2024.07.19
ユークリッド距離とは
ユークリッド距離(Euclidean distance)は、空間内の2点間の直線距離を算出する方法であり、数学や機械学習、画像解析など多くの分野で基本的な概念と……
公開日:2022.12.20
SMOT(エスモット)とは、「消費者が商品を使用し、その良し悪しを判断・評価し、リピートを決める瞬間」を表す購買メンタルモデルです。
「Second Moment of Truth」の略称で、P&G社のCEOであったアラン・ラフリー氏が提唱しました。読者の皆さまも、ある商品を使用して「あ、これすごくいいな!また買おう!」と感じて再度購入をしたり、その会社やブランドのファンになったりした経験があるのではないでしょうか。消費者がその商品や体験を通じて、満足度が高ければ再び同じ商品もしくは同じ会社の別の商品を購入してくれる可能性が高くなります。
マーケティングの世界では、新規顧客を獲得するには既存顧客の5倍のコストがかかるという「1:5の法則」があります。既存顧客は一度商品を購入しているため、新規顧客より少ないコストで購入してもらうことができます。つまり、リピーターの獲得にはSMOTの体験価値を最大限に高めることが重要で、ビジネスにおいて大きな成果を生み出すことができます。
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SMOTの前後にはZMOT・FMOT・TMOTという購買メンタルモデルがあります。これらも購買行動における消費者心理を分析したものになります。
ZMOT(ズーモット)とは 「消費者が実店舗を訪れる前にインターネット上の情報をもとに購入したい商品を決める瞬間」を表す購買メンタルモデルです。「Zero Moment of Truth」の略称で、Googleが提唱したマーケティング理論です。SMOTは商品を使用する段階のモデルですが、ZMOTは店舗で商品に触れる前のゼロ段階を定義しています。現在はインターネットを使った情報収集が一般的になったことで、店頭に行く前から商品・サービス、ブランドと消費者との交流が発生しています。既に来店時には何を買うか決定していることも珍しくないでしょう。ZMOTで選ばれる製品やブランドになるためには、自社サイトやSNSの媒体やコンテンツが顧客目線でどのように評価されているかを調査し、検討、改善し続けることが大切です。
FMOT(エフモット)とは 、「消費者が商品を購入する場で製品を初めて目にする最初の瞬間」を表す購買メンタルモデルです。
「First Moment of Truth」の略称で、SMOT同様、P&G社のCEOであったアラン・ラフリー氏が提唱しました。P&G社では2000年代前半、消費者の行動分析によって「消費者は、店頭の商品棚を見てからの3秒〜7秒の間に、展示やパッケージを見て商品を買うかどうかを決定している」ということを発見し、展示や店頭施策、パッケージデザインなどの店舗体験の重要性を提唱しました。現在では前述のZMOTが購買意思決定に大きな影響を与えるようになったため、必ずしも汎用的に当てはまるメンタルモデルとは言えません。しかし、スーパーやコンビニで購入する日用品や食料品など、購入頻度が高く、消費者が事前に情報収集をあまり行わない傾向にある製品であれば、FMOTは十分に活用できるでしょう。
TMOT(ティーモット)とは 、「消費者が商品を繰り返し購入・使用するうちに愛着が芽生え、愛用者として定着する瞬間」を表す購買メンタルモデルです。「Third Moment of Truth」の略称で、文字通りSMOTの次の段階になります。多くの商品は、買って、使って、一度きりで終わりというものではありません。家電製品などの耐久消費財であれば使い続けますし、日用品やサービスなども再購入の機会があります。
そして、これらの体験の繰り返しを通じて、消費者の気持ちが更新されたり、積み重なったりしていきます。良いTMOTが続けば、商品やブランドに対する愛着が高まってファンとなり、支持し続けてくれるでしょう。さらに、商品やサービスについての好意的なレビューや口コミ、SNSへの投稿を行ってくれることも見逃せません。それがきっかけとなり、新たな消費者獲得に繋がるというポジティブスパイラルを生み出すのです。
ここまで紹介した購買メンタルモデルを時系列に並べてみます。
Stimulus(広告など)→ZMOT(商品を知る)→FMOT(商品を見る)→SMOT(商品を使う)→TMOTで(ファンになる)→ZMOT(他の消費者が商品を知る)というサイクルになります。
このメンタルモデルを理解しておくことで、マーケティング施策を企画する際にどの段階の消費者に向けて実行するものか、目的が明確になります。
SMOTでは、消費者がその商品を利用して満足した瞬間に、次の消費行動を促すマーケティング施策の実行が重要になってきます。いくつかの事例を紹介します。
商品を使用して良い評価、満足を得た顧客には、ぜひリピーターやファンになってもらい、再購入や周囲への拡散に繋がるように、顧客をナーチャリング(育成)していきましょう。顧客と継続的なコミュニケーションを行うための代表的なアプローチとしてメルマガがあります。メルマガを通じて、購入の御礼、商品の使い方紹介、関連製品のおすすめなど、顧客に有益な情報を提供していくことで、継続利用や再購入の可能性を高めることにつながっていきます。
新規顧客をリピーターとして定着させるためには、継続的に製品やブランドに関わる機会やメリットを提供することが欠かせません。
例えば、次回利用可能なクーポン、新製品の試供品などを購入時やユーザー登録時に送ることで、製品やブランド全体に触れる機会を増やすことが可能です。また、SMOTで満足度の高い顧客に対し、SNSへの写真やレビュー投稿を促すキャンペーンも効果的です。その投稿を消費者が見て購買意欲が喚起されるといったZMOTの観点からの新規顧客獲得も期待できます。
前述の通り、商品を使用して良い印象を持ってくれた顧客に対し、積極的に次の施策を打っていきたい一方、コミュニケーション方法を間違えてしまうと製品やブランドから離れていってしまうリスクもあります。例として、不要なメルマガ送信によるユーザーの不満が挙げられます。
メルマガはコストが安く、顧客にダイレクトに情報を提供できるメリットがありますが、顧客にとって有益な情報でなければ読んでもらえず、読む価値のないメールを送り続けてしまうことで企業への印象を下げることにもなります。メルマガ実施の際にはコンテンツ、シナリオ、配信時間、配信数、解除方法など、顧客の視点に立った設計と運営が重要です。
SMOTのメンタルモデルを用いてリピーターやファンを獲得するためには、自社製品やサービスの顧客セグメントとニーズを理解し、最適なマーケティング施策を行うことが必須といえます。顧客セグメントの理解には、会員情報や購買データからわかる属性や商品情報だけでなく、例えば商品の使い方、情報収集の方法、クーポンやキャンペーンへの興味、趣味嗜好など、より深い消費者行動・消費者心理の情報が必要です。
これらの情報収集に有効なアプローチとして、実際の購入者に対するアンケートが挙げられます。アンケート結果をもとに、例えば「クーポンに興味のある層」「高品質の商品を求める層」「関連製品に近い趣味を持った層」などの分析ができると、的確な対象へ効果的な施策を取ることが可能です。そのためには、顧客の情報収集を行うための調査設計、そして顧客を適切にセグメンテーションするための分析手法が重要になります。
顧客に商品を購入、使用してもらい、さらにはリピーターやファンになってもらうためにはSMOTのような購買行動を起こす瞬間をとらえたプロモーションや体験づくり、そしてZMOT・FMOT・TMOTとのサイクルを意識した顧客ナーチャリングが重要です。このような購買行動の瞬間における、有効なマーケティング施策を行っていくためには、消費者へのより深い洞察が必要です。
そのためにも、消費者アンケートは非常に有効なアプローチといえるでしょう。
しかし、消費者アンケートの設計と分析にはプロの技術が必要です。 SMOTを活用した施策開発を検討される場合、まずはマーケティングリサーチ会社へのご相談をおすすめします。
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アンケート調査の方法と種類について
一般的にネットリサーチという言葉は調査の手法のことを指し、5W1Hでは「What(何をやるのか)」の部分にあたります。 一方、よく知られる顧客満足度調査(CS調査)や従業員満足度調査(ES調査)などは、「Why(なぜ、何のために)」にあたり、調査の種類という位置づけとなります。
アンケート調査は調査票が全てですので、データの質を担保したい場合は、プロのリサーチャーを擁する調査会社に調査票の作成から相談することをおすすめします。
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