2024.04.26
プロダクトアウト戦略とは
プロダクトアウト戦略は、製品開発と販売プロセスにおいて、市場のニーズよりも企業の技術やビジョンを優先するアプローチです。この戦略は、マーケットイン戦略の反対に位……
公開日:2023.05.12
医薬品や医療機器等の開発など生活者の健康の増進の上で欠かせない~
私たちの大切な生命と健康を守る医薬品や医療機器。1つの医薬品や医療機器が出来上がるまでには長い開発期間と多大な開発費が費やされています。
そのような開発において、安全性と有効性を確認する臨床試験のサポートを行うのがCROです。医薬品・医療機器開発におけるCROの重要性は高まり、その市場規模も拡大していきました。
この記事では医薬品・医療機器等の開発に重要な役割を担うCROの業務内容や、医療機器などの製造会社がCROを利用するメリットについて紹介します。
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CROは日本において平成9年4月の薬機法(旧薬事法)改正によって正式に認知されました。その後、認知度拡大や法規定の整備などによって、現在では医薬品・医療機器等の開発に欠かせない重要な存在となっています。
CROとは「Contract Research Organization」の略称で、日本語では「開発業務受託機関」と言います。
主に製薬・製造会社などから医薬品や医療機器等の臨床試験に関する業務を受託し、サポートを行う企業です。
医薬品や医療機器等の一般利用に至るまでには、多くの科学的検証によって安全性や有効性を確認する必要があり、その検証過程を「臨床試験」と呼びます。
臨床試験は被験者の安全性を守るために、厳格な手順や手続きを守ることが要求されます。CROは臨床試験のプロフェッショナルとして医療の発展の効率化をサポートしています。
CROが代行するのは、医薬品や医療機器等の開発における「臨床試験」「行政当局への承認申請」「製造販売後調査」に関わる業務です。その主な業務は、以下の通りです。
・臨床試験の企画支援
・臨床試験のモニタリング
・臨床試験データの取集、分析
・行政当局への承認申請書類の作成
・臨床試験結果の統計解析
このように、CROは臨床試験に関するほぼすべての業務をサポートしています。
「臨床試験」と「治験」は、いずれも人を対象として行われる症例報告や調査などの医学研究をあらわす「臨床研究」という活動の一環になります。また、その中で新しい薬や治療法を試す活動を「臨床試験」と言い、厚生労働省から薬として承認を得るための活動を「治験」と言います。
これら3つの関係を図で表すと、以下のようになります。
臨床研究とは、人を対象として行われる医学研究全般のことです。病気の原因解明や予防、治療方法の改善などを通して、健康に関する様々な事象や影響要因を調べるための活動を指しています。
臨床試験とは、臨床研究の中で新しい治療法や薬などについて、有効性や安全性を確認するための活動です。臨床試験には「治験」と「自主臨床試験」があり、自主臨床試験とは医師が主体となって治療法や診断法の有効性や安全性を確認する臨床試験を指しています。
治験とは、製薬会社が主体となって、厚生省から薬や医療機器の承認を得るための臨床試験です。承認前の新薬や医療機器を試験するため、実施に際しては患者さんの人権や安全性が確保されるように、国によって厳格なルールが定められています。
臨床試験には治験と非治験があります。治験を行う際には、試験対象者、試験実施場所、治験の種類など、多くの要件があります。治験に参加する被験者の条件は、治験の目的、試験薬の種類、および試験のフェーズによって異なります。
治験に参加するためには、その治験薬が対象とする病気の患者であることが必要です。ただし、対象の病気の患者であっても、治験に参加するためにはその他にも特定の条件を満たす必要があります。安全性に問題があれば、参加を断られることもあります。
アスマークのモニターはアンケート専用モニターですので、お引き受けできるのは「医薬部外品」と身体データの計測を目的とした医療関連機器などの非治験のみとなります。
医療の発展において臨床試験は、医療機器などの製造会社等によるデータの捏造や改ざんを防止するために、医療機関に委託されます。また、臨床試験を行うには被験者を募集し、参加に際しての説明や同意が必要です。
このように特に時間がかかると言われている臨床試験において、CROは高い専門知識や経験を活かして効率的な運営を図る役割を担っています。
新たな治療・医療機器等を開発する上で欠かせない臨床試験は、データの信頼性を保証するために、医療機関に委託されます。しかし、臨床試験には多くの関係者との調整が必要であり、CROは専門知識や経験を活かして、計画・実施をサポートしています。
安全性と有効性を確認するために必要な臨床試験データを収集・管理することは重要です。しかし、医療機関からのデータには正確性が確保されていない場合があります。
そこで、CROは臨床試験関連データについて、正確性を確保するためのデータ収集、チェック、修正、管理を行い、統計的検証が可能なデータを提供します。
臨床試験データを生物統計学の手法を用いて解析し、新たな治療・医療機器等の効果、安全性、副作用などを評価します。多面的な視点からデータを分析することで実際に有効であるか、従来の標準治療と比較して優れているかを統計学的に検証します。
医療の発展において重要な役割を担うCROの需要は、右肩上がりで伸びています。
それでは、なぜ医療機器などの製造会社はCROに臨床試験業務の委託を進めているのでしょうか。ここでは、CROを利用するメリットについて解説します。
医療機器などの製造会社が1つの機器を開発するには、長い年月を有するため、製造会社が開発の競争力を高めるには、開発コスト削減や他社に先駆けての販売など、スピードアップが重要です。
また、医療機器などの開発にはそれぞれの業務において高い専門性が求められます。特に臨床試験には被験者の安全性確保や、有効性の正確な証明が求められます。
そのため、試験実施計画の作成や被験者の募集、関係者との連絡調整などの臨床試験業務はかなりの作業量が発生します。これらの作業を製造会社のみで円滑に進めるには、専門家やマンパワーをなかなか確保できないのが実情です。
そこでCROは医療機器などの開発における役割を臨床試験業務に特化することで、幅広い研究領域に渡りスムーズに臨床試験できる体制を構築しています。CROに業務を委託することで、臨床試験のスピードアップを実現し、医療機器などの開発の競争力を高めています。”
近年、CROでは最新技術を活用した、高品質な臨床試験が行われるようになりました。
オンライン診療やウェアラブルデバイスによるデータ収集などを活用して、来院を必須とせずに実施できる「バーチャル臨床試験」をはじめ、クラウド、ブロックチェーン、AIなど、様々な最新技術を治臨床試験業務に取り入れています。
CROがこのような最新技術を導入できるのは、臨床試験業務の専門性を高めていることが理由です。医療機器などの製造会社が独自でこのような環境を整えるのはとても難しいですが、CROを活用すればこれらの高品質な臨床試験を実施できるようになります。
医療機器などの製造会社単体では開発案件が限られるため、臨床試験の実施期間や回数に偏りが発生します。そのため、試験に必要な被験者や専門家を常時確保することはかなり困難です。
一方、CROは事業を臨床試験業務に特化しているため、安定した試験実施が可能です。それにより被験者や専門家を常時確保できるとともに、専門家が複数の治験を担当できます。
そのため、CROは臨床試験を低コストで実施でき、開発に至る必要コスト削減に貢献しています。
かつて臨床試験業務においてCROは医療機器などの製造会社から業務委託を受ける立場であったため、下請けのようなイメージを持たれるようなケースがありました。
しかし近年、臨床試験においても高い専門性が求められるようになり、CROの重要性が高まっています。
これまで医療機器などの製造会社とCRO は、長年の業務委受託関係を通じてそれぞれが効果的なノウハウを蓄積してきました。それにより従来のプロジェクトごとの業務委託から、特定のCRO と包括的な契約を締結するなど、両者の関係性が「委受託関係」から「パートナー」という関係に発展しています。
また、CRO企業の中には事業規模や従業員数で医療機器などの製造会社を大きく上回る場合もあり、医薬品や医療機器開発におけるCROへの期待はますます高まるばかりです。
今後、CROは対等なビジネスパートナーとして高い信頼性を求められるようになります。そのニーズに対応するために、両者の新たな役割分担や信頼関係を前提としたビジネスモデルが構築されていくでしょう。
ここまで、CROの業務内容とメリットについて解説しました。
日本でもCROへのニーズは高まっているものの、いまだ欧米に比べると委託率が低いのが現状です。しかし、今後の医療の発展においてCROは欠かせない存在であり、日本におけるCROの担う役割はますます重要になっていくはずです。
CROと医療機器などの製造会社のパートナーシップ強化によって、私たちの生命と健康を守る新たな薬が開発されることを期待しましょう。
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