2019.12.04
モナディック法(モナディックテスト)とは
モナディック法(モナディックテスト)とは・・・ 試飲・試食評価などにおける単独評価のこと。ピュア・モナディックとも言います。 例えばビールのよう……
公開日:2022.09.26
市場調査を担当される方の中には「調査設計をどのように進めたら良いのか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事ではより良い市場調査を実施するために、調査設計の手順とコツについて解説します。
企業などがビジネス上の課題を解決する際、重要なのがマーケットやユーザーの情報を得ることです。例えば「新商品の売上が思うように伸びない」「これまで順調だった既存店の売上が減少している」という問題が浮かび上がったとき、「何が問題だったのか」「どのように軌道修正すれば良いのか」が分からず、対策に困ることがあるかもしれません。このような問題を回避するために用いられるのが市場調査(=マーケティングリサーチ)です。市場調査ではマーケットやユーザーから情報を得ることで、企業が進むべき方向性を明確にできます。また、仮に方向性を誤ったとしても問題点をデータとして把握し、次のアクションに活かすことが可能です。
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市場調査は以下のような流れで行われます。
市場調査では各段階において、必要関係者の合意を形成することがとても重要です。特に初期段階で関係者の認識違いをなくしておかないと、大幅な時間や費用のロスにつながります。各段階で決定すべきことを明確に提示して、明らかな形で合意事項を残しておきましょう。
市場調査を行う際、どのような調査内容にするかを決めるのが「調査設計」です。調査設計を建築で例えるなら、「設計書づくり」にあたります。調査設計は「市場調査の流れ」におけるSTEP1~3に該当します。調査設計は調査全体に及ぼす影響がとても大きい作業です。良い市場調査を実施できるかは、調査設計によって大部分が決まるといっても過言ではありません。
組織が抱える課題は多種多様である上、時代のニーズによって大きく変化します。また、調査によって得たい情報がユーザー心理などの定性情報の場合もあれば、数値データなどの定量データの場合もあり、それによって調査手法や実施方法を細かく組み立てなければなりません。このような多種多様な課題、調査によって得たい情報、調査手法や実施方法をうまくまとめ上げ、マーケティングリサーチが最終的に有益な情報入手につながるよう導くのが「調査設計」です。
調査結果は組織の意思決定に役立ってこそ、初めて価値を生み出します。もし、その価値を生み出せなければ、どれほどの手間をかけたとしても調査は評価されません。調査を組織にとって価値あるものとするため、最も重要な作業が「調査設計」と言えるでしょう。
調査設計をどのように進めていけば良いか、そのステップについて解説します。調査設計でミスが発生すると、後々大きな影響を及ぼします。各ステップでは、可能な限りあいまいな内容が残らないように検討していきましょう。
調査設計において最初にすべきことは、マーケティング課題を明確にすることです。分かりやすい言葉にするならば、「問題点は何か?」。「既存店売上が減少している」「新商品の売れ行きが芳しくない」「自社サイトへのアクセス数が伸び悩んでいる」…。まずは自分たちが困っている問題点を明確にしてください。
マーケティング課題=問題点が明確になったら、その事実が発生している原因を深掘りしていきます。ここで注意しなければならないのは、単純に問題を裏返しにしないこと。
「既存店売上が減少」→「既存店売上をアップさせる」
このような問題の裏返しは単なる理想になりがちで、具体的な問題解決にはつながりません。大切なのは問題が発生している原因を深掘りし、調査によってその原因を明らかにすること。そのためには、問題に対して「なぜ」を繰り返してください。
なぜ既存店売上が減少しているのか? → 客数が減少している
なぜ客数が減少しているのか? → リピーターの来店頻度が減少している
なぜリピーターの来店頻度が減少しているのか → 「その原因を知りたい!」
このように事実に対して「なぜ」を問いかけ、可能な限り事実で回答していきます。するとどこかの段階で「事実」で回答できなくなります。その回答できなかった事実こそが、市場調査によって入手したい情報です。入手したい情報が明らかになれば、その情報を入手したらどのようなアクションにつなげたいのかを考えましょう。
「リピーター来店頻度減少の原因を把握する」
→ プロモーション実施
商品開発へのフィードバック
店舗イメージの変更など
調査目的を設定できたら現段階で入手可能な情報を集めて、現状がどうなっているのかを分析します。例えば目的が「リピーター来店頻度の減少理由を把握し、プロモーション活動につなげる」というケースを想定します。この場合、以下のような観点から状況分析が考えられます。
・減少しているのはリピーターだけなのか?
・減少している年齢、性別、地域の偏りはないか?
・減少しているのは自社だけ、業界全体?
・減少している店舗の競合関係は?
・自社店舗と競合店とのイメージ差は?
現状分析の段階では入手できるデータに限りがあるため、必ずしも的確な分析はできません。ですが、分析を深めることで、何かしら問題解決のヒントが見えてくる場合があります。
実は、このヒントを見つけ出せるかどうかが、調査設計担当者に問われる重要なスキルです。この分析を的確にできるかによって、調査設計の質は大きく変わります。できれば組織内だけでなく、外部専門家の力も借りて分析することをおすすめします。
現状分析から入手したい情報のヒントを見いだせたら、そのヒントに基づいて問題点が発生している原因の仮説を立てます。
・競合A店のイメージがアップすることで相対的に自社店舗の魅力が下がっているのでは?
・競合A店のイメージがリピーター層のニーズにマッチしているのでは?
・リピーター層のニーズと自社が展開しているイメージに食い違いが起きているのでは?
このように仮説を立てることで具体的に入手すべき情報の方向性が見えてきます。ここで注意する点は、仮説はあくまで想定でしかないこと。必ずしも自分たちが立てた仮説が的中しているとは限りません。そこで、仮説は一つに限らず、第二、第三仮説くらいまで立てておきましょう。
仮説立案ができたら、次に仮説が裏付けされた際のアクションを想定します。仮説の裏付けは貴重な情報ではありますが、それが具体的なアクションにつながらなければマーケティング課題は解決されません。仮説に対しては、その後、どのようにアクションできるかをセットで考えましょう。調査後のアクションは「理想が高すぎない」「現状に流されすぎない」という2つのポイントを、うまくミックスさせて想定してください。
「マーケティング課題」「調査目的」「仮説」「調査後のアクション」が出揃ったら、次は調査計画を作成します。
●どのような人に調査を行うべきか(調査対象)
調査目的に応じて、また、必要なサンプルサイズと割付を考慮して対象者を設定します。
●知りたい情報を手に入れるにはどのような調査をするべきか(調査手法)
調査目的や取得したいデータの種類等に応じて選定します。主な調査手法は以下の通りです。
【定性調査】
-グループインタビュー
-インデプスインタビュー
-行動観察調査
-日記調査
●調査結果を具体的アクションにつなげるにはいつまでに必要か(期限)
具体的にアクションを行う日から逆算し、事前に調査結果がいつまでに必要かを確認しておく。
●調査にいくら費用をかけられるのか(予算)
調査にかけられる予算と、どのぐらいの規模感の調査を実施したいのかを事前に確認しておく。
調査設計は担当者のスキルと経験がとても重要です。設計のコツはいくつもありますが、ここでは2点に絞って紹介します。
一つ目は「仮説思考を持つこと」。仮説思考とは簡単に説明すると「なぜ?」という意識を持つこと。
仕事を行う際に「なぜ?」と考えることで、その仕事を求められている理由が分かるようになります。そうすると、「なぜそれを求めているか?」という仕事の背景を想定できます。この想定こそが「仮説思考」です。「仮説思考」によって問題の本質を理解するスキルが身に付き、そのスキルが調査設計に反映されます。日頃からいろいろな問題を「なぜ?」と考え、仮説思考を高めていきましょう。
もう一つの方法は「詳しい人に相談すること」。調査設計に限らず、何事も未経験者が手探りで行動するのは効率が良くありません。失敗しながらスキルを高めていくという方法もありますが、そのためには相応の時間と環境が必要です。まずは詳しい人に相談して、調査設計の作り方を学んでいきましょう。その上で経験を積みながら、少しずつ調査設計スキルを向上させてください。
調査設計はマーケティングリサーチを成功させるために、とても重要なステップです。ですので、このステップを上手に組み立てられれば、マーケティング課題の解決に大きく貢献できます。考えるべきことは難しく、やるべきことはたくさんあります。もし、方向性を見失いそうになった時は、原点である「何のための調査か?」を考えて適切な調査設計を行っていきましょう。
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