2021.11.02
ブランド編②~認知度調査~
4コマ漫画でわかるマーケティングリサーチ
ブランドの認知度を調べることで、どのくらいの人がそのブランドを知っているか、どのくらいの人が、そのブランドが自社のブランドであることを知っているかがわかります。……
公開日:2024.10.25
クロス集計は、マーケティングリサーチやデータ分析において重要な手法です。多くの方がアンケート調査の集計結果を見たことがあると思いますが、クロス集計を活用することで、属性ごとにデータを詳しく分析し、顧客の特性や行動を把握することが可能です。
本記事では、クロス集計を中心に、集計と分析の違いや集計表の見方、注意点、そして調査票作成時に考慮すべきポイントなどについてご紹介します。
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まず、集計と分析の違いについて理解しましょう。集計とは、アンケートデータなどのローデータを見やすい形にまとめることを指します。たとえば、数値や回答データを可視化することで、全体的な傾向を把握しやすくする作業です。
一方、分析とは、集計データを基にして、要因を探ったりすることです。たとえば、ある商品がどの年代に人気があるのか、どの要因がその人気に寄与しているのかを検証することが分析に該当します。つまり、集計はデータの整理であり、分析はデータから意味を引き出す作業と言えるでしょう。
集計表には大きく分けて2種類あります。単純集計(GT集計)とクロス集計です。単純集計は、全体の回答傾向を確認するために使われます。
一方、クロス集計は、回答者の属性(例えば性別や年代)ごとの回答傾向を分析するために用いられます。クロス集計を使用することで、例えば「男性と女性で製品に対する評価がどう違うのか」など、より具体的な情報を得ることができます。
詳しい「単純集計(GT集計)とクロス集計の違い」はこちら>
クロス集計表には「表頭」と「表側」があります。表頭とは各設問に対する回答選択肢が記載される部分で、表側はクロスする軸、つまり「誰がどのように回答したのか」を示す部分です。この表側がクロス集計の主語となります。
例えば、「男性と女性で製品に対する評価がどう違うか」を知りたい場合、表側に性別を設定し、表頭に評価項目を配置します。こうすることで、「男性の評価は〇〇、女性の評価は〇〇」といった比較が可能になります。
クロス集計を行う際に重要なのは、どのように集計軸を設定するかという点です。ここでは、「主語を何にしたいのか」と「どことどこの間で比較したいのか」の2つの視点から説明します。
クロス集計表の軸(表側)は、データの「主語」を決めるものです。例えば、「属性別で見たい」という場合には、性別や年代といった属性を表側に設定します。このようにして、誰の結果をどのように見たいのかを明確にすることが重要です。
また、クロス集計を行う際には「どことどこの間で比較したいのか」という視点も重要です。例えば、「男性と女性の評価を比較したい」という場合には、性別を軸に設定し、男性と女性の結果を上下で比較します。こうすることで、異なる属性間の違いを明確に把握することができます。
クロス集計を使う際の注意点として、まずサンプルサイズに注目する必要があります。表側で設定した一部のサンプル数で少ないデータがあると、得られた結果の信頼性が低くなり、誤差が大きくなる可能性があります。一般的には30サンプル以上が必要とされています。
また、クロス集計で設置する項目は、シングルアンサー(SA)化されていることが大前提になります。これは、各回答が重複しないようにするための条件です。例えば、複数の要因で回答が重なってしまう場合、結果が曖昧になり、明確な結論を引き出せなくなる可能性があります。
良い集計を得るためには、調査票を作成する段階から集計のことを考えておくことが大切です。ここでは「割付」と「回答形式」の2つのポイントについて説明します。
割付とは、調査対象者をどのように分けてアンケートを行うかを計画することです。例えば、10代から50代までの男女を対象にする場合、それぞれの年代と性別ごとに均等に人数を割り振る「均等割付」を行うことがあります。均等割付により、性別や年代ごとの比較がしやすくなります。
一方で、調査結果を市場の縮図として見る場合には、人口構成比に基づいた「比率に合わせた割付」を行うことが推奨されます。このように、調査の目的に応じてどのような割付を行うかを検討することが、集計結果の解釈に大きく影響します。
回答形式も調査票作成時に重要な要素です。回答形式には、代表的なもので、シングルアンサー(SA)、マルチアンサー(MA)、順位付け、段階尺度、自由回答があります。それぞれの回答形式について、以下で詳しく解説します。
回答形式 | 内容 |
---|---|
シングルアンサー(SA) | シングルアンサーは1つの選択肢しか選べない形式で、一番の要因を知りたい場合に用いられます。この形式は回答が明確で重複がなく、結果の解釈がしやすいというメリットがあります。しかし、選択肢が1つしかないため、多様な要因を同時に把握することは難しいです。 |
マルチアンサー(MA) | マルチアンサーは複数の選択肢を選べる形式で、複数の要因が関係する場合に向いています。たとえば、購入の決め手が価格、デザイン、ブランドの複数である場合、それらすべてを選んでもらうことができます。ただし、回答が重複するため、回答間の優劣を付けにくいというデメリットがあります。 |
順位付け | 順位付けは、選択肢に順位をつける形式です。例えば、「この製品の特徴を重要な順に並べてください」といった質問で使用されます。この形式は、複数の要因の中でどれがより重要かを知りたい場合に有効です。ただし、選択肢が多いと回答者に負担がかかることがあります。 |
段階尺度 | 段階尺度は、回答者の意向や満足度の度合いを把握するために使われます。例えば、「非常に満足」から「全く満足していない」までの5段階や7段階で評価してもらう形式です。この形式は、感情や意向の度合いを定量的に把握するのに適していますが、回答の負担が大きくなることがあります。 |
自由回答 | 自由回答は、回答者が自由にテキストで回答を記入する形式です。この形式は、定性的な情報を得たい場合に向いていますが、回答の内容を集計・分析するのに時間とコストがかかるというデメリットがあります。また、回答内容が多様であるため、統一した結論を得るのが難しいこともあります。 |
クロス集計は、データの詳細な分析を可能にし、顧客の特性や行動の違いを把握するための重要な手法です。集計と分析の違いを理解し、適切にクロス集計を行うことで、データから得られる洞察が大きく広がります。調査票の段階から集計を意識して設計すること、またクロス集計表の構成を工夫することで、効果的なデータ活用が実現します。ぜひ、今回の内容を今後の分析業務にお役立てください。
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