない調査手法です。そのため、リクルーティングの「質」が調査結果の「質」に大きく影響します。もし、スクリーニング調査の誤りが判明したら、それまでに得られたデータは分析対象外となります。インタビュー調査は、対象者一人ひとりの意見や経験を深く掘り下げることを目的としているため、誤った対象者からの情報は、調査全体の信頼性を損なうからです。
このような事態を避けるために、インタビュー調査ではより慎重にスクリーニングを実施する必要があります。そのためには、回答ミスや記憶の勘違いによる「条件違い」や、謝礼目的で虚偽回答を行う「なりすまし」を防ぐことが重要です。
具体的には、スクリーニング調査の回答結果に矛盾がないかの「データ・チェック」を行い、回答の一貫性を確認します。さらに、電話による内容確認を行うことで、回答者が条件を正しく理解しているか、また回答内容が正確であるかを確認することが可能です。これらにより、条件違いやなりすましを防止し、リクルーティングの質を高めることができます。
スクリーニング調査を実施する際には、いくつかの注意点を理解しておくことが大切です。もし、これらの注意点を理解しておかないと、意図した結果が得られなくなる可能性があります。
ここでは、スクリーニング調査の注意点とポイントについて、解説します。
スクリーニング調査の設問設計は、本調査の対象者を適切に絞り込むためにとても重要です。ここでは、抽出精度を上げるための具体的な設問のポイントと事例を解説します。
スクリーニング調査は、あくまでも本調査の対象者を絞り込むための調査です。スクリーニングの目的から逸脱した質問は、回答者の時間を無駄にするだけでなく、回答の質を低下させる可能性もあります。
悪い例:「好きな映画のジャンルは何ですか?」(スマートフォン購入との関連性が低い)
良い例:「過去1年間にスマートフォンを購入しましたか?」(関連性が高いので適切)
コツ:必要最低限の質問だけを設け、スクリーニング目的に直結する内容に絞る。
回答者の主観や意見ではなく、具体的な事実に基づいた質問をすることで、より正確な情報を得ることができます。
悪い例:「あなたはコーヒーが好きですか?」(基準が主観的であいまい)
良い例:「あなたは1週間に何杯コーヒーを飲みますか?」(具体的な行動に基づいている)
コツ:数値や明確な事実に関する質問を中心に設けることで、回答のばらつきを抑える。
スクリーニング調査の段階で本調査の目的が明らかになると、回答者が意図的に回答を操作する可能性があります。
悪い例:「あなたがよく見るTV番組は何ですか?」(TV番組視聴に関する調査であることが推測できる)
良い例:「あなたが日常的に利用しているメディアをお選びください」(本調査の目的を推測しづらい)
コツ:本調査の内容が推測されないよう、広範なカテゴリから情報を集める設問を設ける。
1つの設問だけでは、対象者を正確に絞り込めないことがあります。そのような場合は、複数の設問を組み合わせることで、より精度の高いスクリーニングが可能になります。
例:
「あなたが過去1か月間に、購入したアルコール飲料はどれですか?」
「あなたが購入したアルコール飲料の中で、最も購入量が多かったものはどれですか?」
「最も購入量が多かったアルコール飲料の、購入金額を以下からお選びください」
(これらの質問から1か月に1,000円以上ビールを購入する対象者が判明する)
コツ:複数の角度から質問することで、対象者の属性や行動特性を把握する。
スクリーニング調査を効果的に行うためには、以下の注意点に配慮することが重要です。
スクリーニング調査を行う前に、本調査のターゲット層を明確に定義することが重要です。年齢、性別、居住地、職業、興味関心など、具体的な属性や条件を明確にすることで、適切なスクリーニング基準を設定できます。
スクリーニング基準は、ターゲット層を正確に抽出できるように、厳密に設定する必要があります。曖昧な基準や広すぎる基準では、ターゲット層から外れた回答者が本調査に紛れ込む可能性があります。一方で、十分なサンプル数を確保する必要もございます。ターゲットとする方が、ほとんどいない場合(例えば、「年収3千万以上の方で特定の資格を所有している方」など)、出現率が低いため、サンプルの確保が難しくなります。
※出現率とは、本調査に回答して欲しい人(ターゲット)の条件に合う人の割合のことです。
スクリーニング調査には、インターネット調査、郵送調査、電話調査など、様々な調査方法があります。それぞれの調査方法には、メリットとデメリットがありますので、調査対象者や予算、調査期間などを考慮して、適切な調査方法を選択することが大切です。
スクリーニング調査の設問数が多すぎると、回答者の負担(負荷)が増え、回答率が低下する可能性があります。一方、設問数が少なすぎると、必要な情報を収集できなくなります。
スクリーニング調査では、個人情報やセンシティブな情報を収集する場合があります。回答者のプライバシーに配慮し、個人情報保護法などの関連法規を遵守することが重要です。
スクリーニング調査の回答率や回答内容を分析し、スクリーニング基準や設問内容を見直すことで、より効果的なスクリーニング調査を実施できるようになります。
一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)は、スクリーニング調査の品質と倫理を確保するためのガイドラインを提供しています。
※アスマークは一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)に加盟しております。
スクリーニング調査は、本調査の条件該当者を抽出するための簡易な質問で構成された調査票で行うことが基本であり、調査協力者に支払う謝礼も安く設定されています。しかし、近年では、抽出条件とは関係のない質問や本調査と同等のボリュームを持つ調査が行われたことを踏まえ、JMRA では以下のルール遵守を求めています。
これらのルールを順守することで、スクリーニング調査における回答者の負担(負荷)を減らし、調査の信頼性と倫理性を確保することができます。
また、日本では個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)があり、スクリーニング調査におけるデータの収集、保存、利用に関しても規則の遵守が必要です。個人を特定できる情報は適切に匿名化し、収集目的を明確にした上で回答者の同意を得ることが求められます。
ここまで、スクリーニング調査について解説しました。
スクリーニング調査は、市場調査の精度向上、コスト削減、時間短縮に効果的な手法であり、企業の迅速な意思決定をサポートすることができます。しかし、スクリーニング調査には、抽出基準の設定の難しさや、調査自体の時間とコストといったデメリットも存在します。また、個人情報保護法やJMRAのガイドラインなど、遵守すべき規則や倫理も存在します。スクリーニング調査を最大限に活用するためには、これらのメリット・デメリット、注意点などを正しく理解し、適切に設計・実施することが重要です。
スクリーニング調査を適切に活用して精度の高い市場調査を実施することで、ビジネスの成功につなげていきましょう。
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初めてのアンケート調査
アンケート調査とは、定型の質問票を用いて多数の方に回答してもらう定量調査のことを指すのが一般的です。マーケティングリサーチの中でも実施頻度の高い調査方法です。
一方、調査票を用いないインタビュー形式の調査は定性調査と呼ばれ、言葉や情報をアウトプットとし、アイデア出しやテーマの深掘りの際に用いられます。これらはアンケート調査に含まないことが一般的です。アンケート調査は数的データとして結果を出すことが出来るため、客観的な裏付けやエビデンスとしても活用することができます。街頭調査や郵送調査などオフラインで実施する方法に加え、インターネットを利用したオンラインアンケートの実施も増加しています。調査手法によってそれぞれ特徴があるので、目的に応じて使い分けることが重要です。
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