公開日:2024.10.18

データ分析手法11選(目的別)|分析手順、成功へのポイントも解説

  • マーケティングリサーチHowto

現代社会において、マーケティングに関わるデータは、ビジネスの成功にとって重要な資源です。この膨大なデータの中から隠された価値を引き出すためには、適切なデータ分析が必要となります。しかし、データ分析には様々な手法があり、目的やデータの種類によって最適な方法は異なります。効率良くデータ分析を行うには、その特徴をしっかりと理解し、目的に応じて適切に使い分けることが大切です。
 
そこで、この記事では、マーケティングで利用されるデータ分析の手法を、目的別に11種類、紹介します。データ分析手法の特徴をしっかりと理解して、マーケティング活動に活かしていきましょう。
 
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データ分析とは

データ分析とは、収集したデータに対して、クリーニングや加工、分析といった処理を加えることで、隠れたパターンや関係性、傾向を発見し、有益な情報に変換する活動です。データ分析から得られた情報は、現状の把握、問題点の発見、将来予測、意思決定などに活用され、ビジネスの効率化や収益向上、顧客満足度向上などに貢献します。
 
例えば、ECサイトのアクセスログを分析すれば、ユーザーがどのような経路で商品を購入しているのか、どのページで離脱しているのかを把握できます。この分析結果に基づいて、サイトを改善すれば、コンバージョン率の向上などを図ることが可能です。
 

データの種類

データ分析を行う上で、まず理解しておくべきなのが「データの種類」です。データは、その性質によって大きく「質的データ」と「量的データ」の2つに分類されます。こちらをまとめた表が以下となります。
 

表 質的データと量的データの説明
データの種類 尺度 説明
質的データ 名義尺度 名義尺度は、カテゴリやグループを識別するための尺度で、数値やラベルが順序や大小の意味を持たない形式です。例えば、「性別」や「職業」といった質問に対して、単に異なるカテゴリを識別するために使用します。 ・性別(男・女)
・居住地(東京都・大阪府・北海道など)
・職業(会社員・公務員・自営業など)
・血液型(A型・B型・O型・AB型)
順序尺度 順序尺度は、データに順序やランクを付けるための尺度です。数値やラベルは順序を示しますが、間隔の大小や比率は表せません。例えば、ランキング(1位、2位、3位…)などで用います。 ・顧客満足度(満足・普通・不満など)
・商品のランキング(1位・2位・3位など)
・最終学歴(大卒・短大卒・高卒など)
・辛さのレベル(激辛・辛い・普通など)
量的データ 間隔尺度 間隔尺度は、温度や年号などのように、単位となる基準があり、その差に意味があるデータです。例えば、温度が10℃から20℃に上がったとしても、重要なのは10℃という「差」であり、温度が2倍になったという意味ではありません。 ・気温(○○℃)
・西暦(○○〇〇年)
・知能指数(IQ○○〇)
・偏差値(偏差値○○)
比例尺度 比例尺度は、データの間に順序関係と等間隔性があり、さらに絶対的なゼロ点が存在する尺度です。年齢や身長、体重、金額などが該当します。これらのデータは、四則演算を含むあらゆる統計分析に利用できます。 ・年齢(○○歳)
・身長、体重(○○cm・○○kg)
・金額(○○万円)
・販売個数(○○万個)

 
改めまして、質的データは、数値で表されないデータで、属性やカテゴリを表し、順序に意味がない「名義尺度」と、順序に意味がある「順序尺度」に分けられます。
 
また、量的データは、数値で表すことができ、数値の大小に意味を持っているデータとなり、数値の差に意味がある「間隔尺度」と、数値の差とともに数値の比にも意味がある「比例尺度」に分けられます。
 

その他データの種類

データは、収集方法や値の性質によっても分類でき、それぞれ解説します。
 

・一次データと二次データ(収集方法によって異なる)
一次データとは、分析のために、新たに収集したデータです。このデータには、アンケート調査、インタビュー、実験などを通して、直接得られるものが該当します。一次データは、目的に合致した最新の情報を得られるというメリットがある一方、収集に時間とコストがかかるというデメリットがあります。
 
二次データとは、既に他の目的で収集されたデータです。政府統計、企業の公開データ、既存の研究論文などが、このデータに該当します。二次データは、比較的容易に入手できるというメリットがある一方、分析の目的にうまく合致しない場合があるというデメリットがあります。
 
 
・連続データと離散データ(値の性質によって異なる)
連続データとは、ある範囲内で無限に細かく値をとることができるデータです。身長、体重、気温などが該当します。小数点以下の値をとることができるという特徴があります。
 
離散データとは、整数の値しかとらないデータであり、人数、個数、順位などが該当します。

 

データ分析の目的

データ分析を行う目的は、データから有益な情報を抽出し、ビジネス上の課題解決や意思決定に役立てることです。主な分析の目的とそれに適した分析手法は以下の通りです。
 

表 主な分析の目的と、それに適した分析手法の一覧
目的 適した分析手法
得られた回答の結果に差があるのか』を判断したい 検定
複数の項目を『要約』して特徴を把握したい 因子分析
サンプルや項目を『グループ分け』して特徴を把握したい クラスター分析
商品や企業などを『マッピング』して各々のポジションを把握したい コレスポンデンス分析
要因』と『結果』の因果関係を把握したい 回帰分析
結果』に対し、効果的な『組合せ』を把握したい デシジョンツリー分析
複数ある商品などの『順位(優先度)』を把握したい 一対比較分析
商品やサービスにおける『最良の組合せ』を把握したい コンジョイント分析
商品・サービスに対する『価格帯』を把握したい PSM分析
複数あるブランドの『占有率(マインドシェア)』を把握したい トップオブマインド分析
課題(改善項目)の『優先度』を把握したい ポートフォリオ分析

 
 

データ分析手法11選(目的別)

ビジネスの課題解決や意思決定を効果的に行うためには、目的に適したデータ分析手法を選択することが重要です。ここでは、先ほどご紹介した表にある11種類の分析手法について、その概要や具体例について解説します。
 

1. 検定【結果に差があるか】

検定とは、標本で得られた結果から、母集団においても差があるといえるのかを統計的に検証する手法です。例えば、A/Bテストを実施した結果、AとBの間に差があるのか、男女間で購買行動に違いがあるのかなどを検証できます。この分析手法を用いることで、2つのグループ間に有意な差があるかどうか、ある事象が偶然起きたものなのかどうかを把握できます。
 
具体例としては、新薬の効果をt検定で分析したり、新しい広告キャンペーン実施前後の売上高に有意な差があるかどうかをカイ二乗検定で分析したりします。
「検定(有意差検定)とは」はこちら>
 

2. 因子分析【要約】

因子分析とは、複数の変数間の相関関係を分析し、共通因子を抽出することで、複雑なデータを要約する手法です。多くの変数を少数の因子にまとめることで、データを解釈しやすくします。この分析手法を用いることで、複数の変数の背後に潜む共通因子や、各変数がどの因子に強く影響を受けているかを把握できます。
 
具体例としては、顧客満足度調査のアンケート結果から、顧客満足度に影響を与える因子を抽出したり、社員のモチベーション調査から、モチベーションに影響を与える因子を抽出したりするなどが挙げられます。
「因子分析とは」はこちら>
 

3. クラスター分析【グループ分け】

クラスター分析とは、データ同士の近さを数値化し、その近さの数値に応じて、データをグループ化することで、大量のデータにどのような関係が存在するかを明らかにする手法です。そして、クラスター分析の手法には、大きく分けると「階層クラスター分析」と「非階層クラスター分析」の2種類があります。これらを使いこなすことによって、データをグループ化し、組織が実施するマーケティングの方向性を示唆することに役立てることができます。
 
具体例としては、売上アップを目指すため、購入金額と関連性が高いユーザーグループを明らかにしたいケースなどで有効です。
「クラスター分析で分かること|初めての方にも分かりやすく解説」はこちら>
 

4. コレスポンデンス分析【マッピング】

 
コレスポンデンス分析は、マーケティング活動の一環として、自社ブランドのポジショニングを把握するために使われます。この分析手法は、多変量解析という分析手法の一つで、アンケートなどのクロス集計表を用いて、収集したデータを二次元マップに変換し、視覚的に情報の関係を把握することを可能にします。下図がイメージです。
 

コレスポンデンス分析のクロス表の例
図 コレスポンデンス分析のクロス表の例

 

コレスポンデンス分析の二次元マップの例
図 コレスポンデンス分析の二次元マップの例

 
具体例としては、上図のように、「自社と競合ブランドを比較し、ポジショニングを把握する」などがあります。
「コレスポンデンス分析とは?活用事例や分析の方法について解説」はこちら>
 

5. 回帰分析【要因と結果】

回帰分析とは、ある変数(目的変数)と、それに影響を与える変数(説明変数)との間の関係性を分析する手法です。目的変数が量的データの場合は重回帰分析、質的データの場合はロジスティック回帰分析を用います。この分析手法を用いることで、説明変数が目的変数に与える影響の大きさや、説明変数の変化によって目的変数がどのように変化するかを把握できます。
 
具体例としては、広告費、販売促進費、競合の価格などを説明変数として、売上高を目的変数とした重回帰分析によって売上高に影響を与える要因を分析したり、年齢、性別、年収などを説明変数として、顧客が商品を購入するか否かを目的変数としたロジスティック回帰分析により顧客の購買行動を予測したりすることが挙げられます。
「回帰分析とは」はこちら>
 

6. デシジョンツリー分析【結果→組み合わせ】

デシジョンツリー分析は、複数の『要因』と『結果』の関係性の中から、影響の強い要因を階層別に把握する分析手法です。また、この分析手法により「『影響の強い要因』は何か?」、「要因の組み合わせ」を把握することができます。例えば、商品の「購入意向」と「特性(評価)項目」から、「購入意向」へ影響を与える条件の組み合わせを把握する場合、イメージは下図となります。
 

デシジョンツリー分析における「購入意向」へ影響を与える条件の組み合わせを把握するためのイメージ
図 デシジョンツリー分析における「購入意向」へ影響を与える条件の組み合わせを把握するためのイメージ

「デシジョンツリー分析(決定木分析)とは」はこちら>
 

7. 一対比較分析【商品などの順位(優先度)】

一対比較分析は、複数ある項目を『1対1』で比較し、項目間の順位(優先度)を明確に把握する分析手法です。『1対1』で比較することで、回答者が単純に順位を付けるより、容易に回答することができます。また、細かい差に対する識別力が大きいため、明確に回答者の抱える順位(優先度)を把握することができます。
 
例えば、あるジャンルの商品の選定に対し、『価格』や『デザイン』、『性能』といった項目をどれだけ重視するか、優先度を把握したい場合、回答者に下表の組み合わせ分質問し、それぞれ5段階尺度で選択していただきます。
 

一対比較分析における『1対1』の組み合わせ
図 一対比較分析における『1対1』の組み合わせ

 
回答いただいたデータを集計し、一対比較分析をすることで下図のような結果を得ることが可能です。
 

一対比較分析で得られる結果の例
図 一対比較分析で得られる結果の例

 
この図は、上から優先度が高い順に並べており、『価格』が一番重要ということがわかる図となります。
「一対比較分析とは」はこちら>
 

8. コンジョイント分析【最良の組み合わせ】

コンジョイント分析は、最適な商品コンセプトを決定することを目的とした分析手法です。商品全体の評価をすることで、価格やデザインなど、個々の要素の購買に影響する度合いを算出します。
 
例えば、スマートフォンを購入する際には容量やカメラの性能、価格などを比較検討することが考えられます。消費者は自分に必要な各要素を厳選し、消費を選択することが予想されます。このときに、消費者が最も重視する商品の要素の組み合わせを算出するのが、コンジョイント分析です。
「コンジョイント分析とは」はこちら>
 

9. PSM分析【価格帯】

PSM分析のPSMは、(Price Sensitivity Measurement:価格感度メーター)の略称となり、商品やサービスに対する適正価格を解析する分析手法です。この分析手法で分かることは、上限価格、妥協価格、理想価格、下限価格、許容可能価格帯です。イメージは下図となります。
 

PSM分析をかけたアウトプット
図 PSM分析をかけたアウトプット

 
この、PSM分析の活用シーンは、『新製品の価格設定』や『既存の商品の価格の見直し』、『セール・キャンペーン価格の設定』です。
「PSM分析とは?具体的な方法やメリット・注意点などを紹介」はこちら>
 

10. トップオブマインド分析【占有率(マインドシェア)】

トップオブマインド分析は、『第一想起』と『助成想起』からマッピングし、『占有率(マインドシェア)』を把握する分析手法です。マッピングは、ブランドの『第一想起率』を横軸に、『助成想起率』を縦軸に取ることで作成できます。この作成したマッピングにて、当該ブランドへのマインドの『強さ』と『広がり』のポジショニングから、視覚的に『勝者(勝ち組ブランド)』、『ニッチ(知る人ぞ知るブランド)』、『レガシー(いにしえのブランド)』、『マイノリティー(新興ブランドまたはマイナーブランド)』の4象限を把握することが可能になります。イメージは下図となります。
 

トップオブマインド分析の4象限イメージ
図 トップオブマインド分析の4象限イメージ

「トップオブマインド分析とは」はこちら>
 

11. ポートフォリオ分析【課題の優先度】

ポートフォリオ分析は、製品やサービスの『満足度』と『重要(期待)度(相関係数)』からマッピングし、『優先的改善項目』を把握する分析手法です。マッピングは、ブランドの『重要度』を横軸に、『満足度』を縦軸に取ることで作成できます。下記の図より、改善項目への優先度をポジショニングから、視覚的に『重点改善項目』、『重点維持項目』、『維持項目』、『改善項目』の4象限を把握することが可能になります。イメージは下図です。
 

ポートフォリオ分析の4象限イメージ
図 ポートフォリオ分析の4象限イメージ

 
このポートフォリオ分析は、例えば、顧客満足度の構成要因を明らかにしたいケースで有効です。
「ポートフォリオ分析(CSポートフォリオ)とは」はこちら>
 
 

データ分析の手順

データ分析の手順は、信頼性のある結果を導き出すためにとても大事な要素です。ここでは、データ分析の手順について、その具体的なステップを解説します。
 

1. 回答結果のチェック

データ分析における最初のステップは、収集した回答結果のチェックです。この段階では、データの品質を確保し、その後の分析をスムーズに行うための準備を行います。
 
具体的には、以下のような作業を行います。
 

表 回答結果のチェックをするための作業項目
作業項目 内容
無効回答の除外 アンケート回答の中には、分析に適さないものが含まれている場合があります。例えば、全ての設問に回答していないもの、矛盾した回答をしているものなどは、無効回答として除外する必要があります。自由記述欄に意味不明な回答や不適切な言葉が含まれている場合も同様です。
入力ミス・誤記の修正 紙媒体のアンケートを実施した場合、回答内容をデータ入力する際に、入力ミスや誤記が発生する可能性があります。回答内容と入力データを照らし合わせて、入力データのミスや誤記を修正します。
論理エラーの確認 回答内容に論理的な矛盾がないかを確認します。例えば、年齢と生年月日が一致しないなどの場合は、修正または除外する必要があります。
重複回答の処理 同一人物からの複数回の回答は、分析結果を歪める可能性があります。そのため、回答が重複していないかの確認や処理を行います。

 

2. 調査データの集計

回答結果のチェックが完了したら、次は調査データの集計を行います。集計とは、アンケート調査などの調査結果をわかりやすくまとめるために、データを収集、合計することです。
 
主な集計方法としては、下表の3つが挙げられます。
 

表 集計方法について
集計方法 内容
単純集計(GT:Grand Total) 単純集計は、各質問のデータ(数値)を一覧表にまとめ、「どのような回答をした人がどのくらいいるのか」を体系的に分かるようにする集計方法です。例えば、アンケートの各設問に対して、それぞれの選択肢を選んだ人数や割合を算出します。
クロス集計 クロス集計は、設問(質問)に対して、性別・年代などの違いによって結果に差がないかを比較し、分析するために実施する集計方法です。例えば、「性別」と「購買意向」をクロス集計することで、「男女別の購買意向」を明らかにできます。
自由記述集計 自由記述集計は、アンケートの自由記述欄に書かれた回答を集計する方法です。回答をカテゴリ分けしたり、キーワードを抽出したりすることで、自由記述回答を定量的に扱うことができます。

 

3. 集計データの分析

データ分析の最終ステップは、集計したデータを分析し、隠れたパターンや関係性、傾向を発見することです。この段階では、分析の目的に応じて適切な手法を選択し、データから有益な情報を引き出すことが重要となります。
 
分析結果を解釈する際には、統計的な知識とともに、ビジネスに関する知識も必要です。例えば、統計的に有意な差があった場合、それがビジネスにおいてどのような意味を持っているかが分かれば、より的確なインサイトを見つけ出すことができます。
 
さらに、分析結果はグラフや図表などを用いて、分かりやすく可視化することも重要です。データの傾向や特徴を直感的に把握できれば、より多くの関係者と情報を共有できます。
 

Tips:調査自体の流れ

調査自体の流れ
図 調査自体の流れ

上図は、調査自体の流れを簡易的に表した図になります。

例えば、市場調査では各段階において、必要関係者の合意を形成することがとても重要です。特に初期段階で関係者の認識違いをなくしておかないと、大幅な時間や費用のロスにつながります。各段階で決定すべきことを明確に提示して、明らかな形で合意事項を残しておきましょう。
より詳しい「市場調査の調査設計|手順とコツを解説」はこちら>

 
 

データ分析を成功させるためのポイント

データ分析を成功させるためには、適切なデータの収集や分析方法だけでなく、事前の準備と計画が、とても重要です。ここでは、データ分析を成功させるための4つのポイントについて、解説します。
 

1. 調査目的の明確化

データ分析の出発点は、調査目的を明確にすることです。調査目的があいまいなままでは、どのようなデータを収集し、分析結果をどのように活用すべきかが不明瞭になってしまいます。
 
調査目的を設定する際には、自分たちが直面している環境、解決すべき課題、そして達成したい未来像をしっかりと考えることが大切です。例えば、顧客満足度を向上させたいのか、マーケティング戦略の効果を測定したいのか、新製品の需要を予測したいのかによって、データの収集方法や分析手法が変わります。
 
関係者全員で目指すべき方向性を共有し、調査目的を明確にすることで、分析の方向性が定まり、結果をビジネス戦略に効果的に反映させることが可能になります。
 

2. 仮説の立案

明確な調査目的を設定したら、次はデータ分析の指針となる仮説を立てます。仮説とは、検証可能な形で表現された予想のことです。この仮説が分析の方向性を定め、目的達成へと導く重要な役割を担います。
 
仮説を立てる際には、過去のデータや経験、業界の知見などを活用することが重要です。例えば、過去の販売データから、特定の時期に売上が増加する傾向があることが分かっていれば、「その時期にどのような変動要因があるのか」を調べることで、仮説のヒントを得られます。
 
また、仮説を立てる際は、感情や主観ではなく、論理的な思考に基づくことが重要です。「なんとなくそう思う」ではなく、「なぜそう思うのか」を明確にすることで、より信頼度の高い仮説を構築できるようになります。
 
そして、仮説は1つに固執するのではなく、複数の仮説を立てることが大切です。複数の仮説を検討することで、異なる視点からデータを検証でき、深い洞察を得ることが可能です。
 

3. 分析を想定した調査設計

調査設計を行う際は、まず「どのようなデータを集めるか」を決定します。分析の目的に合ったデータを集めるために、仮説に基づいて必要な情報を洗い出します。例えば、「顧客満足度を向上させる要因を分析する」という目的であれば、顧客満足度に関する設問だけでなく、顧客属性、購買履歴など、関連する情報も収集することが大切です。
 
次に、データを収集する手法を決定します。アンケート調査、インタビュー、行動観察など、データ収集方法にはそれぞれにメリットとデメリットがあります。それらを踏まえたうえで、最も効率よく、精度の高いデータを収集できる手法を選択しましょう。
 
さらに、「どのような分析手法を用いるか」を想定しておくことも重要です。分析の目的に合った手法を事前に検討しておくことで、必要なデータの種類や形式を明確にできます。
 
このように分析を想定した調査設計を行うことで、必要なデータを効率良く集められ、質の高い分析結果を得ることが可能になります。
 

4. 適切なデータ収集

適切な調査設計ができたら、いよいよデータ収集の段階に入ります。データ収集は、分析の精度を左右する重要なプロセスであり、信頼性の高い分析結果を得るためにも、適切に実施する必要があります。
 
まずは、調査設計で定めた必要なデータを、しっかりと収集することが重要です。もし、必要なデータが不足すると、分析結果の精度が低下したり、適切な分析結果を得られなくなったりします。
 
また、データ収集の方法によっては、倫理的な配慮も求められます。個人情報を含むデータを扱う場合は、プライバシー保護に十分注意し、適切なセキュリティ対策を講じましょう。
 
 

まとめ

ここまで、データ分析手法について、解説しました。
 
データ分析手法を上手に活用すれば、統計的な根拠に基づいた客観的な評価を行い、隠れたパターンや関係性を見出すことで、貴重なインサイトを得ることが可能です。しかし、価値ある分析結果を得るには、適切な分析手法を選択し、正しいステップに基づいて分析を進めることが重要です。
 
ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、様々なデータ分析手法を積極的に活用し、データに基づいたマーケティング戦略によって、ビジネスの成功へとつなげていきましょう。
 
データ分析についてのご相談はこちら>
 

執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

 
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