公開日:2024.07.17

顧客の心を掴む「ニーズ・ウォンツ・ベネフィット」徹底解説!

  • マーケティングリサーチHowto

「ニーズ」「ウォンツ」「ベネフィット」。 マーケティングの現場では、顧客理解を深めるための重要なキーワードとして、日々飛び交っています。しかし、それぞれの言葉の定義を曖昧にしたまま、顧客の声を拾い上げてはいないでしょうか?
 
本記事では、「ニーズ・ウォンツ・ベネフィット」の違いを解説します。調査現場の実例を交えながら、顧客インサイトを的確に捉え、商品開発やマーケティング施策に活かす方法を、より分かりやすく、そして深く掘り下げていきます。
 
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なぜ「ニーズ・ウォンツ・ベネフィット」の理解が重要なのか?

多くの企業が顧客の声に耳を傾け、ニーズを捉えようと努力しています。しかし、その努力が実を結ばず、顧客の心を掴めないケースも少なくありません。それはなぜでしょうか?
 
顧客自身が自分のニーズを完全に理解し、明確に言語化できているとは限りません。例えば、「新型スマホが欲しい」という声の裏には、「最新技術に触れたい」「友人と最新の情報共有をしたい」「美しい写真や動画を撮影したい」など、様々な欲求が隠されている可能性があります。
もし、表面的な「欲しい」という言葉だけを捉え、高性能なカメラ機能を搭載した新型スマホを開発したとしても、顧客の真のニーズを満たせるとは限りません。もしかしたら、顧客が本当に求めていたのは、使い心地の良さやデザイン性、あるいは今までにない全く新しい体験だったかもしれません。
 
真の顧客満足を実現するためには、顧客の行動や発言の背景にある「ニーズ」を正しく理解することが不可欠なのです。
 
 

「ニーズ・ウォンツ・ベネフィット」の違いを改めて整理しよう

大項目 小項目 説明
ニーズ 顧客が抱える問題や不満、欲求のことを指します。
顕在ニーズ ニーズの中でも、顧客自身が認識し、言葉で表現できるニーズのことです。
例:「お腹が空いた」「もっと部屋をオシャレにしたい」
潜在ニーズ ニーズの中でも、顧客自身も明確に認識していない、隠れたニーズのことです。
例:毎朝時間がないと感じている人が、本当はゆっくり朝食を楽しみたいと思っている
ウォンツ ニーズを満たすための具体的な手段や解決策のことを指します。商品やサービスそのものを指すことが多いです。
例:「お腹が空いた→ハンバーガーを食べる」、「部屋をオシャレにしたい→観葉植物を買う」
ベネフィット 商品やサービスが顧客に提供する価値や便益のことを指します。「顧客が得られる具体的なメリット」と言うとわかりやすいかもしれません。
例:「ハンバーガー→空腹を満たす、手軽に食べられる」、「観葉植物→部屋に彩りが加わる、心が安らぐ」
番外編
インサイト
ニーズに似た言葉で「インサイト」という言葉があります。これは顧客の行動や意思決定の根底にある、深層心理や価値観のことを指します。
例:周囲から「おしゃれ」と思われたいという承認欲求、流行に遅れたくないという不安感

 
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顧客インサイトを捉えるための具体的なステップ

  1. 行動や体験の観察

    顧客がどのような行動をとり、どのような体験をしているのかを観察する。行動の背景にある、言葉にされないニーズを探ることが重要です。
    例:顧客がスーパーで商品を選ぶ際、じっくりとパッケージを見比べているのか、価格を重視しているのか、など

  2. ウォンツの明確化

    顧客がどのような商品やサービスを求めているのかを明確にする。また、アンケートやインタビューを通じて、具体的な「欲しいもの」を聞き出します。
    例:アンケートで「あなたが普段利用するリフレッシュ方法をすべて教えてください」など、質問する

  3. 深掘り質問

    ウォンツの背景にあるニーズを深掘りする。「なぜそれが欲しいのか?」「それはどんな時に感じるのか?」など、具体的な状況や感情を引き出す質問を心がける必要があります。
    例:「なぜそのリフレッシュ方法を選んだのですか?」「他に試してみたいリフレッシュ方法はありますか?」と質問する

  4. 多角的な分析

    集めた情報を多角的に分析し、顧客自身も気づいていないインサイトを導き出します。性別や年齢、ライフスタイルなどの属性や、行動データ、市場トレンドなどを組み合わせて分析すると、より深い洞察を得られます。

  5. 仮説と検証

    導き出したインサイトに基づき、顧客が本当に求めている商品やサービスの仮説を立てます。そして、アンケート調査やモニターテストなどを通じて、その仮説を検証していきます。

 
 
顧客インサイトを捉えることは、容易ではありませんが、顧客の行動や発言の裏側に隠された「真の想い」を理解することができれば、顧客の心を掴む商品やサービスを開発できる可能性が高まります。
 
 

まとめ

企業が「ニーズ」「ウォンツ」「ベネフィット」の違いを理解することで、顧客の心を掴む方法が見えてきます。本記事では、それぞれの定義や具体例を通じて、顧客の真の欲求を深く掘り下げる方法を解説しました。表面的な言葉にとらわれず、顧客の行動や発言の背景にある本当のニーズを捉えることが重要です。

さらに、顧客インサイトを正確に捉えるためには、行動や体験の観察、ウォンツの明確化、深掘り質問、多角的な分析、そして仮説と検証のプロセスが欠かせません。これらのステップを踏むことで、顧客が本当に求める商品やサービスを開発する可能性が高まります。

顧客の真のニーズを理解するために、オンラインアンケートやインタビュー調査など、適切な調査を実施してみましょう。
 

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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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一方、調査票を用いないインタビュー形式の調査は定性調査と呼ばれ、言葉や情報をアウトプットとし、アイデア出しやテーマの深掘りの際に用いられます。これらはアンケート調査に含まないことが一般的です。アンケート調査は数的データとして結果を出すことが出来るため、客観的な裏付けやエビデンスとしても活用することができます。街頭調査や郵送調査などオフラインで実施する方法に加え、インターネットを利用したオンラインアンケートの実施も増加しています。調査手法によってそれぞれ特徴があるので、目的に応じて使い分けることが重要です。

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通常、ニーズ探索調査(顕在化ニーズの把握・アンメットニーズ探索調査)はライフスタイル調査や使用実態調査、顧客満足度調査などの結果から、ニーズを見つけ出す方法がとられますが、新しい潜在的なニーズを見つけ出したいときに行います。 しかし、より潜在的なニーズは、一般の消費者から明確に言語として回答を得ることは難しくなります。そのために、日ごろの使い方の実態の観察や記述の中から発見していきます。 まずは先入観にとらわれず、なんとなく使いづらそうなこと、他で補完している要素などを、実際に観察や普段の様子から見つけ出していきます。

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