公開日:2025.04.11

エスノグラフィ調査で発見!
「日常使いの自家用車」から見える、カーライフ実態と快適性ニーズ

  • インタビューコラム

はじめに

現代社会において、現代の自動車は、移動手段を超えてライフスタイルの一部としての役割を担っています。特に日常的に自家用車を利用する人々にとって、車内には快適性や機能性が求められ、使い勝手が生活の質にも影響を与えています。

こうしたニーズはアンケートなどの定量調査だけでは把握しきれない場合もあり、より深いインサイトを得るには、生活者の行動や使い方を“現場”で観察することが重要です。こうした背景から注目されているのが、生活者のリアルな行動から潜在ニーズを掘り起こす「エスノグラフィ調査」です。商品開発やマーケティングの現場でも、表面的なデータだけでなく、実際の使用シーンを深く理解する重要性が増しています。

今回は、日常使いの自家用車に焦点を当て、ドライバーがどのように車を活用し、車内でどのように過ごしているのか、また、どのような不満や改善ニーズを抱えているのかを探りました。
本コラムでは、日常使いの自家用車を通じて見えてきた運転者のリアルな行動や考え方、そしてそこから読み取れる生活者の価値観やニーズについて、詳しく解説していきます。

 

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車の主な使用目的と頻度

インタビューでは車を日常生活において欠かせない移動手段として活用していると話していました。日々の買い物や夫の送迎、週末の遠出など、多様な用途で利用されています。車が生活に密着した移動手段であり、短距離でも毎日車を使うことで、運転の快適性や利便性への意識が高まっていることが伺えました。

画像 実際のインタビュー風景
画像 実際のインタビュー風景

 
 

車内での過ごし方とこだわり

運転中は音楽を楽しむ時間を重視しており、CDとサブスクリプションサービスを使い分けている様子が印象的でした。具体的には、サブスクリプションでは配信されていないアーティストの楽曲はCDで再生し、それ以外の楽曲についてはYouTube Premiumのプレイリスト機能を活用されているとのことです。

音響環境へのこだわりも強く、純正スピーカーをより高性能なタイプに変更し、Bluetooth接続と有線接続を状況に応じて使い分けるなど、音楽体験を向上させる工夫が随所に見られました。特に、ご夫婦で乗車される際には、それぞれの音楽の好みに合わせて接続方法を切り替えることで、両者が快適に過ごせる空間づくりが意識されていました。
また、ナビゲーション機能についても日常的に活用しており、目的地履歴や自宅登録などの機能が利便性の面で高く評価されていました。

これらの活用実態からは、車内を単なる移動空間ではなく、より快適でパーソナライズされた生活空間として捉えている姿勢が伺えます。
 
 

車の特徴と満足点・不満点

車種を選ぶ際には、ご夫婦で相談しながら検討されたそうです。特に重視したのは、スピーカーの性能や安全機能の充実。最終的に選んだのは、ホンダのN-BOXでした。
実際に使用してみて気に入っている点として、次のような声があがりました。

• 車内が広く、圧迫感が少ない(軽自動車ながら高さがある)
• 小回りが効く(狭い道でも運転しやすい)
• ナビ機能が充実(履歴機能、自宅登録機能などが便利)
• 自動運転機能が快適(高速走行時の一定速度維持、蛇行防止)

一方で、使っていく中で見えてきた改善点もあるようです。

• 大きな荷物が載せにくい(家具や長尺の木材などは難しい)
• ナビの地図データが古い(アップデート対応待ち)

普段使いには十分満足しているものの、大きな荷物を運ぶような場面では、少し物足りなさを感じることもあるようでした。
 

 
 

車内アイテムの活用とニーズ

車内アイテムについては、利便性を重視したものを中心に活用されていました。中でも特に活用頻度が高かったのは、以下のようなアイテムです。

【現在活用しているアイテム】
• 音楽接続ケーブル(有線・Bluetooth併用)
• 後部座席の荷物フック(スーパーの買い物袋やカバン掛けに活用)
• ティッシュカバー(運転席近くに配置)
• サンシェード(車内の温度上昇防止、直射日光対策)

中でも、荷物フックは「買い物後の荷崩れ防止」として必須アイテムに。ダイソーなどの100円ショップで発見し、利便性の高さからリピート購入を考えるほど満足度が高い商品だそうです。

【今後取り入れたいと考えているアイテム】
• 安定性の高いゴミ箱(運転中の転倒防止)
• より使いやすいサンシェード(壊れにくく、視界を遮らないもの)

また、現在使用中のサンシェードについては「吸盤の劣化」が問題となり、ロール式や折りたたみ式のものを検討中だと話していました。「視界を遮るのが不安」との理由で慎重に選定しており、耐久性のある素材や視界を遮らない設計が求められています。
 

 
 

まとめ

今回の調査を通じて、軽自動車ユーザーのライフスタイルに寄り添った製品開発の可能性が感じられました。
特に、音楽環境をより快適にしたいという声からは、Bluetooth・CD両対応のオーディオや、Bluetooth接続をもっとスムーズにする機能へのニーズが見えてきました。
また、収納面では、小型車にもフィットする省スペースな収納アイテムへの関心が高く、買い物袋を固定できるようなアイテムや、限られたスペースを有効に活用できる収納アイテムなどが、今後も求められるでしょう。
さらに、サンシェードに関しては「耐久性」と「設置のしやすさ」が課題として浮かび上がりました。劣化しにくい素材の採用や、誰でも簡単に取り付け・取り外しができる構造に改良することで、より快適な車内環境の実現につながっていくと考えられます。
 

 
 

おわりに

今回のエスノグラフィ調査を通じて、日常的に自家用車を利用している生活者の声にじっくり耳を傾けることで、普段の運転シーンや車内での過ごし方、その中で感じているちょっとした不便やこだわりが浮かび上がってきました。

インタビュー形式での対話だけでは捉えきれない、生活の“リアル”が見えてくるのは、やはりエスノグラフィ調査ならではの魅力です。表には出にくい習慣や工夫、潜在的なニーズは、実際の生活の中にこそ潜んでいます。
生活者にとって当たり前になっている行動や選択を丁寧に観察することは、既存の延長線では見えにくい商品開発のヒントにつながります。今後も、こうした定性的な視点を活かした調査を重ねることで、より生活に寄り添った製品やサービスの可能性を広げていけるのではないでしょうか。
 
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執筆者
アスマーク編集局
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーションG
アスマークのHPコンテンツ全ての監修を担い、新しいリサーチソリューションの開発やブランディングにも携わる。マーケティングリサーチのセミナー企画やリサーチ関連コンテンツの執筆にも従事。
監修:アスマーク マーケティングコミュニケーションG

 
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