2023.11.08
ペルソナ設定とは?: ターゲットとの違いから現場の実践まで
マーケティングや開発の現場で顧客を想定する際、ターゲットという言葉で顧客の属性やニーズを定義することが一般的です。しかし、従来のターゲットでは顧客像が明確になら……
公開日:2023.04.24
介護サービスは、高齢化社会が進む中でますます重要になってきています。利用者満足度を向上させることは、利用者の家族や関係者にとっても大きな意味を持ちます。しかし、介護サービスの利用者満足度を測定することは容易ではありません。そのため、本コラムでは、介護サービスの利用者満足度をアップするための具体的な手段として、顧客満足度調査のテンプレートを解説します。このテンプレートを使うことで、利用者の声を集め、サービスの改善点を明確化することができます。介護サービスの利用者満足度を向上させ、利用者とその家族の幸福につながる具体的なアプローチを提供することを目指しています。
また、本コラムでは、調査の目的や実施時の注意点、アンケート項目設定時のポイント、実施の流れ、調査結果の活用方法についても解説しています。解説したテンプレートは無料でダウンロードできます。
CS調査とは、自事業所がどのように被介護者やその家族などに評価されているのかを知るための調査です。また介護サービス事業者としての信頼性、被介護者およびその家族などとの関係性の強さも知ることができます。CS調査の最終的な目的は、現在および今後の自事業所の健全な運営、介護サービス事業者としての発展に向けた手段を見出すことです。
介護サービスは、そのサービスを受ける本人だけでなく、介護を見守る家族など関係者の満足度の評価が非常に重要です。一般に被介護者は経済的および体力的にも弱者であることが多く、介護サービスの利用は介護者によって決定されるケースが多く見られるためです。
介護サービス事業者の顧客満足度は被介護者の評価が基本ですが、被介護者の体力・精神的状態によっては自らの意思で評価できないこともあります。その場合には、家族などの関係者によって介護サービスが評価されることになります。そのため、事業者は介護者とのコミュニケーション関係の構築も重要になります。
介護サービスにおける顧客満足度は、利用者本人とその家族などの関係者によって評価されます。介護を受ける本人が体力的・精神的に評価ができない場合には、その関係者が本人に代わって評価をし、介護サービス利用の意思決定をするためです。介護サービスの選択に、本人の意思が十分に反映されていないケースも想定できます。介護サービスを受けている被介護者の顧客満足度なのか、サービス利用の意思決定をする介護者か、両者均等なのか、調査目的から外れない項目設計が必要です。
調査の目的によって、調査対象とする顧客層が変わってきます。介護を受ける本人の満足度なのか、介護を見守り支援する家族や関係者の満足度なのかという評価者の設定です。また、介護サービスの内容に関わる満足度についても、事業所や介護サービス全体なのか、特定の課題を対象とするのか、それぞれの視点にそった項目設計が必要になります。
介護サービスの利用者に共通する評価事項としては、適切な介護の提供、快適で安全な時間が過ごせる環境、介護を担当する職員の態度、家族や関係者とのコミュニケーションなどがあげられます。介護サービスを担う人、介護のプログラム運営、施設など、どのような介護ポイントに焦点を当てるのか、調査の目的により項目設定は変化します。具体的な評価場面が想定できるような項目設計が必要になります。
介護サービスのアンケートについては、体力・精神的な状況で介護サービスを受ける本人が回答できないケースも想定できます。そのため、回答者は誰かを明確にできる項目設定も必要です。
CS調査では、起承転結の一連の流れがあります。ここでの「起」はどのような状況下で介護サービスを受け始めたのか、その事業者(以下、施設を含む)をどのようにして見つけたのか、その決定者は誰かという介護の背景と認知、「承」はどのような介護サービスを受けているのか、利用経過年数といった介護サービスの状況、「転」はその介護サービス事業者を利用すると決めた意思決定行動、続いて「結」の実際に介護サービスを受けた事業者の「満足度評価」とつながって行きます。
単純集計、属性クロス集計、質問間クロス集計などの分析方法を考慮した、適切な回答方式を選択します。
分析に応じて集計・分析軸を設定します。
関係メンバー以外の社内の方に、調査票全体を客観的に検証してもらう必要があります。回答者が回答しやすい表現になっているのか、その確認が大切です。
CS調査の実施は、次のような流れで進めるのが基本です。
介護サービスの顧客満足度を聞くことで、自身が提供する介護事業の強みと弱み、現在とこれからの介護事業者としてのあり方も知る機会となります。アンケート調査の一連の流れにそって、活用方法を例示します。
介護サービスの事業者を探した当事者は誰か、被介護者はどのような状況にあるのかなど、被介護者の状況を踏まえた認知経路の想定ができます。さらに顧客層別に見た、自事業所の情報発信効果を検証できます。自事業所のHPなど公式サイト、介護サービス検索サイトを活用した広告宣伝、公的な介護情報の広報活動などを含め、自事業所の発信情報の内容と方法を見直す契機ともなります。
介護サービスの認知経路と顧客層別に、どのような介護サービスが利用されているのか、その継続状況を知ることができます。また被介護者の状況と介護サービス利用の決定者を組み合わせ、介護サービスとの関係を見ることで、介護サービス利用の背景を知る機会となる可能性があります。
どのような介護サービスを希望して自社を選んだのか、その選んだ理由から顧客が求める介護サービスがどのようなものか確認できます。その選定時の重視点と自事業所の現状との比較が、事業所の強化および改善すべき要件の発見へとつながります。その発見は介護サービス事業者としての役割を充実させ、健全な経営を進化させる原動力として期待できます。
現状と今後について、優先的に改善すべき被介護者および関係者(利用者)の評価ポイントを知ることができます。また満足度が低い項目は、利用者の潜在ニーズも表している可能性があります。さらに利用者の状況と、満足度評価の個別項目との相関を見ることで、介護サービス事業者としてのあるべき姿、発展の方向性を知る機会となります。
ここでは、介護サービスの「総合的な顧客満足度を知るためのテンプレート」を紹介します。設問は、起承転結の流れにそって構成しています。
※「自社の介護サービス」の部分に該当の介護サービス名等を当てはめます。
この設問では、回答者について聞きます。
この設問では、介護サービスを利用する理由について聞きます。
この設問では、「自社の介護サービス」の情報に触れた主な場面はどこか、認知経路について聞きます。
この設問では、決定者が誰なのかを確認します。
この設問では、現在利用している介護サービスの種類を聞きます。認知経路により介護サービスの種類に偏りが見られるかどうか、検証の意味合いがあります。
この設問では、介護サービスを受け始めてからの経過年数を聞きます。
この設問では、「自社の介護サービス」を選んだ理由を聞きます。介護サービス事業者としての信頼感や期待などを含む「自社の介護サービス」の印象を知るためです。
この設問は、「自社の介護サービス」の利用に際して重視した点を聞きます。
これらの重視点に関する設問では、満足度の評価で重視する項目は何か、さらに決定要因となる項目は何かを聞きます。
この設問では、「自社の介護サービス」の介護サービス事業者としての総合的な満足度を聞きます。他の設問と総合的な満足度との相関を見ることで、顧客が求める介護サービスの姿、サービス提供事業者として果たすべき役割の見直しなどへの活用が期待できます。
非常に満足 | やや満足 | どちらともいえない | やや不満 | 非常に不満 | |
具体的な介護の内容 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
介護職員の人柄と態度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
介護職員の技能の習熟度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
その他の職員の態度と対応の丁寧さ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
職員間の連携とチームワークのよさ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
バリアフリーなど施設の安全性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
施設内の空調や清掃など快適な環境 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
事業者から家族などに向けた情報提供(HP開設、定期、メールなど) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
被介護者と家族とのコミュニケーション支援(電話取次ぎなど) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
家族との面会要請などの対応姿勢 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
家族からの苦情や相談などの対応姿勢 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ケアマネージャーの苦情や相談などの対応姿勢 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
緊急時の対応や連絡 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
介護サービス内容と負担費用の適正さ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
家族などからの相談窓口の有無 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
この設問では、評価項目のそれぞれについて、満足度を聞きます。現在の評価項目の順位から、優先的に強化または改善すべき事柄を見極める手立てとなります。
この設問では、介護サービス事業者としての満足度を背景として、これからの利用者と事業者との関係について聞きます。
この「継続利用意向」と「他者への推奨意向」は、「自社の介護サービス」と利用者のロイヤルティの強さを知るための設問です。
介護サービス事業者としてのあり方など、顧客の自由な意見を聞きます。アンケート項目では思いつかない顧客の生活感覚や、介護の場に求める事柄、自由な発想での意見が期待できます。
これらのプロフィールは、介護サービスの利用状況、事業者の満足度についてのクロス分析に使用します。介護サービスに関する満足度の状況を、より具体的に表現するためのものです。
CS調査は、「自社の介護サービス」の満足度を聞くことで、今後の介護サービスのあり方、事業者の運営指針を刷新する機会となります。被介護者の状況や介護サービスの満足度の評価から、今後の課題を見出す手立てとしても期待できます。テンプレートを使用することで調査の効率性が向上し、より精度の高いデータを収集することができます。テンプレートは無料でダウンロードしていただけます。ぜひご利用ください。
顧客満足度調査( CS 調査)についてのご相談はこちら>
顧客満足度調査(CS調査)
”顧客満足度調査(略してCS調査)とは、自社の商品ユーザーやサービス利用者から評価・改善点などのアドバイスをいただくための調査です。
顧客が満足する商品・サービスを提供し続け、既存顧客の満足度を維持するだけでなく、新規顧客獲得に結びつけるためにも非常に重要な役割を果たします。また、顧客の「継続購買」や「推奨行動」といった「エンゲージメント」につなげることにあります。
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