前ページでは、ヨーグルトの製造・販売メーカーを例として、商品開発における調査企画・設計~【フェーズ1】webアンケートまでの実施事例を紹介しました。
ここからはwebアンケートからでは探れない対象者の行動や発言・情報についてを探る定性調査を行なっていきます。最後に、調査全体から何が見えたのか、ヨーグルトの新価値を見出し、新商品の方向性について触れています。
フェーズ1で実施したクラスター分析の結果を用いて、ヨーグルト単体を食べる「喫食者」とヨーグルトを料理に混ぜたり顔パックとして使用する「活用者」に分けて、ますは日記調査を実施。グループインタビューの前に日記調査を行うことで、日ごろの日常の行動や考えを具体的に知ることができます。グループインタビューでの口頭での説明だけではうまく伝わらないことも、写真やその時の気持ちなどのコメントがあることで、理解できることもあります。また、第三者が写真を見ることで新たな発見が生まれることもあります。 日記調査では、喫食者グループ、活用者グループそれぞれの対象者に、「いつ」「どのように」「どのような目的」でヨーグルトを消費したのかを記録をつけてもらいます。
グループ1 | グループ2 | |
---|---|---|
喫食者 | 活用者 | |
買い物意識 | ||
買い物快楽追及派 | 2 | 2 |
買い物慎重派 | 3 | 2 |
無関心 | 1 | 2 |
ライフスタイル | ||
好奇心旺盛 | 2 | 2 |
コンサバ | 3 | 2 |
ZERO スタイル | 1 | 2 |
【いつ】【どのように】【どのような目的】でヨーグルトを召し上がりますか?
平日の朝食。
家族が皆出かけた後、朝食で腸に働く物を取って、1日の活力を得る為、一人で食べました。
朝食にて一人で。
出かける前だったので手早く栄養あるものを取りたくて、シリアルにかけて食べました。
主人、娘との3人の朝食のデザートとしてダイニングで。
ドライマンゴーを一晩ヨーグルトに浸けました。
夕食後のデザートとして、自分一人リビングで。
桜のフレーバーのハチミツと一緒に食べました。
【いつ】【どのように】【どのような目的】でヨーグルトを消費しましたか?
膝の黒ずみをとるため、無糖ヨーグルトに塩を入れたものをスクラブとして使用しています。
夕食でチキンカレーを作りました。チキンを柔らかくするためヨーグルトに鶏肉を3時間ほど漬けてトマト缶と一緒に煮込み旦那さんと食べました。
肌のキメを整えるため、また乾燥を予防するため一人で顔にヨーグルトパックをしました。塗ってる最中に垂れないように小麦粉を加え、また保湿効果を高めるためハチミツを混ぜています。
テキストと写真をあわせて確認することによって、ヨーグルトの使用・喫食シーンの新たな気づきを得ることができました。
最後にグループインタビューを行います。Webアンケートや日記調査の回答結果を基に、それまでの調査では得ることができない具体的な意見や考えを得ることを大きな目的として実施します。
本件では単純にインタビューで質問・回答を繰り返すだけでなく、ホワイトボード・付箋などを使用してグループワークも行いました。そうすることで、より活発な意見交換や自発的な発言を引き出すことができます。対象者自身も、他人の話しを聞くことによって、新たな視点から意見ができます。結果、これまでにない、自身も考えていなかったような「面白いアイデア」が生まれることもあります。
※日記調査と同じ対象者へインタビューを実施。
1. ヨーグルトの購入・食実感
2. 機能的/情緒的価値の整理
●書き出し
●グルーピング
●グループのネーミング
3. アイデア創出
グループ毎の生活価値・信条を抽出し、マーケットの穴となるグループのアイデア出し
製品やブランドのグルーピングやマッピングをしてもらうことで、視覚化することができ、対象者の頭の中で考えていることが他の対象者・モデレーターはもちろん、バックルーム・ミラールームで見ている方たちにも共有でき、インタビュー後のデブリーフィングでの意見交換も活発になることが多いです。
ヨーグルトの喫食・使用シーン
主体は『朝シーン』での喫食(朝食の一品、代替)だが、【日記式調査】から『料理への使用』『美容品への使用』ニーズが見られる。
ヨーグルトに対するベネフィット
【情緒面】では『安心・癒し・健康』、【機能面】では『おいしさ・健康・料理・美容』への期待が見られる。
ヨーグルトのブランド比較(ポジショニング)
ブランドへのポジショニングは、消費者意識や特徴から、喫食面で『オールマイティ』『機能性タイプ』『高級タイプ』などへの区分がなされる。しかし、ヨーグルトそのものに対する喫食利用を主としており、『料理』や『美容(パックなど)』に対するホワイトスペースが見られる。
ヨーグルトの特性(乳酸菌、ビタミンやカルシウムが豊富)を活かした『料理』『食べる以外に美容』への新用途ニーズが示唆される。