2024.03.25
アンケート調査の回答に必要な人数は?サンプルサイズの計算方法と成功のポイント
アンケート調査は、市場の動向、顧客の満足度、製品の需要など、多岐にわたる情報を収集するための重要な手段です。ビジネスにおける効果的な意思決定や市場分析に欠かせな……
公開日:2024.12.23
アンケート調査のデータを正しく読みとくために、必要なのが「集計」です。「分析軸の設定」や「集計表の分析」などの集計仕様について理解しておくことで、より価値あるデータを得ることができます。
集計において、「クロス集計」という言葉が出てきます。このクロス集計は、設問ごとの結果を一覧できる単純集計に対し、分析の焦点となる項目を「分析軸」として設定の上、設問ごとのデータから洞察を得ることができます。男女差や年代さなど、複数の層が何を語っているのか、詳細な視点で分析できるため、データ分析時には必要不可欠となります。
そこで、本記事では「クロス集計」について、「分析」という言葉から始め、集計表の種類、見方、仮設試行、集計軸設定の注意点を紹介していきます。
『分析』という言葉は知っているけど、「説明して」と言われると、自信がない、、、そういう方も多いのではないでしょうか。『分析』というのは、端的に分けて比較することを指します。データは、単に見ただけでは、絶対的な意味や評価といったところはありません。何かと何かを比較して初めて、「高い、低い」といった違いが生まれます。そして、その差をどう解釈していくかがポイントです。
また、「どう分けるか」もポイントです。性別なのか、世帯年収別なのか、エリア別なのか、分けようと思えば、いろんな分け方できます。そのため、目的を持って分け方を決めなければ、せっかく分析しようと思っても、知りたいことが知れない可能性があります。
それでは、どんな集計表があるのかを紹介していきます。
集計表は、大きく分けると単純集計表(GT※1表)とクロス集計表の2つに分けられます。どちらもローデータと呼ばれる回答結果を数字で表したデータを見やすくまとめた表になります。
※1 GTはGround Totalの略です。
下図が単純集計表のイメージとなります。
単純集計表は、各設問に1つ1つの全体の結果を示し、人数を表す度数と割合を表すパーセントで表記されています。この表は、調査結果の全体像を把握するときに有効で、クロス集計表で詳細を確認する前に見るようにしましょう。
続いて、下図がクロス集計表のイメージです。
クロス集計表の「全体」は、単純集計表と同じ結果を表しています。また、「全体」には、様々な属性の人が含まれており、例えば、性別では「男性か女性」、年代では「20代か30代、40代、50代」といった具合です。そのため、「属性ごとにどのような傾向の違いがあるのか」などを把握するため、これらの項目、いわゆる「集計軸」と呼ばれる軸を設定する必要があります。
クロス集計表について、より細かく紹介していくため、下図を用意しました。
まず、左側の「全体」や「性別」などといった項目は、集計軸となり、表側と言います。そして、上側の「辛み」や「おいしさ」といった項目は、設問の選択肢となり、表頭と言います。
この表側と表頭は、原因と結果の関係性にあり、原因と結果の因果関係を確認するものになります。例えば、左側の「女性」という項目を見て、「甘味」の項目を見てみると76.5と記載があり、ほかの属性と比べ、低いことが分かります。つまり、「女性は甘味が低い」という結果を読み取ることができます。
アンケート調査は、仮説思考で設計することが重要です。仮説思考とは簡単に説明をすると、「なぜ?」という意識を持つことです。マーケティングの課題を解決するために、解決できる可能性が高いものを仮説とし、設問に落とし込んでいく必要があります。そして、限られたリソースの中で、次のアクションにつながる結論を導き出していくことが求められます。
この仮説を明らかにするためには、仮説検証の視点で集計軸を設定する必要があります。具体的に以下例を用いて説明していきます。
このように、検証したい仮説によって集計軸を設定することで、結果の違いを解釈していきます。
仮説の方向性には、大きく現状仮説と戦略仮説の2つがあります。
現状仮説とは
現状仮説は、現在抱えている課題に関する問題点として、「このような状態なのではないだろうか」という推測をする方法となります。
上図で示している内容の場合、「新商品の売上が良くない」という課題があったときに、「認知率が低いのが原因ではないだろうか」というような仮説を立てます。
戦略仮説とは
戦略仮説は、現在抱えている課題に関する問題点を解決するために、「こうすればきっとうまくいくのではないだろうか」という過程を示していく方法になります。
現状仮説の時同様、「新商品の売上が良くない」という課題があったときに、「SNS広告を実施すれば購入率は上がるのではないか」というような仮説を立てます。
仮説の立て方には、現状仮説と戦略仮説の2通りがあり、前者は「想定される問題点(状況は、Aな状況ではないか)、後者は「想定される問題点の解決策(Bをすればうまくいくのではないか)」です。
これらのフレームワークは、調査を行うマーケティングのフェーズによって、構築の視点が変わるため、状況に応じ活用してください。
続いて、集計軸を設定するときの注意点を3つご紹介します。
例えば、「自社商品購入者は、他社商品購入者よりも、普段から安全性や産地のこだわりを持っているから、自社商品を選んでいるのではないか?」というような仮説を立てたとします。これを検証するために、「購入している商品」を集計軸に置いてアンケート調査を実施したとき、下図が得られたとします。
この図で商品Dの「全体」の数値を赤で囲っておりますが、統計上基準となり得る30サンプルを下回っており、ぶれが大きくなる数値となるため、基本的には参考値として比較を行えません。そのため、商品Aと商品Dの違いが把握できないということになります。
このようにn(回答サンプル数)が確保できない場合、十分な仮説検証を行えないため、事前に分析に耐えられるnを確保できるのか、といった視点で調査設計を意識する必要があります。
△集計軸設定の注意点に戻る△
まず、MA回答というのは、複数回答形式(Multiple Answer, MA)のことで、回答者に複数の選択肢から当てはまる全ての項目を選ばせます。また回答形式として、SA回答と呼ばれる単一回答(Single Answer, SA)やFA回答と呼ばれる自由回答(Free Answer, FA)があります。
次に、先ほどと同様の仮説を検証する場合、MA回答のものではなく、「最もよく購入している商品」でのSA回答で集計軸を設定するようにします。もしMA回答の場合、商品Aを選択した人が168人、商品Bを選択した人が127人、そして商品Aも商品Bも購入している人が100人いたとすると、AとBを比べてもAとBは、ほとんど同じ人が回答しているので、該当商品を購入している人の傾向というところは見えてきません。そのため、集計軸を設定する際には、SA回答で行われていることが必要になります。
△集計軸設定の注意点に戻る△
集計軸が多いというのは、例えば、下図がイメージとなります。
このように集計軸が多い場合は、仮設ができていない可能性が高いです。視界がぼやけている状態と同じで、気づきが得られない場合が多く、次のアクションにつながる結果には至らない可能性も高くなります。また、集計軸が多いことで、重要ではない箇所で「なんでこの結果になったのだろう」と不必要にとらわれてしまう可能性もあります。
そのため、「解説検証に必要な集計軸なのかどうか」という問いを持って集計軸を精査していきましょう。
△集計軸設定の注意点に戻る△
集計軸は、分析のスタートになります。そして、「結果をどのように読み解いていくのか」というのは、調査設計の段階で決まっています。そのため、特に重要なのが「何を明らかにしたいのか」です。これが明確ではない場合、データを見誤ってしまったり、最終的な意思決定も誤ってしまったりする可能性があります。
今回、クロス表から得られる示唆についてご紹介させていただきましたが、多岐に渡るので、ぜひ今回の内容を実務でも活用していきましょう。
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