公開日:2021.07.21

オンラインでできるエスノグラフィ

  • 定性調査

「エスノグラフィ」とは、異文化コミュニティの行動観察などを用いた、主に文化人類学などの学術分野において活用される言葉であり、直訳すると「観察調査」を指します。同様にマーケティング分野においても、消費者の「行動観察」を行うことにより、消費者自身が気付かない潜在的な心理を探る目的の、調査手法として活用されています。
 

オンラインでのエスノグラフィのメリット・デメリット 無料ダウンロードはこちら>

 

自宅訪問や対面調査で、文字通り行動を観察する「エスノグラフィ調査」。しかし2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックを機に、消費者とのオフラインでの接触は難局を迎えます。
そこで注目を浴びたのが「オンライン活用」によるエスノグラフィの代替手段の採用。対面だからこそ意味を成すと思われていた「エスノグラフィ」ですが、果たしてオンラインで消費者行動のつぶさな観察は可能なのでしょうか。

ユーザビリティに優れる様々なオンライン・ビデオシステムにより、消費者にとっては、”オンライン帰省”、”オンライン飲み会”などのコミュニケーション、ビジネスでは”オンライン会議”がスタンダードになるなど、コロナ禍を経てオンラインへのハードルは大幅に下がりました。
マーケティングリサーチ業界においても、オンライン活用は大きなインパクトを創出。導入時には様々な戸惑いがあったものの、オンラインインタビューは、来場型のリアルインタビューの代替というよりも、今や既にメイン手法と化しています。

家庭に訪問できない状況下を打破すべく、実施が急増したオンラインによるエスノグラフィ調査。下記では当社が蓄積したメリットをご紹介いたします。

  • ウイルスへの感染リスクの回避
  • 身近でない人は自宅に招きたくないという生活者意識への配慮
  • 全国、全世界の生活者の観察ができる
  • 訪問者がいないので協力率が高まる
  • 全国、全世界の生活者の観察ができる
  • 訪問者がいないため、例えば「トイレ掃除」といったシングルタスクでなく、家事の一連の行動を長時間観察すること ができる
  • 一回だけでなく、複数回(複数日)に分けてタスクの観察ができる
  • 観察調査にインタビュー、HUT、試用・試飲食、動画撮影、日記調査といった 手法を組みこみやすい
  • 試飲食、動画撮影、日記調査といった手法を組みこみやすい
  • 観察者の人数制限がなく、どこからでも参加できる
  • クライアント側からリアルタイムでインタビューができる
  • 気になる行動の再現や商品を映してもらうことなどができる

以下は一例ではありますが、当社で扱った行動観察調査です。

オンライン×エスノグラフィの事例

調査の流れ:

調査の流れ

事前課題などのタスクを導入することで、配布・回収スケジュールの考慮や工数が必要となりますが、調査の精度としては高まり、オフラインよりも密度の高い行動観察を行うことも可能です。

前項事例の通りオンラインで行うエスノグラフィの場合、事前課題などのタスク追加により、オフラインの臨場感を代替する手段を推奨します。その分謝礼金は高めの設定となりますが、インタビューは実態の掘り下げに集中できますので、精度の高いヒアリングができます。

従って事前課題としては、普段の過ごし方をタイムテーブル形式で聴取したり、実際の食事や掃除用具の収納場所など、リアルな実態把握の視認に役立つ内容を推奨します。また動画撮影が伴う場合は、対象者の生活環境を事前に確認し、必要に応じて三脚や専用カメラ等を事前送付することもあります。

オンラインオフライン、いずれにしてもエスノグラフィ調査は、生活様式を観察するセンシティブな調査といえます。昨今の情勢も鑑みると、事前のスクリーニングや許諾を綿密に行う必要があります。
事前に調査目的を対象者へしっかり共有し、気持ちの良い調査を実現したいものですね。

オンライン×エスノグラフィのコツ

 

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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エスノグラフィ調査

エスノグラフィ調査

訪問調査は一般的に“定量調査”と“定性調査”の二種類があります。「訪問調査」と呼び、後者の場合は「訪問観察調査」「行動観察調査」「エスノグラフィ調査」等の呼び名があります。こちらのコンテンツではエスノグラフィ調査のメリット・デメリット、特徴等の詳細をご紹介しています。

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