2024.10.15
BIツールでデータを視覚化するだけで意思決定が加速する理由とは?
企業が競争を勝ち抜くためには、迅速で適切な意思決定が不可欠です。膨大なデータが日々生成されている中で、そのデータをどのように使うかが勝敗を分けると言っても過言で……
公開日:2024.07.10
「消費者の心をつかむこと」は、現代ビジネスにおいて重要なテーマです。激しい競合他社との競争が繰り広げられるビジネスでは、消費者の真の欲求を理解し、それに応えることが企業の成長に大きく影響します。そんな中、近年、注目を集めているのが「消費者インサイト」です。消費者インサイトを把握できれば、企業は現状よりも効果的なマーケティング戦略を立案し、顧客満足度を向上させることができます。
この記事では、消費者インサイトの基本概念とともに、その調査方法や活用方法について解説します。
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現代は、市場に多くの商品やサービスがあふれている時代です。このような環境下で、企業が消費者に支持されるためには、「消費者が本当に求めているもの」を追求する必要があります。その重要な手がかりとなるのが「消費者インサイト」です。
ここでは、消費者インサイトの定義や重要性とともに、潜在ニーズとの関係性について解説します。
消費者インサイトとは、消費者の行動や思考の背後にある、消費者も自覚できていない動機や欲求です。人間の意思決定は、実はその約9割が、自覚できない潜在意識によって行われていると言われています。そして、私たちの思考は、無意識の意思決定に対して、後付けで理屈づけを行う傾向があります。 消費者の購買行動においても、この潜在意識が大きな役割を果たしています。消費者が商品を選ぶ際、その選択を決定づけているのは、自覚できる意識ではなく、潜在意識下の動機や欲求であることが多いのです。
例えば、「なぜこの商品を選んだのか?」という問いに、消費者は「価格が手頃だったから」「デザインが気に入ったから」などと答えるかもしれません。しかし、その裏には「周りの人に褒められたい」「自己肯定感を高めたい」といった、より深層心理的な欲求が隠れている可能性があります。
消費者インサイトは、消費者の行動を大きくコントロールしている動機や欲求です。だからこそ、消費者インサイトを把握することは、自社のマーケティング戦略に大きな影響を与えます。
潜在ニーズとは、消費者がまだ自覚していない、または言葉にできないニーズを指します。これは、顕在ニーズ(消費者が自覚しているニーズ)とは対照的な概念です。
例えば、「もっと効率的に仕事を進めたい」という顕在ニーズを持つ人がいるとします。しかし、その背景には、「時間に追われる生活から解放されたい」「家族との時間を増やしたい」といった潜在ニーズが隠れている可能性があります。
潜在ニーズと消費者インサイトは、共に潜在意識に存在する消費者の動機や欲求です。しかし、潜在ニーズは自分の心理を深掘りすれば言葉にできる可能性がありますが、消費者インサイトは言葉にできることはほとんどありません。つまり、潜在意識において、表層に存在するのが潜在ニーズ、そしてさらに深層にある本音や感情が消費者インサイトという関係です。
現代マーケティングでは、消費者インサイトがかつてないほど注目されています。これは、効果的なマーケティング活動を展開するには、従来の手法では捉えきれない、消費者の深層心理を理解することが求められているからです。
ここでは、消費者インサイトが注目されている理由について解説します。
これまで数多くの企業が、消費者ニーズに基づくマーケティングを展開してきました。その結果、市場には消費者の顕在ニーズや潜在ニーズを満たす商品やサービスが数多く販売されています。
かつて、消費者は家電製品や車など、「欲しい」とイメージできる具体的な商品がありました。しかし、現在では「欲しいもの」を聞かれてもすぐにイメージできない人が増えています。これは、既存の商品やサービスが、ある程度満たされた状態にあるためです。
だからこそ、今後のマーケティングでは、消費者が自覚できない消費者インサイトを満たすかが重要なポイントとなります。消費者インサイトは把握するのが難しいからこそ、これを掴むことができれば、他社が思いもつかないような革新的な商品やサービスを創出するチャンスが生まれます。
このように、消費者インサイトを把握することで、企業は競争力を強化し、市場での優位性を確立することができるのです。
消費者インサイトによって、従来のマーケティング手法では見落とされていた動機や欲求を掘り起こせれば、企業は新たな需要を発見できます。
例えば、数年前であれば「乳酸菌飲料」に「快適な睡眠のサポート」を求める消費者ニーズはほとんどありませんでした。しかし、市場に「快適な睡眠をサポートする乳酸菌飲料」が発売されると、瞬く間に大ヒット商品となっています。
もし、企業がこのような消費者インサイトを把握できれば、消費者や競合他社が思いもつかないような新たな需要を発見することが可能です。
また、消費者インサイトを満たすことは顧客満足度の向上にも直結します。消費者が潜在的に求めているものを提供することで、商品やサービスに対する満足感が高まり、リピーターやファンの獲得につながります。
一つ例として、あるコンビニジムをご紹介します。このコンビニジムでは、トレーニング以外に「セルフ脱毛」「セルフエステ」「セルフホワイトニング」などのサービスを導入しました。これらはトレーニングと関係ないサービスであり、これまでジム会員にリサーチしても、併設して欲しいサービスにはほとんどあがらないものばかりです。しかし、コンビニジムに導入されると、数多くの会員に利用されています。
このように、消費者の声にならないインサイトを満たせれば、顧客満足度の大きな向上につながります。
消費者インサイトを活用した成功事例として、「牛乳販売促進」キャンペーンが挙げられます。当時、多くの人々は牛乳を飲むことの重要性を認識していながらも、日常生活の中で牛乳を飲む習慣が、年々、減少していました。このキャンペーンは、このような事態を打開し、牛乳の消費量を増やすことを目的に実施されました。
それまでの牛乳販促広告は、牛乳そのものの栄養価や美味しさをアピールするものが主流でした。しかし、広告効果は芳しくなく、需要減少を食い止めることができませんでした。そこで、消費者に牛乳を飲まない生活調査を行うと、牛乳が最も必要とされる瞬間は「クッキーやシリアルを食べようとしたとき」ということが判明しました。
この消費者インサイトに基づいて、キャンペーンでは牛乳売り場ではなく、クッキーやシリアルなどを販売している店の近くに、「ミルクある? 」という広告を展開しました。その結果、このキャンペーンは牛乳の消費量を増やすことに成功したのです。
消費者インサイトは、消費者の深層心理に根ざした動機や欲求であるため、表面的なデータ分析だけで把握するのは困難です。そのため、消費者インサイトの調査には、多角的な視点から消費者を理解できる調査手法が重要となります。
ここでは、消費者インサイトを効果的に調査するための代表的な手法を紹介します。
インタビュー調査は、消費者の内面を深く掘り下げるのに有効な調査手法です。直接対話を通じて消費者の考えや感情を詳細に探り、質の高い情報を収集できます。代表的なインタビュー手法には、デプスインタビューとグループインタビューがあり、それぞれ異なる特徴とメリットがあります。
デプスインタビューとは、特定の消費者と一対一で行われ、消費者の深い動機や欲求を得ることに適した手法です。インタビュアーは、消費者の回答をその場で深掘りし、具体的なエピソードや感情変化を引き出すことができます。これにより、消費者自身が自覚できていなかった動機や欲求を、より詳細に把握することが可能です。
「デプスインタビューの定義~分析:効果的な方法で本音とインサイトを引き出す」はこちら>
一方、グループインタビューは、複数の消費者を一堂に集め、自由な討論を促すインタビュー手法です。グループ内での意見交換などから、消費者自身が自分の内面に潜んでいた動機や欲求を見出すことがあります。また、新たな視点やアイデアが生まれることが多く、消費者が共通して持っている認識や欲求を把握するのにも役立ちます。
「グループインタビューのコツとは?成功させる戦略について解説」はこちら>
ただし、インタビュー調査で消費者インサイトを把握するには、高度なインタビュアースキルと経験が重要です。特に、消費者インサイトはハッキリと言葉にされないケースが多々あります。そのため、インタビュアーは「微妙な反応変化」や「回答と動機の食い違い」など、消費者が言葉にできない本音を察知するスキルが求められます。
「インタビュー調査とは?種類や手順、メリット、事例について基礎からご紹介」はこちら>
行動観察調査(エスノグラフィー)は、消費者の自然な環境での行動を観察し、その背後にある意識や動機を深く理解するための調査手法です。この方法は、消費者が日常生活でどのように商品やサービスを利用しているのかを観察することで、消費者インサイトを洞察します。
行動観察調査(エスノグラフィー)の強みは、消費者の無意識が判断した行動を捉えられることです。例えば、家庭でのキッチン用品の使い方や、店舗での購買行動の様子を観察することで、消費者インサイトがどのような動機や欲求を抱えているのかを推察できます。
この調査方法の問題点は、長期的かつ詳細な観察を必要とするため、実施には時間とコストがかかることです。しかし、消費者の無意識下での行動を把握できるため、消費者インサイトに関する情報を得るのにとても効果的な調査手法でもあります。
「エスノグラフィー調査の概要と実践手法」はこちら>
MROC(Marketing Research Online Community)とは、オンライン上に構築された消費者コミュニティを活用し、継続的に消費者インサイトを収集・分析するマーケティングリサーチ手法です。
従来のアンケートやインタビューとは異なり、MROCは特定のテーマについて消費者が自由に意見交換できる場を提供します。消費者はあらかじめ用意された質問に答えるのではなく、自分の言葉で自由に発言し、他の消費者と交流することが可能です。
MROCでは、自由に発言できる環境を提供することで、消費者から無意識によって決定された率直な意見を収集します。このような意見は、消費者インサイトを推察する上で、とても重要な情報源です。
MROCの運営者は、コミュニティ内の発言や行動を注意深く観察し、テキスト分析や感情分析など行うことで、消費者インサイトをより深く理解し、商品開発やマーケティング戦略に活かすことができます。
詳しい「MROC(エムロック)」はこちら>
デザイン心理学調査とは、アスマークの独自ソリューションであり、消費者のデザインに対する無意識の反応を科学的に分析する手法です。この調査手法は言葉による調査では得られない、消費者の深層心理や感情を明らかにすることが可能です。
人間は、視覚情報に対して、その判断を無意識で瞬時に行います。これは商品パッケージなども同様です。そのため、デザインの「好き」「嫌い」は無意識で判断され、それが感情や行動に大きな影響を与えます。
しかし、デザインに対する感想や評価を言葉による調査で尋ねると、人は「自分を良く見せたい」「批判されたくない」などの理性によるバイアスが働くケースがあります。その結果、無意識とは異なる建前を回答し、調査結果と店頭での商品評価が食い違う可能性があるのです。
このようなケースに対して、デザイン心理学調査では様々な手法を用いて、無意識の反応を客観的に計測できます。
詳しい「デザイン心理学調査」はこちら>
消費者インサイトは、企業が競争力を高めるための重要な情報です。消費者の行動や心理を深く理解することで、企業はより効果的な商品開発やブランド戦略を立案し、マーケティング施策に活用できます。
ここでは、消費者インサイトを活かすための方法について解説します。
消費者インサイトを深く理解することは、画期的な商品開発によって市場に新しい価値を提供する原動力となります。
例えば、ある調査で消費者が「手軽に栄養バランスの取れた食事をしたい」というニーズを持っているとします。しかし、このニーズの裏側には、「料理に自信がない」という消費者インサイトが潜んでいるかもしれません。
仮にそうであれば、「調理の手間を省いた栄養価の高い冷凍食品」よりも、「仕上がりの見栄えが良い冷凍食品」の方に大きな市場を見出すことが可能です。
また、消費者インサイトは、ブランド戦略においても活用できます。消費者インサイトは、消費者の価値観やライフスタイルに大きな影響を与えています。ブランドが消費者インサイトを深く理解して、その代弁者たるポジションを獲得すれば、消費者との強固な信頼関係を築くことが可能です。
例えば、「環境問題に関心がある」という心理の奥に、「将来への不安がある」という消費者インサイトが潜んでいたとします。その場合は、「未来を信じて一緒に歩む」のように、消費者との一体感をアピールするメッセージが効果的と考えられます。
このように、消費者インサイトを基にした一貫性のあるブランド戦略を展開することで、ブランドの信頼性を高めることが可能です。
消費者インサイトを活用すれば、ターゲット市場の隠れた動機や欲求を反映した、効果的なマーケティング戦略を立案できます。
まず、消費者インサイトを基にしたターゲティングは、より精度の高い市場セグメンテーションを可能にします。これにより、広告やプロモーション活動をより適切なターゲットに向けて展開することができ、無駄なコストを削減しつつ、効果的なメッセージを届けることが可能です。
また、消費者インサイトを活用することで、パーソナライズマーケティングも実現できます。消費者個人の嗜好や購買履歴を基に、個人に最適化されたオファーやメッセージを送ることで、顧客エンゲージメントを高め、リピート購入を促進できます。
さらに、消費者インサイトを反映したコンテンツマーケティングも有効です。消費者が関心を持つトピックや課題に関する有益な情報を提供することで、ブランドの専門性をアピールし、強固な信頼関係を築くことができます。これにより、消費者はブランドに対して親近感を抱き、長期的なロイヤルティを持つようになります。
ここまで、消費者インサイトについて解説しました。
消費者インサイトは、企業が新たなビジネスチャンスを掴み、成功を収めるための重要な洞察です。しかし、消費者インサイトの把握は決して容易ではありません。消費者の深層心理に迫るためには、高度な専門スキルや経験が求められるからです。そのため、消費者インサイトの調査を行う際は、外部専門家との協力体制を構築することが重要です。専門家の知見やノウハウを活用することで、より精度の高い消費者インサイトを導き出し、効果的なマーケティング戦略に繋げることができます。
消費者インサイトは、企業が新たな市場価値を創造し、競争優位性を獲得するための重要な情報です。ぜひ、この記事で紹介した内容を参考に、消費者インサイトをビジネスに活用していきましょう。
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グループインタビュー(FGI)
グループインタビュー(FGI)とは、調査対象者を6人程度集め、モデレーターと呼ばれる司会者が調査テーマについて質問を行い、自由に発言をしてもらうことでさまざまな意見・情報を収集する調査手法です。消費者と直接対面することが最大の特徴で、消費者の生の声を収集することができます。また、グループ形式であるため、その相互作用で意見が活発になりやすく、多くの意見を収集しやすいというメリットもあります。
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