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公開日:2024.06.12
マーケティングや研究において、価値ある情報を見出すには、的確な情報収集を行うことが大切です。その中でも「インタビュー調査」は、人々の深層心理や行動の背景を探る重要な調査手法です。
この記事では、インタビュー調査の基礎知識から、メリットや成功事例について解説します。
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定量調査の代表例であるアンケート調査が統計学を基にした考え方であるのに対し、インタビュー調査を始めとする定性調査は心理学を基にした考え方になっています。そのため、対象者の発言や身振り手振り、表情や発言の間などが調査のアウトプットとなるため、いかに対象者からそのような情報を引き出すことができるのかが重要になってきます。
インタビュー調査は、定量データでは捉えきれない詳細なニュアンスや感情、つまり定性情報を把握するのに有効な調査手法です。インタビュー調査の基本を理解すれば、調査結果の信頼性や有効性を高めることができ、より具体的で実用的なインサイトを得ることができます。
ここでは、インタビュー調査の概要と目的、そして具体的な利用シーンについて解説します。
インタビュー調査は、調査者と対象者が直接対話して、情報を収集する調査手法で、定性調査の一つです。従来は対面での「対面インタビュー」がほとんどでしたが、近年ではオンラインによる「オンラインインタビュー」がとても多くなっております。(オフラインでは「電話インタビュー」などもあります)
「オンラインインタビューの特長とメリット・デメリット」はこちら>
インタビュー調査では、調査者は事前に準備した質問項目に基づいて、調査対象者に質問を行います。質問内容は対象者の回答に合わせて調整や深掘りを行い、より深い洞察につながる情報を収集します。
インタビュー調査の主な目的は以下の3つです。
インタビュー調査は、多様な分野で利用され、その活用シーンは広範にわたります。以下に代表的な利用シーンを3つ紹介します。
この他にも教育カリキュラムの改善や社会調査、政策研究など、インタビュー調査は幅広い分野で利用され、組織やプロジェクトの成功に寄与している定性調査になります。
インタビュー調査には、目的や対象者の特性に応じて様々な種類があります。その中でも代表的なのが「グループインタビュー」と「デプスインタビュー」です。
グループインタビューは、複数の対象者を一堂に会し、意見交換を通じてデータを収集する方法です。一方、デプスインタビューは、個別に対象者と深く掘り下げた対話を行う手法です。
ここでは、これらのインタビュー手法について、そのメリットとデメリットを解説します。
グループインタビューとは、複数名の対象者を集め、モデレーター(司会者、インタビュアー)によって同時にインタビューを行う調査手法です。この調査手法では事前に用意された質問への意見だけでなく、参加者同士の意見交換を通じて多様な視点や意見を引き出すことができます。
グループインタビューは通常、4〜8人程度の小規模なグループで実施され、特定のテーマについて自由に話し合う形式が一般的です。
グループインタビューの最も大きなメリットは、参加者同士の活発な議論を促進できることです。これにより、参加者が周りの意見から刺激を受けて、当初は気づいていなかった新たなアイデアを得ることができます(グループダイナミクス)。
また、複数名を対象にインタビューを行うため、短時間で多くの情報を得られるのも大きなメリットです。その一方で、グループインタビューにはいくつかのデメリットも存在します。まず、参加者の中に強い意見を持つ人がいると、他の参加者がその意見に大きく影響されることです。
また、発言の機会を平等に確保し、参加者の意見から重要な気づきを得られるかは、モデレーターのスキルに大きく影響されます。そのため、優秀なモデレーターを確保することが、とても重要です。
「グループインタビューのコツとは?成功させる戦略について解説」はこちら>
「グループインタビューの進め方|基本から実施、データ収集まで」はこちら>
デプスインタビューとは、モデレーターが対象者と一対一で行うインタビュー形式の調査です。モデレーターが対象者に詳細かつ深く掘り下げた質問を行うことで、対象者の意見や感情、行動の背景にある動機などの情報を詳しく探ります。
デプスインタビューは、ターゲットユーザーの内面的な情報を詳細に把握したい場合に適した調査手法です。
デプスインタビューの大きなメリットは、対象者から詳細かつ質の高いデータを収集できる点です。モデレーターは一人の対象者に集中できるため、回答の背後にある真の意図や感情を深く掘り下げることができます。
また、調査対象者にじっくりと向き合えるため信頼関係を築きやすく、普段は話さない本音などを引き出すことが可能です。そのため、デリケートなテーマの際にもよく用いられます。その一方で、デプスインタビューには、調査実施に時間とコストがかかるというデメリットがあります。デプスインタビューでは1人の対象者と長時間にわたって対話するため、多くのサンプルを収集するには、相応のコストと労力が必要です。
得られる情報の質がモデレーターのスキルに依存する点や、少数の意見を全体に適用するには慎重な解釈が求められることも理解しておく必要があります。
「デプスインタビューの定義~分析:効果的な方法で本音とインサイトを引き出す」はこちら>
インタビュー調査から価値ある情報を引き出すには、綿密な調査計画と適切な手順に基づく実施が重要です。各手順での重要ポイントを理解することで、インタビューの質を高め、調査目的を達成する可能性を高めることができます。
ここでは、インタビュー調査を成功させるための手順と秘訣について解説します。
インタビュー調査計画を立案する際に最も重要なのは、調査目的を明確にすることです。もし、調査のスタート時点で方向性を誤ってしまうと、価値ある分析結果を得ることがとても難しくなります。
まずは「何のために行う調査なのか?」という目的を明確にし、関係者でその認識を共有することが大切です。その上で、目的に応じた調査の種類、実施形態、スケジュールなどの全体計画を立案します。
全体計画について関係者からの合意を得たら、次は調査設計です。調査設計では、目的に応じた質問項目やインタビューフローを作成します。
質問項目を作成する際は、事前に課題に対する仮説を立て、それを検証する流れを意識することが重要です。これにより、インタビューの焦点がぶれず、必要な情報を効率的に収集できます。
また、インタビューフローについては、最初に対象者との信頼関係を構築し、次第に詳細な質問へとつなげていく流れを意識することが大切です。対象者がリラックスした雰囲気で自由に意見を述べられるようになれば、活発な意見交換によってより深い意見や新たな気づきを得ることができます。
インタビューを実施する際には属性や価値観、ライフスタイルなどから調査対象にふさわしい人をリクルーティングすることが重要です。もし調査対象者が適切ではない場合、インタビューから価値ある情報を得るのが難しくなります。そのためにも、調査対象者は幅広い候補者から慎重に選定することが大切です。
また、インタビュースキルを有するモデレーターの確保も、重要な要素となります。これらの対応が自社では難しい場合には、調査会社への協力を依頼するのも効果的です。
当日のインタビューでは、まず対象者との間に、信頼関係を構築することが大切です。インタビューの趣旨を説明するとともに、アイスブレイクでお互いの共通点を見出せれば、リラックスした雰囲気を作ることができます。
また、インタビュー中は、対象者が自由に意見を述べられるよう配慮し、誘導的な質問をしないように注意しましょう。これにより、対象者の真の意見や感情を引き出し、価値ある情報の収集へとつながります。
インタビューから得られた情報を分析する際は、対象者の言葉に隠された意味やパターンを見つけることが重要です。
まず、インタビュー記録を詳細にレビューし、重要なテーマやカテゴリーに基づいてデータを整理します。その際、回答から繰り返し出現するキーワードやフレーズを特定し、それらがどのような意味や関連性を持っているかを分析します。また、分析結果の偏りを避けるために、複数の分析者が同じデータを独立して分析し、結果を比較・検討するのも効果的です。
分析結果のレポート作成にあたっては、調査目的に対する分析結果と実践的な提言を、分かりやすく伝えることが大切です。そのためには、専門用語は極力避け、表やグラフなどを活用して視覚的に訴えるレポート作成を意識しましょう。また、対象者の発言内容を引用することで、より具体的なイメージを伝えることができます。
レポートは、調査の成果を関係者に共有し、活用するための重要なツールです。紹介した作成のポイントを意識して、わかりやすく、論理的なレポートを作成しましょう。
「インタビュー調査結果の効果的なまとめ方」はこちら>
インタビュー調査は、ビジネスや学術研究だけでなく、様々な分野で有効に活用されています。ここでは、インタビュー調査のビジネスシーンにおける活用事例とともに、成功するインタビュー調査の秘訣とコツを紹介します。
成功するインタビュー調査の秘訣は、対象者に「事実ベース」で考えてもらうことです。人は質問に答えるときに「自分を良く見せたい」という無意識が働き、実際の自分ではなく「理想の自分」を答える傾向があります。
例えば、いきなり「どう行動したいですか?」と聞くと、本音よりも「理想の自分」を答える可能性が高くなります。しかし、「どう行動しましたか?」と事実を確認した上で、「その理由は?」と聞くと、事実を前提に理由を考えるため、本音に近い回答を得られます。こういった方法により、対象者の真の行動や感情に基づいた価値あるデータを収集できます。
加えて、インタビューを成功させる大事なコツは、「しっかりとした仮説を立てる」が「仮説にこだわらない」ことです。
インタビュー調査は、しっかりとした仮説があることで調査の方向性が明確になります。もし、仮説が間違っていたとしても、その違いから新しい洞察を導き出すことが可能です。そのため、仮説の間違いに気づいても、仮説にこだわらないで対象者から自由な意見を引き出すことが重要です。柔軟な姿勢でインタビューに臨むことが、予想外の情報や新しい発見を得ることができ、調査の成功へとつながります。
ここまで、インタビュー調査の基礎知識からメリットや成功事例について解説しました。
インタビュー調査は、定量調査では得られないユーザーの本音や潜在ニーズに迫る調査手法であり、定性調査の一つです。この本音や潜在ニーズを的確に把握してビジネスに活用できれば、顧客満足度の向上や製品開発の精度向上など、大きな成果を期待できます。
しかし、ユーザーの本音や潜在ニーズを把握するには、相応のスキルやノウハウが必要です。もし、自社の持つスキルやノウハウが限られている場合は、外部専門家のサポートを検討することも有効な手段です。
ぜひとも、インタビュー調査から顧客の心を掴む洞察を見出し、ビジネスを成功へと導きましょう。
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グループインタビュー(FGI)
グループインタビュー(FGI)とは、調査対象者を6人程度集め、モデレーターと呼ばれる司会者が調査テーマについて質問を行い、自由に発言をしてもらうことでさまざまな意見・情報を収集する調査手法です。消費者と直接対面することが最大の特徴で、消費者の生の声を収集することができます。また、グループ形式であるため、その相互作用で意見が活発になりやすく、多くの意見を収集しやすいというメリットもあります。
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