2022.11.15
デシジョンツリー分析(決定木分析)とは?考え方からわかりやすく解説
「デシジョンツリー分析(決定木分析)」とは情報を樹形図のかたちに整理・分析して、情報がどのような構造を持っているかを視覚的に表現する分析手法です。 世の中……
公開日:2022.06.08
メーカーの社員で、商品のパッケージを軽視している人はいないでしょう。しかし商品パッケージを重視しなければならない理由を挙げることは案外難しいのではないでしょうか。
消費者はときに、パッケージに対して抱いた印象を商品そのものの価値とみなす、感覚転移という現象を起こします(*1)。
つまり、開発者が頑張ってもマーケターが努力しても売れなかった商品が、パッケージを変えただけで売れるようになる、という現象が起きるということです。
メーカーはぜひ、パッケージのデザインにこだわってみてください。
*1:https://www.advertimes.com/20141215/article177269/
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消費者は自分が買いたいものだけを買っているわけではありません。メーカーから「提案」され、その提案に賛同または納得できたときに買います。
提案の1つがパッケージ・デザインになります。パッケージは消費者の心を揺さぶって「買い」に走らせます。
「ジャケ買い」とは、消費者が、レコードやCD、DVDなどのメディア商品を、内容を一切吟味せず、店頭でみたジャケットのデザインだけで買う購買行動のことです。
ジャケ買いはパッケージが商品を買わせた典型といえます。
どの商品でもジャケ買いを誘発することができます。例えば、インスタントラーメンのパッケージにおいしそうな調理見本の写真をあしらえば、ラーメンを食べたいと思っていなかった人にその商品を手に取らせることができます。
リサーチ会社がパッケージ・デザインの好感度調査を行ったところ、2017年はこげ茶色が好感され、2018年は濃厚さを訴求したパッケージが支持され、2019年は高級感や質感を表現したパッケージが人気だった、ということがわかりました(*2)。
このことから、パッケージ・デザインが消費トレンドをつくり、そして、消費トレンドをパッケージ・デザインに反映させられる、ということがわかります。
*2:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00002/00067/?i_cid=nbpnxr_parent
パッケージのデザインが消費者の心を動かすことができるのは、次の5つの効果があるからです。
1つずつ解説します。
先ほど紹介したジャケ買いは、パッケージ・デザインの「買いたい」と思わせる効果の1つです。
パッケージを使って「この商品はこのような商品ですよ」と知らせることができるのですが、これを使って「買いたい」という思いを生み出すことができます。
例えばホチキスのパッケージに「コピー用紙30枚でも軽々とめることができます」と書かれてあれば「買いたい」と思わせることができます。
パッケージに北海道の地図があしらわれているだけで、アイスクリームもコロッケもおいしそうに感じます。それは「北海道は農業王国」という知識があり、それが「北海道の牛乳とジャガイモを使っていればおいしいはず」と連想させるからです。
「おいしいはず」という思いは、「買いたい」につながります。
コンセプトを重視した商品の場合、それをパッケージ・デザインで消費者に訴求することができます。
例えば、缶コーヒーは圧倒的に男性に飲まれているのですが、もしあえて若い女性向きの缶コーヒーを開発することになったら、何をしなければならないでしょうか(*3)。直感的に缶のデザインをかわいらしくしなければならない、と発想するはずです。
なぜならコーヒーの場合、味だけで女性専用をつくることが難しいからです。ところが缶をピンクにするだけで、消費者は一瞬で「女性向けの缶コーヒーなのだろう」と気がつきます。
パッケージの色味だけで、女性向け商品であることを(または男性向け商品であることを)消費者に瞬時に知らせることができるわけです。
さらにパッケージの素材や、パッケージに描くキャラクターやレタリングやコピーを使いわけることで、プレミアム感、チープ感、重厚感、軽快感、世界観なども演出できます。
*3:【 缶コーヒーの利用 】に関するアンケート調査(第11回)/マイボイスコム株式会社
パッケージはブランディングにも寄与します。例えば、メーカーが高級ブランドを構築したいと考えたら、パッケージにもこだわっていく必要があります。
なぜならブランド志向の消費者にとって、パッケージも愛でる対象になるからです。ブランド志向の人はよく「このブランドはパッケージも素晴らしい」と言い、見た目を重視します。
パッケージは包装資材なので、商品を守る機能があります。しかし包装資材としての機能とデザインを区別して考える必要はありません。
例えば、日光や紫外線によってダメージを受ける商品のパッケージは暗い色を使うわけですが、黒や茶色はクールさ、渋さ、落ち着きといった印象を持たせることができます。
中身の商品をみせるためにパッケージの一部を透明にするなら、その部分をハート形にすることもできます。
パッケージに見た目のインパクトを持たせると、消費者に「SNSで誰かに知らせたい」欲を喚起することができます。
ビジュアル系SNSであるインスタグラムやユーチューブはいうに及ばず、最近は文字系SNSのツイッターやフェイスブックでも画像が重視されます。
つまり、見た目のインパクトがある商品は、それだけでSNSユーザーの注目を浴びることができるわけです。
SNSで拡散されることを念頭においてパッケージをデザインすることも、商品戦略に加えてもよいくらいです。
かつて「人は見た目が9割」という本がベストセラーになりましたが、それくらいビジュアルは強いインパクトを持ち、ときに内容の価値を超える価値を生み出します(*4)。
メーカーがパッケージをデザインするとき、「商品はパッケージが9割」と考えてもよいと思います。それくらい強くこだわることで、消費者に「よく知らないけど買ってみたい」と思わせることができます。
「よい商品を開発することができた」と感じたときこそ、パッケージにはこだわりたいものです。パッケージに惹かれて手に取ってもらえれば、商品の実力を早く確実に知ってもらえるからです。
*4:人は見た目が9割/竹内一郎/著
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