2024.08.26
オンラインインタビュー調査の成功の秘訣 | オフラインとの「使い分け」
コロナ禍で加速したオンライン調査の普及 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、私たちの生活様式だけでなく、ビジネスのあり方にも大きな変化をもたらしました。そ……
公開日:2024.09.02
社会調査において、アンケート調査は人々の意識や行動を探る上でとても重要な調査手法です。行政機関や大学、自治体、地域コミュニティなどの様々な組織や団体で、この社会調査が行われ、政策の立案や住民が抱えている問題把握など、活用されております。この活用に至るまでのプロセスで、アンケート調査から有効なデータを収集することが1つポイントとなります。具体的には、調査票の作成や質問項目の設定など、適切なアンケート設計を行う必要があります。
そこで、この記事では社会調査におけるアンケート調査票のつくり方について、解説します。
「大学・研究機関向けの学術調査(アカデミックリサーチ)」はこちら>
「ISO20252認証 アスマークの官公庁・自治体向け調査サービス」はこちら>
社会調査におけるアンケートとは、特定の集団や社会現象について、人々の意識、行動、意見などを把握するために、調査票を用いて情報を収集する調査方法です。アンケート調査は比較分析しやすい数値データを得られるため、社会調査において広く活用されています。
アンケートの大きな特徴は、事前に定められた調査票を用いることで、多数の対象者から効率的に情報を収集できる点です。これにより、対象となる集団全体の傾向や特徴を統計的に分析できます。また、調査票を用いることで、調査員の主観による影響を最小限に抑え、より客観的なデータを収集することが可能です。
社会調査におけるアンケートは、世論調査、市場調査、顧客満足度調査など、様々な分野で活用されています。例えば、選挙前の世論調査では有権者の投票意向や政治に対する意識を把握し、企業の新商品開発においては消費者のニーズや嗜好を探るために活用されています。
アンケート調査は、調査票やオンラインフォームなどを用いて実施する調査手法です。まず、調査の設計段階では、調査の目的と目標を明確にし、どのような情報が必要かを定義します。これに基づき、対象者の選定や質問内容の設計、データ収集方法の選択が行われます。
アンケートは主に自己記入式であり、オンライン調査、郵送調査、面接調査などの形式で行われます。それぞれの調査方法にはメリットとデメリットがあり、調査の目的や対象者の特性、予算、期間などに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。ただし、現在では対象者のリクルーティングや予算、実施期間などでメリットの多いオンライン調査が主流となっています。
※オンライン調査は、ネットリサーチ・WEB調査・インターネットリサーチ(インターネット調査)・WEBアンケート・オンラインサーベイなど異なる呼び方をされることもありますので、混乱しないようにしましょう。
アンケート調査から有益なデータを収集するには、調査の計画からデータ分析までの手順を、しっかりと踏むことが重要です。ここでは、アンケート調査の基本的な手順について解説します。
アンケート調査を設計する際には、「なぜこの調査を行うのか」「誰から情報を集めるのか」を明確にすることがとても重要です。
調査目的が具体的になれば、アンケート調査で収集すべき情報や質問項目の方向性が定まります。例えば、「リモートワークの満足度を把握する」「外食の頻度の変化の実態を明らかにする」「共働きにおける家事の分担で起こる満足していること・不満なことを把握する」などのように、どのような結果を目指すのかを調査のゴールとして明確にしましょう。
もし、目的があいまいなまま調査を進めると、集めたデータをうまく分析できなかったり、信頼性の低い結果につながったりするので、注意が必要です。
次に、誰を対象に調査を行うのかを明確にします。対象者を絞り込むことで、より具体的な質問項目を設定でき、回答の精度も向上します。例えば、「20~50代」「男女」「特定地域の住民」など、どのような対象者であれば有益な情報を得られるか、慎重に検討しましょう。
アンケート調査の目的と対象者を明確にすれば、調査の効率性と精度が向上し、より有益な情報収集につながります。
アンケート調査から収集した回答は、そのデータを整理して、集計・分析を行います。このプロセスを通じて、データに隠された意味や傾向を読み解き、調査目的に対する洞察を導き出すことが可能です。
回収したアンケートの回答は、質問項目ごとに整理・集計し、数値やグラフに変換します。選択肢形式の質問については、各選択肢を選んだ人数や割合を計算します。また、自由記述式の質問については、回答内容を分類・整理し、頻出するキーワードなどを抽出することが可能です。
データ集計を行う際は、専用ツールや統計ソフトを活用することで、効率的に集計作業を進めることができます。
回答データを集計したら、その結果をもとに、データの傾向や特徴を読み解きます。単純集計だけでなく、クロス集計や相関分析などを用いて、複数の質問項目間の関係性を分析することも可能です。分析結果を解釈する際には、調査目的を意識し、データから何が読み取れるのか、どのような示唆が得られるのかを考察することが大切です。
これらの集計・分析を行うことで、調査した結果を報告することが可能になるのです。
アンケート調査票の作成は、調査の成功に大きな影響を及ぼす重要なプロセスです。調査票に適切な設問や選択肢を設定すれば、回答者の負担を減らし、質の高いデータを収集できます。
ここでは、効果的な調査票を設計するための基本的な要素について、解説します。
アンケート調査の設問数は、回答者のモチベーションやデータ品質に大きく影響します。適切な設問数は、調査の目的や回答者の負担を考慮した上で慎重に選ぶことが大切です。
一般的には、20~25問程度が適切な回答を得る理想的ボリュームとされています。この程度であれば、回答者はそれほど疲れを感じず、回答に集中することが可能です。
また、回答時の負担が少ないリッカート尺度を使用する場合は、70問程度を目安に、回答時間を10分以内に抑えることが大切です、設問数がこれより多くなる場合は、回答離脱を防ぐために、追加のインセンティブを検討するケースも考えられます。
アンケートの設問文は、回答を誘導しない、中立的な表現を用いることが重要です。誘導的な質問は回答者の意見を歪める可能性があり、データの信頼性を損ないます。例えば、「賛成ですか?」という直接的な質問よりも、「どう思いますか?賛成/どちらともいえない/反対」という、すべての見解を等しく表現することが望ましいです。
また、専門用語の使用は極力避け、誰もが理解しやすい言葉を選びましょう。一般になじみのない専門用語については、使用を避けるか、必要に応じて簡単な説明を付け加えることが大切です。ただし、調査対象が専門家や特定分野の愛好者である場合は、専門用語を使うことが適している場合もあります。
さらに、設問文で時間や数量を尋ねる際は、具体的な数値や明確な時間枠を用いましょう。「最近」「たくさん」といったあいまいな表現を用いると、回答者によって解釈が異なり、データの信頼性が損なわれる可能性があります。例えば、「最近1週間以内に何回運動しましたか?」や「週に何本の映画を観ますか?」のように、同じ基準で回答できるように設計することが大事です。
アンケート調査の選択肢にレイティングスケール(格付け法)を使用する際は、5段階または7段階にすることが理想的です。選択肢が多すぎると、回答者が細かな区分を判断できなくなり、選択に困ってしまいます。一般的には、5段階スケールが回答者にとって、最も直感的に理解しやすいスケールと認識されています。
また、シングルアンサー(SA)形式の選択肢では、選択肢間の重複を避けることが重要です。重複する選択肢は回答者に混乱を招き、データの正確性を損なう原因となります。例えば、「最近いつこの製品を購入しましたか?」という質問に対する選択肢を「1ヶ月未満」、「1ヶ月以上2ヶ月未満」、「2ヶ月以上3ヶ月未満」、「3ヶ月以上購入していない」と明確に区切れば、回答者は迷うことなく回答できます。
さらに、選択肢の文言はできるだけ短く、明瞭にすることが望ましいです。長い選択肢は回答者の負担となり、読むのを面倒だと感じさせる可能性があります。20文字以内を目安にすると、回答者がスムーズに選択でき、調査全体の回答率やデータの信頼性を向上させられます。
Tips:回答方式について
上記でご紹介した「シングルアンサー(SA)」のほかに、複数回答可能な「マルチプルアンサー(MA)」と記述式の「自由回答方式」があります。
設問の順番を決める際は、論理的で直感的に理解しやすい構造を心掛けることが重要です。例えば、特定商品について調査する場合、商品の認知から利用実績、評価、そして今後の利用意向へと移行する流れにすると、回答者が答えやすくなります。
また、状態の変化について質問する場合は、時間の流れに基づいて設問を配置する方法が効果的です。例えば、過去の状態から現在、将来へと順を追って質問することで、回答者の記憶を自然に辿ることができ、より的確な回答を引き出すことが可能です。
さらに、簡単で答えやすい質問を先に配置し、徐々に複雑または個人的な内容へと深掘りする構成は、回答者の負担を減らすことができます。
好き嫌いなどの感性に基づく評価を求める場合は、その総合評価を個別評価の前に配置するのが一般的です。対照的に、良い悪いなどの客観的評価を求める際は、細かいカテゴリーから始めて、徐々に全体的な評価に移行することが効果的です。
設問数が多い場合、回答者の回答意欲はどうしても徐々に低下します。そのため、重要な質問はアンケートの初めに来るようにし、回答者の関心が高いうちに重要な回答を得ることが重要です。また、個人情報やデリケートな質問は後半に配置し、回答者がアンケートに慣れた状態で答えられるように考慮しましょう。
ここでは、社会調査アンケートの参考として、代表的なアンケートの質問例(テンプレート)を紹介します。
住民意識調査
Q3. あなたの居住地域における、最も改善が必要だと思う点はなんですか。(1つ選択)
1.防犯対策
2.交通の利便性
3.商業施設の充実
4.公園や緑地の整備
5.その他(具体的にお書き下さい)
Q4. あなたが上記のようにお答えになった理由について、具体的にお書き下さい。(自由記述)
Q5. あなたは、現在の自治体の取り組みについて、どのように評価していますか。(1つ選択)
1.とても評価している
2.まあまあ評価している
3.どちらともいえない
4.あまり評価していない
5.全く評価していない
Q6. あなたが上記のようにお答えになった理由について、具体的にお書き下さい。(自由記述)
Q7. あなたは、今後、居住地域でどのようなイベントや活動が行われることを望みますか。(自由記述)
Q8. あなたは、居住地域の活性化のために、どのような貢献をしたいですか。(自由記述)
パネル調査
Q3. あなたは普段、健康のためにどのようなことをしていますか。(複数選択可)
1.適度な運動
2.バランスの取れた食事
3.十分な睡眠
4.定期的な健康診断
5.その他
Q4. 過去1ヶ月間で、あなたは医療機関を受診しましたか。(1つ選択)
1.はい
2.いいえ
Q5. もし受診した場合は、その理由は何でしたか。(自由記述)
Q6. あなたは、現在の健康保険制度について、どのように考えていますか。(1つ選択)
1.満足している
2.やや満足している
3.どちらともいえない
4.あまり満足していない
5.不満である
Q7. あなたが上記のようにお答えになった理由について、具体的にお書き下さい。(自由記述)
Q8. 将来、介護が必要になった場合、あなたはどのようなサービスを利用したいですか。(複数選択可)
1.在宅介護サービス
2.特別養護老人ホーム
3.サービス付き高齢者向け住宅
4.その他(具体的にお書き下さい)
ライフスタイル調査:買い物行動に関するアンケート
Q4. 最近、興味を持っている商品カテゴリーは何ですか?(複数選択可能)
1.家電製品
2.ファッション
3.食品
4.健康・美容製品
5.スポーツ・アウトドア
6.その他(具体的に)
Q5. 前問でご回答いただいたカテゴリーに、興味を持った理由を教えてください。(自由記述)
Q6. あなたは店舗での買い物とオンラインショッピング、どちらを好む傾向にありますか?(1つ選択)
1.店舗での買い物を好む
2.オンラインショッピングを好む
3.どちらも等しく利用する
Q7. 前問でご回答いただいた好みの理由について、具体的にお書きください。(自由記述)
Q8. 最近購入した商品で、特に満足しているものは何ですか?購入した理由と合わせて教えてください。(自由記述)
アンケート調査を行う際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、調査設計において、質問内容が明確で、誘導的にならないよう確認することが必要です。質問があいまいであったり、回答者の意見を誘導するような表現が含まれたりすると、データの信頼性が損なわれる恐れがあります。
また、回答者のプライバシー保護も重要です。個人情報を含む質問を行う場合は、その情報の取り扱いについて明確な説明を提供し、適切な同意を得る必要があります。そして、調査データの取り扱いや保管には特に注意を払い、個人を特定できる情報は厳重な保護が求められます。
さらに、社会調査アンケートでは、倫理的な問題についての配慮がとても重要です。アンケート調査の内容や実施方法について、回答者の尊厳を傷つけるような表現がないか、慎重に確認しましょう。
ここまで、社会調査のアンケートについて解説しました。
アンケート調査は、社会調査においてとても有効な手法です。そのため、適切にアンケートを設計・実施できれば、政治、経済、教育、公共サービスなど様々な分野で貴重なデータを収集することが可能です。そこで得られたデータは、効果的な政策立案や市場分析、社会問題の理解に活用できます。
ぜひ、この記事で得た知識を活かし、アンケート調査を社会調査に役立てていきましょう。
社会調査のご相談はこちら>
アンケートの調査票の作り方
「アンケート調査は調査票が全てだ」という言葉があるように、調査票の質は調査そのものの精度を大きく左右します。
たとえ作り慣れている人でも、調査対象物に精通しているからこそ気づかなかったり、調査票を何度も読み返していると、不自然さにも慣れてしまい、以下の点に気づかずに疎かになったりしてしまう場合もあります。ここでは、アンケートの調査票の作り方と押さえるべきポイントをご紹介します。
> 詳しく見る
大学・研究機関向けの学術調査(アカデミックリサーチ)
学術調査(アカデミックリサーチ)とは、理論の検証、新しい知見の発見、既存の知識の体系化などを目的とした、特定の学問分野における研究や調査活動のことを指します。大学や研究機関、政府機関、民間企業など、多様な組織で学術調査が実施されており、ネットリサーチやインタビュー調査などを用いたデータ収集、分析、実験、観察などが行われ、研究論文や学会発表などで結果を公表する必要があるため、常に信頼性の高いデータが求められます。
アスマークでは、学術調査専門チームがあるため、質の高い調査支援が可能です。
> 詳しく見る
2024.08.26
コロナ禍で加速したオンライン調査の普及 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、私たちの生活様式だけでなく、ビジネスのあり方にも大きな変化をもたらしました。そ……
2024.11.14
定量調査と定性調査の違いとは? まず、定量調査と定性調査の違いを理解しておくことが重要です。 定量調査は、アンケート等を通じて数値データを収……
2020.09.28
はじめに 新型コロナウイルスの脅威により対面でのインタビューが出来ない環境となり、急速に受容性が高まったオンラインインタビュー。 これまでオンラインイン……
2021.10.21
初めてアンケート調査を企画する際、なにから手をつけたら良いのかわからないという人も多いと思います。 アンケートを作るにあたり、よくある失敗例と失敗しないための……