2022.06.13
クロス集計表の見方をわかりやすく解説
はじめに 皆さんはクロス集計表を見て、結果を読み取ったり、分析したことはありますか? クロス集計とは、単純集計(GT集計)で得た数値に対して、性別・年代など……
公開日:2024.09.12
企業が新商品を開発し、満を持して市場に投入しても、必ずしも売上目標を達成できるわけではありません。売上目標を下回り、低迷してしまうケースも少なくありません。このような事態に陥った時、企業は原因を究明し、効果的な対策を講じる必要があります。売上低迷の要因は、商品の品質や価格設定、競合環境、プロモーション戦略など、多岐にわたります。そのため、原因を特定し、適切な改善策を導き出すためには、顧客の深層心理や行動を把握することが重要になります。
こうした深層心理や行動を把握する上で有効な手段となるのが、顧客へのインタビュー調査などを行う「定性調査」です。本記事では、売上低迷の要因分析に役立つ定性調査の設計方法について、事例を交えて解説していきます。
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マーケティング調査には、大きく分けて「定量調査」と「定性調査」の2つの手法があります。定量調査は、アンケート調査などを通じて多くのデータを集め、統計的に分析することで、市場全体の傾向や顧客全体のニーズを把握することを目的とします。一方、定性調査は、インタビュー調査やグループインタビューなどを通じて、少数の対象者から深掘りした情報を収集し、その発言内容を分析することで、顧客の行動や心理の背景にある理由やメカニズムを明らかにすることを目的とします。
定性調査の中でも、特に代表的な手法として挙げられるのがインタビュー調査です。インタビュー調査では、調査対象者と向き合い、商品やサービスに対する率直な意見や感想、購買行動に関する深層心理などをヒアリングします。分析結果から得られた示唆は、新商品開発や既存商品の改善、マーケティング戦略の立案などに活用することができます。
定性調査を成功させるための要素は、「調査設計」「リクルート(対象者)」「モデレーター(司会者)」の3つが挙げられます。どれだけ綿密な調査設計を行っても、適切な対象者をリクルートできなければ、有益な情報は得られません。また、モデレーターのスキルによって、対象者から引き出せる情報量や質は大きく左右されます。今回は、「調査設計」にフォーカスした解説となります。
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企業にとって調査は、「調査をしたい」と思って調査をするわけではなく、調査をして商品やサービスの売上をより上げていく、ユーザー数を増やしていくという目的を達成するために行うものだと考えております。そのため、その目的、つまりアウトプットを重視するには、下記8ステップの流れを意識する必要があります。
調査背景では、「調査をするようになった経緯と調査後のアクションに関するプロジェクト全体の流れ」を考え、調査目的では、「プロジェクトで意思決定をするにあたって調査で明らかにしなければならないこと」を設定します。そして、その目的を達成するために、調査課題では、その調査で得るべき知見のこと(=知りたいこと)を決め、その課題をクリアするために、調査項目では、聞かなくてはいけない質問のこと(=聞きたいこと)を決めます。そして、一問一答みたいな詳細編があり、まとめたものがトップラインで、トータルで何が言えるのかというのがサマリとなっていきます。
架空の食品会社「アスマーク食品」の新商品Aを例に、売上低迷の要因を探るための調査設計について解説します。
新商品Aは、コロナ禍における外食頻度の減少に伴い、発売当初は自宅で食事をする消費者から支持を集め、売上を伸ばしていました。しかし、2年が経過した時点で、売上は大幅に減少していました。市場全体としては成長を続けていることから、カテゴリが落ちているわけではないことは明らかでした。そこで、新商品Aの売上低迷の要因を突き止め、今後の改善策について検討したい意向がありました。
前述の状況について、背景をより豊かにするために、深掘りをする以下4ポイントを紹介します。
この商品は誰向けに開発されたのか?男性か、女性か?年代は若年層か?どの顧客に寄り添えば良いのか?
→ターゲットは?どの顧客のどんな悩みを解決するのか?
販売量が当初から何割くらい減っていて、市場動向と同じなのか?それともアスマーク食品の商品だけが減っているのか?
→市場動向はどうなっている?
今の商品の配荷状況を確認し、店頭で購入できる状況かを確認
→棚落ちしているのではないか?どのチャネルが顕著か?
今の商品について不満があるとすれば、どのような要素があると考えているのか?
→味や価格など、どの要素がネガティブか?
上記のことを明らかにすることで、調査背景が豊かになります。例えば、誰々向けの商品を作って、それを出したが、どうやら販売してから実は3割ぐらいは落ちており、コンビニでは新商品が激しくなかなか置いてもらえず棚落ちしている、、、などの話があると、リサーチャー、あるいはモデレーターの想像力も働かせることができるので、とても大切です。また、上記の1~4の関係性のイメージとして、1~3で数値把握、市場把握を行い、その背景と4のネガティブな要素の洗い出しから、いくつか仮説を立てていくイメージです。このいくつか仮説を立てることも重要なポイントです。
一方で、この4ポイントの中の1つ目「Product(製品)→ターゲット」でターゲット設定が曖昧なことがあります。例えば、食品を例にとると、下図のようなパーチェスファネル(顧客が購買に至るまでの購買行動)を活用するのがおすすめです。
この新商品への認知度や興味度合い、喫食経験、継続喫食というファネルを用意し、ボリューム感を探ります。そして、右側には「現喫食者なのか」、「離脱層で興味はあるけど、まだ食べていない」、「知ってはいるけど、興味ない」という無関心層などをおくことで、対象者の設定について考えていきます。
また、現喫食者層や離脱層などの4つのセグメントに、どのような内容を伺うことで、本題の「売上低迷の要因解明」に繋がっているのか、探っていくことができるのか簡単に下表に記載しました。
項目 | 内容 |
---|---|
現喫食者層 | 現在も喫食していることから、「なぜ喫食を続けているのか」、「何を評価しているのか」というのを伺います。 |
離脱層 | 「なぜ離脱をしたのか」ということを伺います。これは、現喫食者層と比較することができ、現喫食者層が評価している部分と、離脱層が評価していない部分などを見ていきます。 また、「離脱」の定義も考える必要があります。保険会社や携帯電話会社などの場合、「離脱」の定義は簡単ですが、「食品」の場合はイメージしにくいと思います。そこで、「何か月以内に買っていない人を離脱とする」などの定義付けが必要になります。※「食品」の場合の「離脱」の定義は悩んだ経験があり、企業様によってバラバラです。 |
興味未喫食者層 | 興味はあるが、購入に至っていない方となり、「買う機会がなかったか」、「買うに至らない要素は何なのか」というのを探っていきます。いわゆる未顧客が「なんでこの方たちが買う要素がないのか」、「興味持っているが、買わないのは何なのか」というのを伺っていきます。 |
認知無関心層 | 定性調査を行うのは要検討です。場合によっては、定性調査をしなくてもよいです。「知っているが、興味ないです」という方は、この商品を買いたくないという宣言にほぼ近いと考えており、定性調査を行う場合は、「訴求できていないのではないか」といったくらいしか聞くことがないというのが理由になります。 |
なお、ご紹介した4つのセグメントが絶対ではありません。最初から、商品のターゲットが20代の女性で、ダイエットを考えている、、、などの設定が事前にある場合は、設定しているターゲットに受けているのか、受けていないのか、というのを考えていく形となります。
売上低迷に歯止めをかけるためには、顧客の行動や心理を深く理解し、商品やマーケティング戦略に改善を加えていく必要があります。顧客理解を深めるための有効な手段となるのが定性調査ですが、調査設計次第では、期待する成果を得られない可能性もあります。
本記事で解説した調査設計のポイントやターゲット設定を踏まえ、適切な調査設計を行うことで、売上低迷の要因を解明し、顧客ニーズを捉えた商品開発やマーケティング戦略の実施に繋げることが可能となります。
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