公開日:2024.09.06

定量調査の事例紹介!企業が抱える課題や調査結果、失敗例とその留意点とは?

  • マーケティングリサーチHowto

定量調査の事例から、より効果的な調査を

多くの企業が、このような「売れない」課題に頭を悩ませているのではないでしょうか?

「新商品を開発したものの、思うように売上が伸びない…」
「既存商品のテコ入れをしたいが、どこを改善すれば良いのかわからない…」

 
そんな悩みを解決する有効な手段の一つとして、注目を集めているのが「定量調査」です。定量調査とは、アンケート調査などを通じて数値データを集め、統計的に分析することで、顧客ニーズや市場動向を客観的に把握する調査手法です。
 
本記事では、定量調査の事例と失敗例、その留意点について解説していきます。具体的な事例を通して、より効果的な調査を実施するためのノウハウを学んでいきましょう。
 
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定量調査の事例をご紹介

早速ですが一番気になると思われます、定量調査の事例について3つご紹介をさせていただきます。

事例1:競合とは? 消費者の認識と企業側のズレ

自社の商品やサービスを開発・販売する上で、競合の分析は欠かせません。しかし、企業側が想定している競合と、消費者が実際に比較対象としているものとの間には、しばしば「認識のズレ」が生じます。
 
そういった背景があり、某化粧品ブランドの販売戦略を見直す目的で調査を実施しました。その調査では、消費者から見た競合が、企業側で想定している競合と本当にリンクをしているのかどうかを確認するため、調査を行い分析しました。
 
例えば、とあるサプリがあったときに、「今サプリを飲んでいる人」と「サプリを飲んでいない人」、つまり、「現サプリユーザー」と「サプリのノンユーザー」の大きく2つに分けることができます。ブランドのユーザーがどういう人なのか確認をしていくとき、例えば、「A化粧品ブランドのユーザーってどういう人なんだろう」、「A化粧品がどういう人を惹き付けているのか」、「B化粧品はどういう人が惹き付けられていて、どういう人が欠けているか、取り切れていないか」といった視点で、「ココとココは競合関係にありそう」ということが見えてきます。
 
一方で、ノンユーザーの方がどういう人たちなのかも確認することで、「既存の市場にあるブランドの中で、取り逃している人たちってどういう人なんだろうか」、つまりホワイトスペースになるところが、どこにあるのかが見えてきます。
 
こういったことが「競合を知る」という調査になります。
 

事例2:売れない要因は? 認知度? 特徴の理解不足?

商品やブランドが売れることをミッションとして置いているマーケティング担当者が多いと思いますが、「売れない要因を探る調査」は、「売れない時、または、ちょっと売れ行きが落ちている時」に行うことが非常に多いです。
 
そして、この調査の重要なポイントは、「売れない要因というのは何なのか」というのを議論した上で、その仮説を複数立てることにあります。この複数立てるというのは、1つの仮説が誤っていたとしても、ではどういった仮説が立てられるのか、というところまで考えておく必要があるのです。
 
例えば、「認知度が低いから」というのが「売れない要因」としてよく挙げられます。当然、売れない要因の一つではあると思います。しかしながら、今回の事例の場合、認知度が低いことよりも特徴が伝わっていなかったことが一番の課題だということがわかりました。
 
具体的に説明をしていきます。今回の事例では、「認知度が低いのが要因」というのが仮説に対して、認知度は83.4%ありました。これが高いのか、低いのかの議論は置いといて、主観では8割の方が知ってくれているということから、認知度が低いとは言えないと考えました。一方で、知ってもらえてはいるものの、検討してくれている人は半分になっておりました。そのため、「『知ってはいるが、検討の土台に乗っていない』この点が一番の課題ではないか」というのが見えてきました。
 
ここで終わってしまうと、何の戦略の内訳もないので、さらに考えます。様々な視点があると思いますが、「そもそもブランドの特徴は知ってもらっているのか」というのを考えてみました。そこで、縦軸が「ブランドの特徴の魅力度」、横軸が「ブランドの特徴の認知度」としてそれぞれプロットしてみました。理想は特徴を知られていて、魅力に思われる『右上に特徴がプロットされる』のが望ましいのですが、結果としては、ブランドの認知度が高く、ブランドの特徴の認知度は極端に低かったです。つまり、ほぼ全ての特徴が認知度の低い左側のゾーンに集約されていました。
 
また、「こういう特徴があるんです」と伝えた際に、どれくらいの方が魅力に感じてくれるかを確認すると、大半が「知らなかったけど魅力だよね」と言ってくれる左上のゾーンに位置しました。そのため、「知られていないけど、こういう特徴だよと伝えることで、『いいじゃん』と思ってもらえる特徴がいっぱいある」ということがわかりました。
 
つまり、「この特徴を知ってもらうためのプロモーションやパッケージデザインのリニューアルなど、具体的な施策を検討できるようになった」のが、この事例の結果となります。
 

事例3:リニューアルの方向性の確認~ユーザーニーズを見極める~

リニューアルの方向性の確認の事例を紹介します。
 
お客様の課題は、現行品(家電)のリニューアルとして、新型のリリースを検討しており、その際、「どんな機能があったら良いのだろうか」というのを確認することでした。そのため、「今ある機能に対してどういう評価をされているのか」を確認し、その上で「どういう機能を残すべきで、どういう機能を無くしてもいいのか」という優先順位をつけられる可能性がある設問で調査を行いました。
 
結果は、納得感はありましたが、想定外の結果となりました。それぞれの機能の満足度を5段階尺度(とても満足~とても不満)で伺い、最後に機能の総合満足度を伺いました。すると、「どちらともいえない」がほぼ全ての機能において圧倒的に多く、機能の総合満足度についても一緒でした。ここから言えることは、最初に予定をしていた「今ある機能に対してどういう評価をされているのか」について確認することが難しいということです。
 
そこで、「総合満足度の理由」について自由回答で答えていただく設問を確認しました。すると、機能は最低限で良さそう、機能ばかり押されることに戸惑っている、機能が多くて使いこなせない、機能がいっぱい盛り込まれることによって価格が高くなるのは、、、といった意見が多く見受けられました。また、シンプルにもっとスタイシッリュなデザインが良い、着せ替えができるようなオプションが欲しい、という声もありました。
 
こういった調査結果から、現状の機能に対して不満や満足している人はあまりおらず、そもそも求めている人がいないことがわかりました。そのため、企業側の意向での機能性を追求するのではなく、リニューアルの方向性として、「機能をアップデートした」という方向性からは大きく舵を切ったという結果となりました。
 
 

定量調査の失敗例と留意点

定量調査は、適切な設計と実施方法を守らなければ、信頼性の低いデータとなってしまいます。ここでは、よくある失敗例と、その留意点について解説します。
 

定量調査の失敗例
行ったこと 失敗内容
質問内容・選択肢の安易な変更 前回調査と比較ができなくなった。
データの不整合が生じた。
対象者条件・サンプルサイズの変更 代表性のある結果が得られなくなった。
データの比較が困難になった。
調査時期の変更 季節要因などの影響を受けやすくなった。
データの傾向が掴みづらくなった。

 
これらの失敗を避けるためには、以下の点に留意することが重要です。

・調査設計の初期段階で、質問内容、選択肢、対象者条件、サンプルサイズ、調査時期などを決定し、できる限り変更しない
・やむを得ず変更する場合には、その影響度を考慮した上で、慎重に判断する

 

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コンセプト調査の失敗例と留意点

新商品やサービスの開発における重要なプロセスであるコンセプト調査。ここでも注意すべき失敗例が存在します。
 

コンセプト調査の失敗例
失敗ポイント 失敗内容
コンセプト数の多さ 回答者の負担が大きくなり、回答の質が低下した。
結果として、各コンセプトに対する評価が平均化し、差が出にくくなった。
わかりにくいコンセプト 回答者がコンセプトを正しく理解できず、適切な評価が得られなかった。
調査結果の分析が困難になった。

 
これらの失敗を避けるためには、以下の点に留意することが重要です。

・提示するコンセプト数は、適切な数に絞り込む
・回答者がコンセプトを理解しやすいように、簡潔で明瞭な表現を用いる
・事前に社内や関係者間でコンセプトのレビューを行い、わかりにくい点がないかを確認する

 
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まとめ

今回は、定量調査の事例と失敗例、その留意点について解説しました。定量調査は、適切な設計と分析を行うことで、企業のマーケティング活動を成功に導くための強力な武器となります。本記事を参考に、自社の課題解決に最適な調査を実施していただければ幸いです。
 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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