2023.05.18
保険サービスの顧客満足度向上へ:生命保険契約者向けCS調査テンプレート活用法
保険販売員や保険会社が提供する各種生命保険商品やサービスが顧客にどのように評価されているかを把握することは、生命保険業界において非常に重要です。高い顧客満足度を……
公開日:2023.07.27
近年、銀行業界は急速な変化に直面しています。従来の窓口接客が減少し、ATMが増加するなど、顧客との接点が変化しています。同時に、ネットバンキングの普及や新たな金融商品の展開により、顧客を取り込むための競争が激化しています。このような市場環境の中で、銀行は自身の競争力を強化し、既存顧客を維持し新たな顧客を獲得する必要があります。その解決策の一つとして、顧客満足度調査(CS調査)が注目されています。本コラムでは、銀行の利用者に対する顧客満足度調査のテンプレートを解説し、課題の把握と改善の手段を探ります。
また、調査の目的や実施時の注意点、アンケート項目設定時のポイント、実施の流れ、調査結果の活用方法についても解説しています。解説したテンプレートは無料でダウンロードできます。
CS調査とは、自行が利用者にどのように評価されているのかを知るための調査です。自行が提供しているサービスに対する期待感と満足度、さらに顧客とのコミュニケーションのあり方や要望を知る機会になります。CS調査の最終的な目的は、企業収益の向上、既存顧客の維持確保と新顧客の獲得のための手段を見出すことです。
今日の銀行は接客の窓口を設けた店舗が減少し、ショッピングセンターや駅中、コンビニエンスストアなどのATMの設置数が増加しています。その結果、顧客とのアクセスポイントの状況に大きな変化が生まれています。一方でネットバンキングや取り扱う金融商品の種類を拡大するなど、生活者を取り込む積極的な活動が見られます。超低金利となっているメイン業務(預貯金の獲得と融資)をカバーするために、様々な方策が展開されています。
都市銀行や地方銀行など、既存の銀行にとって業界の再編成や超低金利という厳しい市場環境が続いています。さらにITの進展によるネットバンキングへの対応、ネット銀行の新規参入が相次ぐなど、顧客獲得の競争の激しさも増しています。その市場環境下において、いかに自行の競争力を強化し顧客を確保、新顧客を獲得して行くのかという大きな課題を抱えています。その課題を解決するための方策として、CS調査が注目されています。
顧客が銀行を利用する目的は様々です。どのような人が、どのような目的や期待を持って利用しているのか、顧客それぞれの立場や状況により満足度は変わってきます。銀行の利便性や安心感、資産運用の相談やサポートに対する信頼感など、顧客が求める満足度のポイントは多様です。そのため、顧客が感じている満足度の実情を把握するためには、調査目的の明確化が必要です。さらに継続利用と他者への推奨意向の評価へ導くなど、満足度評価の先にある展開も重要です。
調査の目的によって、調査対象とする顧客層が変わってきます。また銀行の利用においては、顧客の利用目的や利用方法が様々です。目的にそった調査結果を得るためには、どのような顧客に対して、どのような事柄について質問しているのか、どのような回答を求めているのか、具体的な言葉で調査内容を回答者に示す必要があります。
顧客が銀行を利用する目的は多岐に渡っています。将来に備えた貯蓄から日々の生活で使うお金の管理、住宅ローンなど長期に渡る契約、定期的な給料や年金の振込などです。そのため銀行は、顧客の利便性を高めるために窓口やATM、インターネット、電話、郵送書面など、顧客対応の間口を広げています。一方で有人店舗数の減少など顧客とのアクセスポイントの変容が進んでいる今日、顧客が感じる満足度も様々と想定されます。この多様な満足度を具体的に明らかにするには、銀行の利用状況を踏まえた項目設計が重要になります。
CS調査では、起承転結の一連の流れがあります。ここでの「起」は、口座開設数や利用目的など顧客の銀行の利用状況を聞きます。「承」で主に利用している銀行をどこで知ったのかという認知、「転」で利用する銀行を選ぶという意思決定行動、さらに「結」となる実際に利用している銀行の満足度評価へと進めて行きます。
単純集計、属性クロス集計、質問間クロス集計などの分析方法を考慮した、適切な回答方式を選択します。
分析に応じて集計・分析軸を設定します。
関係メンバー以外の社内の方に、調査票全体を客観的に検証してもらう必要があります。回答者が回答しやすい表現になっているのか、その確認が大切です。
CS調査の実施は、次のような流れで進めるのが基本です。
自行の顧客満足度を聞くことで、自行の強みと弱みを知る手立てとなります。さらに、現在とこれからの顧客とのつながりのあり方も知る機会ともなります。ここではアンケート調査の一連の流れにそって、活用方法を例示します。
顧客の口座開設数や利用している銀行の種類、利用頻度や利用目的など、利用実態の現状が確認できます。その状況から身近な銀行はどこかなど、顧客と銀行の関係性を知ることができます。また将来に備えての貯蓄と現在の利用目的との重なり具合から、将来に向けた自行と顧客の関係性を知る機会ともなります。
顧客は自行をどのような経路で知ったのか、その結果から自行の情報発信効果が検証できます。都市銀行や地方銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行など既存の銀行は企業規模に大きな違いがあります。それぞれの規模に応じた情報発信効果が得られているのか、ネット銀行ではそのネットワーク展開に対応する情報発信効果が得られているのかなどを検証する手立てとなります。なお仮説と効果に関する検証結果に大きな差異が見られる場合、自社の広告宣伝やHPなど公式サイト、パブリシティ活動などを含め、情報発信方策の見直しをする契機となります。
顧客が自行を選ぶ理由から、自行のセールスポイントや期待感を知ることができます。また利用状況と重ねて見ることで、顧客の生活の中で自行が果たす役割の重要性、顧客との接点を見出す機会としての活用が期待できます。ここで想定しているのは、顧客が自行を認知して利用を開始するまでのプロセスに関する理由です。最終的な自行に対する評価、強みと弱みは顧客満足度評価によって決まります。
顧客の満足度を測る項目と自行の利用状況、選定理由との相関を見ることで、具体的な自行の強みと弱みが確認できます。なお顧客満足度が低い項目は、自行の弱みと同時に顧客の潜在ニーズも表している可能性があります。さらにCS調査による現状における満足度評価を通して、高齢者や障害者に優しい銀行、子育てや社会貢献を支援する銀行、ITリテラシーの進化に適応する銀行など、今後の展開の方向性を探る機会としての活用も期待できます。
ここでは、対象とした銀行の「総合的な顧客満足度を知るためのテンプレート」を紹介します。設問は、起承転結の流れにそって構成しています。
この設問では、自身が開設している銀行の口座数を聞きます。
この設問では、口座を開設しているすべての銀行の種類を聞きます。
この設問では、どの種類の銀行を利用する機会が多いのかを聞きます。
この設問では、どれくらいの頻度で利用しているのかを聞きます。
この設問では、銀行の利用目的を聞きます。
この設問では、どのような目的で銀行を利用する機会が多いのかを聞きます。
この設問では、貯蓄の状況について聞きます。
この設問では、自行の情報に触れた主な場面はどこか、認知経路について聞きます。
この設問では、自行を選んだ理由を聞きます。顧客の自行に対する印象、期待するメリットや利便性を知るための質問です。
この設問は、自行の選定に際して重視した点を聞きます。
この設問では満足度を評価する項目の中でも決定要因となる項目は何かを聞きます。
この設問では、自行の総合的な満足度を聞きます。選定理由や利用状況との相関を見ることで、顧客が求める銀行のあるべき姿や提供サービスの見直しなどへの活用が可能となります。
非常に満足 | やや満足 | どちらとも いえない |
やや不満 | 非常に不満 | |
銀行としての信用 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
利用者の評判 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
窓口手続きの簡便さ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ATMの使いやすさ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ネットバンキングの使いやすさ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
窓口利用の利用手数料 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ATM利用の手数料 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ネットバンキングの手数料 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
普通預金・定期預金などの利率 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
金融商品の種類、利率や配当 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
子育て世帯優遇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
営業担当者の対応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ポイントやキャンペーンなど優遇サービス | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
窓口接客の円滑さ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
資産運用相談の回答品質 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
相続など法律相談の回答品質 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
Q&Aの充実度 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
カード紛失、パスワード失念などトラブルに対するヘルプサービス | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
その他( ) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
この設問では、評価項目のそれぞれについて、満足度を聞きます。現在の満足度の評価に基づいて、今後の強化ポイントと同時に改善ポイントも判断することができます。さらに満足度の低い項目は、顧客の潜在的なニーズを示す可能性もあります。
この設問では、自行の満足度を背景として、今後の顧客との関係について聞きます。
これらの「継続利用意向」と「他者への推奨意向」は、自行と顧客のロイヤルティの強さを知るための設問です。
銀行としての役割や顧客とのコミュニケ―ションのあり方、現在のサービスの問題点など、顧客の自由な意見を聞きます。アンケート項目では思いつかない顧客の生活感覚、銀行に求める事柄など自由な発想での意見が期待できます。
これらのプロフィールは、自行の利用状況や選定理由、満足度についてのクロス分析に使用します。自行に関する満足度の状況を、より具体的に表現するためのものです。
CS調査は、顧客の満足度を聞くことで自行が提供するサービスの強みと弱みが検証できます。検証結果は課題の発見とサービスの強化や見直しなど、今後に向けた方向性を探る手立てとなります。テンプレートを使用することで調査の効率性が向上し、より精度の高いデータを収集することができます。テンプレートは無料でダウンロードしていただけます。ぜひご利用ください。
顧客満足度調査( CS 調査)についてのご相談はこちら>
顧客満足度調査(CS調査)
”顧客満足度調査(略してCS調査)とは、自社の商品ユーザーやサービス利用者から評価・改善点などのアドバイスをいただくための調査です。
顧客が満足する商品・サービスを提供し続け、既存顧客の満足度を維持するだけでなく、新規顧客獲得に結びつけるためにも非常に重要な役割を果たします。また、顧客の「継続購買」や「推奨行動」といった「エンゲージメント」につなげることにあります。
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