公開日:2024.11.27

コンセプト受容性調査をトータルサポートする「Be Concept」を解説

  • マーケティングリサーチHowto

コンセプトにはブランドコンセプトと製品コンセプトがあります。ブランドコンセプトは「理想世界を一言で言えるようにしたもの」、製品コンセプトは「誰にどのようなベネフィットを与えるものかを明確かつ詳細な言葉に落とし込んだもの」です。
 
事業会社において、新商品開発の初期段階でコンセプトを作成する際、「誰に向けたものか不明確で、プロダクトのイメージが見えないコンセプト」という状況をよく目にします。また、評価の基準が担当者によって異なるため、社内でのデータ比較が難しいという課題もあります。
 
こういった状況に対して根拠に基づいた評価ができる「Be Concept」というサービスについて、作ろうとした背景や具体的な調査の流れ、どんなことを行うのか、この記事では紹介していきます。
 

 
 

なぜ、コンセプト調査のサービスを作ろうとしたのか?

当社は、数々のコンセプト調査を行ってきました。その調査の中で、さまざまな課題が見えてきて、わかりやすいところでは「バラバラ」という課題がありました。例えば、「前回では5段階評価を採用していたけど、今回は7段階評価を採用している」といったことでは、選択肢が「バラバラ」です。
 
こういった課題に対して、いくつかのポイントを標準化することで解決できるのではないかと考え、できたのがBe Conceptです。このBe Conceptは、長年コンセプト開発の研究をしてきたマーケティングコンセプト社と当社が独自に設計した「成功率を高めるコンセプト受容性調査」をトータルサポートするサービスとなっております。
 

コンセプト調査・コンセプトテストの必要性と評価ポイント

コンセプト調査のサービスの詳細はこちら

アスマークでは、コンセプト調査サービスを提供しております。商品コンセプトが消費者ニーズに合っているか、関心が示されるか、魅力・強化すべきところはどこか、改善点はないか、などを確認することを目的とした調査です。

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Be Conceptの前提

Be Conceptの標準化の話や流れなどの話の前に、この調査の前提を説明していきます。
 
コンセプト調査には、開発型の調査と受容性の調査の2つ分けることができ、Be Conceptは受容性の調査の位置づけになります。そのため、受容性を測るための調査となり、開発型ではないので、「このコンセプトであれば、絶対に売れる」というものを作れるわけではございません。

つまり、ベストなコンセプトにすることは難しいのですが、ベターなコンセプトへ導くことができるのが、Be Conceptとなり、これらを抑えていただけますと、以降の説明で解像度が高くなります。
 
 

3つの標準化

Be Conceptにおいて、標準化をしたポイントが3つあります。それは、下図のコンセプトシート、調査票、分析ロジックになります。
 

図 3つの標準化
図 3つの標準化

 
ワークショップを実施し、作成フォーマットの項目を記入していくことで、コンセプトシートの標準化を図ります。そして、当社で用意している調査票のフォーマット記入することで、聞く内容を標準化(調査票の標準化)していきます。再度に、分析ロジックとして、「得られた結果をどう解釈し、どう分析をしていくのか」を定めることで標準化していきます。
 
 

Be Conceptの流れ

続いて、Be Conceptの流れを説明していくのですが、以下が流れのイメージになります。
 

Be Conceptの流れ
Be Conceptの流れ

 
左下の「コンセプトシート精査」から始まり、右上の「コンセプトブラッシュアップ」が終わりとなります。
 
まず、繰り返しになりますが、コンセプトシートを入力していくために、ワークショップを実施します。そのワークショップでは、お客様、マーケティングコンセプトハウス様、当社の3社で実施し、約3時間という時間の中でコンセプトを固めていきます。これが最短かつ結束力が生まれる方法だと考えています。
 
次に、コンセプトシートが確定できたら、定量調査です。メインターゲット、サブターゲットを設定し、定型フォームに従って、アンケートを実施します。そして、アンケートが完了したのち、分析のフェーズになります。標準ロジックに基づいたデータの分析・レポーティングをします。
 
最後に、売れる確度が高まるコンセプトに完了しているフェーズのブラッシュアップへ進めます。
 
 

ワークショップで完成度を高める

ここでは、コンセプトシート精査で行う、ワークショップにフォーカスしていきます。
 
ワークショップでは、コンセプトを固めるために、例えば、ニーズやベネフィットを明確化していきます。そこで使用するフレームワークが下図となります。
 

ニーズ未充足化「CAS分析」ライト版
ニーズ未充足化「CAS分析」ライト版

 
このフレームワークを説明していくのですが、まず、ニーズとベネフィットの意味を整理しましょう。この違いは簡単で、ニーズは「○○したい」、そして語尾を変えた「○○できる(可能)」がベネフィットです。例えば、「汚れを落としたい」がニーズで、「汚れを落とすことができる」がベネフィットです。
 
そして、ベネフィットは、そのニーズの中でも満たされていないものが何かわかればベネフィットに置き換えることができます。そのことを念頭に、「今回ターゲットとしている人は具体的にどうしたいのか」→「それが満たされていないものなのか」というのを、このフレームワークでシンプルにまとめることができます。
 
イメージがなかなかしづらい部分あるかと思いますので、具体的な例として、「カビキラー」を例にとって、考えてみたのが下図となります。
 

CAS分析(カビキラーを例にとって)
CAS分析(カビキラーを例にとって)

 
「カビキラー」をご存知の方も多いかと思いますが、お風呂場で使うものです。これのニーズを考えてみると、「タイルの 目地 (めじ) のカビ(黒い汚れ)を取りたい」というのが考えられます。そして、このニーズを抱えている人は、何もしていないわけではなく、「頑張って従来の洗剤などを使って、こすって洗っている」という状況があったとします。
 
そう頑張っている方は、「こすっても落ちないな」、「こすりすぎるとタイルがはげちゃうんだよな」「とにかく大変」などの問題点を想像することができます。ここまで整理できれば、「結局はどういうことなのか」というと、「頑張らないで、タイルの目地のカビを取りたい」というのが未充足の強いニーズということが考えられます。そのため、「取りたい」というのが強いニーズなのであれば、ベネフィットは「取れる」商品と言ってあげれば良いのです。
 
ここまで、1つのフレームワークについて紹介してきましたが、ワークショップでは、ほかのフレームワークもございます。それらのフレームワークを使用することで、整理がしやすくなります。
 
 

調査項目と分析ロジックについて

ここから調査項目と分析ロジックについて説明をしていくのですが、先に、Be Conceptと一般的なコンセプト調査との違いについて見ていきましょう。
 
Be Conceptと一般的なコンセプト調査との違いとして、「どういう視点で結果を見るのか?」というところに、2つ違いがあります。
 

  1. 購入意向での視点

例えば、一般的なコンセプトの受容性調査で、購入意向を聞くと思うのですが、「どこが良かったか」、「どこが悪かったか」を見ようとしたときに、購入意向があった人となかった人で結果を比較してみるようなケースが多いかと思います。
この時、結局買わない人は、価格で評価されることが多く、そうなってしまうと、「どこが良かったか」、「どこが悪かったか」という違いがそんなに出てこないことが多いです。そのため、この2つの視点で見るのではなく、受容層と準受容層という比較軸で見ようとするのがBe Conceptであり、違いとなります。
 

  1. 魅力での視点

一般的なコンセプト調査では、「どこが魅力か」を確認することが多いと思いますが、「魅力が高い=良い」と言い切れるかというと、疑問が残ります。
魅力が高いけど、「ここは低いんじゃない」というのもあると思いますので、Be Conceptでは「魅力と新しさ(新奇性)はどうなのか」という2軸、「魅力と疑問はどうなのか」という2軸で見ていきます。
これらの2点が一般的なコンセプト調査との違いになります。それでは、具体的に何を伺っていくのか、説明していきます。
 

調査項目

伺う項目は「使用意向」や「購入意向」などの6項目となり、その項目ごとの関係性を表したのが下図となります。
 

分析ロジックに基づき設計した10問のイメージ
分析ロジックに基づき設計した10問のイメージ

 
この6項目ですが、6問ということではなく、設問のボリュームはコンセプト1案あたり10問のボリュームになります。そして、調査票を標準化していることから、コンセプトが3案ある場合、30問となります。また、Be Conceptは、コンセプトの評価自体は、相対評価を取りませんので、絶対評価のみでの比較となります。もし、相対評価を取りたい場合は、追加していただく形になります。
 
まず1つ目、「使用意向」を伺っていきます。次に「購入意向」を伺います。「使用意向」と「購入意向」の違いは下記となります。

表 使用意向と購入意向の違い
使用意向 価格を提示する前の状態で使ってみてどうか
購入意向 価格を入れた状態で買っても良いと思えるものかどうか

 
そして、これらのギャップを見ることで価格がどの程度影響しているのかが分かります。もし、ほとんど落ちていないのであれば、「価格は妥当」であるということが分かります。一方でもし、使用意向では80%あったにも関わらず、購入意向で10%になってしまった場合は、その差の70%は「価格のせいじゃないか」ということも言えますので、「価格は見直した方がいいかも」ということが見えてきます。
 
また、「購入意向」は、コンセプトが「良いか悪いか、良かったか悪かったか」を判断するのに、一番重要な指標になります。Be Conceptでは、この「購入意向」がどうだったら良いのか、どうだったら悪いのか、というのを判断するための基準を設けていますので、その基準より上回るか下回るかによって、良かったか割る方かを判断いただくことが可能です。
 
続いて3つ目として、「共感性」はターゲットとして想定している人が本当に共感してくれているのかどうか、ターゲットの妥当性はどうなのか、ということを確認していくために伺います。そして、ターゲットの方向性を確認したのち後、コンセプトが良かったのか悪かったのかを確認していきます。
 
その後、具体的にどこがどう良かったのか、どこがどう悪かったのかを見ていくポイントとして、魅力は? 新しさは? 疑問は?という3つの視点を盛り込んで見ていき、「コンセプトのこの部分は良かったよ。でも、あの部分はダメだったよ」というのが明らかになっていきます。
 
ここまで、明らかになってきたら、次は伺った内容に対して、「どう評価をしていくのか」という分析のロジック部分を説明していきます。
 

分析ロジック

結論から、下図の①→②→③→&(使用意向と購入意向のギャップ確認)という順番で結果を見ていきます。
 

図 分析ロジック(一例)
図 分析ロジック(一例)

 
まず、①から説明していきます。①をフォーカスした図が下図です。

図 ①購入意向×共感性
図 ①購入意向×共感性

 
そもそもコンセプト全体の評価、コンセプト案の評価が良かったのか悪かったのかを判断するのが、この①となります。これを判断する指標として用いるのが、購入意向と共感性となり、購入意向がどうだったのか、共感性が高いか低いのかによってAゾーン、Bゾーン、Cゾーン、Dゾーンのどこに位置づけられるのか、というのを確認していきます。
 
購入意向と共感性のそれぞれに基準値を設けているので、その基準値で線を引いた時に「何パーセントなのか」によって、ABCDのどこに位置するのか、というのが明らかになります。これにより、コンセプトの評価が良かったのか悪かったのか、ターゲットはOKなのかダメなのか、というのを確認していきます。
 
そして、その上でどこがどう良かったのか、どこがどう悪かったのか、というのを②と③で確認をしていきます。では、②です。これは魅力度と疑問という二軸で見ていき、フォーカスした図が下図です。

図 ②魅力×疑問
図 ②魅力×疑問

 
ここで、魅力と疑問に関する設問ですが、コンセプトの文章を文節で区切ったものを選択肢に置き換えて、魅力だと思うものはどれなのか、疑問に思うものはどれなのか、というのをチェックしてもらう、MA回答(複数回答)の選択をしていただく設問となります。
 
そして、この結果を魅力と疑問の二軸で見ていくのが上図となり、プロットすることで、文節で区切ったコンセプトが強調されるので、コンセプトの中で疑問が高くて、魅力が高いものはどれで、疑問は低いけど、魅力も低いものはどれで、、、というのが明らかになります。これによって、どこがどう悪かったのか、どこがどう微妙だったのか、ここがどう良かったのか、というのを確認していくことができます。
 
そして、②同様、③では「魅力」と「新しさ」という二軸で見ていきます。これにフォーカスした図が下図です。

図 ③魅力×新奇性
図 ③魅力×新奇性

 
②と似た形で、今度は「新しさ」が伴っているのか見ていきます。
 
最後に、「価格がどうだったのか」というのを、使用意向と購入意向のギャップを確認していきます。これにフォーカスした図が下図です。
 

図 使用意向と購入意向のギャップ
図 使用意向と購入意向のギャップ

 
以上、①→②→③→&(使用意向と購入意向のギャップ確認)というロジックをBe Conceptでは組んでおります。このロジックを統一していることで、データの見方というのも整えることができ、意思決定も標準化できるのはないか、と考えております。
 
 

まとめ

ここまで、Be Conceptを作った背景や流れ、ワークショップでのフレームワークなど紹介してきました。これらをまとめると、Be Conceptは、コンセプト調査の課題を解決できるように、標準化することで、部署ごと・担当者ごと・案件ごとに同じ指標でデータ比較をして、根拠に基づいた評価をつけることが可能としたサービスです。具体的には、「コンセプトシート」、「調査票」、「分析ロジック」の3つを標準化し、感覚や経験値に依存せず、評価できるようになっております。
 
ここまでの話を通じて、商品コンセプトの調査について理解を深め、今後の商品開発の成功率アップに役立てていきましょう。
 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

 
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