2019.12.05
リポジショニングとは
リポジショニングとは・・・ ターゲット市場の変化などによってブランドのポジショニングが適切でなくなった場合にブランド・ポジショニングの見直しを行い、再……
公開日:2022.12.28
FMOT(エフモット)とは 、「消費者が商品を購入する場で製品を初めて目にする最初の瞬間」を表す購買メンタルモデルです。
「First Moment of Truth」の略称で、P&G社のCEOであったアラン・ラフリー氏が提唱しました。P&G社では2000年代前半、消費者の行動分析によって「消費者は、店頭の商品棚を見てからの3秒〜7秒の間に、展示やパッケージを見て商品を買うかどうかを決定している」と結論付けました。そして、新規顧客の獲得には店頭プロモーションが重要であるとし、商品のパッケージデザイン、展示、販促物、接客など、店舗体験に力を入れました。この数秒に着目して店頭プロモーションを強化したP&Gの戦略が成功し、FMOTの重要性が広く知られることとなりました。
FMOTの前後にはZMOT・SMOT・TMOTという購買メンタルモデルがあります。これらも購買行動における消費者心理を分析したものになります。
ZMOT(ズーモット)とは 、「消費者が実店舗を訪れる前にインターネット上の情報をもとに購入したい商品を決める瞬間」を表す購買メンタルモデルです。「Zero Moment of Truth」の略称で、Googleが提唱したマーケティング理論です。FMOTは商品に最初に触れる瞬間のモデルですが、ZMOTはその前のゼロ段階を定義しています。現在はインターネットによる情報収集が一般的になったことで、店頭に行く前から商品・サービス、ブランドと消費者との交流が発生しています。既に来店時には何を買うか決定していることも珍しくないでしょう。ZMOTで選ばれる製品やブランドになるためには、自社サイトやSNSの媒体やコンテンツが顧客目線でどのように評価されているかを調査し、検討、改善し続けることが大切です。
SMOT(エスモット)とは、「消費者が商品を使用し、その良し悪しを判断・評価し、リピートを決める瞬間」を表す購買メンタルモデルです。「Second Moment of Truth」の略称で、P&G社のCEOであったアラン・ラフリー氏が提唱しました。消費者がその商品や体験を通じて、満足度が高ければ再び同じ商品もしくは同じ会社の別の商品を購入してくれる可能性が高くなります。マーケティングの世界では、新規顧客を獲得するには既存顧客の5倍のコストがかかるという「1:5の法則」があります。既存顧客は一度商品を購入しているため、新規顧客より少ないコストで購入してもらうことができます。つまり、リピーターの獲得にはSMOTの体験価値を最大限に高めることが重要で、ビジネスにおいて大きな成果を生み出すことができます。
TMOT(ティーモット)とは 、「消費者が商品を繰り返し購入・使用するうちに愛着が芽生え、愛用者として定着する瞬間」を表す購買メンタルモデルです。「Third Moment of Truth」の略称で、一連のメンタルモデルでは最後の段階になります。多くの商品は、買って、使って、一度きりで終わりというものではありません。家電製品などの耐久消費財であれば使い続けますし、日用品やサービスなども再購入の機会があります。そして、これらの体験の繰り返しを通じて、消費者の気持ちが更新され積み重なっていきます。良いTMOTが続けば、商品やブランドに対する愛着が高まってファンとなり、支持し続けてくれるでしょう。さらに、商品やサービスについての好意的なレビューや口コミ、SNSへの投稿を行ってくれることも見逃せません。それがきっかけとなり、新たな消費者獲得に繋がるというポジティブスパイラルを生み出します。
ここまで紹介した購買メンタルモデルを時系列に並べてみます。Stimulus(広告など)→ZMOT(商品を知る)→FMOT(商品を見る)→SMOT(商品を使う)→TMOTで(ファンになる)→ZMOT(他の消費者が商品を知る)というサイクルになります。
このメンタルモデルを理解しておくことで、マーケティング施策を企画する際にどの段階の消費者に向けて実行するものか、目的が明確になります。
FMOTでは、商品を買いに来た消費者が大量陳列や競合商品も並ぶ展示の中、自社製品を手に取り、思わず購入したくなるようなインストアプロモーション施策が重要になってきます。いくつか事例を紹介します。
パッケージには、内容物の「保護」や「輸送」のほか、「表示」の役割があります。表示機能は販促面においてとても重要で、別名「サイレントセールスマン」とも呼ばれています。販路や製品によって求められるパッケージは異なります。
例えば、高級商品を扱う専門店では品質を引き立たせる高級感や上品さのあるデザイン、生活必需品を扱う量販店では競合を含む大量陳列の中でも目を引くようなデザインが求められるでしょう。
消費者は広い店頭の中で商品を選んでいるため、パッケージだけで目を引き、手に取ってもらうことは難しいでしょう。商品をより目立たせるために重要なのがPOPです。
POPとは店舗内の広告や展示物のことで、説明パネル、プライスカード、ポスター、のぼりなどを指します。近年はデジタルサイネージで動画を流すなど、デジタル媒体のPOPも増えてきています。POPでは消費者に伝えたいことを表現することができます。
例えば、セール品や新商品の告知、味や効能の説明、季節やイベントの演出などが挙げられます。POPひとつで売り上げが変わるほど重要なツールであり、POP制作の専門部署を持つ小売店も多くあります。パッケージもPOPも、FMOTの数秒間でいかに顧客の心を掴み、手にとってもらえるか、形状、素材、色、ロゴ、ネーミングなど、様々な観点でのデザイン検討が必要です。
消費者の興味をパッと引くために、パッケージもPOPも目を引きやすいデザインであることは重要です。しかし、主役はあくまで商品です。目立つことだけを目的としたパッケージで品質イメージを損ねてしまったり、POPだけが目立って商品の存在感が薄くなったりしては本末転倒です。大事なのはパッケージやPOPなどのインストアプロモーションが消費者からどう見られているのか、継続的な検証と改善が必要となります。
また、消費者行動の変化も見逃せません。現在はインターネットを使った情報収集が一般的になったことで、商品やブランドと消費者との交流が多くなっています。既に来店時には何を買うか決まっている場合や、店頭で商品を確認しネットで購入することも珍しくありません。自社顧客の普段の購買行動を理解することで、店頭の役割もより明確にすることができるでしょう。
消費者の店舗体験の価値を上げるために、たとえパッケージやPOPがデザイナーから見て素晴らしいものだったとしても、消費者にとって魅力的でなければ意味がありません。これらの消費者心理の分析に有効なアプローチとして、パッケージテストや来店客調査が挙げられます。調査モニターにパッケージデザインを評価してもらうことや、実際の店頭に訪問してもらい展示の印象や購入意欲を調査するなどで、企業側の気がつかない消費者の本音を引き出すことが可能です。
また、自社のターゲット層がどのような購買行動にあるのかを把握することも重要です。店頭ではどのような情報を参考に商品を購入しているのか、店舗に訪れる前にはどのような媒体に接触しているのか、購入後にはレビュー投稿や知人へ話しているのかなど、FMOT前後の消費者行動や心理を理解することで、FMOTで行うべき施策が見えてくることでしょう。これらは購入者アンケートやネットリサーチを活用すると定量的に情報収集をすることが可能です。
FMOTの「消費者が商品を目にする瞬間」に購入へと導くためには、確かな消費者理解をふまえたマーケティング施策の実行が欠かせません。そのためにも、店頭の各種施策を検証できるマーケティングリサーチは非常に有効なアプローチといえるでしょう。
しかし、リサーチの設計と準備、結果分析にはプロの技術が必要です。 FMOTを活用した施策開発を検討される場合、まずはマーケティングリサーチ会社へのご相談をおすすめします。
SMOT(エスモット)とは?施策例や注意点を解説
SMOT(エスモット)とは、「消費者が商品を使用し、その良し悪しを判断・評価し、リピートを決める瞬間」を表す購買メンタルモデルです。
既存顧客は一度商品を購入しているため、新規顧客より少ないコストで購入してもらうことができます。つまり、リピーターの獲得にはSMOTの体験価値を最大限に高めることが重要で、ビジネスにおいて大きな成果を生み出すことができます。
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