2024.12.03
ブランド認知度調査とは?各手法からアウトプット例、見積まで解説
ブランド認知度調査は、自社の商品やサービスが市場でどの程度認知されているかを測るための重要な調査です。認知レベルや競合比較、ターゲット層分析、認知経路把握、調査……
公開日:2024.11.26
現代社会は、情報化やグローバル化、少子高齢化など、様々な変化に直面しています。このような社会の実態や変化を把握し、より良い社会を築くためにデータを得る手段が、社会調査となります。行政機関や大学、自治体、地域コミュニティなどの様々な組織や団体で、この社会調査が行われ、政策の立案や住民が抱えている問題把握など、活用されております。
社会調査には、大きく分けて量的調査と質的調査という二つのアプローチがあります。量的調査は、アンケート調査などを用いて数値データを集め、統計的に分析することで社会現象を明らかにしようとする方法です。一方、質的調査は、インタビューや観察などを通して、人々の行動や意識を深く理解しようとする方法です。
この記事では、社会調査の基本的な知識として、量的調査と質的調査の特徴や違い、さらに両者を組み合わせることで得られる相乗効果について解説します。
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社会調査とは、社会における様々な現象や問題について、客観的なデータを収集・分析することで社会の実態を明らかにする活動です。人々の意識や行動、社会構造、文化、経済状況など、その対象は多岐に渡ります。例えば、行政機関で行われる社会調査は国勢調査や世論調査などが考えられ、大学では社会実験や学術調査など、地域コミュニティでは住民意識調査やニーズ調査などが考えられます。
社会調査の主な目的は3つあります。
例えば、貧困問題の場合、以下などを明らかにできます。
このように、社会調査は社会問題の解決や政策立案、社会福祉、マーケティングなど、様々な分野で活用されています。社会調査によって得られた知見は、私たちが社会を理解し、より良い未来を築いていくための大切な情報です。
社会調査における量的調査とは、数値データを基に社会現象を客観的かつ体系的に分析する手法です。ここでは、量的調査の具体的な方法、メリット・デメリットなどについて解説します。
量的調査で最も多く用いられる調査方法が、アンケート調査です。これは、事前に作成した質問票を用いて、調査対象者から回答を得る方法です。質問票には、年齢や性別などの属性に関する質問から、意見や態度、行動に関する質問まで、様々な項目が含まれます。
かつてのアンケート調査は、紙媒体の質問票を郵送したり、調査員が直接対象者に訪問して回答を収集したりする方法が主流でした。しかし、近年ではインターネットの普及に伴い、オンライン調査が急速に普及しています。
オンライン調査は、インターネット上で質問票に回答してもらう方法です。調査対象者は、自分の都合の良い時間に、パソコンやスマートフォンから回答できます。オンライン調査の普及により、アンケート調査はより効率的に実施できるようになり、社会調査における重要な調査手法として、その役割を担っています。
量的調査は、数値データに基づいて分析を行います。そのため、以下のようなメリットがあります。
メリット | 内容 |
---|---|
客観性が高い | 個人の主観や解釈による影響を小さくした、より客観的な分析結果を得られます。 |
結果を一般化しやすい | 多くの場合、標本調査によってデータを収集するため、その結果を全体に一般化できます。 |
分析しやすい | 統計ソフトなどを用いることで、効率的にデータを分析できます。 |
結果を視覚的に表現しやすい | 数値やグラフを用いることで、結果をわかりやすく示せます。 |
量的調査は、数値データによる客観的な分析を得意とする一方、以下のようなデメリットも存在します。
デメリット | 内容 |
---|---|
数値化しにくい情報 | 人間の感情や複雑な行動、文化的背景などに関する情報は、数値化することが難しい場合があります。そのため、自由回答欄を設けるなどの工夫が求められます。 |
回答が偏る可能性 | アンケート調査では、質問の仕方や選択肢の順番によって、回答者が特定の選択肢を選びやすくなるケースがあります。これを回避するためには、質問や選択肢を慎重に設計することが大切です。 |
調査対象者の選定 | アンケート調査を行う際、対象者が特定の属性に偏ってしまうと、結果に大きく影響する可能性があります。これを防ぐためには、対象者に偏りが生じないよう、適切なサンプリング方法を採用する必要があります。 |
詳細な理解が困難 | 数値データは、社会現象の全体像を把握するのに、とても効果的です。しかし、個々の事例における詳細な状況や背景の把握には適していません。より深い理解を得るためには、質的調査などを併用しましょう。 |
社会調査におけるもう一つの重要なアプローチが、質的調査です。質的調査は、数値ではとらえきれない人々の意識や行動、その背景にある深層的な心理を理解することに重点を置いた調査方法です。
質的調査は、対象者の内面世界を深く理解し、新たな発見や仮説を生み出すのに役立ちます。量的調査では把握しにくい複雑な要因や背景を明らかにし、社会現象へのより深い理解を得ることが可能です。
質的調査には、様々な調査方法がありますが、代表的なものとして以下の3つが挙げられます。
調査方法 | 内容 |
---|---|
グループインタビュー (FGI:Focus Group Interview) |
グループインタビューは、複数の調査対象者を同時に集め、特定のテーマについて話し合ってもらう方法です。司会者(モデレーター)が進行役となり、参加者同士の自由な意見交換を促します。 グループインタビューでは参加者同士の対話から、多様な視点や深い洞察を引き出すことが可能です。 |
デプスインタビュー (IDI:In-Depth Interview) |
デプスインタビューは、調査対象者とインタビュアーが1対1で向き合い、じっくりと話を聞く方法です。対象者の個人的な経験や考え、感情などを深く掘り下げることが可能です。 デプスインタビューは、デリケートな話題や個人的な意見を聞き出すのに適しています。また、対象者一人ひとりの意見をていねいに聞き取れるため、質の高いデータを得られます。 |
エスノグラフィ調査 | エスノグラフィ調査は、調査対象者の生活空間に長期間滞在し、対象者の行動や文化を観察・記録する方法です。この調査方法では、対象者の行動を直接観察することで、行動様式や文化、価値観などを深く理解できます。 |
質的調査は、数値化できない情報を扱うことで、量的調査とは異なる視点から社会現象を理解できます。主なメリットとして、以下の2点が挙げられます。
メリット | 内容 |
---|---|
深層的な理解 | インタビューや観察を通して、対象者の行動や発言の背景にある意識、感情、価値観などを深く理解できます。 |
新たな発見 | 量的調査では得られない新しい知見や隠れたニーズを発見できます。 |
例えば、ある地域で若者の投票率が低いという問題があったとします。量的調査では、年齢や性別、職業などの属性と投票率の関連性を分析できます。しかし、なぜ投票に行かないのか、という理由までは把握できません。そこで、質的調査を用いて、若者たちにインタビューを行えば、「政治に関心がない」「投票に行くのが面倒」「自分の1票で何かが変わると思えない」といった具体的な理由や、その背景にある意識を明らかにできます。
このように、質的調査は、人々の行動や意識を深く理解し、社会現象の本質に迫るための有効な手法と言えます。
質的調査は、深層的な分析に効果的な手法ですが、以下のようなデメリットも存在します。
デメリット | 内容 |
---|---|
一般化の難しさ | 質的調査は、少数の対象者を深く分析することに重点を置くため、得られた結果を全体に一般化するのが難しいという側面があります。 |
主観の影響 | 質的調査の分析は、分析者の解釈に依存する部分が多くなります。そのため、主観的なバイアスがかかりやすく、客観性を担保するためには複数人で分析を行うなどの工夫が必要です。 |
分析の難しさ | 質的データは、数値データのように統計処理できません。そのため、大量のテキストデータから意味のある情報を抽出するには、高度な分析スキルが求められます。 |
これらのデメリットを克服するためには、質的調査の特性を理解し、適切な調査設計と分析を行うことが重要です。
量的調査と質的調査は、どちらも社会現象を理解するための重要なアプローチですが、その目的や手法、得られる結果には大きな違いがあります。
量的調査は、数値データを用いて社会現象を客観的に把握することに重点を置きます。アンケート調査などを通して大量のデータを収集し、統計的な分析によって、社会全体の傾向や関係性を明らかにします。一方、質的調査は数値化できない情報を収集し、対象となる人々の意識や行動の背景にある動機を分析します。インタビューや観察などを通して、対象者の言葉や行動をていねいに分析し、深層的な心理や文化的背景などを理解することに重点を置きます。
このように、量的調査と質的調査では、同じテーマを扱っていても、アプローチや得られる結果が大きく異なります。それぞれの特性を理解し、適切な手法を選択することが重要です。
量的調査や質的調査を効果的に活用するためには、以下の3つのポイントが成功へのポイントとなります。
量的調査と質的調査は、それぞれ異なる特性を持つため、両方を組み合わせることで、より深く多角的な分析が可能となり、相乗効果が生まれます。
このように、質的調査と量的調査を段階的に組み合わせれば、互いの弱点を補い合い、より精度の高い分析結果を得ることが可能です。社会調査において、量的調査と質的調査は、車の両輪のような関係であり、両者を効果的に組み合わせることが、社会現象の複雑なメカニズム解明につながります。
社会調査で収集したデータから価値ある知見を引き出し、社会現象の理解を深めるためには、適切な分析方法を用いることが重要です。
量的調査で得られた数値データは、統計的な手法を用いて分析します。例えば、相関分析を用いれば、二つのデータ間にどのような関係があるのかを明らかにできます。年齢と年収の関係や、学習時間とテストの点数の関係などを分析する際に役立ちます。また、回帰分析は、ある変数が別の変数にどれくらい影響を与えているのかを分析できます。広告費と売上高の関係や、気温とアイスクリームの販売数の関係などを分析する際に効果的です。
一方、質的調査で得られたデータは、インタビュー記録や観察記録などをテキスト化し、内容分析などの手法を用いて分析します。内容分析では、テキストデータから重要なキーワードやテーマを抽出し、分析者が解釈を加えながらその意味するところを見出していきます。その際、質的データ分析ソフトを用いれば、効率的に分析することが可能です。
さらに、AI技術の発展により、自然言語処理を活用した分析も注目されています。これは、コンピュータに人間の言葉を理解させ、大量のテキストデータから自動的に情報を抽出する技術です。ソーシャルメディアの投稿や顧客の声などを分析することで、社会のトレンドや人々の意識の変化をとらえられます。
社会調査の分析方法は、調査の目的やデータの種類に応じた適切な選択が重要です。それぞれの分析方法の特徴を理解することで、より深い社会現象の分析結果を得られます。
ここまで、社会調査における量的調査と質的調査について解説してきました。量的調査は数値データに基づいて社会現象を客観的に分析する手法であり、質的調査は数値化できない情報を用いて人々の意識や行動の背景を深く理解する手法です。
量的調査と質的調査は、それぞれ異なるアプローチから社会現象を分析するものであり、どちらが優れているということはありません。それぞれの特性を理解し、調査の目的に合わせて適切に使い分けることが重要です。
社会調査は、社会問題の解決や政策立案、企業のマーケティング戦略など、様々な分野で活用されています。社会調査の知識を深め、量的調査と質的調査を適切に活用することで、より的確な分析結果を得られ、社会への理解を深められます。
ぜひ、量的調査と質的調査を社会調査で効果的に活用していきましょう。
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