2023.05.08
顧客の声を集めてECサイトを改善するために:CS調査テンプレートの活用法
ECサイトの運営において、顧客満足度の向上は継続的な収益に直結するため、成長と成功に欠かせない要素です。顧客満足度が低いと、顧客の離反や収益の減少が懸念されます……
公開日:2022.10.18
みなさんは「パレートの法則」をご存じでしょうか。
「パレートの法則」とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した統計モデルの一種です。別名で「80:20の法則」とも呼ばれ、「全体の80%は、構成する20%の要素が生み出している」と考える経験則です。
これを企業の売上に当てはめた例が、「売上の80%は、上位20%の顧客によってつくられる」という考え方です。もちろんこれは経験則であり、企業によっては必ずしも当てはまるわけではありません。ですが、実際に売上分析を行ってみると、多くの企業でこの経験則に近い結果が出てくる場合があります。
この考え方で重要なことは、売上や利益の大部分は「一部のリピーター」によって支えられているという事実です。リピーターをいかに創出または維持できるかは、企業が存続していくための重要な課題となります。お客様がリピーターになっていただけるかの大きなポイントとなるのが「顧客満足度」です。顧客満足度とはCustomer Satisfaction(CS)のことで、企業が提供する商品やサービスに対して、お客様がどれだけの満足度を抱いているかの指標となります。
もし顧客満足度が高ければ、お客様はリピーターとなって繰り返し商品やサービスを購入してもらえるようになる可能性が高まります。加えて、SNSで自分が感じた満足度を情報発信し、より多くの消費者に情報が拡散するかもしれません。一方、顧客満足度が低ければ、二度と購入しないばかりか、ネガティブな情報が拡散されて、企業に大きなダメージを与える場合もあり得ます。
このように重要な指標である顧客満足度を数値データとして把握する方法が「顧客満足度調査(CS調査)」です。
この記事では、「顧客満足度調査(CS調査)」を成功に導く方法について解説します。
顧客満足度調査(CS調査)とは、自社の商品やサービスの利用者の期待度や満足度を把握する調査です。
本来、人の期待や満足という感情は、抽象的な存在であるため通常のビジネス活動だけではなかなか把握できません。お客様から「期待しているよ」「とても良かったよ」というお言葉をいただいたとしても、それはあくまで一例に過ぎません。確かに小さな一例であってもビジネスの大切なヒントとなることはあります。ですが、それだけでは多数のお客様が抱いている期待や満足を知ることはできませんし、マーケティングの大きな方向性を決める判断材料としては物足りないでしょう。
そこで、多くのお客様が抱いている感情の全体像を把握するために、統計的手法を用いて満足度をデータ化するのが顧客満足度調査(CS調査)です。
顧客満足度は、商品やサービスを利用いただいたお客様が、リピーターになるのかを決定するとても重要な要因です。利用後に高い満足度を感じていただければ、そのお客様がリピーターになる可能性はとても高いと言えます。一方で、顧客満足度が低い状態であれば、そのお客様がリピーターになる可能性は低く、安定した売上や利益の確保が難しくなってきます。また、顧客満足度が低いことが分かっても、具体的に不満を抱いている要因が分からなければ、どのように対策すれば良いかを突き止められません。
顧客満足度を計画的に改善していくためには、「現状の満足度」「具体的な不満点」の把握はとても重要です。これらのデータを把握せずに顧客満足度の改善を図ろうとするのは、何も見えない状態で道を進もうとしているようなものでしょう。
マーケティング活動を効率的かつ効果的に進めるには、組織の持つ資源を一定方向に集中する必要があります。「顧客満足度の改善」という方向にマーケティングを進めるのであれば、顧客満足度を調査・分析して、明確な地図や羅針盤を持つことが大切です。
顧客満足度調査(CS調査)は、主にアンケート形式によって行われます。ここでは、アンケート項目の作り方について解説します。
回答者がどのような属性なのかを調べる項目です。属性データを把握することで、属性ごとの分析結果が得られ、マーケティング施策に反映しやすくなります。
調査対象となる商品やサービスに対する総合評価としての満足度を調査する項目です。満足度の回答を何段階かに分けることで、満足度を数値データとして把握します。
また、回答した理由を記述形式で聞くことで、具体的な内容を把握できます。
調査対象となる商品やサービスについて回答者が評価すると思われる重要項目を抽出し、その項目ごとに満足度を質問します。
各項目ごとの満足度を把握できると、自社の強みと弱みが明確になります。それによって、今後、強化すべきポイントが明確になり、具体的なアクションへとつなげられます。
ロイヤリティとは愛着度を示す指標で、具体的には「再来店意向」「友人にすすめる可能性」を質問します。
顧客満足度調査(CS調査)では、単純集計による顧客満足度把握の他に、いくつかの分析手法があります。これらの分析手法を活用すると、顧客満足度改善の具体策が、より鮮明にイメージしやすくなります。ここでは、いくつか参考となる分析手法を解説します。
競合商品についても顧客満足度を調査し、自社の調査結果と比較する分析手法です。競合と比較することで、満足度で差が出ている要因を的確に把握できるようになります。
「総合満足度と要因ごとの満足度」「自社と競合の満足度」データがあると、総合満足度と要因ごとの満足度の関係を分析できます。総合満足度の結果に、どの要因が大きく関係しているかが分かることで、満足度を強化すべき要因が、より明確になります。
NPS(Net Promoter Score)とは、利用者が商品やサービスを友人に進める可能性を調べる分析手法です。「友人にすすめる可能性」を「推奨者」「中立者」「批判者」の3つに分類し、「推奨者% ― 批判者%」によってNPSは算出されます。NPSが高いほど利用者は商品やブランドに高い愛着を感じていて、口コミやSNSで情報発信する可能性が高まります。
11段階回答(低い 0 ~ 10 高い)の場合
0 ~ 6:批判者
7 ~ 8:中立者
9 ~ 10:推奨者
顧客満足度調査(CS調査)を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。このポイントをしっかりと押さえると、有効な分析結果が得られます。
顧客満足度調査(CS調査)は抽象的な質問が多く、回答者にとっての心理的負担が大きくなりがちです。そのため、質問数が多かったり質問文が分かりにくいと、回答を避けられてしまう傾向があります。
できるだけ少ない質問数で的確な回答が得られるよう、質問項目や質問文が簡潔になるように工夫しましょう。
まずは、「何のための調査なのか」を明確にしましょう。顧客満足度を扱うとしても、実態を把握したいのか、商品開発に反映したいのか、サービス改善に利用したいのかによって、調査内容は変わってきます。
顧客満足度が重要となる対象は、エンドユーザーに限られません。例えば製品をつくっているメーカーの場合、「卸業者」や「小売店」などマーケティング上の仲介者も調査対象となる場合があります。
顧客満足度に求められる内容は、顧客の立場によって異なります。対象者が誰になるかをしっかりと設定してください。
多くの場合、調査する目的は何かしらの課題を解決することです。仮に顧客満足度の問題点が明確になっても、その内容が企業としては手の打ちようがない社会的問題等に帰結してしまっては、調査する意味がありません。調査の分析結果が出たとき、それをどのように活用して、課題解決につなげていくのかを、事前にある程度想定しておきましょう。
顧客満足度調査(CS調査)は、「リピーター」という企業にとって重要な顧客の創出につながる、とても大切な指標です。顧客満足度の現状や推移を把握できると、より具体的、効率的、効果的なマーケティング施策を立案できます。一方で、顧客満足度調査(CS調査)にはシンプルな質問設定や分析手法の利用など、高度な調査設計が要求されます。この調査設計を誤ってしまうと、単に満足度を得ただけで終わり、顧客満足度向上につながらないケースもあります。
顧客満足度は企業にとって大切な指標だからこそ、長期的に取り組むとともに、外部の専門家などの意見も取り入れ、より効果の高い調査を行いましょう。
顧客満足度調査( CS 調査)についてのご相談はこちら>
ポートフォリオ分析(CSポートフォリオ)とは
製品やサービスの『満足度』と『重要(期待)度』からマッピングし『優先的改善項目』を把握する分析手法です。
ブランドの「重要度」を横軸に、「満足度」を縦軸に取り、改善項目への優先度をポジショニングから視覚的に把握することができ、『重点改善項目』『重点維持項目』『維持項目』『改善項目』の4象限に大別されます。
> 詳しく見る
2023.05.08
ECサイトの運営において、顧客満足度の向上は継続的な収益に直結するため、成長と成功に欠かせない要素です。顧客満足度が低いと、顧客の離反や収益の減少が懸念されます……
2021.10.21
「とりあえずアンケートとってみよう!」 そのひと言でアンケート調査の実施が決まることもあるかと思います。 ただし!アンケートで何でもわかる訳ではありません。……
2024.10.15
今日のビジネス環境は、かつてないスピードで変化しています。情報技術の進化やグローバル化など、企業を取り巻く状況はめまぐるしく変化し、それに伴い消費者の価値観やラ……
2024.10.01
現代のビジネスを取り巻く環境は、刻々と変化しています。企業がこの変化に対応するためには、状況に合わせて迅速に意思決定することが大切です。しかし、これまでのように……