公開日:2023.03.13

顧客満足度調査(自動車販売店向け)のテンプレートと解説

  • 顧客満足度

顧客満足度調査(以下CS調査)は、その目的によって、あるいはBtoCかBtoBか、業種、職種等の対象によっても質問内容が異なります。ここでは対象が「自動車販売店」の場合の顧客満足度調査のテンプレートについて解説しています。

この調査を行うときのターゲットは以下の方々を想定しています。

・直近の1年間で、個人もしくは家族で乗るために自動車販売店から車を購入された方。新車、中古車、車種は問いません。ここでの自動車販売店とは、自動車メーカー系列のディーラーだけでなく、サブディーラー、中古車販売店などいわゆる業販店も含みます。なおカーリース(サブスクリプション含む)、カーレンタル(カーシェアリング含む)は、対象としていません。

 
また、調査の目的や実施時の注意点、アンケート項目設定時のポイント、実施の流れ、調査結果の活用方法についても解説しています。解説したテンプレートは無料でダウンロードできます。
 

 
 

自動車販売店における顧客満足度向上のための課題とCS調査の重要性

CS調査とは、自社が提供している製品やサービスが、どのように顧客に評価されているのかを知るための調査です。また自動車販売店としての信頼性、顧客との関係性の強さも知ることができます。CS調査の最終的な目的は、企業収益の向上、既存顧客の維持確保と新規顧客の獲得のための手段を見出すことです。

自動車販売店の役割と現状

車の購入には、いくつかのステップがあります。車選びから購入手続き、購入後のメンテナンス方法の検討などです。自動車販売店は、これらステップの相談とサポート役として顧客に貢献しています。近年は若者の車離れ、少子高齢化による自動車人口の低減など、自動車需要の頭打ち現象が見えます。さらに今日では、車を所有しないカーリース(サブスクリプションを含む)を始め、必要な時だけ車が使えるカーレンタル、さらに利便性の高いカーシェアリングの利用が広がりを見せています。

自動車販売店の課題

この状況下において、自動車販売が成長を続けて行くためには、顧客に受け入れられる店舗づくり、来店から納車後のカーライフを含む顧客満足度の向上が重要です。顧客が車を購入するステップ全般について、顧客が求めるカーライフをより詳細に知ることが重要な課題となります。ここでは車を購入した自動車販売店を選んだ理由だけでなく、顧客が車を購入する背景を含めた満足度を高める要件の検証、現行サービスの改善と新たなサービスの発見を目的としています。
 
 

アンケート項目を設計するときの注意点

目的を明確にする

生活者が自動車販売店から車を買う背景には、様々な事情が想定されます。「どのような車を」、「どのような人が」、「どのような目的で」などです。自動車の保有形態の多様化が進む中で、自動車販売店としても多様な対応力が問われる状況となっています。どのような顧客の事情における満足度を見るのかなど、目的が明確となる調査設計が必要です。

調査対象を明確にする

調査の目的によって、調査対象とする顧客層が変わってきます。初めて車を買う顧客、特定のこだわりを持つ顧客、新車または中古車を希望する顧客にターゲットを絞るというケースもあります。また調査対象とする満足度は、車の購入ステップ全体なのか、特定のステップに焦点を当てるのかなども明確にする必要があります。そのため、具体的な調査対象を示す必要があります。

車を購入する背景を踏まえた項目設計

車を購入する目的は、大きく自分自身の利用のためか、家族が利用するためかに区分されます。車の購入経験の有無、家族構成、車を使う生活行動など、顧客が車を使う生活場面を知るための項目設計が必要です。家族の中の誰が、誰のために、何の目的でなど、具体的なカーライフが見えるような項目の設定が重要になります。

アンケート項目は、回答者が回答しやすい順番となるようにする

CS調査では、起承転結の一連の流れがあります。ここでの「起」は顧客が車を購入する。自動車販売店を知るという認知、「承」で車の購入者は誰か、車を使う生活場面など、車を購入する背景となる事情を聞きます。「転」は自動車販売店を決定するという意思決定行動、続いて「結」の実際に車を購入した自動車販売店の「満足度評価」とつながって行きます。

適切な回答方式(単一回答、複数回答、自由回答)を選択する

単純集計、属性クロス集計、質問間クロス集計などの分析方法を考慮した、適切な回答方式を選択します。

設問に対応する集計方法の適否を確認する

回答方式、分析方法を客観的な目で確認します。

第三者によるアンケート項目と調査票を確認する

関係メンバー以外の社内の方に、調査票全体を客観的に検証してもらう必要があります。回答者が回答しやすい表現になっているのか、その確認が大切です。
 
 

実施の流れ

CS調査の実施は、次のような流れで進めるのが基本です。

① 目的と検証課題の想定
② 目的に対応する回答者の属性、回収目標数を決定
③ 回答者のサンプリング、リスト整理
④ アンケート項目の設計
⑤ アンケート項目にそった集計方法、分析方法を決定
⑥ 調査実施、集計作業
⑦ 調査結果の分析および報告書作成

 
 

調査結果の活用方法

自動車販売店の顧客満足度を聞くことで、自店の強みと弱み、現在とこれからの顧客とのつながりのあり方も知る機会となります。アンケート調査の一連の流れにそって、活用方法を例示します。

認知(自動車販売店の認知)

顧客が購入した車と購入する店舗をどのような経路で知ったのか、その結果から自店の情報発信効果が検証できます。広告宣伝やHPなど公式サイト、キャンペーン活動などを含め、自店の情報発信の方法を見直す契機ともなります。

車の購入とその背景

車の購入を決定した人は誰か、どのような車を選んだのかを知ることで、顧客層ごとに求める車のイメージの確認ができます。情報発信や商談のターゲットとすべき人の選定、またカーライフから車の購入機会を知るなど、ビジネスチャンスを発見する効果も期待できます。車の購入目的と購入決定者を重ね合わせることで、顧客層ごとの車に対するニーズの想定がしやすくなります。その結果は現在の顧客への継続的なサポート、新規顧客に対しての適切なアドバイスや推奨を行う手段として活用が期待できます。車選びの適切なアドバイスは、顧客の好感度と信頼性を高め、顧客満足度を向上する手段として期待できます。

自動車販売店の選定(意思決定行動)

自動車販売店の選定理由から、自動車販売店に求められるセールスポイントの一面が見えてきます。顧客を惹きつけるセールスポイントは何か、その充足状態を知る手立てとなります。現在の強みをより強化し、今後に向けた改善ポイントの発見につながって行きます。

顧客満足度評価

現在の状況や今後の展望について、優先的に改善すべき顧客の評価ポイントを把握することができます。また、満足度が低い項目は、対象サービスの弱点と同時に、顧客の潜在的なニーズを表す可能性があります。車の使用目的などと項目ごとの満足度の相関を分析することで、顧客が求める自動車販売店の理想的な姿や店舗コンセプトの見直しに役立てることができます。
 
 

テンプレートの解説

ここでは、対象とした自動車販売店の「総合的な顧客満足度を知るためのテンプレート」を紹介します。設問は、起承転結の流れにそって構成しています。

【認知】自動車販売店の認知
Q1.この●はどこで知りましたか。(お答えはひとつ)

1.テレビ
2.ラジオ
3.雑誌
4.新聞・チラシ
5.販売店の公式サイト
6.インターネット検索
7.インターネット広告
8.SNS・ブログ
9.店舗
10.駅や街中の看板
11.家族・友人・知人からの口コミ
12.その他(     )

 
この設問では、車の購入先となる●の情報に触れた主な場面はどこか、認知経路について聞きます。
 
 

【購入経験】
Q2.ご回答者の車の購入経験を教えてください。(お答えはひとつ)

1.この車が初めての購入経験
2.この車は買い替えで購入
3.この車は2台目として追加購入
4.その他(     )

 
この設問では、車の購入経験を聞きます。購入経験別で販売店の評価がどのように異なるかを見ることができます。
 
 

【車のタイプ】
Q3.この●で、どのような車を購入しましたか。(お答えはひとつ)

1.軽自動車
2.小型自動車
3.普通自動車
4.その他(     )

 
この設問では、車のタイプを聞きます。車のタイプ別で販売店の評価がどのように異なるかを見ることができます。
 
 

【新車・中古車区分】
Q4.購入した車の履歴を教えてください。(お答えはひとつ)

1.新車
2.中古車
3.その他(     )

 
この設問では、新車・中古車の区分を聞きます。新車・中古車の区分で販売店の評価がどのように異なるかを見ることができます。
 
 

【販売店の区分】
Q5.この●は、どのような自動車販売店ですか。(お答えはひとつ)

1.ディーラー(特定自動車メーカーの新車、下取り中古車も取り扱い)
2.サブディーラー(複数の自動車メーカーの新車、中古車も取り扱い)
3.中古車専門店
4.その他(     )

 
この設問では、どのような販売店から車を購入したのかを聞きます。
 
 

【購入決定者】
Q6.購入を決めたのはどなたですか。(お答えはひとつ)

1.ご本人
2.配偶者
3.父または母
4.祖父または祖母
5.子供
6.孫
7.その他(     )

 
この設問では、家族の中の誰が車の購入を決めたのかを聞きます。
 
 

【車の利用目的】
Q7.●で購入した車は、どのような目的で使いますか。(お答えはいくつでも)

1.通勤・通学
2.通学の送迎
3.買い物
4.外食
5.近隣のレジャー施設
6.ドライブ
7.旅行
8.通院(家族を含む)
9.通院の送迎
10.介護施設送迎
11.その他(     )

【車の利用目的】
Q8.もっとも使用機会が多い目的を、Q7.から選んで記入してください。(お答えはひとつ)

記入欄(             )

 
これらの設問では、生活場面における車の使用状況を聞きます。さらにもっとも使用頻度が高い、重要だと思われる使い方も聞きます。
 
 

【販売店選定理由】
Q9.この●を選定した理由を教えてください。(お答えはいくつでも)

1.カーメーカーの系列だから
2.自動車販売店の上位にランキングされているから
3.知名度が高い販売店だから
4.自宅の最寄りで、安心感があるから
5.キャンペーンなど販促活動が活発
6.知人などの紹介
7.SNSなどの評判
8.その他(     )

 
この設問では、車の購入先として●を選んだ理由を聞きます。自動車の販売店としてのセールスポイントの一面を知るためです。
 
 

【重視点】
Q10.この●を選ぶ際に重視した点を教えてください。(お答えはいくつでも)

1.店舗の利便性(近隣、通勤途上など)
2.店の雰囲気・清潔さ
3.店員の接客力
4.店員の購入や手続きなどの説明に納得感がある
5.車選定のアドバイスが適切で丁寧
6.手続きの迅速さ(契約から納車まで)
7.車種が充実
8.カー用品の品揃えが充実
9.オプションなど作業の迅速さ
10.保証・メンテナンス内容の充実
11.アフターサービスの提案内容
12.その他(     )

【最重視点】
Q11.この●を選ぶ際にもっとも重視した点を教えてください。(お答えはひとつ)

記入欄(             )

 
これらの設問では販売店を選ぶ際に重視する項目は何か、その中でも決定要因となる項目は何かを聞きます。
 
 

【総合的満足度】
Q12. ●の総合的な満足度を評価してください。(お答えはひとつ)

1.非常に満足
2.やや満足
3.どちらもいえない
4.やや不満
5.非常に不満

 
この設問では、●の総合的な満足度を聞きます。項目別の満足度との相関を見ることで、総合的に満足度に影響している項目を知ることができます。顧客が求める自動車販売店のあるべき姿、店舗コンセプトの見直しなどへの活用が可能となります。
 
 

【項目別満足度】
Q13.●を選択した重視点の項目、それぞれについて満足度を評価してください。(お答えはひとつ)

  非常に満足 やや満足 どちらともいえない やや不満 非常に不満
店舗の利便性(近隣、通勤途上など)
店の雰囲気・清潔さ
店員の接客力
店員の購入や手続きなどの説明に納得感がある
車選定のアドバイスが適切で丁寧
手続きの迅速さ(契約から納車まで)
車種が充実
カー用品の品揃えが充実
オプションなど作業の迅速さ
保証・メンテナンス内容の充実
アフターサービスの提案内容

 
この設問では、評価項目のそれぞれについて、満足度を聞きます。現在の満足度の評価に基づいて、今後の強化ポイントと同時に改善ポイントも判断することができます。さらに満足度の低い項目は、顧客の潜在的なニーズを示す可能性もあります。
 
 

【継続購入意向】
Q14.今後、この●から車を購入したいと思いますか。(お答えはひとつ)

1.非常に購入したい
2.やや購入したい
3.どちらとも言えない
4.あまり購入したくない
5.全く購入したくない

 
この設問では、車の購入先としての満足度を背景として、今後の顧客と自動車販売店の関係について確認します。
 
 

【他者への推奨意向】
Q15.この●を友人や知人に勧めたいと思いますか。(お答えはひとつ)

1.強く勧めたい
2.やや勧めたい
3.どちらとも言えない
4.あまり勧めたくない
5.全く勧めたくない

 
「継続購入意向」と「他者への推奨意向」は、●と顧客のロイヤルティの強さを知るための設問です。
 
 

【ご意見・ご要望】
Q16.●に対するご意見などがありましたら、ご自由にお書きください。(自由回答)

(                          )

 
自動車販売店のあり方など、顧客の自由な意見を聞きます。アンケート項目では思いつかない顧客の生活感覚や、車や自動車販売店に求める事柄、自由な発想での意見が期待できます。
 
 

【プロフィール】
ご回答者のプロフィールについてお伺いします。
F1.性別(お答えはひとつ)

1.男性
2.女性

F2.年齢(お答えはひとつ)
1.20歳未満
2.20代
3.30代
4.40代
5.50代
6.60代
7.70歳以上

F3.職業(お答えはひとつ)
1.学生
2.会社員
3.会社役員
4.自営業
5.公務員
6.団体教員
7.パート・アルバイト
8.専業主婦
9.無職
10.その他(     )

 
これらプロフィールについての設問は、カーライフごとの満足度の違いを把握するためのものです。車の購入とその背景や満足度の評価項目とのクロス分析に使います。
 
 

まとめ

CS調査は、対象の自動車販売店の満足度を聞くことで、今後の自動車販売店のあり方、指針の改善のヒントとなります。自動車販売店として、車種の取揃え、車両情報の提供、付帯サービス、および顧客とのコミュニケーション方法など、将来の課題を先取りし、解決策を見出すための手段として活用できます。テンプレートを使用することで調査の効率性が向上し、より精度の高いデータを収集することができます。テンプレートは無料でダウンロードしていただけます。ぜひご利用ください。
 

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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顧客満足度調査(CS調査)

顧客満足度調査(CS調査)

”顧客満足度調査(略してCS調査)とは、自社の商品ユーザーやサービス利用者から評価・改善点などのアドバイスをいただくための調査です。
顧客が満足する商品・サービスを提供し続け、既存顧客の満足度を維持するだけでなく、新規顧客獲得に結びつけるためにも非常に重要な役割を果たします。また、顧客の「継続購買」や「推奨行動」といった「エンゲージメント」につなげることにあります。

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NPS

NPS

NPSとは、「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の略であり、顧客ロイヤリティ(ブランドや商品、またはサービスに対する「信頼・愛着」のこと)を計測するための指標のことです。NPSは事業の業績との相関が非常に高い指標であることから、欧米企業(フォーチュン500)の3分の1が導入しているといわれており、日本でも顧客満足度と並ぶ新しい指標として注目されています。

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