ブランドのリポジショニング:STEP4

ブランド資産を棚卸しして伝えていくべき価値を再検討する

STEP4:ブランド資産を棚卸しして伝えていくべき価値を再検討する

リポジショニングするにしても、これまでに築いてきたブランドのコア資産をもとにした立て直しが必要。 そのなかで残しておくべき資産=有効な連想を確認し、今後、改めて狙っていくべきポジション、そのために強化すべきブランドイメージを決定する。

リポジショニングの際には、まず、そのブランドならではの魅力を強化することが重要なカギとなり、送り手側の意思も重要だが、一方で、消費者がどう見ているかを的確につかむことも不可欠。

様々な手法

自由連想法

●●といえば、思い浮かべるイメージ・特徴は?という設問により、刺激なしで再生されるほど顕在化しているブランド連想を抽出する。(自由回答)

コーディングもしくはテキストマイニング

自由連想法

SDM法

3つのブランドを2つに分けてもらい、そのコントラストからイメージの微細な差異まで抽出することにより、競合との差別化要因となるブランド連想を抽出する。(自由回答)

SDM法

プリコード式

あらかじめ設けたイメージワードにあてはまるブランドを回答してもらうことにより、再生されるほど顕在化していない連想も含めて確認
プリコードには、ブランドの作り手側が狙ってきた連想も含めて、それが現実に効いているかを検証することが可能

プリコード式

ラダリング法

「なぜこの商品はあなたにとって価値があるのか」という質問を繰り返し、商品やブランドの持つ価値と消費者の求める価値を結び付けていく手法

ラダリング法

※ラダリング法は、定量調査でも聴取できないことはないが、定性調査で主に用いられる手法

ポイント

各連想は何によって持つようになったのか?
ブランドを買いたい理由となる連想はどれか?
その連想は、あなたにとってどのような価値に結びつくから、買いたいのか?
の3点を聴取し、「接触した情景」→「ブランド連想」→「消費者ベネフィット」→「購入意向」の文脈を描く!

ブランド・エクイエティ(資産価値)の構築・競争優位のポイント

強い連想か(多くの人に再生される連想か)
好ましい連想か(購入意向に結びつきやすい連想か)
ユニークな連想か(競合に有意に差をつけている連想か)
この3点を判定し、次頁のフレームワークで整理することで、消費者にとってのそのブランドのコアの価値やポテンシャルのあるブランド資産を明らかにする

ブランドエクイエティの構成要素

ブランドエクイエティの構成要素

STEP4:最終結果

ブランドAについてあげられたイメージは、「さっぱり」「さわやか」「清涼感」などの抽象的な言葉が多く、残念ながらそれが「好ましい連想」として購入意向には結びついていないことが確認された。価値文脈をみると、「CM」→「清潔なイメージ」というパスはあるが、それが消費者本人のベネフィットとしては受け止められてはいない様子で、購入意向までつながるための価値が希薄になってしまう。他と差別化できる連想としては、「昔から使っている」「懐かしい」「安心」「安全」といったワードが挙がっていたが、購入層でも「買いたい」に繋がるパスにはなっていない。
一方、競合ブランドBのブランド資産や価値文脈をみると、「CM/タレント」→「カラーリングで傷んだ髪の補修」→「私の髪のダメージを再生してくれそう」→「買いたい」と明瞭なパスでつながっている。これに対してブランドAは、消費者にとってベネフィットだと感じてもらえることが打ち出せていないのが最大の弱点だと認識。

そこで、こうした購入者を逃さないように注意を払いつつ、新しいユーザーを取り込めるよう「安心」「安全」を核として、小さい子どもも使える”地肌にやさしいシャンプー”としての訴求をユーザーベネフィットとして、前面に押し出すことを検討することにした。