公開日:2024.10.07

定性調査の基本から役割と重要性、手法まで解説

  • マーケティングリサーチHowto

マーケティング活動を行う上で、以下のような課題に直面することはありませんか?

  • 消費者の本音を知りたい
  • 新商品のアイデアが欲しい
  • 顧客満足度を向上させたい

 
従来のアンケート調査などの定量的なデータだけでは、課題解決の糸口を見つけることは容易ではありません。なぜなら、そこには表面的ではない、消費者の深層心理や行動の裏側に隠されたインサイトが重要となるからです。このような課題解決に有効な手段として注目されているのが「定性調査」です。定性調査とは、少数の対象者から、インタビューやグループディスカッションなどを通じて、行動や意識、感情などを深く掘り下げていく調査手法です。
 
※消費者インサイト:「消費者の行動や思考の背後にある、消費者も自覚できていない動機や欲求」のこと
 
本記事では、定性調査の基本的な考え方から手法、調査設計のポイントまでを紹介します。
 
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マーケティングにおける定性調査の役割と重要性

企業にとって、消費者のニーズを的確に捉え、魅力的な商品やサービスを提供することは必須です。しかし、アンケート調査などの定量的なデータだけでは、消費者の行動や意識の背景にある「なぜ?」を理解することは難しいと言えます。
 
そこで重要となるのが、消費者の本音に迫る「定性調査」です。定性調査は、少数の対象者と深く向き合い、行動や意識、感情などを言葉で引き出すことで、定量調査では見えてこないインサイトを発掘することができます。
 
例えば、新商品開発の場面を考えてみましょう。定量調査で「この商品が欲しい」と回答した人が60%いたとしても、本当にその商品が市場で受け入れられるかは分かりません。「欲しい」と答えた理由や、商品に対する具体的なイメージ、購買意欲の強さなどは、定性調査によって初めて明らかになるのです。
 
定性調査は、市場調査、商品開発、顧客満足度向上など、マーケティング活動のあらゆる場面で活用されています。特に、以下のケースに有効な手法と言えるでしょう。
 

  • 新規市場への参入や新商品の開発など、未知の領域を探求するケース
  • 既存商品の課題を発見し、改善策を検討するケース
  • 顧客の行動や意識の背景にある要因を深く理解したいケース

 
 

定性調査の基本を理解する

定性調査を成功させるためには、定量調査との違いを正しく理解しておくことが重要です。

表 定量調査と定性調査の比較表
項目 定量調査 定性調査
調査目的 仮説の検証 仮説の発見・創出※仮説の検証の場合もある
対象領域 態度や行動が中心
<顕在化しているもの>
態度、行動に加え、心理や意識を探る
<潜在的なものを含む>
回答方法 調査票に記載している選択肢から選ぶ
※一部、自由回答もある
モデレーターの質問などに対して口頭で答える
分析方法 クロス集計・統計解析 発言や反応、文脈を解釈※発言のみだけではなく、その際の表情・しぐさなどからも情報を得る
報告書の表現 数値と図表 文章・構造図・表・図・写真など多岐にわたる

 
定量調査が「仮説の検証」を目的とするのに対し、定性調査は「仮説の発見・創出」を目的としています。定性調査では、対象者の発言内容はもちろんのこと、言葉遣いや表情、態度など、言葉以外の情報も重要な手がかりとなります。熟練したモデレーターは、これらの情報を総合的に解釈することで、言葉の裏に隠された「本音」や「インサイト」を見抜くことができるのです。
 
 

マーケティングプロセスと定性調査

定性調査を発注されるときにマーケティングプロセスのどのタイミングなのかを、お考えいただくことが重要です。そのタイミングは下記4つがあります。

  1. ニーズの発見
  2. ニーズを満たす製品・サービスの提供
  3. 評価とフィードバック
  4. 提供する新製品・サービスの開発、既存製品・サービスの改善

 
そして、もう一つ重要なのが仮説です。仮説を立てた上で、この調査は何のためにリサーチをして、何を知りたいのかといった部分を明らかにしていくことが必要になります。
 
 

定性調査の手法

定性調査には、様々な手法があります。代表的な手法としては、以下のものが挙げられます。
 

表 定性調査の代表的な調査手法
調査手法 調査内容 主な調査目的・用途
グループインタビュー(FGI) 調査対象者を6人程度集め、モデレーターと呼ばれる司会者が調査テーマについて質問を行い、自由に発言をしてもらうことでさまざまな意見・情報を収集する調査手法です。 消費者の深層心理や行動の背景を理解すること、アイデア発掘、探索調査など
デプスインタビュー(IDI) 対象者とインタビュアーによる1対1の面談式で実施する調査方法です。 商品やサービス等の選択・購買理由などをより深く掘り下げて探ること
オンラインインタビュー インターネットを介してオンラインで行うインタビューです。従来の対面で行われていたインタビュー調査やエスノグラフィ調査などをオンライン上で実施することで、地方在住の方など出現率の低い調査対象者に実施することが可能です。また、会場費や交通費などの必要経費を削減することが出来るのでコスト面での負担も大いに軽減できます。 消費者の深層心理や行動の背景を理解すること、商品やサービス等の選択・購買理由などをより深く掘り下げて探ること
エスノグラフィ調査 対象者の自宅・職場等を直接訪問して、生活者の行動を「見る」「観察する」調査です。 生活者の無意識行動の背景にあるインサイトの抽出や、生活行動における「なぜ」を探ること

 
主な調査目的・用途、予算、期間などを考慮して決定するのがおすすめです。
 
 

まとめ

今回は、マーケティングにおける定性調査の役割や重要性、基本的な考え方、手法などについて解説しました。定性調査は、消費者の本音やインサイトを捉え、マーケティング活動を成功に導くための強力な調査手法です。
 
本記事で紹介した内容を踏まえ、ぜひ定性調査をマーケティング活動に役立ててみてください。
 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

 
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