2024.07.01
市場調査とマーケティングリサーチの違いとは?調査の種類、目的の違いを解説
市場調査とマーケティングリサーチは、ビジネスにおいて重要な役割を果たしています。これらは、顧客のニーズや市場の動向を把握し、効果的なマーケティング戦略を立てるた……
公開日:2024.10.22
みなさんは、「飲み比べ」や「食べ比べ」で、どれが一番美味しいか友達と試したりした経験がありませんか?
実は、マーケティング調査(マーケティングリサーチ)においても、商品名やブランド名を隠して、純粋に商品の品質や味を評価するテストが行われています。このようなテスト方法を、「ブラインドテスト」と言います。
この記事では、ブラインドテストの基本的な意味や目的、実際に行う際の流れ、そしてメリット・デメリットなどについて解説します。
「飲み比べ」や「食べ比べ」などの調査に適している
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ブラインドテスト(Blind Test)とは、評価対象に関する情報を意図的に隠した状態で行う評価手法です。被験者は、ブランド名、商品名、メーカー、パッケージデザイン等の情報を与えられずに、商品そのものの特性を評価します。
この手法は、会場調査(CLT)などの市場調査において頻繁に採用され、消費者の嗜好性を把握するのに、とても効果的です。ブラインドテストによって得られたデータは、マーケティング戦略や商品開発に活用され、企業の競争力強化に役立てられています。
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ブラインドテストを実施する目的は、大きく分けて以下の3つです。
目的 | 内容 |
---|---|
客観的な評価を得る | 人は、商品名やブランド、パッケージデザインなど、視覚的な情報に影響を受けやすいものです。例えば、高級ブランドのコーヒーと聞いただけで、多くの人は実際よりも美味しく感じてしまいます。ブラインドテストでは、これらの情報による先入観やバイアスを排除し、商品本来の味や品質、機能に対する純粋な評価を得ることが可能です。 |
商品開発や改良に役立てる | 新商品開発や既存商品の改良において、消費者の率直な意見はとても重要です。ブラインドテストによって得られた客観的なデータは、消費者の嗜好やニーズを正確に把握するのに役立ちます。例えば、複数の試作品をブラインドテストで比較すれば、どの試作品が最も消費者に受け入れられるクオリティを有しているのか、改善すべき点は何かを明確にできます。 |
マーケティング戦略に活用する | ブラインドテストの結果は、マーケティング戦略にも活用できます。例えば、競合他社の商品と比較すれば、自社商品の優位性を客観的に把握できます。また、消費者の反応を分析することで、効果的な広告宣伝や販売促進活動の立案につなげられます。 |
ブラインドテストには様々な手法がありますが、なかでも実施されることが多いのは会場調査(CLT)です。会場調査では、すべての参加者に同じ条件下でテストを実施できるため、ブラインドテストで特に重要視される「公平性」と「正確性」を確保したテスト結果を得ることが可能です。
商品テストの手法には、ブラインドテストとは対照的に、ブランド名や商品情報を明示した状態で評価を行う「ブランデッドテスト」という方法もあります。それぞれのテスト方法にはメリット・デメリットがあり、調査目的や状況に応じて使い分けることが重要です。
会場調査におけるブラインドテストの流れは、以下の5段階に分けられます。
流れ | 内容 |
---|---|
①調査計画の策定 | まず、ブラインドテストの目的を明確に設定します。例えば、「新商品の市場における競争力を評価する」「既存商品の改良点を見つける」「消費者の嗜好を分析する」など、具体的な目標を設定することが重要です。 |
②参加者の選定 | 次に、テストの対象となる参加者を選定します。ターゲットとする消費者層を考慮し、年齢、性別、職業、居住地などの条件を設定することで、より精度の高いデータを得られます。 |
③会場の設定 | ブラインドテストを実施するための会場を選定し、必要な設備を整えます。参加者が集中してテストに取り組めるよう、静かで快適な環境を用意することが大切です。試飲・試食テストを行う場合は、キッチンや試飲ブースなどを設置する必要があります。 |
④調査の実施 | 参加者にテスト商品を提示し、評価をしてもらいます。この際、ブランド名や商品情報が分からないように、パッケージを覆い隠したり、コードネームで表示したりするなど、工夫が必要です。参加者には、評価シートへの記入や、インタビューへの回答などを通して、具体的な意見や感想を収集します。 |
⑤データの分析と報告 | 収集したデータを分析し、結果を分かりやすくまとめます。テストから得られた客観的データとともに、参加者の意見や感想を分析することで、有益な情報を抽出できます。 |
項目 | ブラインドテスト (Blind Test) |
ブランデッドテスト (Branded Test) |
---|---|---|
目的・用途 |
●品質・性能に絞って製品評価したい ●ブランド名を明らかにしたくない ●ブランド名が決まっていない |
●消費者が、製品の品質・性能だけでなく、ブランド名で購買を決定する商品カテゴリーに向いている |
特徴 |
●商品自体の客観的な評価を得るために、銘柄名を隠して行うテスト。 ●特定銘柄に対して持っている評価やイメージ、先入観などを取り除いて製品そのものの評価を得たいとき ●製品パッケージには無印の白箱やテスト用のラベルなどが用いられる |
●どの銘柄であるか明らかにした上でのテスト ●特定銘柄に対して持っている評価やイメージ、先入観なども含めて評価を得たいとき ●市販されている(市販される予定の)製品のパッケージを使用して行う。 |
会場調査におけるブラインドテストでは、主にモナディックテスト(MT:Monadic Test)と直接比較法(DCT:Direct Comparison Test)という2つの評価方法が用いられます。
モナディックテスト(MT)は、1人が1つの商品だけを評価する方法です。日常生活で商品を購入する状況に近く、自然な評価を得やすいのが特徴です。
一方、直接比較法(DCT)は、複数の商品を同時に評価して比較する方法です。商品間の微妙な違いや、優劣を明確にしたい場合に効果的です。
ブラインドテストを実施する大きなメリットは、ブランド名やパッケージといった情報に左右されず、商品そのものの価値を評価できる点です。これにより、消費者の真の嗜好を把握でき、商品開発や改善に役立てることができます。
また、ブラインドテストでは、複数の商品を同じ条件下で比較・評価することが可能です。そのため、ブランドイメージや価格などの影響を受けずに、商品の純粋な品質や性能、味などの比較によって、競合商品との差別化ポイントを明確にできます。
さらに、広告やパッケージデザインの効果を測定できる点もメリットです。例えば、同じ商品を異なるパッケージでテストすれば、どちらのパッケージがより消費者に魅力的に映るのかを検証できます。
このようにブラインドテストは、開発の初期段階で消費者の評価を得ることで、商品の問題点や改善点を早期に把握し、効率的な商品開発を進めることが可能です。
ブラインドテストは客観的な評価を得るための効果的な手法ですが、一方で以下のようなデメリットも存在します。
ここまで、ブラインドテストの概要やメリット・デメリットについて解説しました。それでは、実際にブラインドテストはどのように活用されているのでしょうか?
ここでは、身近な商品である「飲料」と「スマートフォン」を例に挙げ、ブラインドテストの具体的な事例を紹介します。
飲料メーカーA社では、缶コーヒーにおいて、消費者の飲用前後の気持ちの変化を測定するために、ブラインドテストを含む調査を実施しました。
この調査では、被験者の気分を数値化および可視化する、独自の感性評価システムが用いられ、被験者がタッチパネル上で直感的に自分の気分を選択することで、微妙な感情の変化を把握します。
さて、実際の調査の部分ですが、4つの商品を、商品名やパッケージを隠した状態で被験者に飲んでもらい、飲用前後の気持ちの変化を測定するブラインドテストを実施しました。次に、パッケージを見せた状態で同じテストを実施し、ブランドやデザインが心理面に与える影響も測定しています。
その結果、ブラインドテストでは、どの商品でも飲用後に「頭の冴え感」が向上することが分かりました。これは、同社の缶コーヒーが、味覚を通して気分転換を促し、集中力を高める効果があることを示唆しています。さらに、パッケージを見せた状態でのテストでは、「頭の冴え感」だけでなく、「気分の晴れやかさ」も向上することがわかりました。特に、ミルク入り商品においては、「コーヒー感」や「後味」などの味わいやパッケージデザインが及ぼす心理的効果も明らかになりつつあります。
この調査結果から、同社では、ブランドイメージやパッケージデザインが消費者の気持ちに大きく影響を与えることを改めて認識し、これらの要素を総合的に考慮した商品開発が進められています。
スマートフォンの進化が目覚ましい現代において、カメラ性能は重要な要素の一つとなっています。毎年多くの機種がリリースされる中、消費者はどの機種のカメラが優れているのか、客観的な情報に基づいて判断したいと考えています。そこで、実施されたのが、スマートフォンカメラのブラインドテストです。
このブラインドテストでは、機種名を隠した状態で撮影された写真が2枚ずつ提示され、ユーザーはどちらの写真が優れているかを投票しました。テストは、「標準」「夜間(低照度)」「ポートレートモード」の3部門に分かれて行われ、それぞれの評価を総合してランク付けされます。
この調査結果で興味深いのは、高価格帯のハイエンドモデルが必ずしも上位を占めるわけではないという点です。例えば、X社のハイエンドモデルは「標準」部門で最下位となり、Y社のハイエンドモデルは全体評価で最下位という結果になりました。これは、カメラ性能は価格だけでは決まらないことを示しています。
さらに、このテストでは、本体価格を考慮した「コスパレーティング」も発表され、消費者がスマートフォンカメラの性能を客観的に比較するための貴重な情報源となっています。
ここまで、ブラインドテストの概要や具体的な事例について解説しました。
ブラインドテストは、商品名やブランド、パッケージなどの影響を受けずに、商品の真の価値を把握できる効果的な調査手法です。ここで得られた情報は、商品の開発や改良、競合との比較、マーケティング戦略など、様々な場面で活用できます。
しかし、ブラインドテストから信頼性の高い情報を得るには、テストのメリット・デメリットを理解した上で、目的に合わせた調査を実施することが大切です。
ぜひ、この記事の内容を参考に、ブラインドテストを活用して、自社のマーケティング戦略に活かしていきましょう。
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会場調査で行う「試飲・試食・パッケージ評価」テンプレートと解説
会場調査当日の調査票(本調査票)は、その内容によって様々なパターンがあります。調査票は、調査目的に沿って、出てきた結果が信頼できる・活用できるものになるよう、慎重に作成しなければなりません。
ここでは、一般的なパターンの紹介と、調査票作成・実査当日の注意点について解説しています。例として、既に発売されている飲料の味とパッケージのリニューアルの場合を例に取り上げて説明しています。
下記に当てはまる方にお薦めの資料です。
●試飲・試食調査、パッケージ評価の実施を検討している
●試飲・試食調査、パッケージ評価の調査票テンプレートと調査票作成・実査当日の注意点を具体的に知りたい
●食品/飲料メーカーの商品企画・開発・マーケティング担当の方
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会場調査(CLT)とは?納品物の例や事例を紹介
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