2019.12.05
ラダーリング法とは
ラダーリング法とは・・・ 環境心理学の分野で用いられる評価グリッド法で用いられる質問法で、 「なぜあなたにとってこの商品は価値があるのか」 といっ……
公開日:2022.06.14
食品の商品開発には、その他の商品の開発にはない特徴があります。
おいしさと健康・命はいずれも難しいテーマであり、すべての食品メーカーの開発担当者を悩ませているはずです。しかし、おいしさと健康・命を両立できる食品を開発できたら、それを世界中の人が食べることになるかもしれず、この仕事には夢があります。
食品開発がどのように進んでいくのか解説します。
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食品の商品開発で大前提になるのが安全性です。安全でない食品は食品ではない、といってよいでしょう。
食品は口から入ったあと体内に吸収されます。人の体は食品でできていて、不安全な食品は健康を害し、最悪命に関わります。食中毒は食品が人を傷つける現象といえます。
そのため国も食品づくりには強い規制をかけていて、食品安全基本法という法律があるくらいです。この法律は、食品の安全性の確保について、健康の保護が最も重要であるという基本的認識のもとで行われなければならない、と定めています(同法第3条、*1)。
さらに、厚生労働省と農林水産省と消費者庁と環境省が食のリスクを管理し、食品安全委員会が食のリスクを評価します(*2)。これだけ法律や省庁によって監視・管理されている商品は珍しく、食品の商品開発はいわば「がんじがらめ」の状態から始めることになります。
*1:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000048
*2:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/safety_system/
食品の商品開発では、安全性の確保の他にもう1つ大きな壁があります。それは日本の食品市場が飽和状態にあることです。
仮に今、日本のすべての食品メーカーが商品開発をやめても、そして既存の食品しかつくらなかったとしても、日本人の健康は保たれ、飢えを感じることもなく、楽しい食生活も維持されるでしょう。それくらい品質の高い食品が大量に出回っています。
したがって食品メーカーの開発担当者は、飽食状態にある日本人を満足させなければなりません。それには高い価値の食品を開発する必要があります。
おいしさと健康・命の他に、差別化、付加価値、体験、楽しさ、驚きも、食品開発担当者の重要テーマになります。
おいしさ、健康・命、安全性、法律、差別化・付加価値という制約があるなかで、では食品開発担当者はどのような食品を生み出していかなければならないのでしょうか。
開発すべき食品は、少なくともこれらの特徴のうち1つは持っていなければなりませんし、特徴が増えればさらによい食品になります。それぞれどのような食品なのかみていきましょう。
人類はおいしさの追求に貪欲なので、食品開発担当者もおいしさを研究し続けなければなりません。
おいしさは、うま味、甘味、酸味、塩味、苦味で構成され、さらに見た目や香り、食感、食事の雰囲気の影響も受けます。食品開発担当者は、これらの要素を開発中の食品にどうやって盛り込んでいくか考えていかなければなりません。
意外に感じるかもしれませんが、食事の雰囲気もおいしさに影響を与えます。例えば、普段はなんとも思わないコンビニのおにぎりが、登山をして山頂で食べると抜群においしくなるのは食事の雰囲気が変わったからです。したがって食事シーンも考えておいしさを開発していかなければなりません。
消費者は新しい食品を求めています。年配の人なら、ティラミスを食べたときの衝撃が忘れられないのではないでしょうか。これも古い話になりますが、ラーメンに味噌を入れたときも、酢飯を軍艦巻きにしてウニをのせたときも、食通をうならせました。
また最近では、タピオカと高級食パンの大流行は「食の事件」といえるレベルのものです。タピオカは以前にも少し日本で流行しましたが、突如再び見直され一大ブームになりました。高級食パンは「食パンは安価」という常識を覆してヒットしました。このように既存の食品をリニューアルさせることでも、新しい食品以上のインパクトを生むことができます。
家族で食卓を囲むことは、人の幸せの上位にくるはずです。食には人々を幸せにする力があります。
これまでに開発された、人々を幸せにする食品には次のようなものがあります。
なんてことのない食品でもシチュエーションによって、また演出を加えることによって幸せ食品に変わります。
食品メーカーが利益を得るには、売れる食品をつくっていかなければなりません。
先ほど食品開発には、「おいしさ、健康・命、安全性、法律、差別化・付加価値」という壁があると解説しました。ところがこれらの壁を越えて完成した食品でも売れないことがあります。厳しいビジネス環境で食品メーカーが生き残るには、ときに「売れることが正義」という考え方が正しくなることがあります。
例えば食品メーカーがナショナルブランド(NB)として売っていた食品の売れ行きが低迷したため、小売企業の要請に応じてプライベートブランド(PB)の食品をつくることになる、といったことが起きています(*3)。NB食品とPB食品は中身が同じで、同じ原料を使って同じ製造法でつくり、パッケージだけが異なります。
しかしPB食品にすることで小売企業が販売に力を入れてくれるので、よく売れるようになります。もちろんこの食品メーカーにとってはNB食品の利益率のほうが高いのですが、工場の稼働率や売上高を考えるとPB食品をつくったほうがよいと判断できるわけです。
これも食品開発戦略になります。
*3:https://www.nikkei.com/article/DGKDZO43104130Y2A620C1TJ0000/
日本人の安値志向はとても強く、値上げを嫌う傾向は国民性ともいえます(*4、5)。そのため食品メーカーもラインナップに安い食品を並べる必要があります。
食品開発担当者は「コストをかければおいしくて安全な食品をつくることができるのに…」と考えるかもしれませんが、常にシビアなコスト計算が求められます。
安くておいしくて安全な食品を開発するには、原材料から吟味する必要があり、さらに製造方法や販売方法、パッケージデザインも検討しなければなりません。これも食品開発担当者に与えられた課題です。
*4:https://www.asahi.com/articles/ASP970GSYP8JULFA00R.html
*5:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA24BAM0U1A920C2000000/
「いくら高額になってもよい、おいしければまったく問題ない」という消費者も存在します。そのような人たちに向けた食品も開発テーマになります。
今、高級冷凍食品というジャンルの冷凍食品が注目を集めています(*6、7)。例えば「黒毛和牛と黒豚のハンバーグ、洋食デミグラスソース、1人前1,080円」「イタリアン食べ比べ7点セット、前菜・デザート付き、5,299円」といった冷凍食品があります。
食への出費を惜しまない富裕層は、食品の商品開発の重要なターゲットといえます。
*6:https://www.shoproyal.jp/shop/r/r04_sspd/
*7:https://www.picard-frozen.jp/Form/Product/ProductList.aspx?shop=0&cat=CATDSH&pgi=&cicon=&dosp=&dpcnt=40&img=2&max=&min=&sort=13&swrd=&udns=2&fpfl=0&col=&sfl=0&pno=
食品の商品開発の進め方は、おおよそ次のような流れになるでしょう。
食品の商品開発の進め方
●アイデア出し
↓
●企画づくり
安全性や関連法を確認する
プレゼン
↓
●コンセプトの決定
↓
●計画策定
価格、売上、経費、利益、納期を予想する
食材調達計画、製造計画を立てる
↓
●試作をつくる
営業や広告の準備に入る
↓
●試作の出来栄えを調査
アンケートなどを実施する
↓
●食材を調達する
●製造方法を確立する
↓
●製造
↓
●営業、販売、広告
コンセプトを決定する前に、安全性や関連法の問題をクリアしておかなければなりません。
コンセプトができあがったら計画策定に入ります。ここでは1)お金まわり、2)食材、3)製造が3大課題になります。利益が出るのか、食材を確保できるのか、つくれるのか、の見通しを立てます。
試作は消費者に食べてもらってアンケートを実施したほうがよいでしょう。試作で手応えが得られたら、食材を買って製造に入ります。営業と広告は、試作段階から準備を進めていきます。これに販売を含めた業務は、開発担当者とマーケティング担当者などが相談しながら進めていくことになります。
食品は人が生きるための欠かせない商品であり、人生を豊かにする商品でもあります。そのため食品の商品開発ではさまざまなアプローチが可能です。
誰に食べてもらいたいか、どのようなシチュエーションで食べてもらいたいか、笑顔にするにはどうしたらよいか――このようなことを考えながら進める食品の商品開発は、やりがいがあります。
ただし、法規制が厳しい分野でもあり越えなければならないハードルは他の業界より多いかもしれません。食品の商品開発は難しいからこそ、成功したときの喜びが大きくなります。
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会場調査で行う「試飲・試食・パッケージ評価」テンプレートと解説
会場調査当日の調査票(本調査票)は、その内容によって様々なパターンがあります。調査票は、調査目的に沿って、出てきた結果が信頼できる・活用できるものになるよう、慎重に作成しなければなりません。
ここでは、一般的なパターンの紹介と、調査票作成・実査当日の注意点について解説しています。例として、既に発売されている飲料の味とパッケージのリニューアルの場合を例に取り上げて説明しています。
下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
●試飲・試食調査、パッケージ評価の実施を検討している
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商品開発における調査企画・設計の事例
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