
2024.10.07
定性調査の基本から役割と重要性、手法まで解説
マーケティング活動を行う上で、以下のような課題に直面することはありませんか? 消費者の本音を知りたい 新商品のアイデアが欲しい ……
公開日:2025.02.07
本記事は、先日公開した「【アメリカ・中国・日本】マトリクス設問の回答傾向は国ごとで異なる?」の続編となります。
引き続き、グローバル市場において、調査手法や設問設計によってどんな影響を与えるか検証するため、今回は、大きく以下2点についての検証結果を紹介します。
まず、「動画設問の離脱率」や「改ページ前にFA(フリーアンサー:自由回答)があるケース、別ページでFAがあるケースで、記載の量や内容に差が出るのか」について調査するために、実際に行った概要が下表となります。
項目 | 内容 | |
---|---|---|
調査目的 | 日本・米国・中国におけるアンケート回答実態を比較、回答精度を検証する。 海外調査において気を付けるべきポイントについての具体的事例を提示できるようにする。 |
|
調査概要 |
① マトリクス設問の回答傾向の違いを確認 →海外の方が両極につきやすいのか?ダミー設問の正答率は?など |
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② 動画設問の離脱率検証 →埋め込みの場合とURLリンクの場合で、離脱率に差があるのか? |
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③ 改ページ前にFAがあるケース、別ページでFAがあるケースで、記載の量や内容に差がでるのか? | ||
④ 選択肢数の違いによる影響比較 →日本と比べて、海外は選択肢が多いと選択率が落ちるのか? |
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⑤ 注釈をちゃんと読むのか?海外の方が読まないのではないか? | ||
⑥ その他、調査品質に関わるデータに関して | ||
調査手法 | Webアンケート | |
対象者条件 | 性別 | 男性、女性 |
年齢 | 20~60代 | |
地域 | 全国 | |
その他条件 | スマートフォンまたはPCでアンケートを回答していること | |
回収数 | 本調査 | 800サンプル |
割付 |
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調査期間 | 2023年5月16日(月)~ 2023年5月19日(木) | |
調査機関 | 株式会社アスマーク(旧マーシュ) |
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動画設問の離脱率検証では、離脱率を検証するため、まず下図のようにグループを2つ用意しました。
左のグループ①では、「動画埋め込みパターン」とし、「動画」と「設問」が同じページ内にあるパターンです。
右のグループ②では、「URLリンクパターン」とし、「動画のURL」と「設問」が同じページ内にあり、動画はURLをクリックすることで見ることができるパターンとなります。
「この2つのパターンで離脱率に差があるのか」という検証になります。
※設問は、動画の再生ボタンを押し、15秒くらいの動画を見てもらい、その動画から感じる印象として、最も当てはまるものを選んでもらう設問となっております。
そして、比較的回答の負担が大きいとされるフリーアンサー(FA)や巨大マトリクスの離脱率も、この動画の件の離脱率と比較するため、下図のような設問を用意しました。
左から、フリーアンサーで答える「純粋想起」用の設問。次は「巨大マトリクス」の設問。そして、巨大マトリクスとの比較用に、「横スクロールが発生しない縦回答マトリクス」の設問となります。「純粋想起」は、選択肢を提示せずに、質問に対して思い浮かぶことを自由記述(フリーアンサー)で書いてもらうものになります。
これらの結果が下図となります。
左側のグラフに注目すると、アメリカの「動画設問(URLリンク)」がドロップ率(離脱率)約30%と群を抜いて高いことがわかります。
中国に関しても、「動画設問(URLリンク)」が約15%離脱したことがわかります。
そして、アメリカも中国も「動画設問(埋め込み形式)」の離脱率が約2%と、「動画設問(URLリンク)」と比べ、とても低いこともわかりました。
また、アメリカは、「巨大マトリクス」と「縦マトリクス」で1割ほど離脱があり、日本や中国と比べ高いので、負荷が高い、答えたくないといったケースで離脱を選ぶ人が多い可能性が考えられます。
これらの結果から、 日本では埋め込みなのか、URLなのかについて、大きな問題はなさそうですが、海外調査ではURLリンクは非推奨とするのが良いと考えられます。
海外では、日本国内より「クリック詐欺」を懸念する傾向が強いようなので、モニターにもそれが当てはまると推察しています。理由はこれだけではないかもしれないですが、海外調査をする際には、やはり国によって違うことを意識して調査設計をする必要があると思いました。
御覧いただくと、以下のような傾向があるのがわかります。
日本:「リラックス」が低く、「自然」が高い
アメリカ:「リラックス」、「バケーション」に回答が集まる
中国:「バケーション」が低く、「旅」が相対的に高いような傾向がある
これらの傾向は、400人もの回答から算出した割合のため、「国によって、だいぶ傾向が違う」という見方ができると考えます。
それぞれのケースについて、下図をまず御覧ください。
左も右も、SDGsを意識している程度について、伺っています。そして、異なるのは、FA設問の場所です。左は同一ページ内に「FA設問」を設置しています。一方、右は5段階評価(かなり意識している~まったく意識していない)を選択した後、別ページで「FA設問」に応えていただく形式になっています。
この違いによって、FA設問の回答の記載の量や内容に差が出るのかなどを検証しました。
下図が結果になります。
上部のQ7が「同一ページ」の結果となり、下部のQ9が「別ページ」の結果となります。右の表の「意識している計」に注目してみると、「同一ページ」の割合は、「別ページ」の割合と比べ、低いことがわかります。400人の回答結果で比率を算出しているので、5pt以上差がある場合、統計学的に検定を行うと、「偶然これくらいの差が出る可能性は5%もない」となるので、「何かしらの違いはある」、「これは偶然ではない」と考えた方が自然です。そのため、 「同一ページ」にFA設問があるか、「別ページ」にあるかによって、「影響がある」と考えられます。
そして、「なぜこうなるのか」と考えてみると、「SDGsの質問に対する意識を伺う」というテーマから影響を受けているのもあるのかな、と考えます。SDGsについて「意識している」という方が社会的望ましいと思われるので、 「理由を書く」というものが無い場合、「安易に選びやすかった」のではないかと考えられます。
また、フリーアンサーに記載していただいた文字量について、比べたデータが下図となります。
この表を見てみると、日本の「かなり意識している」に関して、「同一ページ」と比べ「別ページ」の方が、文字量が少ない傾向がみられました。ただ、そもそもの選択者数が少ない(Nが少ない)ので、「偶然」という可能性が否めません。もし、「別ページ」の方が、文字量が少ない傾向が「偶然」ではない場合、安易に「かなり意識している」を選んだが、「理由を書かせる」となったときに、「う~ん、理由は、、、」となって書けなかった可能性があると考えています。
そして、右もテキストがありますが、これはアメリカの回答となります。こういった回答は通常、データチェックで省かれたりすると思いますが、今回検証となるので、そのまま載せさせていただきました。こういったことも起こりうることから、 「意見と理由FAの組み合わせは同一ページにしておいた方が良い」と考えます。
ここまで、「動画設問の離脱率」や「改ページ前にFA(フリーアンサー:自由回答)があるケース、別ページでFAがあるケースで、記載の量や内容に差が出るのかについて、検証結果を紹介してきました。
「動画設問の離脱率」では、アメリカや中国において、「動画設問(埋め込み形式)」と比べ、「動画設問(URLリンク)」の方が、離脱率が大きく低かったことから、 海外調査ではURLリンクは非推奨とするのが良いことがわかりました。
そして、や「改ページ前にFA(フリーアンサー:自由回答)があるケース、別ページでFAがあるケースで、記載の量や内容に差が出るのか」では、「同一ページにFA設問がある場合」と「別ページにFA設問がある場合」では、「意識している計」で違いが見受けられました。そのため、 「同一ページ」にFA設問があるか、「別ページ」にあるかによって、「影響がある」ことがわかりました。また、数ある中の回答の1つとなりますが、「夜遅く、疲れているが、起きていようと思っている。前の質問が何だったのか、自分の回答が何だったのか覚えていない。」とう回答もあり、 「意見と理由FAの組み合わせは同一ページにしておいた方が良い」と思いました。
ぜひ、この記事の結果を参考にして、競争力の強化へ繋げていきましょう。
次回は「【アメリカ・中国・日本】選択肢数の違いや注釈を読む・読まないは国ごとで異なる?」について紹介します。
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