公開日:2024.12.03

ブランド認知度調査とは?各手法からアウトプット例、見積まで解説

  • マーケティングリサーチHowto

ブランド認知度調査は、自社の商品やサービスが市場でどの程度認知されているかを測るための重要な調査です。認知レベルや競合比較、ターゲット層分析、認知経路把握、調査設計の精度などのポイントを押さえて設計することにより、有効なデータを取得することができ、その結果を踏まえた具体的なマーケティング施策を講じることで、ブランドの競争力を向上させることができます。
 
一方で、ブランド認知度調査と一口に言っても、様々な手法があり、ターゲットや状況に合わせて最適な方法を選択する必要があり、そもそもの調査理解も必要です。もし、調査理解をせず、納期や費用のみを優先して実施してしまうと、データが不足してしまったり、アンケートを回収しきれずに有効なデータが得られなかったりしてしまうことに、なりかねません。
 
そこで、本記事では、ブランド認知度調査の基本的な考え方から、スケジュール感、金額感などを解説しています。この記事1つでマルっと『ブランド認知度調査』についてわかる内容となっておりますので、ブランドを考えるときの参考記事として、ぜひお役に立てください。

 
 

ブランド認知度調査とは?

ブランド認知度調査とは、ブランドの浸透率を調査する場合の重要な手法の一つで、市場において自社の商品・サービスがどれくらい認知されているのかを測定する調査です。
 
ブランドイメージ調査と併せて実施することも多く、現状の自社ブランドの浸透度合いを数値として客観的に把握することが可能です。場合によっては、プロモーションの効果測定という意味合いを持たせることもあります。
 
よくある落とし穴としては、消費者がメーカーとブランドを混同してしまっており、『ブランド』といっても『企業名』を回答されることがあるため、コーポレートブランドなのか、プロダクトブランドなのか明確に示す必要があります。
 
 

ブランド調査の種類は?

ブランドについての調査を行う場合、一般的には以下の2つの種類が挙げられます。状況に応じて、それぞれを使い分け、もしくはまとめて行うことで、包括的にブランドを管理することが可能です。
 

  1. ブランド認知度調査
    先述の通り、自社や自社製品が市場の中でどの程度の認知度があるのかを知ることができる調査です。自社のブランドの認知度を向上させるには、まず現時点での認知度を正確に把握する必要があります。現状を確認できれば、認知度をアップさせるために何が必要かについても、明らかにできるからです。市場の状態は常に変化しており、アドホック(単発)の確認だけではなく定期的に確認することで、その時の状況に応じて効果のある改善策を具体的に検討しやすくなります。

  2. ブランドイメージ調査
    商品・サービス、企業ブランドイメージを顧客への浸透度やロイヤリティ、評価・イメージ等々を多面的・定期的に測定し、競合市場での自社ブランドの位置づけを把握できる調査です。 ブランドを管理していくためには、先ずは企業側が持っているイメージとお客様が期待しているイメージとのギャップを知ることが必要不可欠となります。ギャップを明らかにしたうえで、プラスのイメージを増やす体験を提供し、マイナスのイメージを与える体験の削減し続けていくことも、ブランド管理の重要なポイントです。

 
先ず認知があり、その後にイメージが形成されていくため、ブランドイメージ調査と認知度調査はセットで行われることがほとんどです。

 
 

ブランド認知度調査を行うシーンは?
自社ブランドの売上が伸び悩んでいる時

自社商品、ブランドの売上が伸び悩んでいる場合、打開策を考える必要がありますが、ブランド認知度調査を行うと対策をどこに講じれば良いかを明らかすることが可能です。
 
例えば、ターゲットをセグメント(性別・年代・地域等)で分け、「認知度合いに問題があるのはどこか?」「「ロイヤルティが高い層はどこか?」「ユーザーの構成(売上の構成)はどうなっているのか?」を確認し、そのうえで解決策に優先順位をつけることでより効率的に対処することができるようになります。
 

商品リニューアルや新商品発売後

商品をリニューアルしたタイミングや新商品の上市後で認知度調査をすることで、市場への浸透・認知度合いなどを確認します。市場での販売動向から分かることだけでなく商品に対する認知や興味関心を調べることで、マーケティング上の課題が発見しやすくなります。
 
例えば、新商品の上市後に調査を行ったときに『認知はしているが購入につながっていないお客様が多い』という結果が出た場合、購入のボトルネックは何かをインタビューして深堀する等、次の打ち手にもつながります。
 
 

ブランド認知度調査の結果の活用方法について

ブランドの置かれている状況によって調査結果の活用方法は様々です。『新規事業を検討するとき』『既存商品・サービスのポジショニング把握』『リブランディング』など、ブランドの上市前から上市後にかけて、ブランド認知度調査を実施することでより効果的な施策の実施が可能となります。
 
以下では、調査結果で得られたことから、どのような活用方法があるか、解説します。
 

CASE①:ブランド認知が不十分だった
表 ブランド認知が不十分だったケース
項目 内容
調査結果 ブランド認知が不十分だった
ブランドの認知度が低いため、消費者に知られていない状態です。この場合、消費者がブランドそのものを認識できるように、まずは広く知ってもらうための施策が必要です。先ずは、コミュニケーションおよびプロモーションの「量」の強化が必要です。
活用方法 1. マスメディア広告
認知拡大のため、テレビ、ラジオ、雑誌などのマス広告を活用し、幅広い層にブランドを届ける施策です。特に、調査結果からターゲットとなるセグメントが判明していれば、そのセグメントと相性の良い媒体を選ぶことで効率的な認知拡大が可能です。
2. デジタルマーケティング
SNSやリスティング広告、インフルエンサーマーケティングを活用し、オンラインでの接触機会を増やす施策です。ターゲット層がSNSを活用している場合、SNS広告やコラボキャンペーンでの認知度拡大は非常に効果的です。
3. イベント・プロモーション
実店舗でのイベントや商品サンプリングを実施し、直接的な接触を増やす施策です。消費者に実際に商品を体験させ興味を持たせることや、店頭アンケートを取ることで体験後のよりリアルな声を収集することも可能です。

 

CASE②:ブランド認知はあるものの、ブランドイメージが曖昧だった
表 ブランド認知はあるものの、ブランドイメージが曖昧だったケース
項目 内容
調査結果 ブランド認知はあるものの、ブランドイメージが曖昧だった
ブランドは認知されているものの、消費者が特定のイメージを持っていない、または曖昧な印象を持っている場合です。ブランドの核心的な価値やポジションを消費者にしっかりと伝える必要があります。このケースの場合は、コミュニケーションの「質」の強化、および必要に応じて量の追加が効果的です。
活用方法 1. ブランドメッセージの明確化
ブランドイメージをはっきりと認識してもらうために、コアメッセージや価値を再定義し、ターゲット層に共感されやすいストーリーを構築する必要があります。どんなシーンで、どのように使うことで、どんなメリットがあるのかを明確にし、これを広告やPR活動に反映させることで消費者が競合ブランドと識別しやすくすることが重要です。
2. ターゲット層に適したメディア選定
ブランドのイメージに合った媒体でコミュニケーションを行い、質の高い接触機会を増やす施策です。例えば、ハイエンドなブランドであれば高級誌や限定イベントを活用し、ブランドの価値を高めることで競合との差別化を行います。
3. ビジュアルやトーンの統一
ブランドのデザインや広告ビジュアル、メッセージの一貫性を保ち、消費者にブランドの価値観や世界観を強く認識させます。加えて、広告媒体もターゲットに親和性の高いものになっているかを見直すことも必要です。

 

CASE③:リピート購入に繋がっていない
表 リピート購入に繋がっていないケース
項目 内容
調査結果 リピート購入に繋がっていない
初回購入はあるが、リピート購入が伸び悩む場合は、製品やサービスが期待に応えられていない、もしくは消費者とのエンゲージメントが不十分な可能性があります。このような場合は、商品改良とロイヤルティ強化キャンペーンの実施などが挙げられます。
活用方法 1. 商品の改良
購入者調査を行い、製品の弱点や改善点を洗い出し、品質・機能・パッケージデザインの改善を行います。改善点の仮説がある場合は定量調査で仮説検証を行い、仮説がない場合は先ずは実態把握のためにインタビュー調査を行い、洗い出しから行う必要があります。
2. ロイヤルティプログラムの導入
ポイントプログラムやメンバーシップ制の特典を導入し、継続購入のインセンティブを提供します。例えば、特典ポイントや限定商品の先行販売など、消費者が「得」を感じる施策が有効です。
3. パーソナライズドキャンペーン
消費者データを活用して、パーソナライズされたオファーやメールマガジンを送ることで、個別にアプローチしリピートを促します。または消費者調査を行い、クラスターを分類しそれぞれのクラスターに最適化したアプローチを行う方法もあります。

 
 

ブランド認知度調査の方法ついて

ブランド認知度調査は、自社のブランドが世間でどのくらい浸透しているか調査するため、幅広く調査することできる定量調査が主に用いられますが、調査目的によっては定性インタビュー調査を行い、商品/サービスブランドとの出会いや、イメージ、その理由や背景などを深くヒアリングすることも有効です。
 
コスト、スピード、調査対象者特性に応じて調査手法を使い分ける必要があり、今回は手法ごとの特徴について解説していきます。
 

① ネットリサーチ

手法の特徴
ネットリサーチは、ブランド認知度調査で主流の方法です。多くの人に同時に調査でき、一般的な認知度を測る際に偏りの少ない結果を期待できます。しかし、調査対象によってはオンライン調査が適さない場合もあります。例えば、高齢者向けの健康食品や特定地域に絞った調査では、ネットリサーチが適切でないことがあるため、注意が必要です。
 
費用感
他の手法に比べ、比較的コストを抑えやすい手法です。設問数や回収サンプルサイズを最小限に抑えることで費用調整が可能です。一方で、調査企画や調査票の質が調査の質に直結するため、部分的に調査会社へ委託し質を担保することもお勧めです。
 
スピード感
他の手法に比べ、比較的短い納期の対応も可能です。調査企画、設問設計、レポート作成は一定の期間が必要なため、方向性を事前にしっかり決めておく等すれば、納期を早める対応も可能です。
 

② インタビュー調査

手法の特徴
世間全体の認知度を把握するにはインターネットリサーチが有効です。一方で、ブランドと出会ったエピソードやブランドイメージの理由、ストーリーを深く掘り下げたい場合はインタビュー調査が適しています。ブランドユーザーをヘビー/ミドル/ライトユーザーに分類したり、競合ユーザー、自社ブランドから別ブランドにスイッチしてしまった方などに、より深く意見を聞くことで、定性的に自社と他社ブランドの分析が可能です。また、新商品やリニューアル後の認知経路や印象を調査することで、宣伝方法の効果を確認することもできます。
 
費用感
非常に安価にできるという手法ではありませんが、サンプルサイズを調整したり、モデレーションやレポート部分を自社で対応する等すれば費用調整は可能です。オンラインインタビューにすれば会場費も抑えられるため、調整設計が費用削減の鍵となります。
 
スピード感
費用感と同様に、他手法と比べて短納期とまでは言えませんが、インタビューフローや対象者条件をはじめから固めていればスピーディーな進行も可能です。
 
ヒアリング対象者の割付数によってサンプルサイズも変動するため、調査設計とインタビュー人数の設定は注意が必要です。
 

③ 郵送調査

手法の特徴
デジタルリテラシーが低い層や高齢者を含め、ネットリサーチでは接触しにくい層へもリーチが可能な手法です。企業単位で調査を行うケースも多く、企業の社名や住所のリストがあれば担当者へ調査票を送付することで調査実施が可能です。調査依頼側と回答側の関係性によって回答率が大きく変動するため、特徴をしっかりと理解した上で調整設計を進める必要があります。
 
費用感
回答率によっては発送規模が大きくなること、データクリーニングも必要になるため、コストは比較的大きくなる傾向があります。封筒の署名を工夫する、案内状をしっかりと作るなどして回答率をできるだけ高めることが費用削減のポイントです。
 
スピード感
他手法に比べて余裕を持ったスケジュールが求められます。回収数が目標に達しない場合、再発送を行うと更に日数が必要になるため、督促はがきの発送やそのタイミング等、回収目標達成に向けた計画的な実施がポイントです。
 
 

ブランド認知度調査実施の際の5つのポイント

ブランド認知度は消費者ごとに異なる接点や媒体を通じて形成され、「認知」と「理解」を混同してしまっているケースもあります。さらに、消費者がブランドに持つイメージや記憶は時と共に変化するため、結果が一過性のものとならないように定期的な調査設計も求められます。
 
ブランド認知度調査の、データの精度や活用を踏まえ、実施の際の5つのポイントを以下解説します。

ブランド認知度調査実施の際の5つのポイント
図 ブランド認知度調査実施の際の5つのポイント

 

ポイント① 認知レベルの測定

ブランド認知度調査は、認知の程度を「知っている・知らない」を取るとともに「知っている度合い」も測ります。
 
純粋想起(消費者が自発的にブランドを思い出す)と助成想起(ブランド名を提示した際に認知を確認)の両方を測定することで、ブランドの認知度の広さと深さを評価します。
 
消費者が自ら思い出すブランドは、記憶の中で特に強い印象を持っている可能性が高く、こうした情報から、ブランドの記憶定着度や印象の強さについてのデータを得ることができます。
 
商品特徴や競合との差別化ポイントが伝わっているかを確認するために、「〇〇(商品/ブランド名)についてご存知のことをお知らせください。」と自由記述で問うことで、どれだけ商品のことを理解しているかを聴取することも有効です。
 

ポイント② 競合との比較

自社ブランドと競合ブランドの認知度を比較することで、ブランドの市場内での位置付けや強み・弱みを確認します。
 
企業目線で見た各社のブランド認知度と、生活者による実際のブランド認知度には違いがあるケースも多いのが事実です。この比較により、特定の市場セグメントでの自社ブランドの相対的な知名度が明確になり、認知度を高めるための戦略を検討しやすくなります。
 
例えば、ベンチマークしている競合と認知経路を軸にした認知度を比較した際に、自社が特定の媒体きっかけでの認知が弱い場合、その媒体に向けたプロモーションを強化する等、次の具体的な打ち手を、データをもとに決定することができます。
 

ポイント③ ターゲット層の違いを理解し、評価する

ブランド認知度は、消費者層(年齢、性別、地域、趣味嗜好など)ごとに異なるため、ターゲット別の認知度を理解し、評価することが重要です。
 
あるブランドが、若年層の認知度は高いが、シニア層には低いことが判明した場合、若年層にはSNSやYouTube広告、インフルエンサーとのコラボレーションで更に認知拡大につながるような施策が考えられます。一方で、シニア層にはテレビCMや新聞広告といったオフラインメディアが有効です。
 
このように、ターゲット層別の調査データをもとにチャネルを使い分けるなどの施策を打つことで、限られた広告費を最適に配分し、効率的な認知度向上が可能になります。ただし、調査実施後にあれもこれも知りたかったとなっても後からデータを肉付けすることは難しいため、調査設計時にいくつかの仮説を用意し多面的に分析することが重要です。
 

ポイント④ 認知経路の把握

消費者がどのような経路でブランドを知ったか(SNS、検索エンジン、テレビCM、口コミなど)を調査することで、各チャネルの効果を評価します。この情報により、効率的な広告配信や広報活動の最適化が可能になります。
 
例えば、調査結果から新商品がSNS経由で高い認知を得ていることが分かった場合、そのチャネルをさらに強化し、SNSで知った消費者には「おしゃれさ」や「トレンド性」を強調する一方で、口コミや店舗体験から来る消費者には「実用性」や「品質」をアピールするなど、各経路で顧客が期待するようなメッセージを届けることにより、顧客の購買意欲をさらに引き上げ、ブランドへの好感度を高めることができます。また、認知経路の分析は、今後のキャンペーンや新製品の宣伝戦略を策定するうえで指針となり、メディアミックスの精度向上に役立ちます。
 

ポイント⑤ 調査設計の精度

ブランド認知度調査を効果的に行うためには、そもそもの調査設計が非常に重要です。
 
まず、目的に応じて調査対象やサンプルサイズ、調査手法(アンケート、インタビュー、オンライン・オフライン調査など)を明確に設定します。対象とする市場や顧客層、測定したい認知度の段階を定義し、それに基づく質問項目や設問内容を精査することが、データの精度と活用価値に直結します。
 
また、消費者の認知度合いや認知経路、ブランドに持つイメージは日々変化していきます。競合の施策の影響、トレンドの変化等によって調査結果はその時々で大きく変わっていくため、1回調査をして終わりではなく、認知度の推移を定期的に見ていくことがポイントとなるので、調査設計の段階で、経年で見ていくことを事前に想定しておくことをお勧めします。
 
 

ブランド認知度調査のアウトプット例について

ブランド認知度のアウトプットは様々な要素があります。今回は、部分的にピックアップしてご紹介します。あるヨーグルトの実態把握調査を例にとって認知度、イメージをまとめて調査した事例です。
 

① 『認知』『購入ブランド』が分かるアウトプット

ヨーグルト市場のブランドごとに「認知」「購入喫食経験」「1年以内での喫食経験」を聴取することによって、認知~購入~直近購入を段階的に把握し、段階別の競合との差を見ることが可能です。
 
下のグラフを例にとると、「認知」「購入喫食経験」「1年以内での喫食経験」それぞれで、ブランドI、F、Jが独占状態ですが、注目すべきは、ブランドA、Bは他のブランドと比べ「認知」に対し「購入喫食経験」の乖離が大きく35pt以上の差が見られるため、このボトルネックを解消する施策が求められます。例えば、先ずは商品体験を提供するために試食会開催クーポン提供により、実際の喫食を促進しブランド体験の機会を作ることで購買意欲を高めることやブランドや製品のメリットや他商品との違いを強調し、ベネフィットの再訴求を行うことも有効です。

『認知』『購入ブランド』が分かるグラフ
図 『認知』『購入ブランド』が分かるグラフ

 

② 『ブランドイメージ』『ブランドイメージのポジション』が分かるアウトプット

ヨーグルト市場のブランドごとに「ブランドイメージ」を様々な選択肢の中からから消費者に選んでもらい、ブランドごとにマッピングすることにより競合に対する自社ブランドの位置付けができます。

ブランドごとにマッピングしたアウトプット
図 ブランドごとにマッピングしたアウトプット

 
上のマップを例にとると、ブランドイメージによるポジショニングは以下の3つのエリア分かれていることが見て取れます。

表 ヨーグルト市場でのブランドイメージによるポジショニングエリア
エリア 内容
メジャーヨーグルトエリア 認知の高い「ブランドI」など多くのブランドが集中するエリア
おしゃれヨーグルトエリア 「ブランドC」などが集中するエリア
健康志向ヨーグルトエリア ややイメージとの関係性は低いものの 「ブランドA」「ブランドB」が位置するエリア

 
上表のようにグルーピングされ、このマップを参考することで、例えば、自社が獲得したいイメージ「おしゃれヨーグルト」と自社のイメージが離れている場合は、おしゃれグループに位置するブランドにベンチマークを変えたり、訴求の方向性を見直すためのデータとして参考になります。
 
 

ブランド認知度調査の『見積り例』と考え方

ブランドイメージ調査は定量調査での実施が多いため、以下表のネットリサーチを例にとって費用感とその考え方を解説していきます。
 

表 ネットリサーチにおける調査概要と見積り例
大項目 小項目 内容
調査概要 対象者条件 全国/男女/20~60代(10歳刻み)/ヨーグルトを週1回以上自購入
設問詳細 本調査400サンプル・15問以内/スクリーニング5,000サンプル・7問以内
見積り例 企画・調査票作成費用 ¥150,000
スクリーニング費用 ¥65,000 (5,000ss回収/7問)
基本費用 ¥210,000(400ss/~15問)
集計費用 ¥50,000 (GT/クロス集計)
レポート費用 ¥246,000(サマリ+標準レポート)
合計 ¥721,000

 
費用を考える上で以下3点が重要です。

  1. 対象者条件の設定
    一般消費者の中で使用者もしくは認知者が少ない商品やサービスの場合は、対象者の出現率が下がり必要なスクリーニング回収数が多くなり費用が上がります。調査目的によって対象者条件は異なりますので、事前に実施可能性や予算を踏まえた検討が必要です。
  2. 『企画・調査票作成費用』『レポート費用』『集計費用』
    認知度調査のみなのか、ブランドイメージも併せて取るのか、どんなアプトプットを出したいのかによって設問数や分析内容が変わり費用が変動します。企画や設問設計の精度はデータの質を大きく左右しますので、現状のご予算や調査目的によっては、調査会社へのアウトソースも検討する必要があります。
  3. 『基本費用』(画面作成~データ回収)
    基本費用はサンプルサイズと設問数によって費用が変動します。サンプルサイズは、割付の数(どのように分けて結果を見たいのか)と割付内の必要なサンプルサイズ(分析に耐えられるサンプルか)を考えた上で上記①②とご予算を加味し総合的に判断することが求められます。

 
 

ブランド認知度調査の『スケジュール例』と考え方

前述のネットリサーチ案件を例に取り、『スケジュール例』とその考え方を解説します。
 
スケジュール例

スケジュール例
図 スケジュール例

 
スケジュールの考え方として以下3点が重要です。

  1. 調査企画設計
    実現可能性を踏まえた調査設計と設問内容のすり合わせが調査の質を左右するため、ある程度余裕を持ったスケジュール設定が必要です。
  2. 画面作成~アンケート回収
    アンケート設問数によって画面作成期間が変動します。対象者の出現率が低い場合は、事前に出現率調査が必要になることもあります。
  3. 集計作業・レポート作成
    集計の形式(GT集計・クロス集計)や各設問の詳細レポートも含めたフルレポートが必要なのか、または 纏め (まとめ) (サマリ)だけで良いのかによっても納期が前後します。

 

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まとめ

ここまで、ブランド認知度調査の基本的な内容から、調査を行うシーン、結果の活用方法、具体的な調査手法やアウトプット例など網羅的に解説してきました。
 
ブランド認知度調査を成功させるためには、調査の目的や知りたい情報を明確にし、適切な調査手法と設問設計を行うことが重要です。そして、やみくもな施策を避け、効果的にブランドの競争力を高めるためには、リソースの最適な配分とアウトソースの活用も検討する必要があります。
 
また、調査結果を施策に活かすためには、調査の事前に仮説を持ち、具体的な施策まで検討しておく必要もあります。そうした結果、認知レベル、競合比較、ターゲット層分析、認知経路把握といった多面的な視点から自社ブランドの現状を把握し、次の施策を立てるための重要なデータが得られ、これからの方向性を考えることができ、動き出しも早くすることができます。調査の準備段階から計画的に進め、限られた予算やスケジュールの中でも最大限の成果を得ることができるように心がけましょう。
 
これらのポイントを押さえながら、最適なブランド認知度調査を実施し、自社ブランドのさらなる成長に活用してみてください。
 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

 
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