2019.12.05
SD法、セマンティック・デファレンシャル法(semantic differential scale)とは
SD法、セマンティック・デファレンシャル法とは・・・ 何組かの形容詞の対を示して、特定の企業やブランドがそれぞれの形容詞の対の間のどこに位置付けられる……
公開日:2022.06.27
ブランドという言葉は、ビジネスシーンで良く耳にすると思います。ですが、ブランドの意味や価値をしっかりと説明できる方は、意外と少ないのではないでしょうか?
アメリカの経営学者フィリップ・コトラーはブランドを以下のように定義しています。
この定義はブランドの存在価値を端的に言い表していますが、難解な表現で理解しづらいのではないでしょうか。そこで、今回はブランドの持つ意味や価値について、顧客心理の面に重点を置いて解説します。
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ブランドとは、顧客の頭にイメージされる抽象的な存在です。商品やロゴなど具体的に認識できる部分はありますが、それらはイメージをサポートする一要素に過ぎません。本質的には、ブランドは顧客が企業や商品に持つイメージであり、そのイメージは顧客により「レッテル貼り」されたものです。
レッテル貼りと聞くと、あまり良いイメージが浮かばないでしょう。しかし、人が様々なものをレッテル貼りするのは、より良く生きていくための重要な心理効果。レッテル貼りをするからこそ、私たちは日常生活を快適に過ごせています。
ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、私たちは1日に最大で3万5千回の決断を下しているそうです。決断することとは、言い換えれば頭を使って考える作業。実はこの考える作業は脳への負荷が大きく、決断の回数が増えるほど脳の働きは低下してしまいます。
そこで、人は多くの物事を単純化することで脳への負荷を減らし、より重要な判断のために脳のポテンシャルを割り当てようとします。その単純化こそが「レッテル貼り」です。
レッテル貼りされた対象は、脳内でそのイメージが固定化されます。固定化されることにより、その情報に対するイメージは脳が思考する際の前提条件となり、本人の考えや行動にとても大きな影響を与えます。
ここで大事なことは、そのイメージには良いものと悪いものの両方があることです。本人は良いイメージの対象とは積極的に関わろうとしますし、悪いイメージの対象は避けようとします。つまり、ブランドが良いイメージを与えていれば、顧客は自らブランドに関わろうとします。このような顧客の自主的な行動をうながすことが、ブランドが競合商品と一線を画す強みとなっていきます。
それでは、ここでいう良いイメージとは一体どのようなものでしょうか?
それは顧客の人生に対してプラスの効果を生み出す期待を与えられるか。分かりやすく表現するなら「憧れの存在」になれるかです。
心理学者のマズローによると、人には5段階の欲求があるとされています。その欲求の中で、より生きている満足度が高くなるのが、「承認欲求」と「自己実現欲求」です。承認欲求とは他者から尊敬されたいという欲求、自己実現欲求とはあるべき自分になりたいという欲求です。人はこれらの欲求が満たされると自分の存在が価値あるものと認識でき、生きている充実感を味わえます。
しかし、これらの欲求は満足度が高いからこそ、簡単には満たせません。みなさんの周りにも「他人から認めてもらいたい」「自分らしく生きたい」と願いながら、それが実現できずに苦しんでいる人がいるのではないでしょうか。
このかなえられない想いを埋める心理効果が、憧れの存在との「同一化」です。
例えば、ある少年が大リーグでも活躍できるピッチャーになりたいという夢を持っていたとします。その夢は実現不可能ではありませんが、現時点では実現されていません。そうすると、少年の心には活躍できるピッチャーになりたい欲求と達成できていない事実の間にギャップが生まれ、欲求不満の状態となってしまいます。
そんな時、ある日本人ピッチャーが大リーグで物凄い活躍をしたとします。そのピッチャーは少年の夢を実現したことにより、少年にとっては「憧れの存在」となります。そして、少年は何とかして、そのピッチャーと同じような立場になりたいと願います。
もちろん、いくら憧れたとしてもそれだけで少年が、そのピッチャーと同じ立場になれるわけではありません。
そこで、少年の心はそのピッチャーが持っている要素を自分の中に取り入れることで、自分の価値を憧れの存在に近づけようとします。憧れのピッチャーに感情移入する。同じグラブを購入する。髪型や服装を真似る。これらの行動によって自分があたかも憧れの存在になったかのような感覚を味わい、自己実現欲求を部分的に満たそうとします。
この同一化は、ブランドにおいても同じことが行われます。
顧客は商品というブランドの一部を購入することで、ブランドが提唱している世界観や価値観を自分の中に取り込もうとします。
そして、自分自身をブランドイメージと同一化することで、自分の承認欲求や自己実現欲求を満たそうとするのです。そこにこそ顧客にとってブランドが存在する価値があり、競合企業や商品が価格や性能だけでは太刀打ちできないポジションを築ける可能性が生まれてきます。
ブランドが提供する究極的な価値は、顧客が憧れる世界観や価値観を持つイメージとして存在することです。
そのような存在になるためには、ブランドはそのコンセプトを明確にしなければなりません。明確なメッセージ性があるほど顧客はそのブランドを強く認識します。そして、そのメッセージが自分の承認欲求や自己実現欲求を満たしてくれる可能性を見出すほど、良いイメージとしてレッテル貼りしてくれます。
一度、強く良いイメージが固定化されれば、ブランドへの憧れは簡単には書き換えられません。なぜならブランドが憧れの存在であることは顧客の中で「前提条件」となっていて、よほど大きなきっかけがない限りその真偽を考えようとはしないからです。
そして、顧客はブランド商品を継続的に購入することで自分とブランドを同一化し、高次の欲求を部分的に満たしていきます。
現在の私たちの生活は、安全や便利さがとても満たされています。だからこそ、多くの人が求めている欲求は、精神的な満足感です。
企業は商品の価格や機能にこだわっているだけでは、顧客が持っているより高い欲求を満たすことはできません。
顧客が求めているより高次の欲求サポートこそがブランドの価値であり、ブランドが顧客に長く愛されていく理由となります。
企業や商品のブランドは、どのターゲットにどのようなイメージを提供するのか?
そして、そのイメージは顧客の「憧れの存在」となれるメッセージを持っているのか?
ぜひ、この原点となる考え方に立ち戻って、顧客とwin-winの関係を築けるブランドづくりを進めていきましょう。
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