
2022.12.01
アンケートの依頼文の書き方|回答率を上げるポイントとは?
アンケートは自社の顧客や調査の対象者から様々な情報を収集するのにとても有効的な手法です。そんなアンケートで、データをより多く集めるために意外と大切なのが「依頼文……
公開日:2025.02.27
近年、企業のマーケティング戦略において、顧客の声を意思決定に活かす重要性がますます高まっています。そのため、顧客のニーズや要望を集める手段として広く活用されているのが、アンケート調査です。しかし、アンケート調査の質は、回答者の誠実さに大きく左右されます。特にオンラインアンケートでは、いい加減な回答や、意図的に誤った回答が含まれることがあります。このような不誠実な回答は、調査結果の信頼性を大きく損ない、誤った意思決定につながる恐れがあります。そこで注目されているのが「トラップ設問」です。
この記事では、トラップ設問の概要から、その重要性、具体的な活用方法、導入時の注意点などを解説します。
アンケート調査におけるトラップ設問とは、回答者の回答精度や信頼性を測るために意図的に組み込まれる設問(質問)です。特に、オンラインアンケートでは、不誠実回答者(Satisficer)の存在が問題となっていて、その対策として用いられています。
不誠実回答者は、質問文をよく読まなかったり、深く考えずに回答したりする傾向があるため、アンケート結果の信頼性を大きく損なう危険性があります。そこで、トラップ設問によって回答者が「質問をしっかりと設問を読んでいるか」「論理的に矛盾した回答をしていないか」などを確認し、不誠実回答者を検出し、品質の管理をします。
トラップ設問は、回答者の注意深さや誠実さを測るフィルターとして機能し、より信頼性の高いデータ収集に活用されています。
トラップ設問には、様々な種類がありますが、具体的な設問文を交えながら代表的なものを紹介します。
種類 | 具体例と解説 |
---|---|
指示型トラップ設問 | 「この質問では、必ず「はい」を選択してください」といったように、特定の選択肢を選ぶよう指示する質問です。指示通りに回答しない場合は、質問文をよく読んでいないと判断できます。 |
矛盾検出型トラップ設問 | 同じテーマについて、異なる角度から質問します。例えば、「週に何回コーヒーを飲みますか?」という質問と、「コーヒーは好きですか?」という質問を組み合わせます。矛盾した回答をしている場合は、回答に一貫性がないと判断できます。 |
知識確認型トラップ設問 | 一般常識や、調査対象に関連する知識を問う質問です。例えば、「日本の首都はどこですか?」といった質問や、特定の製品に関する知識を質問します。明らかに間違った回答をしている場合は、誠実に回答していないと判断できます。 |
選択肢の順序操作型トラップ設問 | 同じ質問で選択肢の順序を入れ替えたものを複数用意し、回答者が同じ選択肢を選んでいるかどうかを確認する質問です。注意深く読んでいないと、異なる選択肢を選んでしまう可能性があります。 |
ありえない選択肢混入型トラップ設問 | 選択肢の中にありえない選択肢を入れる設問です。例えば、「日本の都道府県を選択してください」という設問に対して、「ニューヨーク」などの海外の都市を入れておくような設問です。明らかにありえない選択肢を選んでいる場合は、回答の精度が低いと判断できます。 |
アンケート調査は、広範囲の意見や情報を効率的に収集できる調査手法です。マーケティングリサーチの中でも実施頻度の高い調査手法となります。特にネットリサーチ(WEBアンケート)は、時間や場所の制約を受けずに実施できるため、多くのアンケート調査で活用されています。
その一方で、アンケート調査では、どうしても不誠実回答者(Satisficer)が発生しやすいという課題があります。不誠実回答者が発生する主な理由は、回答に対する責任感の欠如や回答者のモチベーション低下です。例えば、報酬目的でアンケートに参加している場合、質問をよく読まずに、適当な回答を選んでしまうことがあります。また、アンケートの質問数が多かったり、質問内容が複雑だったりする場合も、回答者は疲れてしまい、深く考えずに回答する傾向があります。
他にも以下のようなケースが挙げられます。
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アンケートパネルは、アンケートへの協力意思がある人を集めた集団です。このパネルの特性が、不誠実回答者(Satisficer)の発生に大きく影響します。
アンケート調査で得られる数値データは、企業にとって強い説得力を持ちます。多くの企業では、これらのデータを基に製品開発やマーケティング戦略など、重要な経営上の意思決定が行われています。しかし、もしそのデータ精度が低ければ、企業は誤った方向性で意思決定するリスクが高まってしまうでしょう。だからこそ、アンケート調査において、回答の質を高める仕組みを整えることは、とても重要です。
トラップ設問を導入すれば、不誠実回答者(Satisficer)を排除し、回答の信頼性を高めることが可能です。誠実に回答していない人のデータを除くことで、より的確な市場や顧客の声を把握し、企業が確かな意思決定を行うための基盤を強固に築けます。
トラップ設問を導入する際にまず考慮すべき点は、「設問数が増えること」です。アンケートの設問数が多くなると、回答者の疲労が増し、途中離脱や適当な回答のリスクが高まります。
さらに、トラップ設問による不誠実回答を除去するため、サンプルサイズを増やすことも必要です。例えば、調査分析に必要なサンプル数が400件の場合、不誠実回答の割合を20%と想定すると、調査のサンプルサイズは500件となります。その結果、調査対象者の募集や管理にかかる手間が増えるとともに、企業などは調査全体のコストが上昇するというデメリットが生じます。
そのため、トラップ設問を導入する際は、コストと回答者の負担を慎重に検討しながら、調査の目的や精度向上を達成できるように設計することが重要です。
トラップ設問以外にも、以下のようなアンケートの回答精度を高める方法があります。
方法 | 内容 |
---|---|
回答所要時間 | 回答にかかった時間が極端に短い場合は、注意深く回答していない可能性があります。このような場合には、一定時間以下の回答は除外するなどの対策をします。 |
Seriousness Check (SC) | アンケートの最後に「あなたは誠実に回答しましたか?」と尋ねる方法です。ただし、回答者が正直に答えるとは限らないため、確実性には欠けます。 |
警告 | 不誠実な回答が見られた場合、報酬を得ることができないなど、回答者に警告を出す方法です。警告を出すタイミングは、回答開始前や回答中になります。回答中に警告を表示する場合、検知するロジックを組む必要性と警告が表示される前に回答されたデータの信頼性は保証できないことに、注意が必要です。 |
宣誓 | 回答開始前に、誠実に回答することを宣誓させる方法です。ただし、不誠実回答者(Satisficer)が宣誓を守る保証はありません。 |
これらは、組み合わせることで回答精度を高めることができ、トラップ設問と組み合わせて、検討することが必要です。
ここまで、トラップ設問の重要性について解説してきました。
アンケートで得られる情報や分析結果は、企業にとって重要な意思決定の材料となります。だからこそ、トラップ設問によって不誠実回答者(Satisficer)を見極めることが重要です。トラップ設問を適切に活用することで、より質の高いデータを得られ、分析の精度も向上します。その結果、顧客のニーズを把握し、効果的なマーケティング戦略を立案することが可能になります。
ぜひ、本記事を参考にして、トラップ設問を取り入れた精度の高いアンケート調査を実施していきましょう。
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