2023.09.28
重回帰分析完全ガイド:基礎から応用事例まで
重回帰分析とは、予測したいデータ(目的変数)に対して、複数の要因データ(説明変数)との関係を数式で表現する統計的な手法です。重回帰分析を活用すればデータから様々……
公開日:2019.12.05
調査を行う際、調査対象となる母集団全体を調べることは現実的に難しいため、母集団の一部である標本を抽出して調査を行います。しかし、標本から得られた結果は母集団の真の値とは必ずしも一致しません。この差を標本誤差といい、標本調査の精度を左右する重要な概念です。本記事では、標本誤差の意味や発生要因、標準誤差との違い、計算方法、データの見方などを詳しく解説していきます。
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標本誤差は、標本調査において標本から得られた推定値と母集団の真の値との差をいいます。標本調査に必ず伴う誤差であり、全数調査※では発生しません。ここでは、標本誤差の意味や発生要因、重要性について説明します。
標本誤差とは、標本調査で得られた推定値と母集団の真の値との差を指します。例えば、ある商品の売上を調べる際、全国の店舗すべてを調査することは現実的ではないため、一部の店舗を標本として抽出し、その結果から全体の売上を推定します。しかし、標本から得られた推定値は、標本の選び方によって変動し、母集団の真の値とは一致しないことがあります。この差が標本誤差です。
標本誤差の大きさは、主に標本のサイズ(サンプルサイズ)と母集団のばらつきに依存します。このサンプルサイズとは、母集団から標本(サンプル)として抽出した対象者の数(データの数)のことです。サンプルサイズが小さいほど、また母集団のばらつきが大きいほど、標本誤差は大きくなる傾向があります。適切なサンプルサイズを決定するためには、目標とする精度(標本誤差の許容範囲)と信頼水準(通常は95% [0.95])を設定し、母集団のばらつきを考慮して計算する必要があります。サンプルサイズが不足していると、標本誤差が大きくなり、調査結果の信頼性が低下してしまいます。
標本誤差は、標本調査の精度を左右する重要な要素です。標本誤差が大きいと、得られた推定値の信頼性が低くなり、母集団全体の特性を正確に把握することが難しくなります。そのため、標本調査を行う際は、標本誤差をできるだけ小さくするように調査設計をすることが重要です。具体的には、適切なサンプルサイズの設定、無作為抽出(ランダムサンプリング)によるサンプリング、母集団を特定の基準に基づいて複数の層(グループ)に分割し、各層から無作為に標本を抽出する層化抽出などの手法を用いて、標本の代表性を高めることが求められます。標本誤差を適切に管理することで、標本調査の結果をより正確に母集団に一般化することができます。
標本誤差は標本調査の精度に大きな影響を与えます。そのため、標本誤差をできるだけ小さくすることが標本調査の重要な課題となります。ここでは、標本設計の考え方や、標本誤差と標準誤差の関係、標本誤差の種類と測定・計算方法、データの見方などについて解説します。
標本設計とは、標本調査を行う際に、母集団から標本を抽出する方法を決定することです。標本設計の目的は、標本誤差をできるだけ小さくし、母集団の特性を正確に推定することにあります。標本設計の際には、母集団の大きさや特性、調査の目的や予算など、様々な要因を考慮する必要があります。一般的に、無作為抽出による確率標本抽出が望ましいとされています。無作為抽出では、母集団の各単位が等確率で選ばれるため、標本の代表性が高くなり、標本誤差を小さくすることができます。また、層化抽出や母集団を複数の段階に分けて標本を抽出する多段抽出などの手法を用いることで、母集団のばらつきを考慮しつつ、効率的に標本を抽出することも可能です。
標本誤差と密接に関連する概念として、標準誤差があります。標準誤差は、標本誤差の大きさを表す指標の一つであり、標準誤差が小さいほど、標本から得られた推定値が母集団の真の値に近いことを意味します。
標本誤差は、標本調査における推定値と母集団の真の値との差を指します。一方、標準誤差は、標本誤差の標準偏差(基本統計量の一つで、「平均値からのばらつき」を表す指標)を表します。つまり、標準誤差は、標本誤差のばらつきの程度を示す指標です。標本誤差と標準誤差の関係は以下のように表すことができます。
標本誤差と標準誤差は、サンプルサイズが大きくなるほど小さくなる傾向があります。これは、サンプルサイズが大きくなるほど、標本が母集団をより正確に反映するためです。サンプルサイズが大きいほど、標本誤差と標準誤差は減少し、推定値の精度が高くなります。
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標本誤差と標準誤差の関係を理解することは、標本調査の結果を適切に解釈し、推定値の信頼性を評価するために重要です。
標準誤差には、平均値の標準誤差と比率の標準誤差の2種類があります。平均値の標準誤差は、量的データの標本平均の精度を表し、比率の標準誤差は、質的データの標本比率の精度を表します。また、標準誤差は信頼区間の計算にも用いられます。信頼区間は、母集団の特性値(平均値や比率)が一定の確率で含まれる範囲を示します。標準誤差が小さいほど、信頼区間は狭くなり、推定の精度が高くなります。
それぞれの計算方法を以下に紹介します。
平均値の標準誤差は、標本平均の標準偏差を表します。計算式は以下のとおりです。
ここで、母集団の標準偏差が不明な場合は、標本の標準偏差を用います。
平均値の標準誤差が小さいほど、標本平均が母平均に近いことを意味します。例えば、ある商品の売上を調べた結果、標本平均が100万円、標準誤差が10万円だった場合、95%信頼区間は以下のように計算できます。
したがって、母平均は95%の確率で80.4万円から119.6万円の間に含まれると推定できます。
比率の標準誤差は、標本比率の標準偏差を表します。計算式は以下のとおりです。
ここで、標本比率は調べたい項目の割合を表します。比率の標準誤差が小さいほど、標本比率が母比率に近いことを意味します。例えば、ある商品の購入率を調べた結果、標本比率が30%、標準誤差が5%だった場合、95%信頼区間は以下のように計算できます。
したがって、母比率は95%の確率で20.2%から39.8%の間に含まれると推定できます。比率の標準誤差は、サンプルサイズが大きいほど小さくなります。ただし、母比率が0%や100%に近い場合は、標準誤差が大きくなる傾向があるため注意が必要です。
標本調査では、標本誤差以外にも様々な誤差が生じる可能性があります。それらの誤差は非標本誤差と呼ばれ、調査の精度に影響を与えます。ここでは、非標本誤差の種類や特徴、標本誤差との違いや比較について解説します。
非標本誤差とは、標本抽出によらない誤差のことで、調査の設計や実施、データの処理などの過程で生じる誤差を指します。非標本誤差には、以下の誤差などがあります。
カバレッジ誤差:標本抽出の際に母集団の一部が含まれなかったり、重複して含まれたりすることで生じます。
無回答誤差 :調査に回答しない対象者がいることで生じます。
測定誤差は :調査票の設計や回答者の理解不足、記憶違いなどによって生じます。
処理誤差 :データの入力や集計、分析の際に生じるミスのことです。
非標本誤差は、標本誤差とは異なり、サンプルサイズを増やしても減少しません。また、非標本誤差の大きさを推定することは難しく、適切な調査設計と実施、データ管理が求められます。
標本誤差と非標本誤差は、どちらも調査結果の精度に影響を与えますが、その性質は異なります。標本誤差は、無作為抽出による確率的な誤差であり、サンプルサイズを増やすことで減少させることができます。一方、非標本誤差は、調査の設計や実施、データ処理の過程で生じる系統的な誤差であり、サンプルサイズとは無関係です。非標本誤差は、バイアスを生じさせる可能性があり、調査結果の妥当性を損なう恐れがあります。
例えば、インターネット調査では、モニターパネルの特性によって、母集団とは異なる回答傾向が生じることがあります。このようなバイアスは、標本誤差とは異なる非標本誤差の一種です。
標本誤差と非標本誤差は、どちらも調査の精度に影響を与えるため、両者を適切に管理することが重要です。標本誤差は、適切な標本設計によって最小化を図る一方、非標本誤差は、調査の設計や実施、データ処理の各段階で、品質管理を徹底することが求められます。
本記事では、標本誤差の意味や重要性、標本設計や標準誤差との関係、非標本誤差との違いなどについて解説しました。
標本誤差は、標本調査に必ず伴う誤差であり、調査の精度を左右する重要な要素です。標本誤差を適切に管理するためには、母集団の特性を踏まえた標本設計や、適切なサンプルサイズの設定が不可欠です。
また、標本誤差と標準誤差の関係を理解し、信頼区間の解釈や評価を行うことも重要です。さらに、標本誤差とは異なる非標本誤差にも注意を払い、調査の設計や実施、データ処理の各段階で品質管理を徹底することが求められます。標本誤差と非標本誤差の両者を適切に管理することで、調査の精度を高め、信頼性の高い結果を得ることができるでしょう。標本調査を行う際には、本記事で解説した内容を踏まえ、標本誤差と非標本誤差に配慮しながら、適切な調査設計と品質管理を行うことが重要です。
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全数調査(悉皆調査)と標本調査
統計調査をするとき、調査対象となる母集団をすべて調べることを「全数調査」といいます。全数調査は、「悉皆(しっかい)調査」ともいいます。5年に1度行われる、国民全員を調査する国勢調査が全数調査の代表例です。
全数調査では母集団全てに調査を行うため、「標本調査」などの全体の一部分に対する調査を実施する際に生じるような「標準誤差」が生まれません。そのため、性別ごとの結果やサンプルの詳細な地域別の結果など細かいセグメントも統計することが可能です。
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