2024.11.20
アンケート設計の作り方とは?基本から回答率アップのポイントまでを解説
ビジネスにおいて、顧客の声を収集し、そのニーズや実態を的確に把握することは、商品開発やサービス改善、そして顧客満足度向上のために、とても重要です。そのための有効……
公開日:2024.11.14
近年、商品開発の競争が激化する中で、消費者の本音を知り、本当に求められる商品を開発することがますます重要になっています。そこで注目されているのが、ホームユーステスト(HUT)です。ホームユーステストは消費者が普段の生活の中で自然な形で商品を使用することで、よりリアルな意見や行動を把握できる調査手法です。
この記事では、ホームユーステストの概要からメリット・デメリットや注意点などについて、詳しく解説します。
ホームユーステスト(HUT:Home Use Test)とは、調査対象者の自宅に商品サンプルを送り、普段の生活の中で一定期間、実際に商品を使ってもらう調査手法です。消費者は、自宅というリラックスした環境で、自分のペースで商品を試すことができます。
例えば、新発売のシャンプーを1週間試用してもらい、使い心地や香り、効果などを評価してもらったり、新しいタイプのコーヒーメーカーを2週間試用してもらい、使い勝手やコーヒーの味、デザインなどを評価してもらったりするといった形で活用されます。
ホームユーステストは、食品や飲料、化粧品、日用品など、様々な商品カテゴリーで幅広く活用されており、消費者ニーズを的確に捉え、商品開発に活かすための有効な手段として、多くの企業で導入が進んでいます。
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ホームユーステストは、新商品や改良品を開発する上で、消費者の率直な意見を収集し、商品開発に役立てることを目的としています。具体的には、新製品のコンセプトや試作品に対する消費者の反応を把握して製品開発の方向性を検討したり、複数の試作品を比較評価して最適な製品を選定します。
また、競合製品と自社製品を比較評価して自社製品の強みや弱みを分析したり、競合製品に対する消費者の評価を把握して市場における競争力を分析したりすることも可能です。
さらに、ホームユーステストを通して、消費者の使用実態やニーズを深く理解できれば、効果的なマーケティング戦略を立案したり、製品開発や広告戦略に反映させられます。
商品テストの手法として、ホームユーステストと並んで挙げられるのが会場調査(CLT:Central Location Test)です。会場調査は、調査対象者を特定の会場に集めて、商品を試用してもらう調査手法ですが、ホームユーステストとは実施場所や方法、得られる情報に違いがあります。
ホームユーステストが調査対象者の自宅で商品を一定期間自由に試用してもらうのに対し、会場調査は調査会社が用意した会場で、調査員の指示のもと、決められた手順で試用してもらいます。そのため、会場調査では、すべての調査対象者に同じ条件下で商品を試用してもらえるため、客観的なデータを得やすいというメリットがあります。
例えば、新しい掃除機をテストする場合、ホームユーステストでは、消費者が自宅の様々な場所で実際に掃除機を使用し、使い勝手や吸引力、ゴミ捨てのしやすさなどを評価してもらいます。一方、会場調査では、会場に用意された決められたゴミを使って、同じ条件下で掃除機を試用してもらい、客観的な性能評価を行うことができます。
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ホームユーステストは、商品開発やマーケティングにおいて、多くのメリットをもたらします。主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
ホームユーステストは多くのメリットを持つ調査手法ですが、同時にいくつかのデメリットも存在します。ホームユーステストを実施する際は、以下のようなデメリットを理解しておくことが大切です。
ホームユーステストを実施する際には、テスト製品をどのように提示するかを検討する必要があります。提示方法によって、消費者の評価や得られる情報が変わってくるため、調査目的に合った方法を選択することが重要です。
テスト製品の提示方法は、大きく分けてブラインドテストとブランデッドテストの二つがあり、以下表はその説明となります。
提示方法 | 詳細 |
---|---|
ブラインドテスト(Blind Test) |
ブラインドテスト(Blind Test)とは、ブランド名やメーカー名を隠して、商品そのものの品質や性能を評価してもらう方法です。パッケージは、無地の白箱やテスト用のラベルなどを用います。 この方法のメリットは、ブランドイメージや先入観に左右されず、消費者からの客観的な評価を得られる点です。その一方で、実際の購買行動とは異なる状況での評価となるため、市場投入後の評価を予測しにくいというデメリットもあります。 |
ブランデッドテスト(Branded Test) |
ブランデッドテスト(Branded Test)とは、ブランド名やメーカー名を開示して、実際の購買に近い状況で評価してもらう方法です。パッケージには、市販されている(または市販予定の)ものを使用します。 この方法では、ブランドイメージを含めた総合的な評価を得られ、実際の購買行動に近い状況での評価となるため、市場での成功を予測しやすいというメリットがあります。しかし、ブランドイメージに影響され、客観的な評価を得にくいというデメリットには注意が必要です。 |
ブラインドテストとブランデッドテストは、それぞれにメリット・デメリットがあります。そのため、ホームユーステストの目的によっては、両方を組み合わせた複合型を用いることが可能です。
主な複合型の調査方法は、以下の2つの方法です。
複合型のテストを用いれば、ブランド効果を数値化することが可能です。具体的には、ブランデッドテストの結果からブラインドテストの結果を差し引くことで、ブランドが商品評価に与える影響を定量的に把握できます。
ホームユーステストの目的は、消費者にテスト製品を実際に使用してもらい、その評価を得ることです。そのため、価値ある情報を得るためには、適切な評価手法を選択する必要があります。
ホームユーステストで用いられる主な評価手法は、モナディックテスト(Monadic Test)と直接比較法(Direct Comparison Test)の二つです。
モナディックテストとは、調査対象者一人ひとりに、一つのテスト製品を試用してもらい、その製品に対する評価を絶対評価で得る方法です。この方法は、現実の購買行動に近い状況を再現できるため、消費者が実際に商品を購入する際にどのような判断をするのかを把握するのに役立ちます。また、それぞれの製品を独立して評価するため、他の製品との比較に影響されず、製品そのものの特徴を把握しやすいという利点があります。
一方、直接比較法とは、一人の調査対象者に複数のテスト製品を試用してもらい、それらを比較評価してもらう方法です。この方法は、製品間の微妙な違いを明確にしたい場合や、優劣を判断したい場合に有効です。ただし、先に試用した製品の評価が、後に試用する製品の評価に影響を与える可能性があるため、提示順序を慎重に考慮する必要があります。
直接比較法は、さらに以下のようなシークエンシャルモナディック法とプロトモナディック法という手法に分かれます。
直接比較法の種類 | 内容 |
---|---|
シークエンシャルモナディック法 (Sequential Monadic Test) |
シークエンシャルモナディック法とは、対象者に複数のテスト製品を順番に試用してもらい、それぞれの製品について個別に評価した後、最後に製品同士を比較評価してもらう方法です。
例えば、2種類の洗剤AとBを評価する場合、以下の手順で評価を行います。 この方法では、各製品の絶対評価と比較評価の両方を得られ、より詳細な分析が可能です。ただし、先に使用した製品の印象が後の製品の評価に影響を与える可能性があるため、提示順序による影響(順序効果)を考慮する必要があります。 |
プロトモナディック法 (Proto-Monadic Test) |
プロトモナディック法とは、対象者に2つのテスト製品を順番に試用してもらい、最初の製品についてのみ絶対評価を行い、その後、2製品の比較評価を行う方法です。
例えば、新発売の洗剤Aと既存の洗剤Bを評価する場合、以下の手順で評価を行います。 2つ目の製品について絶対評価を行わない理由は、最初の製品評価に影響されてしまう可能性があるからです。この方法では、新製品の客観的な評価と、既存製品との比較評価を同時に行えます。 |
それぞれの評価手法にはメリットとデメリットがあるため、調査目的や製品特性、予算などを考慮して、最適な手法を選択することが重要です。
ホームユーステストは、事前の準備から結果の分析まで、いくつかの段階を経て実施されます。それぞれの段階で適切な対応を行うことで、より精度の高いデータを得られ、効果的な商品開発につなげられます。
ホームユーステストの流れは、上記以外にも、モニターへの謝礼の支払い、問い合わせ対応、個人情報の管理など、様々な業務が含まれます。これらの業務を効率的に行うために、調査会社に依頼するケースも多く見られます。
ホームユーステストを実施する際には、その特性を理解し、以下の注意点に留意することが重要です。
ホームユーステストの費用は、調査内容や規模によって大きく異なります。主な費用項目としては、以下のものが挙げられます。
費用項目 | 内容 |
---|---|
スクリーニング費用 | 対象者条件に合致するモニターを抽出するための費用 |
謝礼 | モニターへの謝礼 |
製品費用 | テスト製品の製造・購入費用 |
発送費用 | テスト製品の発送費用 |
梱包資材費用 | 梱包材や送付状などの費用 |
アンケート作成費用 | アンケートの設計・作成費用 |
データ処理費用 | データの集計・分析費用 |
報告書作成費用 | 結果をまとめた報告書の作成費用 |
調査会社への委託費用 | 調査会社に依頼する場合の費用 |
例えば、ある調査事例では、以下のような費用となっています。
調査費用:537,786円(税別)
調査費用:1,560,550円(税別)
これらの例からもわかるように、ホームユーステストの費用は数十万円から数百万円までと幅広いため、事前に見積もりを取得し、予算に合わせて調査内容を調整することが重要です。なお、費用を抑えるためには、以下のような工夫が考えられます。
ホームユーステストは、消費者の生の声を収集し、商品開発に役立てるための有効な手法ですが、さらに深掘りしたい場合には、インタビュー調査を併用するという方法があります。調査課題に対して興味深い回答をした方や、特徴的な意見を持つ方に対し、インタビュー調査を実施することで、より深い分析が可能です。
ホームユーステストでは、製品に対する全体的な評価や改善点などを把握できます。その一方で、なぜそのような評価になったのか、どのような背景や心理が影響しているのかといった定性的な情報を十分に把握できない場合があります。
そこで、インタビュー調査を併用すれば、対象者と直接対話することで消費者のインサイトや潜在的なニーズを深掘りできます。例えば、「この商品は使いにくい」という回答があった場合、インタビューを通して、具体的にどのような点が使いにくいと感じているのか、なぜそう感じるのかを詳しく聞くことが可能です。
また、インタビュー調査では、ラダリングという手法によって、消費者の深層心理に迫ることも可能です。ラダリングとは、「なぜそう思うのか」という質問を繰り返すことで、消費者の行動や思考の根底にある価値観や欲求を明らかにする手法です。
例えば、「この化粧品が好き」という回答に対して、「なぜ好きなのですか?」「その効果はあなたにとってどんな意味がありますか?」といった質問を繰り返すことで、消費者がその化粧品に求めている真の価値や、その化粧品を使うことで満たしたい欲求を明らかにできます。
このように、ホームユーステストとインタビュー調査を組み合わせれば、定量的なデータと定性的な情報を統合し、より深い消費者理解につなげることが可能です。
関連サービス
ここまで、ホームユーステスト(HUT)の概要、メリット・デメリット、注意点、費用などについて解説しました。
ホームユーステストは、消費者に自宅で商品を実際に試用してもらうことで、リアルな使用状況における意見や行動を把握できるという大きなメリットを持つ調査手法です。そのため、消費者の日常生活における自然な行動や本音に近い意見を収集でき、商品開発やマーケティング戦略の意思決定をサポートする貴重な情報を得られます。
特に、今日のような消費者主導のマーケットにおいては、消費者のニーズを的確にとらえ、それに応える商品を開発する重要性が、ますます高まっています。ホームユーステストは、まさにそのための重要な情報を提供してくれる調査手法と言えるでしょう。
この記事で紹介した内容を参考に、ホームユーステストを効果的に活用して、消費者に真に求められる商品を提供していきましょう。
ホームユーステストについてのご相談はこちら>
ホームユーステスト
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新商品や改良品のサンプルを調査対象者の自宅に送付し、普段の生活の中で、一定期間、試飲・試食または試用してもらい、アンケートでその評価を得る調査手法です。製品を実際に試してもらう調査としては、会場調査(CLT)と並ぶ代表的な調査手法です。上市前製品のHUT実績豊富だから安心してお任せいただけます。
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ホームユーステストの費用
ホームユーステストを実施するために費用としてかかる、基本料金や謝礼などの金額を紹介します。また、ホームユーステストの実施料金例も紹介しておりますので、費用感について解像度が高まります。
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失敗しないホームユーステスト6つのポイント
これからホームユーステストを検討する方向けに、注意点や失敗しないためのポイントをレポートにまとめました。
下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
・今後自社製品の試用テストを検討している
・試食・試飲テストを検討している
・ホームユーステストについて詳しく知りたい
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会場調査(CLT)
会場調査(CLT)とは、あらかじめ用意した会場で、調査対象者から、製品、または広告等についての評価を聴取し、定量的にデータとして収集する手法です。
対象者が実際に製品や対象物に触れることで、よりリアルな評価を得られることができ、比較的短期間に、定量的に把握することができます。具体的には、試飲・試食を伴う調査や発売前のパッケージ調査など、実際に対象者に「食べてもらいたい・飲んでもらいたい」「見てもらいたい」「触ってもらいたい」場合に向いています。簡単なアンケートやインタビューを同時に行うことが多いです。
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グループインタビュー(FGI)
グループインタビュー(FGI)とは、調査対象者を6人程度集め、モデレーターと呼ばれる司会者が調査テーマについて質問を行い、自由に発言をしてもらうことでさまざまな意見・情報を収集する調査手法です。消費者と直接対面することが最大の特徴で、消費者の生の声を収集することができます。また、グループ形式であるため、その相互作用で意見が活発になりやすく、多くの意見を収集しやすいというメリットもあります。
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