2022.06.13
クロス集計表の見方をわかりやすく解説
はじめに 皆さんはクロス集計表を見て、結果を読み取ったり、分析したことはありますか? クロス集計とは、単純集計(GT集計)で得た数値に対して、性別・年代など……
公開日:2024.07.16
刻々と変化する現代のビジネス環境において、企業が持続的な成長を遂げるには、消費者ニーズや市場動向をマーケティング戦略に反映する必要があります。そして、そのような情報を収集・分析するのが「マーケティングリサーチ」です。
しかし、マーケティングリサーチによって効果的なマーケティング戦略を立案するには、適切な調査手法を選択し、計画的に調査を進める必要があります。この記事では、マーケティングリサーチの基本的な概要とともに、調査手法の選び方や調査の流れ、効果的な実施方法について解説します。
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マーケティングリサーチは、企業がビジネスで成功するための重要な手段です。消費者ニーズや市場を正確に把握することで、効果的なマーケティング戦略を立案し、競争力を高めることができます。
ここでは、マーケティングリサーチの基本的な定義とその重要性について解説します。
マーケティングリサーチは、企業が自社の商品やサービスを提供するにあたって、消費者や市場に関する情報を収集・分析し意思決定に活用するために行います。具体的には、対象となる市場の規模や競合状況、消費者のニーズや購買行動、商品やサービスに対する評価などを調査し、その調査データをもとに分析を行い、マーケティングや経営戦略に活かすことができます。
現代は、多種多様な商品やサービスがあふれています。そのため、市場において購買の主導権を握っているのは、多くの場合、買い手である顧客です。だからこそ、ビジネスを成功させるには、顧客ニーズに寄り添ったマーケティング戦略が求められます。
また、顧客ニーズは多様性が求められるとともに、抽象的であったり、潜在化していたりすることも多々あります。例えば、「おしゃれな服が欲しい」というニーズは、人によって「おしゃれ」の定義が異なり、具体的なデザインや色、素材は千差万別です。また、「便利なサービスが欲しい」というニーズも、どのような機能が便利だと感じるかは人それぞれです。
だからこそ、企業は専門的な知識に基づくマーケティングリサーチによって、顧客ニーズを精度の高い情報として収集する必要性が高まっています。
マーケティングリサーチの目的は、多岐にわたりますが、大きく以下の3つに分類できます。
市場全体の動向や自社商品・サービスのポジション、競合他社の状況、顧客のニーズや購買行動などを把握します。市場規模や成長率、トレンド、顧客の属性やライフスタイル、購買チャネル、競合の商品・サービスの特徴や価格などを調査することで、自社の強みと弱みを明確にし、市場における機会と脅威を特定します。
現状把握で得られた情報をもとに、自社のマーケティング活動における課題を発見します。例えば、顧客満足度が低い、ブランド認知度が低い、販売チャネルが効果的に機能していない、といった課題を明らかにします。これらの課題を特定することで、具体的な改善策を検討するための指針を得ることが可能です。
新商品・サービスの開発や既存商品・サービスの改善、新たなマーケティング戦略の立案など、具体的なアクションプランを検討する際に、事前にその有効性を検証します。例えば、新商品のコンセプトテストや価格調査、広告効果測定などを実施することで、計画の精度を高め、リスクを軽減することが可能です。
マーケティングリサーチは、これらの目的を達成するために、様々な手法を用いて情報を収集・分析します。適切な手法を選択し、計画的に調査を進めることで、企業は市場環境や顧客ニーズに適した商品やサービスを提供することができます。
マーケティングリサーチと類似する言葉として、「市場調査」があります。これらは、顧客のニーズや市場の動向を把握し、効果的なマーケティング戦略を立てるための重要な情報となります。
違いは、ポジションです。市場調査はマーケティングリサーチの1つです。他にもマーケティングリサーチには製品調査などがあります。そして、包括するマーケティングリサーチと市場調査では目的も異なります。マーケティングリサーチは「市場動向の予測」を目的とし、未来の市場環境を見据えた上で、企業が持続的に取り組むべき課題の意思決定に用いられます。一方で、市場調査は「現状把握」を目的とし、短期的なマーケティング施策に活用されます。
詳しい説明はこちら「市場調査とマーケティングリサーチの違いとは?調査の種類、目的の違いを解説」>
マーケティングリサーチには様々な手法がありますが、大きく分けると「定量調査」と「定性調査」の2種類があります。マーケティングリサーチから有益な情報を得るためには、これらの手法への理解を深め、目的に応じて適切に選択することが重要です。
ここでは、「定量調査」と「定性調査」の違いとともに、具体的な選択方法について解説します。
定量調査とは、数値データを収集して統計的に分析する調査手法です。まずは具体的な手法を紹介します。
調査手法名 | 説明 |
---|---|
ネットリサーチ | ネットリサーチは、低コスト・短期間で大規模な市場調査や商品企画が可能なWebアンケート調査(インターネットリサーチ)です。アスマークの登録モニターから対象者を募集し、オンラインでアンケートを配信・回収します。郵送調査や会場調査に比べ、手間が少なく安定して実施できるのが特徴です。主な目的・用途は、商品開発時のニーズ調査、サービス認知度調査、満足度調査です。短納期・低価格でアンケート調査を行いたい方におすすめです。 |
会場調査(CLT) | 会場調査(CLT)は、指定された会場で製品や広告の評価を収集する調査です。主な目的・用途は、試飲・試食調査、発売前のパッケージ調査、コンセプト調査です。バイアスを排除し、機密性の高い環境で商品を試飲・試食・試用してもらいたい方におすすめです。 |
ホームユーステスト | ホームユーステストは、新商品や改良品のサンプルを対象者の自宅に送付し、日常生活の中で試用してもらい、その評価をアンケートで収集する調査です。主な目的・用途は、新製品の受容性チェック、競合品との比較評価、既存商品の改良点のチェックです。日常生活の中で商品を試して評価を取りたい方におすすめです。 |
郵送調査 | 郵送調査は、アスマークの登録モニターの中から対象者を募集し、対象となったモニターにアンケート用紙を送付し、回答を返送してもらう調査です。主な目的・用途は、アンケート用紙を用いた調査です。インターネットで回答できない対象者からも回答を得たい方におすすめです。 |
定量調査一覧はこちら>
主にアンケートや質問票、オンライン調査などを用いて、大規模なサンプルから得られたデータを分析します。この手法は調査結果を数値データとして得られるため、客観性が高くて統計的に有意な結論を導き出すことができます。
一方、定性調査とは、顧客の意見や感情、動機を深く理解するための調査手法です。こちらも、まずは具体的な手法を紹介します。
調査手法名 | 説明 |
---|---|
グループインタビュー(FGI) | グループインタビュー(FGI)は、6人程度の調査対象者を集め、モデレーター(司会者)がテーマについて質問し、自由に発言してもらうことで多様な意見や情報を収集する調査です。主な目的・用途は、消費者の深層心理や行動の背景理解、アイデア発掘、探索調査です。消費者目線での情報収集や購買心理・行動の深堀、消費者実態の確認をしたい方におすすめです。 |
デプスインタビュー(IDI) | デプスインタビュー(IDI)は、対象者とインタビュアーが1対1で行う面談式の調査です。主な目的・用途は、商品やサービスの選択・購買理由を深く掘り下げて探ることです。深層心理や行動の背景を深堀したい、アイデア出しや仮説構築、市場やターゲット層の把握をしたい方におすすめです。 |
エスノグラフィ調査 | エスノグラフィ調査は、対象者の自宅や職場を訪問して行動を観察する調査です。主な目的・用途は、生活者の無意識行動の背景にあるインサイトを抽出し、「なぜ」を探ることです。言葉ではなく行動を観察し、対象者自身も気づかない潜在的なニーズを発見したい方におすすめです。 |
オンラインインタビュー | オンラインインタビューは、インターネットを通じて行うインタビュー調査で、地方在住の方など出現率の低い対象者にも実施可能です。会場費や交通費などのコストを削減できます。主な目的・用途は、消費者の深層心理や行動の背景の理解、商品やサービスの選択・購買理由の深掘りです。従来のデプスインタビューやグループインタビューをオンラインで実施したい方におすすめです。 |
日記調査 | 日記調査は、対象者にWEB上の日記システムを利用して生活行動や利用シーンの写真、商品利用の感想などを一定期間記録してもらう調査です。主な目的・用途は、期間中の行動や気持ちの変化を把握することです。食事日記や美容手入れ状況の記録、1対1で直接質問したい方におすすめです。 |
定性調査一覧はこちら>
インタビューや行動観察などの方法を用いて、少数のサンプルから詳細な情報を収集します。この手法を用いることで、数値では表せない人々の内面的な意見や感情を把握することが可能です。
定量調査と定性調査の主な違いは、データの性質と収集方法です。定量調査では数値データを扱い、大規模なサンプルから統計的な分析を行うのに対し、定性調査は少数のサンプルから詳細な意見や感情を収集します。
項目 | 定量調査 | 定性調査 |
---|---|---|
目的 | 数値で把握できる情報を収集する | 顧客心理や行動の背景にある要因を理解する |
サンプル数 | 多数 | 少数 |
データの種類 | 数値データ | 言葉や行動などの非数値データ |
分析方法 | 統計分析 | 質的分析 |
特徴 | 客観的な分析や結果の一般化が可能 | 顧客心理を理解できる、新たな発見が得られる |
定量調査と定性調査は、それぞれ異なる目的や状況下で効果を発揮します。適切な調査手法を選択する際のポイントは、以下の通りです。
マーケティングリサーチで何を明らかにしたいのかによって、適切な手法は異なります。市場規模や顧客満足度など数値で把握したい場合は定量調査、顧客の深層心理や行動の背景にある要因を理解したい場合は定性調査が適しています。
調査対象者が誰なのかによっても、選択すべき手法が異なります。多数の意見を集めたい場合は定量調査、特定層の意見を深く掘り下げたい場合は定性調査が適しています。
収集したい情報が具体的な数値データの場合は定量調査、自由な意見や感想が欲しい場合は定性調査が適しています。
定量調査は、比較的低コストかつ短期間で実施できます。一方で、サンプルサイズが大きくなる場合、その限りではないので注意が必要です。また、定性調査は調査人数などの実施内容・範囲によりコストが大幅に変動します。
これらのポイントを踏まえ、調査目的や状況に応じて定量調査と定性調査を適切に組み合わせることで、より効果的なマーケティングリサーチを実施することができます。
マーケティングリサーチによって有益な情報を得るには、調査目的を明確にし、計画的に進めることが大切です。調査の流れを把握し、各段階で何をすべきかを理解することで、効果的なマーケティングリサーチを実施できるようになります。
ここでは、マーケティングリサーチの基本的な流れとして、「調査計画の立案」→「データ収集」→「データ分析」→「調査結果の活用」となり、これらの流れについて解説します。
調査計画の立案は、マーケティングリサーチの第一ステップであるとともに、調査全体の成功を左右するとても重要な段階です。この段階では、調査の目的を明確にし、具体的な調査方法やスケジュールなどを決定します。
調査で何を明らかにしたいのか、どのような情報が必要なのかを具体的に定義します。調査目的はできるだけシンプルにした方が、的確な分析結果を得やすくなります。
定義した調査目的を基に、誰を対象に調査するのかを決定します。ターゲットとすべき顧客を明確にして、それに基づく調査対象者を選定します。
定量調査、定性調査、あるいはその組み合わせなど、調査目的に合った調査方法を選択します。それぞれのメリット・デメリットを考慮し、必要であれば複数の調査方法を用います。
収集したい情報に合わせて、具体的な質問項目を作成します。質問内容は、調査目的を達成するために必要な情報が得られるように、明確かつ簡潔に表現することが重要です。
統計的に有意な結果を得るために、適切なサンプルサイズを決定します。サンプルサイズが小さすぎると結果の信頼性が低くなり、大きすぎると費用や時間がかかりすぎてしまいます。
調査期間や各作業のスケジュールを明確にします。調査期間が長すぎると市場の変化に対応できなくなる可能性があり、短すぎると十分なデータ収集ができない可能性があります。
このように調査計画をしっかりと立てることで、マーケティングリサーチの成功率を大幅に向上させることが可能です。
データ収集は、調査計画に基づいて、実際に情報を集める段階です。マーケティングリサーチの分析結果は、収集するデータの質に大きく影響されます。そのため、データ収集は、正確かつ効率的に実施することが大切です。
調査計画で決定した方法に従って、アンケート調査、インタビュー、観察調査などを行います。調査対象や予算、時間に合わせて、オンラインや郵送、対面など、適切な方法を選択します。
Webアンケートツールやデータ収集フォームなどを活用することで、効率的にデータを収集できます。これらのツールは、データ入力の手間を省いたり、リアルタイムで回答状況を確認したりするのに役立ちます。
調査協力者には、調査の目的や内容、所要時間などを事前に説明し、協力を得られるように努めます。また、個人情報保護にも十分配慮し、プライバシーポリシーを明確に示すことが重要です。
収集したデータは、正確に記録し、適切に管理します。データ入力ミスや紛失を防ぐために、ダブルチェック体制を敷いたり、バックアップを取ったりするなどの対策も必要です。
調査の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて計画を修正します。予定よりも回答数が少ない場合は、追加募集を行うなどの対応が必要です。
データ収集は、調査計画に基づいて行うことが重要ですが、状況に応じて柔軟に対応することも大切です。例えば、調査途中で新たな情報が得られた場合は、調査項目を追加したり、調査対象を変更したりするなどの対応が必要になる場合もあります。
データ分析は、収集したデータから有益な情報を見出(みいだ)し、意思決定に役立てるための段階です。
まずは、収集したデータの整理とクリーニングを行います。これにより、欠損値や異常値を取り除き、分析の精度を高めます。その上で、データを集計し、そこからパターンや傾向を把握します。その際、グラフやチャートを用いると、分析しやすくなります。
定量データの場合は、統計的手法を用いて分析を行うことも可能です。平均値や中央値、標準偏差などの基本的な統計量を計算し、データの分布や相関関係を明らかにできます。また、回帰分析や因子分析などの高度な手法を用いることで、より深い洞察を得ることが可能です。
一方、定性データの場合は、内容分析やテーマ分析を行います。デプスインタビューやグループインタビューの記録を詳細に分析し、共通のテーマやパターンを抽出します。これにより、顧客の意見や感情、行動の背景を深く理解することができます。
これらの分析結果に基づいて、意思決定の参考となる情報や洞察を、報告書やプレゼンテーションにまとめます。
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調査結果の活用は、マーケティングリサーチの最終段階であり、分析したデータを基に具体的なアクションを起こすステップです。まずは、調査結果を関係者に共有し、理解を深めるとともに共通認識を形成することが必要です。分かりやすい報告書やプレゼンテーションによって、データの要点や重要な洞察を明確に伝えます。
次に、調査結果を基にした戦略の立案を行います。例えば、新商品の開発や既存製品の改良、マーケティングキャンペーンの設計など、具体的なアクションプランを策定します。この際、調査結果に基づいて策定することで、施策の信頼性と効果を高めることができます。
さらに、調査結果を継続的にモニタリングし、施策の効果を評価します。定期的な確認を行い、必要に応じて戦略を修正・改善することで、ビジネス成果の最大化を図ります。また、調査結果や施策効果などを社内ノウハウとして蓄積することで、次回以降のマーケティングリサーチに活用することも重要です。
このようなプロセスを通じて、マーケティングリサーチを最大限に活用することで、企業の競争力を向上させることができます。
マーケティングリサーチを効果的に実施するためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下のポイントを押さえることで、リサーチの精度と有効性を高めることが可能です。
調査計画を立案する際には、できるだけ具体的な仮説を設定することが大切です。そうすることで、データ収集と分析の方向性が定まります。
調査の進行状況に合わせて、適切な調査手法を組み合わせると効果的です。例えば、定量調査(ネットリサーチなど)で導き出された洞察に基づいて定性調査(グループインタビューなど)を実施すると、より精度の高いターゲットニーズを把握できます。
信頼性の高いデータを収集するには、偏りの少ない調査対象者の選定が重要です。多くのモニターを確保している調査会社に協力依頼したり、調査協力者へのインセンティブを高めたりすることで、信頼性の高いデータを収集できます。
収集したデータを適切に分析し、価値ある情報や洞察を引き出すためには、専門的な知識やスキルが求められます。必要に応じて、統計分析やデータマイニングの専門家に強力を依頼することが大切です。
調査結果は、関係者間で共有し、具体的なアクションプランに落とし込むことが重要です。調査結果を基に、製品開発、マーケティング戦略、顧客サービスなど、様々な分野で改善策を検討しましょう。
市場や顧客のニーズは常に変化するため、マーケティングリサーチは一度きりで終わらせるのではなく、定期的に実施することが重要です。継続的な調査を通じて、常に最新の情報を把握することで、自社の競争力を高めることができます。
ここまで、マーケティングリサーチの流れから、手法の選択、効果的な実施方法について解説しました。
マーケティングリサーチは、市場や顧客を理解するための効果的なプロセスです。適切な手法を選択し、計画的に調査を進めることで、企業はマーケティング戦略や意思決定に活用できる貴重な情報を得ることができます。
しかし、マーケティングリサーチは、単に参考となる分析結果を得るだけのものではありません。そこで得られた分析結果を基にしたアクションプランを実行することで、初めてその真価を発揮します。
この記事で紹介した内容を参考に、マーケティングリサーチを効果的に活用して、自社のビジネスを成功へ導いていきましょう。
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