2019.12.05
割付とは
「割付」とは、調査やマーケティングリサーチを実施する際に、事前に定めたセグメント毎にサンプルの数を配置する手法を指します。このプロセスでは、性別や年代、居住地域……
公開日:2020.03.04
マーケティング活動の一環として、自社ブランドのポジショニングを把握するために使われるコレスポンデンス分析ですが、上手に活用するためには、使用方法や注意点などをしっかり理解する必要があります。
本稿では、コレスポンデンス分析の活用事例をはじめ、分析方法やメリット・デメリット、活用する上で気をつけたいポイントまで、詳しく解説します。
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コレスポンデンス分析=略称「コレポン」は、多変量解析という分析手法の一つで、日本では対応分析とも呼ばれています。アンケートなどのクロス集計表を用いて、収集したデータを二次元マップに変換することができ、視覚的に情報の関係を把握することが可能です。自社と競合ブランドを比較して、イメージのポジショニングを把握するために使われることが多く、分析結果は散布図で表示されます。各要素のカテゴリーの位置関係を参考に、そのブランドがどのようなイメージを持たれているかを解釈します。
複数の変数を扱うデータ分析の手法としては、主成分分析やクラスター分析があります。これらの違いについて解説しましょう。
主成分分析とコレスポンデンス分析は、どちらも複数の変数をできるだけシンプルに表現するといった点では同じです。
しかし、大きな違いは分析の目的にあります。コレスポンデンス分析は、クロス集計表を可視化することで変数同士の関係性をわかりやすくすることが目的です。
一方、主成分分析は、データを集約することで変数(軸)を減らすことを目的にしています。そのため、集めたデータ同士の関係性を知りたい場合にはコレスポンデンス分析を、複数のデータを少ない変数に整理したい場合には主成分分析を活用する、といったイメージです。
詳しい「主成分分析完全ガイド: 基礎理論、実践手順、応用例」はこちら>
クラスター分析の目的は、似ているデータを集めてグルーピングすることですが、あくまでグループを作ることが目的なので、それぞれのクラスターの特徴までは導き出せません。コレスポンデンス分析では、すでにグルーピングされたデータを活用することもあるため、クラスター分析はコレスポンデンス分析の前段階、と考えても良いかもしれません。
詳しい「クラスター分析で分かること|初めての方にも分かりやすく解説」はこちら>
詳しい「非階層クラスター分析とは」はこちら>
ではコレスポンデンス分析は具体的にどのように進めていくのでしょうか。5つのステップに分けて、順を追って解説します。
マーケティングの分野では、主に自社ブランドや製品のポジショニングマップを作成するために活用されます。そのため、「自社製品と他社製品を比較して、消費者にどのようなイメージで捉えられているのかを把握するために実施する」など目的を明確にしておきましょう。分析のためのアンケートを実施する際には、事前にある程度仮説を立てた状態でアンケート項目を設定すると、より目的にあったデータが収集されやすくなります。
集めたアンケートデータからクロス表を作成します。この際、%表の数値でなくn表の数値を使用しましょう。コレスポンデンス分析は単回答、もしくは複数回答の質問で得られたデータに対して分析を行います。例えば縦軸には自社と競合を、横軸にはそれぞれのイメージを配置すると、このようなクロス集計表が完成します。
分析には統計ソフトを使います。エクセルに統計ソフトをインストールして分析を行いましょう。無料のソフトであれば「R」、有料ソフトであれば「JMP」「SPSS」「SAS」「エクセル統計」などがありますので、試してみてください。
統計ソフトで分析した結果を散布図として表示します。統計ソフトの機能に散布図がなかった場合でも、Excelの機能として散布図作成があるため安心してください。散布図はこのようなイメージで表示されます。
それぞれの項目で近くに配置されているもの同士の、関係性が強いと判断できます。
散布図は、自社のイメージを把握することで新商品の開発に役立てられる他、既存商品の課題点を見つけることにも活用できます。
例えば、
でそれぞれアンケートをとり、コレスポンデンス分析を行ったとしましょう。すると、2種類の散布図が出来上がります。
その2種類の散布図を比較し、「購入している人が持つ自社商品のイメージ」と「購入経験がない人の自社イメージ」にギャップが生まれるのであれば、そのギャップを埋める戦略をとることで、利用者を拡大できる可能性が出てきます。
このように、コレスポンデンス分析は多くの情報を視覚的にわかりやすく整理できるため、課題を見抜くための分析ツールとしても利用されています。
ここでは、コレスポンデンス分析の具体的な活用事例をご紹介します。
よく使われる2つの事例をご紹介しますので、自社ではどのような活用方法があるのか、イメージしながら確認してみてください。
まずは、カスタマーの特性ごとに、自社へのイメージの違いがあるのか?という視点で分析する方法です。
表側項目(縦軸)を「性別」「年代」「居住地」「職業」などのプロフィールデータにし、表頭項目(横軸)を自社ブランドへのイメージ項目に設定します。この状態でコレスポンデンス分析を行うことで、プロフィールデータごとのイメージ(例えば20代女性からは◯◯なイメージ、首都圏在住の男性からは◯◯なイメージなど)を可視化することができます。
この分析を行うことで、メインターゲットの趣向性把握、また獲得したいターゲットからのイメージギャップが知れるため、今後の商品開発やプロモーション戦略に活かすことができます。
次に、自社と他社のブランドや商品イメージ比較、もしくは自社商品の中でのイメージ比較をしたい場合の分析方法です。
表側項目(縦軸)をブランドや商品名にし、表頭項目(横軸)を例えば「高級感がある」「おしゃれ」「かわいい」などのイメージ項目に設定します。これにより、競合ブランドとのイメージ比較や、自社商品内でイメージの差別化ができているのか、などを可視化することができます。
「どんな競合よりも◯◯なイメージでありたい」という目的があるのであれば、上記の分析方法で自社の現状把握や競合の認知が可能です。
コレスポンデンス分析のメリットは大きく2つです。
クロス集計表もカテゴリーごとの要素を比較するものですが、カテゴリー数が増えれば増えるほど、数表から結果を読み解くことが難しくなります。
一方コレスポンデンス分析では、二次元マップで直感的に傾向を確認できるため、視覚的に結果を分析することが可能です。
また、コレスポンデンス分析は集計前のローデータが手元になくても、クロス表があれば分析が可能なため、インターネット上に公開されているデータを利用することもできます。
コレスポンデンス分析のデメリットは大きく以下の2つです。
コレスポンデンス分析では、情報間の割合で散布図が作成されますが、マッピングされたそれぞれの点からn数を確認することができません。
例えば、散布図上でAというブランドと「話題性がある」という要素が近くに配置されていたとします。
しかし、クロス表ではBというブランドの方が「話題性がある」のn数が多いというケースがあるのです。クロス表の回答数や割合の大きさが点の位置関係と一致するとは限らないため、データ解釈を誤る可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。
また、選択された項目はブランドや商品のイメージですが、それがカスタマーによって「良いことか」までは判断できません。自社ブランドの現在のポジショニングは把握できますが、もっとファンを増やすためにはどうすべきかは、また別の思考ポイントとなる点は覚えておきましょう。
コレスポンデンス分析を行う際には、いくつか気をつけておくべきポイントがあります。
コレスポンデンス分析のデメリットでも紹介しましたが、散布図ではサンプルサイズを確認できません。そのため、散布図で自社のポジショニングを確認できたあとは、必ずクロス集計表にも立ち返り、数値上でのブレが発生していないか確認するようにしましょう。
そして、コレスポンデンス分析の散布図において、個人の解釈で判断がわかれてくるポイントが、縦軸と横軸の考察です。マッピングされたデータ上からは、それぞれの要素の位置関係がわかります。
しかし、全体の傾向値は分析者が考察する必要があります。例えば、縦軸の上部には「ブランド」下部には「価格」という項目が、横軸の左には「機能」右には「デザイン」が配置されていたとしましょう。この場合、縦軸は「ブランド重視度」と考え、横軸は「スペック重視度」と考えることができそうです。この軸を決めて散布図をみることで、マッピングされたブランドの大まかな傾向値を知ることができるのです。
コレスポンデンス分析を有効に活用するためには考察力も必要、という点は理解しておきましょう。
コレスポンデンス分析とは?という説明から、分析手順や活用事例、メリット・デメリットまで解説しました。
マーケティングにおいて、自社のポジショニングを見極めることは非常に重要です。そして、コレスポンデンス分析を使うことで視覚的にポジショニングを確認することができ、ブランディングの見直しや、商品開発に活かすことができます。
コレスポンデンス分析で分析できる対象はさまざまです。「何のために実施するのか」によって、収集すべきデータや分析方法、考察の方向性も変わりますので、ぜひ目的を明確にした上で、効果的にコレスポンデンス分析を活用してください。
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