公開日:2025.04.07

リブランディングとは?成功させるためのポイントや調査手法など紹介

  • マーケティングリサーチHowto

現代の市場環境は急速に変化しており、企業が持続的に成長するためには、時代の流れに適応し、ブランドの価値を再定義することが求められます。特に、顧客のニーズが多様化し、競争が激化する中で、ブランドのポジショニングを見直し、新たな価値を提供することが重要です。そこで注目されるのが「リブランディング」です。
 
リブランディングとは、ブランドの求心力や影響力が低下した際に、その魅力や価値を再構築し、ブランドの弱まった求心力や影響力を復活させていく取り込みのことです。適切なリブランディングを行うことで、企業は顧客との関係を強化し、ブランドの新たな成長機会を創出することができます。
 
本記事では、リブランディングの基礎から、調査手法、意識したいこと、調査会社に共有すべきポイントなどについて解説します。
 

 
 

「リブランディング」とは

リブランディングとは、商品やサービスなどのブランドを「時代の変化」や「顧客のニーズ」に合わせて構成し直すことです。具体的には、ブランドの求心力や影響力が弱まった時に、一般的に魅力や価値を見直し、再定義し、ブランドの弱まった求心力や影響力を復活させていく取り込みのことです。
 

ブランドとは

「ブランド」を知ることで、「リブランディング」についてより理解が深められるため、先に「ブランド」について解説します。
ブランドとは、以下の要素によって形成されます。
 
1. 商品やサービスを他の同カテゴリの商品やサービスと区別するための概念
2. 消費者側の商品やサービスに対するイメージの総体のこと※1
 ※1 イメージの総体とは、伝達メディアや消費体験、品質などあらゆる角度から作られたもの
 
つまり、ブランドとは、その消費者にとって「独自の役割」があり、「特別な感情」が乗っかったモノやサービスのことです。
 

ブランド管理(ブランドマネジメント)とは

そして、事業会社側では、ブランド管理(ブランドマネジメント)が重要になります。
 
例えば、「ブランドをどのように展開していくか」といったところがよく議論されますが、その展開をしていくにあたり、「このブランドは、消費者にこういう体験をもたらしたい。そのことによって、こんな感情をもっていただきたい」などが具体案として挙げられます。その案を実現するために活動をしていくことがブランド管理(ブランドマネジメント)になります。
 
そのため、ブランド管理は「コミュニケーションとしてCMを流す」や「交通広告で大きい看板を置く」といったことだけではなく、消費者の方に商品やサービスを体験して、感じてもらうといったことも行う必要があります。この「感じてもらう」というのは、その商品やサービスを使うことによって、「クオリティがすごいな!」、「とっても便利!」などの体験や、人から「この商品おすすめ!」と薦められ、「この商品はこういった商品なんだ」といった感情を「感じてもらう」ことです。
 
さて、改めてブランド管理について書き出すと以下となります。

  1. ブランドに対して「特別な感情」を抱いてもらうための活動
  2. そのために、ロゴのレギュレーションなどのデザインポリシーの管理や利用体験を適切に管理することが求められる
  3. ブランドが保有する資産や知的財産の管理、価格管理なども「特別な感情」を棄損しないように適切に行う
  4. 市場環境の変化に合わせて、ブランドのポジショニングの管理などを行う

 
いずれもブランド管理において、大切な要素になりますが、『リブランディング』となると、特に4番目の「市場環境の変化に合わせて、ブランドのポジショニングの管理などを行う」が要素として大きいです。「時代の変化と共に昔は有名だったが、今はそうでもない」といったブランドはいくつかあると考えており、皆様もいくつか思い浮かぶブランドがあるのではないでしょうか。こういったブランドは「昔のブランド」と思われた時に、変わることが難しいと考えてしまうと思います。こういった際に、例えば「今も挑戦し続けているブランド」といったように刷新していく活動がリブランディングとなり、4番目の内容がそれに当てはまります。
 

ブランドのイメージとブランド管理(ブランドマネジメント)

ブランド管理(ブランドマネジメント)について話してきましたが、ブランドというのは「今も挑戦し続けているブランド」など『イメージ』が存在します。例えば、下図がブランドとイメージの関係になります。
 

図 ブランドとイメージの関係
図 ブランドとイメージの関係

 
「品質が高い」や「コスパがよい」、「高級感がある」、「安っぽい」といったイメージは、体験や体験を通じての評価からにじみ出たイメージです。そして、良いイメージを増やしたり、他のブランドとは違うイメージを作ったり、悪いイメージを減らしたり(払拭したり)することがブランド管理です。
 

 

ブランド連想ネットワークとは

ここで、アメリカの有名なブランド論者ケラー(Keller)は、「望ましいブランドの在り方は、強くたくましく、ユニークな連想イメージがある」といったような説があり、これを解釈すると「ブランドがどれくらい浸透しているか」や「ブランドを思い起こさせる理由」といった、いわゆる「ブランド連想ネットワーク」がイメージされます。
 
例えば、飲料メーカー×ビールの場合、サントリーのイメージ、KIRINのイメージ、ASAHIのイメージなど、それぞれ固有のブランドイメージがあります。そのイメージがとある飲料メーカーに対して100人中80人が「高級感がある」と回答した場合、80%の人がそうイメージしている可能性があり、これが強さとして現れます。また、「このブランドは、こういうイメージもあるし、こういうイメージもあるし、、、」といったイメージの数が多い方が、生活者と密接な関係を築けています。なぜなら、そのイメージからブランドを思い出す可能性が広がり、実際に生活者がたくさん思い出すブランド(例:コカ・コーラなど)は『生活者と密接』と言えるでしょう。そして、ブランドAとブランドBを比べた時に、「ブランドAの方がこうである」といった独自の話があれば理想的です。
 
これらを簡単にまとめると下図となり、ケラー(Keller)は「強固なブランドと言えば、強いイメージがたくさんあった方が良いし、イメージ自体がたくさんあった方が良いし、他のブランドとの違いもあった方が良い」と言っているわけです。
 

図 ブランドを管理する上で重要な観点
図 ブランドを管理する上で重要な観点

 
このブランド連想ネットワークを分析することで、下図のようにブランドのイメージ、そのイメージの基となっている体験や評価を把握しながら、「『この品質が高い』や「高級感がある」といったところをもっと良くする」、「『安っぽい』などと言われているマイナスなところをどうやって、無くしていく/少なくしていくか」、を考えることができます。そして、これを考えることがブランド管理(ブランドマネジメント)です。
 

図 ブランド連想ネットワークによる分析
図 ブランド連想ネットワークによる分析

 

ブランドのイメージとリブランディング

続いて、ブランドのイメージとリブランディングの関係は下図となります。

図 ブランドのイメージとリブランディング
図 ブランドのイメージとリブランディング

利用者に提供したい体験や世界観を変化させていくことで、イメージに変化をもたらしていく、または良いイメージを強化していくものがリブランディングです。例えば、今まで「品質が高い」、「コスパがよい」、「高級感がある」といったようなイメージが強かったとした時にリブランディングするということは、「今のままではいけないとなってきた」ということです。それは、「社会の移り変わりと共にニーズが変わってきたり、他のブランドが出てきたりしたことで、相対的にイメージが弱まってしまい、今まで培ってきたイメージだけではどうしようもない状況のため、新しいイメージを付け加えたい」といった状況や思いがあり、これが根本となります。そのため、利用者に提供したい体験や世界観を変化させていくことで、イメージに変化をもたらし、体験や評価を変えていき、良いイメージを強化していくことがリブランディングとなります。
 

Tips:リブランディングとブランド管理(ブランドマネジメント)の違い
リブランディングとブランド管理(ブランドマネジメント)の関係は、『ブランド管理⊃リブランディング』です。ベン図にすると下図です。

図 ブランド管理⊃リブランディングのベン図
図 ブランド管理⊃リブランディングのベン図

 
このようにブランド管理(ブランドマネジメント)にリブランディングは含まれる形となり、同時に違いとなります。そのため、どちらも『良いイメージを強化していく』といった表現で説明がされたりするのです。

 
 

ブランドにまつわる調査とは

リブランディングを行うにあたり調査をしていくのですが、その調査を知る前に、ブランドにまつわる調査を先におさえておく必要があります。
 
ブランドにまつわる調査でよくある調査が最初に定性調査を実施し、使い方やブランドのイメージなどを聴取し、それを定量化していくことでイメージ把握をしていく調査です。この調査の流れは以下となります。
 

  1. 定性調査 → 定量調査 によるイメージ把握
  2. 定性調査でイメージとそれにつながる体験・評価の収集
  3. 定量調査でイメージをスコア化
  4. 定期的にブランドの状態を把握していく

 
具体的には、定性調査で「高級感がある」というイメージを聴取した場合、その背景にある体験や評価を集めていきます。次に、定量調査でこうしたイメージ項目を作成し、スコア化することで、消費者が持っているイメージを定量化します。こうすることにより、「やはり、多くの人はこのブランドに対してこういうイメージを持っている」ということがわかります。また、「他のブランドと比べてどうなのか」といったところも見ていきます。そして、定期的にブランドの状態を把握していきます。

ゴールイメージ

ブランド調査を実施することで、ブランドの状態を把握して、「今後どういった方針で行くか」などを議論することができます。この議論から以下について方針を定めます。
 

  • 今後強化/改善していきたいブランドのイメージとは?
  • 新しく付与していきたいブランドのイメージとは?
  • 改善していくブランドイメージは何を改善すれば良いか?(コミュニケーションか、サービスか等)

 
例えば、テーマパークの場合は「混雑」という問題がブランドイメージに影響します。その混雑緩和に向けてブランドの状態を把握するべくブランド調査を実施し、その調査で収集できたデータを基に議論した結果、入場制限や値上げなどにより少し利用者を制限する、あるいはファストパスといった仕組みを導入するなど「待ち時間が長い」といったネガティブなイメージを減らそうとする方針を設定することができます。
 
また、この方針を設定し、実施することにより、新しいイメージも付くことがありますが、これは自然な現象です。そのため、「向かいたいところはどこか」といったところは、事業会社側で決める必要があります。なお、調査会社側からも「今回の施策としてはこうでした」といった形のアドバイスは可能です。
 
ここで注意点が1つあります。それは、ブランドにまつわる話は、単純に数値だけの話ではないことです。今まで商品・サービスに携わってきた人たちの思いやその関係者との連携が必要となるため、戦略を立てて、「どういったブランドが望ましいのか」という目標をしっかりと定め、進めていく必要があります。
 
 

リブランディングに関する調査の種類

ではリブランディングに関する調査にはどういったものがあるでしょうか。大きく分けて下表2種類の調査があります。
 

表 リブランディングに関する調査の種類
調査 調査時期 調査で必要なこと
①既存ブランドに対してどのようなイメージを付加していくのが良いかを探っていく調査 リブランディング前 定性的な深掘りをしていくこと
②リブランディングしたブランドがうまく機能しているかを把握していく調査 リブランディング後 時系列の観点を取り入れること

 
どちらの調査を行うにおいても、「現状況(状態)と課題を把握し、その解消のためにどのような取り組みを行ったのか」を理解したうえで調査結果を見る必要があります。そのため、①の調査において事業会社側で現状況(状態)や課題などに対し「本当にそうなのか?」と、定性的に深掘りをしていくことが必要となります。
 
②の調査では、リブランディングを実行した後に「本当にそのブランドが目指している(リブランディング後に目指している)イメージをしっかりと獲得できているのか」というところを時系列の観点も取り入れて見ていく必要があります。
 
 

リブランディングにおける調査手法

リブランディングの調査手法は、ブランド調査で把握するものと基本的には同じになります。下図のような自社および競合ブランドの「パーチェスファネルやポジショニングマップ、連想ネットワーク」といったものがあります。
 

図 パーチェスファネル・ポジショニング・連想ネットワークのイメージ
図 パーチェスファネル・ポジショニング・連想ネットワークのイメージ

 
これらでブランドの状態を把握し、非常に重要な『ブランドに変化が生まれているか』どうかを確認することができます。そして、リブランディングはブランドイメージを変化させることですが、大きな変化を求めるとバランスを崩してしまう恐れがあります。
 
例えば、1個30万円以上するブランドのカバンがあったとします。それが3万円程度で売られている状況が正規店であったとき、『高級感やお得だ』という考えよりも、『ただの安売りか』というような考えになることがあるでしょう。「お手ごろだから3万円」という話になると、これまで築き上げた高級感というブランディングが失われてしまいます。一方で、庶民的なブランドのお店が突然値上げをしたら、庶民的な値ごろ感のあるブランドのバランスが崩れ、お客様がついてこられなくなるといった問題が生じてしまいます。
 
そのため、急激な変化によりお客様がついてこられなくなってしまう状況を防ぐために、ブランドイメージの変化を想定した調査を行ったり、調査はこの方向性で継続して良いのかなどを考えたりする必要があります。
 
また、ブランドにまつわる調査は長期に渡ることが多く、「ブランドは今日立ち上げて半年後にはものすごくよいイメージになる」といったことはほぼあり得ないため、ブランドイメージの構築には時間の積み重ねを意識しておく必要があります。
 
 

リブランディングの調査で意識したいこと

リブランディングの調査で意識すべきことは、以下3点あります。
 

  • 今までのブランド力がなぜ落ちたのか?
  • 提供価値が消費者に受け入れられなくなったのか?
  • 本来ある価値をうまく伝えられていないのか?

 
具体的には、「今までのブランド力があったものの、求心力がなくなってきた際に大きくリブランディングしたい」といった際、「なぜブランド力が落ちてしまったのか?」を考える必要があります。そして、考えてみると、「単純に提供していた価値が消費者に受け入れられなくなってしまったのか」、あるいは「本来ある価値をうまく伝えられていないのか」、など様々仮説を立てることができます。そのため、調査で明らかにしていくよりも、まずは事業会社側が「売上や競合が出てきた」などを起点として、「今までのブランド力がなぜ落ちたのか?」への仮説を立てましょう
 
例えば、「競合が出てきた」ことによって「ブランド力が落ちた場合」を考えてみましょう。「競合が出てきた」ことによって考えることは、「ブランドイメージなどの要素」からの決定(選択/購入)についてです。ブランドイメージなどの要素は、AとBという商品があったときに、相対評価(AとBを比べて、評価して)で決定します。この事実を起点に、「今までは良かったのに、なぜそれがダメになってきたのか?」への仮説を立てます。その仮説として、「消費者のニーズの変化があったかもしれない」、あるいは「他の競合が登場したことによって競合力を失ってしまったかもしれない」が考えられます。こういったことは、4P※2Product(製品)にも当てはまる内容です。
※2 4PはProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの要素から成り立ち、頭文字を取った名称になっています。マーケティング戦略の一部で、効果的に市場へ商品やサービスを届けるために活用されます。
 
このように「今までのブランド力がなぜ落ちたのか?」という論点に対して仮説を立て、次に「提供価値が消費者に受け入れられなくなったのか?」への仮説を立て、そして「本来ある価値をうまく伝えられていないのか?」への仮説を立てます。そして、それらの仮説を持った状態で調査を設計していく流れになります(調査会社のリサーチャーにそれらの仮説を持った状態で調査を依頼すると、より調査設計がスムーズになります)。
 

どの要素を変化させるかを考える

続いて、リブランディングは「利用者に提供したい体験や世界観を変化させていく」というスタートがあり、これを起こすには、何かしらの要素を変化させる必要があります。その要素を考えるため、4Pを活用します。
 
下図のようにブランドに対して4Pの観点で分けてみると、変えられる要素と変えられない要素を考えやすくなります。
 

図 ブランドに対して4P観点で考える
図 ブランドに対して4P観点で考える

 
例えば、下表のようなケースが考えられます。
 

表 変えられない場合の各ケース
変えられない要素 ケース
Product:製品 グローバル展開をしていて、フォーマットのようなものが決まっており、ローカライズがしにくい
Price:価格 小売りとの関係で価格が変えられない
Place:流通 販売する場所を他のメーカーとの兼ね合いで変えられない
Promotion:プロモーション アンバサダーとしてタレントと契約をしており、そのタレントを変更することが難しい

 
このようにリブランディングを実施したいとお考えの裏側で、変えられない要素があったり、変えざるを得ない要素があったり、制限が全くなかったりします。これはとても重要なことで、全く制限がなければ色々な発想でリブランディングについて考えていくことはできますが、制限がある場合は違います。
 
もし、Productが変えられない状況で、そのProductに問題がある場合、「引き続きリブランディングを検討していくのか?」、「新商品や新ブランドを立ち上げるのか?」などといったことを検討しなくてはいけません。
 
また、Productを変えざるを得ない場合もあります。例えば、化粧品メーカーの『とある商品』で、とある素材を使っており、海外からその素材を仕入れていたが、日本では法的に禁止となり、別の素材を使わざるを得なくなってしまったケースもあります。そして、Productの内容が変わったため、Priceも変えなくてはならず、ブランドのイメージに打撃を与えてしまう可能性出てきました。そのため、「素材を変えたことによって、どれくらいブランドのイメージに影響するのか?そして、違う方向にリブランディングを検討している」といった相談が発生します。
 
そういった裏側(背景)があり、それぞれの状況で、検討しなくてはいけないこと、調査をしなくてはいけないことが変わってきますので、リブランディングを考える上で4Pのそれぞれの要素に対して整理しておく必要があります。
 

 

リブランディングで把握すべきこと

リブランディングで把握すべきことを定性調査と定量調査の観点から分けると下表となります。
 
 

表 リブランディングで把握すべきこと
調査手法 把握すべきこと
定性調査 ブランドイメージとそのイメージにまつわる体験や評価の把握
定量調査 競合を含む各ブランドのパーチェスファネルとポジショニングの把握
定性調査&定量調査 リブランディングの方向性を「どれだけ受け入れられてもらえるか」を把握

 
定性調査では、ブランドイメージとそのイメージにまつわる体験や評価を把握します。特にそのブランドを持つと「どんな特別な感情(ポジティブ・ネガティブ)になるのか」「どんな体験が得られるのか」ということを深掘りすることが大切です。一方、定量調査では、競合を含む各ブランドのパーチェスファネルとポジショニングを把握します。これらにより、ブランドの状態を把握し、『ブランドに変化が生まれているか』どうかも確認することができます。
 
また、定性調査と定量調査の両方向からリブランディングの方向性を「どれだけ受け入れられてもらえるか」について把握します。
 
このように定性調査と定量調査をどちらも行うことで、「なぜこのスコアが落ちているのかわからない」などといった、「わからない」という状況を減らすことができます。
 
 

調査を成功させるために調査会社へ共有すべきポイント

リブランディング調査を成功させるため、調査会社へ事前に共有すべきポイントが以下5つあります。
 

図 調査会社に共有すべきポイント
図 調査会社に共有すべきポイント

※ 「」は原則共有していただきたいポイント
 
①プロジェクトの状況
プロジェクトの状況を共有することで、調査設計のスピードや精度などに良い影響を与えることができます。なぜなら、リブランディングと一口に言っても、その段階(フェーズ)は企業ごとに異なり、その段階に応じた調査設計を組む必要があるからです。
 
②市場の動向(市場規模や競合、技術、法規制など)
次に、市場の動向として市場規模や競合の状況、技術、法規制などについて可能な限り共有することで、調査設計時の仮説立案や分析時の考察などの精度に良い影響を与えることができます。例えば、市場規模が拡大しているにもかかわらず、自社の売上は停滞している場合、競合の影響を疑う仮説を立てることができます。一方で、市場規模が縮小している場合は、「業界全体の変化に対応したリブランディング」という方向性で仮説を立てることができます。
 
③現ブランドの課題(既存顧客の減少、新規顧客が獲得できない など)
そして、現状のブランドの課題も共有しましょう。現状のブランドの課題として「既存顧客が減少している」、「新規顧客が獲得できない」など、課題に応じた調査設計を組むことで、精度を高めることができます。もし、課題が把握できていない場合や漠然としている場合、調査の目的がぼやけてしまいます。その状況で調査を行うと、目的がぼやけているため、得られたデータを十分に活用(分析)することができません
 
④今までの調査結果
過去に実施した調査がある場合は、その結果(対象者条件やデータ、得られた知見など)を可能であれば共有しましょう。共有することで、分析をより強化することができます。例えば、ブランド認知度調査を過去に実施していた場合、そのデータを振り返ることで、リブランディング調査の分析フェーズで、データを見比べることができます。その見比べた結果から、「同じ傾向があるもの」、「異なる傾向があるもの」などを導き出すことができ、考察の精度が上がります
 
⑤検討しているリブランディングの方向性
検討しているリブランディングの方向性について、可能であれば共有しましょう。リブランディングの方向性を事前に調査会社に共有することで、調査設計で調査目的の精度が上がります。例えば、「高級感のあるブランドにシフトしたい」という方向性がある場合、調査の方向性として「現在のブランドイメージと消費者が求める価値のギャップを調査する」など検討することができます。
 
 

まとめ

リブランディングは、単なるロゴやデザインの変更にとどまらず、企業のビジョンや価値観を再定義し、顧客に新たな体験を提供するための包括的な戦略です。そのため、適切なリブランディングを行うには、市場の動向や顧客のニーズを深く理解し、綿密な調査と計画が必要不可欠です。
 
本記事で紹介させていただきましたが、ブランド管理の重要性を認識し、適切な調査手法を活用することで、リブランディングの成功確率を高めることができます。また、調査会社と連携することで、より精度の高いデータを収集し、客観的な視点から戦略を立案することが可能になります。企業が長期的にブランド価値を維持・向上させるためには、リブランディングは一度きりの取り組みではなく、継続的な見直しと改善が求められます。市場の変化を捉え、柔軟に対応することで、ブランドの競争力を維持し続けることができるでしょう。
 
本記事を参考に、貴社のリブランディング戦略策定に活かし、リブランディングを成功させましょう。
 
リブランディングの調査についてのご相談はこちら>
 

執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

 
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