公開日:2024.12.17

CSI調査とは?調査目的や手法、メリット、流れについて紹介

  • マーケティングリサーチHowto

現代ビジネスにおいて、顧客満足度を高めることは企業の成長にとって、とても重要な要素です。顧客満足度が高いほど、リピーターの増加、口コミによる新規顧客の獲得、ブランドイメージの向上など、様々なメリットがもたらされます。
 
そして、顧客満足度を測る重要な指標となるのが「CSI」です。そのCSIを調べる調査がCSI調査となり、顧客満足度を数値化し、顧客の声を分析することで、商品やサービスの改善に役立てられます。
 
この記事では、CSI調査の概要から具体的な実施方法などについて解説します。

 
 

CSI調査とは?

CSI調査とは、顧客満足度を数値化し、商品やサービスの改善に役立てるための調査です。CSIは「Customer Satisfaction Index」の略で、日本語では「顧客満足度指数」と訳されます。
 
CSI調査では、自社商品やサービスに対する関連性の強い質問を複数用意し、顧客に回答してもらいます。そして、その回答結果を集計し、平均値を算出することで顧客満足度を測定します。
 
具体的には、以下の5つの項目に関する質問を顧客に投げかけます。
 

図 CSI調査の5つの質問項目
図 CSI調査の5つの質問項目

 

顧客期待値 :  商品やサービスに対する購入前の期待度
顧客不満度 :  商品やサービスに対する不満度
顧客忠実度 : 顧客が企業やサービス、商品に対して感じている信頼や愛着
知覚品質  :  商品やサービスに対する顧客の主観的な品質評価
知覚値   :  価格に対する満足度

 
これらの項目に対して、具体的な質問を0~100点で評価してもらい、それぞれの項目の平均値を算出します。さらに、5項目全体の平均値を算出すれば、総合的な顧客満足度を数値化することが可能です。
 
CSI調査で得られた数値は、顧客満足度の現状を把握し、改善すべきポイントを特定するための重要な指標となります。
 

CSI調査を行う目的

CSI調査を実施する主な目的は、顧客の満足度を定量的に評価し、企業の商品やサービスの品質向上につなげることです。
 
具体的には、顧客のニーズや期待を正確に把握し、満足度の高い要因と低い要因を分析します。これにより、改善が必要な領域を特定し、効果的な施策を講じることが可能です。
 
また、CSI調査の分析結果は、顧客ロイヤルティの向上や市場での競争力強化を図るための基礎データとしても活用されます。さらに、顧客との深い関係の構築や新規顧客獲得の策定にも役立てられ、企業の持続的成長を支える重要な要素となります。
 

CSI調査の調査手法

CSI調査を実施する際には、目的に合わせて適切な調査手法を選択することが重要です。主な調査手法としては、以下のようなものがあります。

  1. アンケート調査
    最も一般的な手法で、多くの顧客から回答を得やすいというメリットがあります。アンケート調査は、インターネットや郵送、電話インタビューなどの複数のチャネルを通じて実施されますが、現在ではインターネット調査が主流となっています。また、アンケート調査ではリッカートスケールを用いた質問形式を採用すれば、顧客の満足度を数値化しやすいという特長があります。
  2. インタビュー調査
    顧客と直接対話することで、深い情報を収集できる手法です。個別のインタビューや、複数人を集めて行うグループインタビューなどがあります。個別のインタビューでは、顧客一人ひとりの意見を深掘りできるという特長があり、グループインタビューには参加者同士の意見交換を通して、新たな発見を得られる可能性があります。
  3. ソーシャルメディア分析
    XやInstagramなどのソーシャルメディアにおける顧客の声を分析する手法です。顧客が商品やサービスに対して、幅広い意見を収集できるという特長があります。

 

CSI調査のメリット

CSI調査を実施することで、企業は様々なメリットを得られます。主なメリットとして下記が挙げられます。
 

表 CSI調査のメリット
メリット 内容
顧客満足度の現状把握 顧客満足度を数値化することで、現状を客観的に把握できます。「顧客満足度が高いと思っていたが、実際には低かった」「特定層の顧客満足度が低い」など、具体的な課題の明確化が可能です。
顧客ニーズの把握 アンケートやインタビューを通して、顧客のニーズや要望を直接把握できます。これにより、顧客が何を求めているのか、どのような点に不満を感じているのかを理解でき、商品やサービスの改善につなげられます。
商品・サービスの改善 CSI調査で得られた分析結果から、商品やサービスの改善点を具体的に特定できます。例えば、「商品の使い方が分かりにくい」という意見が多ければ、説明書を見直したり、操作方法の解説動画を作成したりするといった具体的な改善策を検討できます。
顧客ロイヤリティの向上 顧客の声に耳を傾け、その意見を反映した改善策を講じることで、顧客は企業に対して「自分の意見を聞いてくれる」という信頼感を抱くようになります。その結果、顧客ロイヤリティが向上し、リピーター増加や口コミによる新規顧客獲得につながります。
ブランドイメージの向上 顧客満足度向上のための取り組みは、企業のブランドイメージ向上にも大きく貢献します。「顧客を大切にする企業」というイメージが定着すれば、顧客からの信頼獲得につながり、競争優位性を築くことが可能です。

 
 

CSI調査のデメリット

CSI調査は顧客満足度向上に役立つ有効な手段ですが、いくつかのデメリットも存在します。
 

表 CSI調査のデメリット
デメリット 内容
費用と時間 CSI調査を実施するには、アンケートの作成、実施、回収、分析など、多くの費用と時間がかかります。特に、大規模な調査を行う場合は、多大なコストが発生する可能性があります。
主観的な意見 CSI調査は、顧客の主観的な意見に基づいているため、客観的な事実と異なる場合があります。また、調査対象者の回答状況によって、評価が左右される可能性もあります。
ネガティブな意見への対応 CSI調査では、ネガティブな意見や批判的な意見も収集されます。企業はこれらの意見に対して、適切に対応しなければ、顧客の不満を増幅させてしまう可能性があります。

 
 

顧客満足度調査(CS調査)とは?

顧客満足度調査(CS調査)とは、企業が提供する商品やサービスに対する顧客の満足度を把握するための調査です。CSは「Customer Satisfaction」の略で、顧客が商品やサービスを利用した際に、どの程度、満足感や達成感を得られたのかを測る指標となります。
 
CS調査では、アンケートやインタビューなどを通して顧客の声を収集し、現状の満足度や不満点を分析します。その結果を基に、商品やサービスの改善、顧客対応の強化、新商品開発など、顧客満足度を向上させるための施策を検討することが可能です。
 
近年では、顧客満足度を向上させることは、企業の持続的な成長にとって重要な要素として認識されています。そのため、多くの企業がCS調査を実施し、顧客の声を積極的に経営に活かすようになっています。
 

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顧客満足度調査(CS調査)の主な指標

顧客満足度を測る指標は様々ですが、ここでは代表的な指標であるNPS®とJCSIについて解説します。
 

NPS®(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)

NPS®は、「友人や家族にこの企業(あるいは、この商品やサービス)をすすめる可能性はどのくらいありますか?」という質問に対する回答から算出される指標です。0点から10点で評価してもらい、9点・10点と回答した人を「推奨者」、7点・8点と回答した人を「中立者」、6点以下を「批判者」と分類します。
 
NPS®は、「NPS® = 推奨者の割合(%) – 批判者の割合(%)」という計算式で算出され、-100から+100までの数値で表されます。数値が高いほど顧客ロイヤリティが高く、口コミによる新規顧客獲得などの効果も期待できるとされています。
NPS®は、そのシンプルさと分かりやすさから、多くの企業で採用されている指標です。
 

 

JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)

JCSIは、日本版顧客満足度指数と呼ばれる指標で、サービス産業生産性協議会が開発しました。顧客満足度をCSIで用いられている「顧客期待値」「顧客不満度」「顧客忠実度」「知覚品質」「知覚値」という指標に加えて、「推奨意向(友人や家族にすすめたいと思う程度)」を含めた6つの指標で測定し、総合的な顧客満足度を評価します。
 
JCSIは、多角的な視点から顧客満足度を測定できるため、より詳細な分析が可能です。
 

顧客満足度の主なKPI

顧客満足度を測るKPI(Key Performance Indicator :重要業績評価指標)には様々なものがありますが、ここでは代表的な4つのKPIについて解説します。

  • 顧客数
    顧客数は、企業が抱える顧客の総数を示す基本的なKPIです。顧客満足度が高いほど、新規顧客の獲得や既存顧客の維持につながり、顧客数の増加を見込めます。顧客数の増加は、売上に直結する重要な要素であるため、多くの企業がこのKPIを重視しています。
  • リピート率
    リピート率は、一度商品やサービスを購入した顧客が、再び購入する割合を示すKPIです。顧客満足度が高いほど、リピート購入する可能性が高くなるため、リピート率は顧客満足度を測る上で重要な指標となります。
  • 解約率、返品率
    解約率は、契約サービスを解約する顧客の割合、返品率は購入した商品を返品する顧客の割合を示すKPIです。顧客満足度が低いと、解約や返品が増加する傾向があります。
  • LTV(顧客生涯価値)
    LTVは、Life Time Valueの略称で、一人の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益の総額を示すKPIです。顧客満足度が高いほど、顧客は企業との長期的な関係構築を重視するため、LTVが高くなる傾向にあります。

 
 

CSI調査の流れ

CSI調査を効果的に実施するためには、以下のステップに沿って進めることが重要です。
 

図 CSI調査の流れ
図 CSI調査の流れ

 
STEP1 企画
まずは、CSI調査の目的を明確化します。何を明らかにしたいのか、どのような課題を解決したいのかを具体的に定めます。目的が定まったら、ターゲットや調査方法、調査時期、予算などを決定します。
 
STEP2 調査票の作成
調査目的を達成するために、適切な質問項目を設定し、調査票を作成します。質問は、CSIの要素である「顧客期待値」「顧客不満度」「顧客忠実度」「知覚品質」「知覚値」の全てを含めることが必要です。また、質問文は分かりやすく、誤解を招かないように簡潔に記述することが重要です。
 
STEP3 調査の実施
作成した調査票を用いて、実際にCSI調査を実施します。アンケートやインタビューなどの調査手法には、それぞれメリット・デメリットがあるため、調査対象や予算などを考慮して最適な方法を選択します。
 
STEP4 データチェック
回収したデータに誤りや漏れがないかを確認し、必要に応じて、データのクリーニングや補完を行います。このステップを実施することで、調査結果の信頼性が向上します。
 
STEP5 集計・分析
チェックしたデータを集計し、分析します。単純集計やクロス集計するだけでなく、回帰分析などの多変量解析を行うことで、より深い分析が可能です。分析結果の報告は、分かりやすく可視化するために、グラフや表などを用いると効果的です。
 
 
CSI調査は、定期的に繰り返し実施することで、顧客満足度の変化を把握でき、継続的な改善につなげられます。
 
 

CSI調査で注意すべきポイント

CSI調査を成功させるためには、以下の重要なポイントに注意する必要があります。

  1. 目的の明確化
    調査を行う前に、目的を明確にしましょう。「顧客満足度の現状を把握したい」「新商品の改善点を洗い出したい」など、具体的な目標を設定することで、適切な調査設計を行えます。
  2. 対象者の選定
    調査対象を誰にするのかを明確にしましょう。既存顧客全体を対象とするのか、特定の商品・サービスの利用者を対象とするのかによって、調査結果が変わってきます。
  3. 質問内容
    質問内容は、分かりやすく、簡潔で、偏りのないものにする必要があります。あいまいな表現や専門用語は避け、誰でも理解できる言葉で質問しましょう。また、回答を誘導しないよう、中立的な表現を心がけることも重要です。
  4. 回答率の向上
    回答率が低いと、調査結果の精度が低くなる可能性があります。回答率を高めるには、アンケートの設計を工夫したり、インセンティブを設けたりするなどの対策が必要です。
  5. 正確なデータ分析
    分析段階では、統計的な知識を駆使し、結果を正しく解釈することが重要です。誤った解釈は誤った結論につながり、適切な改善策を導き出せなくなる可能性があります。
  6. 迅速なアクションプランの実行
    調査完了後は、調査結果に基づいた具体的なアクションプランを迅速に策定・実行することが重要です。顧客満足度向上のための改善策を継続的に実施することで、顧客との深い関係を構築できます。

 
これらのポイントに注意することで、より精度の高いCSI調査を実施し、顧客満足度向上につなげられます。
 
 

まとめ

ここまで、CSI調査の目的や手法、メリット・デメリット、注意点について、解説しました。
 
現代社会では、商品やサービスを機能面で差別化することが難しくなってきています。だからこそ、顧客満足度を高め、顧客との良好な関係を築くことが、企業が成長するための重要な要素です。
 
CSI調査は、顧客満足度を数値化し、顧客の声を分析することで、商品やサービスの改善、顧客対応の強化などに役立てられます。CSI調査を通して顧客との信頼関係を構築し、企業の長期的な成長につなげていきましょう。
 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

 
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