公開日:2020.11.02

動画回収による簡易エスノ調査(セルフエスノ)

  • 定性調査

はじめに

キッチンで、洗面所で、リビングで、お風呂で、トイレでの行動や、スキンケア、メイク、シェービングといった身だしなみ、などなど・・・・

「生活者が自宅でどう行動しているかを見てみたい」と思うことはないでしょうか。商品開発、コミュニケーションプランのアイディア探しは様々ありますが、観察調査に代表されるエスノグラフィと呼ばれるアプローチもその1つです。

簡易エスノ調査(セルフエスノ)とは

通常、エスノグラフィ調査は、調査対象者へのインタビューや立会いを伴いますが、動画回収による簡易エスノ(セルフエスノ)で代替すれば、必要となる工数やコストも大幅にカットすることができます。

調査対象者に、テーマに応じた場面での動画をスマホで撮影してもらい、それを専用の動画回収ツールにアップロードしてもらう手順となります。立会いが伴わないため、普段の生活のより自然な姿を捉えることも可能です。
また、動画アップロード時にツール内にアンケートを設けることで、インタビューの代替として活用することもできます。

※自宅内での行動と意識(気持ち)をより長く、より深く知りたい場合は、セルフエスノではなく、立会いを伴うエスノ調査が必要となります。
 

オンラインでのエスノグラフィのメリット・デメリット 無料ダウンロードはこちら>

 

現行エスノ調査とセルフエスノのメリット/デメリット

現行エスノ調査のメリット

・立ち会うことでリアルな行動を直接観察できる
・観察後、当日にインタビューや再現依頼ができる
・ある程度長い時間のタスク依頼ができる

現行エスノ調査のデメリット

・観察するため複数人が訪問するので真の自然状態ではない
・思ったようなインサイトが得られない可能性がある
・実施までの準備に時間がかかる

セルフエスノのメリット

・自撮りなので自然(リラックスした)雰囲気で撮影できる
・短期間で動画収集できる
・費用を低く抑えられる
・ピンポイントの動画を見ることができる
・非接触である

セルフエスノのデメリット

・自撮りなので品質の徹底管理は難しい
・3分程度までの撮影時間に制限される

セルフエスノの活用方法

セルフエスノの代表的な活用場面

・キッチンでの食器洗い
・レンジの使い方
・シェービング  など

セルフエスノに向いている課題

・生活者の行動から気づきを得たいが今は大きなコストがかけられない
・大規模な観察調査を実施する前にプレテストとして動画で実態を把握したい
・動画+簡単なアンケートをオンラインから、評価や生の声を参考にしたい
・商品開発の動画+アンケートからアイディア仮説を考えるヒントを得たい

セルフエスノで回収している動画サンプルをご用意しました。

<圧力調理パックの場合>

[圧力調理パックの動画はこちら]
https://www.videog.jp/player/Con_DSzmUQ3B

■動画による気づき
・調理マニュアルでは袋の口を丸めるが、入れやすくするため丸めない
・えのきをほぐす、空気を抜く、食材をばらけさすなど袋の中で調理準備の動きをしている
・かなりの量の食材をパックにパンパンになるほど入れている
・空気を抜く整える工程は念入りにしている(必要なのか?)

<泡スプレーの場合>

[泡スプレーの動画はこちら]
https://www.videog.jp/player/1lyyfUqIv_eg

■動画による気づき
・標準漬け置き時間は長いと感じられている
・人は途中で何度も手をあらう
・コップをすすいだ時にあふれる泡で排水溝もついでに洗う
・水切れが気になる様子で何度も振って水滴を落としている

 最後に

現行のエスノ調査とセルフエスノ、調査テーマや調査課題によってどちらの実施方法が向いているのか異なります。
調査会社に相談し、アドバイスをもらうのが良いでしょう。

 

市場調査についてのご相談はこちら>

 

執筆者
執筆者画像
片岡 裕介
株式会社アスマーク リサーチソリューショングループ
1990年に流通系市場調査会社でリサーチキャリアをスタート。外資系調査会社を経由して2018年にアスマークに入社。定性リサーチャーとして年間200PJの企画設計に関わる。仕事の基本スタンスは”リサーチ愛”。座右の銘は”継続は力なり”。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

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