2021.10.21
アンケート調査の設計編①
4コマ漫画でわかるマーケティングリサーチ
初めてアンケート調査を企画する際、なにから手をつけたら良いのかわからないという人も多いと思います。 アンケートを作るにあたり、よくある失敗例と失敗しないための……
公開日:2022.12.23
顧客満足度調査(以下CS調査と略)とは、自社が提供している商品(サービスビジネスを含む)やブランドが、どのように顧客に評価されているのかを知るための調査です。
商品の購入動機と継続購入意向、他の人への推奨意向などで表現される顧客ロイヤルティの高さや商品体験の満足度を数値で表す調査です。なおCSとは、Customer Satisfactionの略語です。
顧客満足度調査(CS調査)の業種・業界別テンプレート一覧 無料ダウンロードはこちら>
CS調査の最終的な目的は、顧客の確保と企業収益の向上です。新規顧客の獲得は既存顧客の5倍のコストがかかるという法則(1:5の法則)、また顧客離脱を5%抑えれば利益率が25%改善されるという法則(5:25の法則)が言われています。
一方で商品の均質化や価格の均等化が進み、情報化社会とも相まって企業特性や商品の差別化が難しい時代になっています。顧客の確保が難しくなっている今日、顧客満足度の向上が重要な経営課題となっています。顧客満足度を向上させるために必要なこと、なすべきことを見出すのがCS調査の目的です。
CS調査は、顧客から評価を聞く作業が根幹となります。
評価を聞く方法は、アンケートまたはインタビュー調査が基本となります。
アンケート調査では、被験者となる顧客リストの準備が必要になります。顧客リストに住所・氏名以外に、メールアドレスが記載されていれば、Webアンケートを実施することができますので、アンケート調査の簡便化でき、回答者の負担も小さくて済みます。
郵送の場合でも、アンケート画面へ誘導するQRコードを記載するという方法もあります。
郵送アンケートは、回答者の手間の負担が大きく、一般に回答率が低いので、インターネットを利用するアンケート方式を採用するのが効果的です。
また特定の地域や顧客層をターゲットとしてCS調査を検討する場合には、特定の顧客層に見合った販売店(通販を含む)に、アンケート画面へ誘導するチラシなどを配布し協力を得る方法も有効です。
さらに店舗の協力が得られる場合、自社で制作したPOP広告などの評価を設問に加えることで、販促方法の評価を知る機会ともなります。
インタビュー調査では、アンケート調査では訊けない行動の背景や深層心理を訊くことが可能です。満足点、不満足点を訊くだけでなく、なぜそう思うのかという理由やその思いに至ったエピソード等を深堀したい場合に向いています。
一般に満足度調査は不定期に実施されますが、定期的に自社の満足度評価を追い続けることもあります。例えば、時間経過による顧客の満足度の変化を知る定期調査のために、モニター登録をした顧客グループを設ける等の方法もあります。この場合の調査方法は、調査内容によりアンケートもしくはインタビュー調査を選択します。
CS調査のアンケート項目は、次のような「まとまり」で作って行きます。
・企業イメージやブランドイメージの評価は、商品購入者の情緒的な満足度(優越感、自己主張など)、実質的な印象の満足度(品質保証やサポートサービスなどの信頼感)が該当します。
・新商品の顧客の反響を早急に知りたい場合などでは、短期間で回答が得やすいシンプルなアンケート項目で実施します。一方、商品開発などでは、より深い満足度の評価が必要になります。その場合には、多面的な顧客の満足度、理由や意識などを聞く項目を加えます。
ここでは、シンプルなパターンの例を紹介します。商品(消費財)を対象とします。
・より深く顧客の満足度を評価したい場合には、この他の質問事項として、商品の使用場面や使用頻度、使いやすさの詳細、ブランド、デザインや性能からみたコストパフォーマンス、サポート内容の詳細、環境負荷への配慮などがあげられます。なお調査目的と対象商品の種類によって、聞く事項は変わります。
顧客満足度調査(CS調査)の業種・業界別テンプレート一覧 無料ダウンロードはこちら>
ここでは基本的な注意点を紹介します。
アンケート項目や集計方法の最終チェックは、関係メンバーのみでは作成者の思い込みが先入観となって、客観的な見直しができません。守秘の関係上、関係者メンバー以外の社内の方に客観的な検証してもらう必要があります。
CS調査において重要なポイントは、調査対象とする顧客のサンプリングです。自社で顧客リストを整備できており、CS調査に必要なサンプル数(顧客数)を確保できていれば問題はありません。充分なサンプル数があれば、さまざまな角度から見た満足度の調査が可能となります。
顧客リストが不充分な場合には、ホームページや商品パッケージにQRコードを添付するなどで、回答者となる顧客を募集する方法があります。なお時間的な制約がある場合には、専門の調査会社に委託する方法もあります。
なお調査票の作成において、
など回答者が抵抗なく答えられる依頼文づくりやレイアウト画面づくりも、重要なポイントになります。
CS調査の実施は、次のような流れで進めるのが基本です。
・満足度を数値化する方法としては、ネットプロモータースコア(NPS)や評定尺度が広く利用されています。
CS調査は顧客の満足度を知るだけでなく、自社の強みと弱みを把握する機会ともなります。また顧客から見た企業イメージやブランドに対する期待や不満など、顧客の幅広いニーズの確認につながって行きます。そのため、企業の信頼性とブランド力を向上する手段としても、CS調査は活用できます。
品質の優劣、価格の高低、認知度の高低、ステータスとしての価値、トレンドかトラディショナルかなど、自社の強みと弱みを決める項目は多岐に渡っています。そのため、個別商品の満足度評価は、自社の強み、弱みを知る手立てとなり、現行商品の改善や新商品のコンセプト開発など、多面的な活用が期待できます。
また顧客の性別や年齢などのプロフィールだけでなく、ライフスタイルが異なる顧客層に商品の満足度を評価してもらうことで、新たな商品形態や強化すべきマーケティング施策などの発見につながることもあります。
CS調査とは、自社商品の継続購入意向と、他者への商品推奨意向の高さを確認するための調査でもあります。継続購入、他者推奨ともに、その意向の背景にあるのは企業やブランドに対する信頼性、愛着心、また商品によってはステータスとなるケースもあります。
自社のロイヤルティの評価を知ることで、顧客とのコミュニケーション(商品情報の発信からクレーム対応まで)などのあり方、市場における自社商品のコンセプトの適切さなどを知る機会となります。
その結果は、顧客を引き寄せるための「強み」「弱み」となる項目の検証となります。これまで気づかなかった自社イメージ、顧客サポートやコミュニケーションのあり方など、自社のロイヤルティを高める具体的な方法を見出す一つの方法ともなります。
新たに発見できた企業イメージやブランド力の強さの気づきは、ビジネスチャンスを発掘するヒントとなります。例えば農産加工品メーカーが、現行商品の技術と企業と信頼性を背景にして、健康関連産業への展開を図るなどです。
CS調査の大きな特徴は、顧客の満足度を数値で表す点です。数値そのものを表現するだけでなく、数値に基づいてビジュアルに顧客満足度を表現する方法があります。それがCSポートフォリオ分析です。
対象商品に対する顧客の総合的な満足度と、調査票の回答項目別の満足度との相関係数を算出、その数値を重要度としてグラフにプロットするものです。顧客ニーズへの対応状況(満足度)と課題、市場おける自社のポジショニングを認識するための有効な手段となります。
次のサンプルグラフで、アウトプットイメージを紹介しています。
サンプルグラフのように、縦軸に総合的な満足度、横軸に回答項目の重要度を置きます。このグラフ画面は、大きく4つのエリアに区分されます。
なお、このCSポートフォリオ分析は、エクセルの集計表から簡単に作成することができます。
エクセル画面の「データ」→「データ分析」で相関係数を求め、「挿入」→「グラフ」→「散布図」でポートフォリオのグラフを作成します。
CS調査は、顧客の目と体験を通した自社の姿を再現してくれます。顧客の目から見る自社の姿と、事業者自身が思っている姿との違いに気づかせてくれる機会となります。自社の現況にとらわれずに、現在の厳しい市場環境へ対応するための指標として活用できると期待されています。
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ポートフォリオ分析(CSポートフォリオ)とは
製品やサービスの『満足度』と『重要(期待)度』からマッピングし『優先的改善項目』を把握する分析手法です。
ブランドの「重要度」を横軸に、「満足度」を縦軸に取り、改善項目への優先度をポジショニングから視覚的に把握することができ、『重点改善項目』『重点維持項目』『維持項目』『改善項目』の4象限に大別されます。
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